2021年5月26日臨時議会質疑(長谷川薫議員) 

(1)議案第56号 補正予算について

  •  はじめに、議案第56号、補正予算について質問します。

新型コロナウイルスワクチン接種の移動支援として約4500万円が計上されています。

高崎市は移動手段のない高齢者を公用車で送迎し、タクシーを利用した場合は運賃を無料にするなど、手厚い支援策を具体化していますが、それに比べて前橋市の支援内容は、マイタクの初乗り運賃600円の無料化と旧勢多郡や城南地域のデマンド交通の運賃の無料化だけに限定しています。

これでは不十分です。マイバスや一般の路線バスなどの公共交通を利用して医療機関や特設会場に向かう高齢者を支援対象から外したのは何故でしょうか。支援対象に加えるべきと思いますが、どのようにお考えでしょうか。答弁を求めます。

  • 国の移動支援の補助メニューから外れる場合でも、一般のタクシーや介護タクシー

などの移動も市単独で支援対象にする必要があるのではないでしょうか。

全国的には、熊本市が2000円分のタクシー券を給付し、東京都昭島市はタクシー利

用の場合、500円を超える料金を全額市が負担するなど市民に寄り添った支援策を次々と具体化しています。

高崎市は、高齢者の状況を個別に判断して、約100台の公用車をフル稼働さて送迎

するとともに、やむを得ず、タクシーを利用した場合には運賃を全額公費で負担することを決めています。このように、今、手厚いワクチン接種の移動支援策を具体化している自治体が増えています。本市も今日から6~7月の短期間で効率的な接種を高齢者に求めており、移動支援を狭く限定せず、庁内関係部局と連携して、公用車による送迎も含めて、ただちに移動支援を拡充するよう強く求めておきます。

また、寝たきりや歩行が困難な高齢者や身障者など移動自体が困難な方の接種は、

かかりつけの医師による訪問接種も検討されていると聞いていますが、接種後の副反 応などに備え15~30分の経過観察をする必要があり、医療機関による訪問接種の対象者は限られるのではないでしょうか。特設会場などでの接種を特別な体制で行うなどの支援策を急いで検討していただくよう強く求めておきます。

  •  次に、PCR検査費用として2億円、入院費用として8700万円など、約3億円の補正額が計上されています。しかし、令和3年度中の市民のコロナによる.+入院患者を1200人と市当局は想定していますが、今後見込まれる新規感染者の自然増だけに対応するための追加補正だけでは不十分です。

新型コロナウイルスも第4波に入ってから、前橋市内でも、新規感染者が増え続けすでに感染者は1200人を超えようとしています。医療機関でのクラスターや大学生、小中学生など低年齢層への感染も広がっています。また、いま感染力の強い変異株に置き換わろうとしており、予断を許せない状況が続いています。

わが党は繰り返し、PCR検査をもっと拡充すべきと求めてきました。しかし市当局は、検査を拡大すると新規陽性者が増えて、医療崩壊を招きかねないという政府の消極的な立場に追随し、PCR検査は相変わらず、発熱や倦怠感、味覚や嗅覚障害などのコロナ特有の自覚症状のある場合と新規陽性者の周辺の濃厚接触者に限定的しています。これでは、不十分です。

感染拡大を封じ込めるためには、高齢者施設や医療機関、保育園、学校などの職員や入所者への頻回・定期的な社会的な検査とともに、無症状感染者や初期症状感染者を早期に見つけ出して保護することが何よりも重要です。ワクチンの安全迅速な接種とともに、抗原検査も含めて大規模なPCR検査を行うなど、財政負担を国に求めつつ、積極的な検査戦略を実施すべきです。そのために必要な補正予算を組むべきだと思います。いかがでしょうか。答弁を求めます。

■いま、爆発的な感染拡大が続いていたアメリカやヨーロッパ諸国は積極的な検査とワクチン接種の促進によって、感染拡大を抑えつつあります。

ところが、日本政府のコロナ対策は科学的基本に立った封じ込め戦略がなく、PCR検査を抑制した結果、検査数は、人口比で比較すると世界中で146位、ワクチン接種体制も大きく遅れており世界で128位です。このような国の消極的な対応への言いなりでは、コロナ感染から市民の命を守ることはできません。

市長は、政府に対策の失敗を正すよう指摘するとともに、国の地方創生臨時交付金のさらなる増額交付を求め、市の財政調整基金も取り崩して感染封じ込めに必要な補正予算を組むべきです。広島市や福山市では、市内の薬局で唾液による検査キットを配布・回収し、全住民を対象にした無料のPCR検査を実施しています。本市においても、PCR検査の対象者を広げて定期的な検査を実施するなど、積極的検査戦略を直ちに具体化すべきです。また、大規模な検査と合わせて、安全迅速なワクチン接種、十分な生活や営業の補償の3本柱でのコロナ感染を封じ込め市民の命を守るよう強く求めておきます。

  •  次に、児童クラブ等に対する感染症拡大防止対策に係わる補助金が約6100万円計上されています。しかし、感染リスクを背負って多くの子ども達を預かっている指導員や保育士への慰労金の支給が具体化されていません。いま、市内の民間保育園のクラスターや小学生などの感染も広がっており、指導員や保育士に感染抑止のための一層の努力が強く求められています。補正を組むなら、市独自で慰労金の給付を予算化すべきだと思いますが。なぜ今回具体化されなかったのでしょうか。答弁を。
  • 要望~政府は医療従事者や介護施設、障害福祉施設の職員には、一人当たり5万〜

20万円の慰労金を給付しましたが、児童関係職種は対象から外しています。 しかし、市民から寄せられる「介護職員などと同様に感染リスクを抱えながら毎日勤務を続けて働く保護者の暮らしを支えている保育士などに感謝し慰労金を支給すべき」との声に答えて、独自で慰労金を支給する自治体が増えています。

第1回定例会でもわが党が紹介しましたが、県内では、すでに本市より財政力の弱 い伊勢崎市・沼田市、桐生市などが慰労金を給付しています。子育て支援の重要な役割を果たしている市内の保育関係者などの強い要望である慰労金の早期の支給を本市でも早期に決断するように強く求めておきます。

  •  豚熱対策費として1億円の補正が計上されました。しかし、4月に市内で発生した豚熱によって殺処分した1万頭の豚を埋却した柏倉町の当該土地の周辺に居住する住民への見舞金などの予算化が一切計上されていません。一昨日も現地調査をしましたが、近隣住民からは、「風の強いときには消毒用の石灰が覆土した土とともに周辺に飛散して、洗濯物や自動車が真っ白になる。健康不安もある。畑に野菜の植え付けもできない。これから夏を迎えるので、埋却した豚の腐敗発酵による悪臭発生も心配だ。アレルギー疾患の子どものために転居してきたのに、再び転居も考えなければなければならない。150メートルの深さの飲料用の井戸を使っているが、地下水の汚染も心配だ。埋却地にすぐ隣接して流れている大穴川の周辺は土石流の発生による土砂災害危険区域でもあるので、集中豪時などは殺処分した豚を詰めたフレコンバッグそのものが流出する危険もあるのではないか。埋却地は斜面なので、立ち入り禁止の柵だけではなくコンクリート擁壁の設置も必要。市も群馬県任せにしないで寄り添ってほしい」と悪臭対策の強化や様々な生活支援策を強く求めています。家畜伝染病予防法に基づいて殺処分を実施した県当局だけの対応にゆだねずに、市民の生活不安や健康不安に直ちに対応することが前橋市にも求められています。市として、近隣住民への救済措置を今回の補正予算になぜ組まなかったのか、見解を求めます。
  • 豚熱の感染が確認され全頭殺処分の強制措置を求められた養豚農家には国によって

すべての損害の損失補償が行われますが、周辺住民の損害や精神的負担などに対する補償が行われないことは納得できません。豚熱感染の再発を防ぐための実効ある防疫体制や野生イノシシの駆除を進めることは重要ですが、周辺で暮らしている市民にもっと寄り添い、埋却地の悪臭対策や流れ出した盛り土の補修や散布している石灰の飛散防止対策など、県と連携し住民要望に基づく十分な対策をすべきです。また、市としての住民への見舞金の早期支給を強く求めておきます。

(2)議案第57号および第58号 公の施設の指定管理者の指定について

  •  次に、議案第57号についてです。粕川温泉元気ランドの指定管理者に㈱コーエイを選定しましたが、評価項目の配点に基づく評価の集計結果が、1位が696点、2位が692点で、4点の僅差であります。管理経費縮減の採点も84点と80点で僅差です。ほぼ同程度の評価点数の中で、選定した判断理由の説明を求めます。

■指定管理者制度では業務委託と異なり、管理運営について多くの裁量権が事業者に与えられています。したがって、市が支出する指定管理料をどの程度減らせるか、事業者が維持管理経費をどのくらい削減する提案をしているかという点を重視して判断すれば、集客をめざして本来の健康増進施設とはあまり関係のない自主事業やテナントの募集など提案する事業者も多くなるのではないでしょうか。

また今回の募集要項には、コロナによる減収は補償しないと明記しているために、利用料収入の確保が事業者にとって最大の目的となり、経費のかかる冬場のプールの利用を中止して遊具施設の設置で集客する提案となるのではないでしょうか。

温泉施設が公共施設、健康増進施設であるにもかかわらず、本来の目的から外れる利潤追求最優先の事業運営に傾いて、市民サービスの質が保障されないなどの問題も起きかねません。経費削減を最優先せず、市民の利用そのものが福祉の増進となるように、事業者任せとならによう慎重な選定と運営状況の日常的なチェックをするよう求めておきます。

  •  次に、議案58号についてです。荻窪公園あいのやまの湯も㈱コーエイを選定しましたが、これまでの指定管理者㈱セントラルスポーツと比べて、指定管理料を引き下げるのでしょうか。職員の人数を減らしたりや非正規化などで給与の引き下げを行うなど待遇の低下などによって、市民サービスの悪化を招かないのでしょうか。運営経費の削減努力を中心に評価して選定すれば、市民の理解は得られないと思います。利用者に喜ばれ、安心安全な施設運営が保障されるのでしょうか、答弁を求めます。

■コスト削減が人件費の削減に直結する場合が多いので、事業提案については各収支の

積算根拠の明確化が必要です。設置者である前橋市は行財政改革の立場から、集客増や

利用料収入増を評価基準の柱としていますが、低賃金の非正規労働者を職員の中心にす

れば、市民サービスは低下せざるを得ないと思います。

また、事業者は、経営努力によって収益を上げても次回更新時には指定管理料を減らされるなどの心配があるために、恒常的に人件費の削減に頼らざるをえないのではないでしょうか。経費削減の評価を中心にするのではなく、前橋市公契約条例などで示した労働条件の改善を進める場合には、事業評価を高めることが重要だと思います。指摘しておきます。

  •  一般的には、選定した指定管理者が、中長期的な経営ビジョンをもって施設等を運営することが可能となるように、指定管理期間は5年程度で更新となっています。民間事業者は初期投資なく継続的な収益を得ることが可能となり、企業の経営基盤の強化に繋がるというビジネスチャンスと位置付けて指定管理者の応募の意欲を強めていると思います。安定的な事業運営を求めるなら、指定期間の長期化と非公募(特定指定)は欠かせないと思いますが、2温泉施設の指定管理期間が1年10カ月では安定的な経営はできないのではないでしょうか。民間譲渡検討を推進するために、期間を短くしているのは問題だと思います。いかがでしょうか。

■指定期間を短くすると、事業ノウハウが蓄積されず、中長期的な事業計画が策定しにくくなることが懸念されます。職員の採用や育成が困難になったり非正規職員が多くなるという弊害もあります。また、指定管理者の交代時には一定の雇用継続の努力があっても、職員の解雇など雇用不安が避けられません。指定管理制度は、これまでにも指定管理者の交代が繰り返され、安定的な運営ができないという制度上の欠陥が避けられません。

 また、本市の行財政改革計画では、3温泉施設の民間譲渡の検討も行われ、すでにサウンディング調査も実施されています。今回の募集にあたっても、指定管理期間終了後に譲渡方針が決まった場合に、譲渡を受けられるかどうかの意向も示すよう求めていることは問題です。民営化方針を既成事実として市が示しても、安易に是非の判断ができないで応募した事業者もあったのではないでしょうか。すでに温泉施設も効率的な部分改修をしても全体としてかなり老朽化しており、たとえ民間に譲渡ができたとしても、施設の維持管理経費がかさみ、長期的に安定的な経営を続けられるかどうかわかりません。

施設設置者の責任として前橋市は、当初の開設目的の市民の健康増進施設として3温泉施設の公共サービスを継続させるために、民間譲渡検討を撤回し、指定期間を今後も更新し、問題なく運営する指定管理者の非公募による再選定につながるように、日常的に市民ニーズに的確に答えた事業運営をしているかどうかを十分チェックすべきです。

また、今後、指定管理制度での運営が困難であれば、譲渡ではなく、市の直営に戻すことも決断することも必要だと思います。

以上、申し上げて議案に対する質疑を終わります。