2021年度第2回定例会 長谷川薫市議反対討論(6月21日)

第2回定例会議案反対討論2021年6月21日(長谷川薫)

日本共産党前橋市議団を代表して、議案第59号、令和3年度前橋市一般会計補正予算および議案第67号工事請負契約についての2議案に対する反対討論を行います。

はじめに、議案第59号補正予算についてです。

第一に、未来型政策事業追加として計上されている、スーパーシティ調査委託費の860万1千円を認めることはできません。

内閣府に申請したスーパーシティ構想が採択されることを前提に、拙速に委託費を

計上したことは問題です。 そもそも、スーパーシティ構想は、 自治体、病院、学校などが保有する様々な個人情報を、データー連携基盤整備事業者を通じて、民間IT産業に提供し、特別な規制緩和措置によって、医療、教育、交通、金融などの各種先端サービス事業を展開する企業に大きな利益を上げさせるものです。地域の諸課題を扱うにもかかわらず、行政の直接的な関与は想定されておらず、本来行政が責任をもって提供すべき多くの行政サービスを、丸ごと民間企業にゆだねることになります。地方自治の崩壊にもつながる構想であります。
  市当局は、「データー連携基盤整備事業者がサイバーセキュリティ―対策などを講じて、必要な時に必要なデーターを連携活用するものであり、民間事業者がデーターを一元管理するものではなく、サービスを提供する事業者は個人情報保護法を遵守し、本人が同意した個人情報のみを利用する」と述べて、安全対策を講じていることを強調しています。 
 しかし、膨大な個人情報と顔認証、さらにはスマートフォンの位置情報により掌握された行動軌跡などは、ビッグデータに集積され、AI・人工知能によって分析され、プロファイリング・識別され、個人の特性や人格まで推定することが可能となります。利用する人はわずかな利便性と引き換えに、個人情報の漏洩や国民総監視社会に道を開く重大なリスクを負うことになります。 

また、市長は本日の総括質問の答弁で、「ごみ減量のためには有料化検討だけではなく、ごみ袋にICチップを張り付けて、各家庭のごみの排出量をデータ化することも必要になるかもしれない」旨の大変無責任な答弁をされました。市長は、ごみの指定袋を本市が導入するときに、袋排出者の氏名を記入することも検討されましたが 、個人情報保護に抵触するとの立場から撤回され現在の指定袋となっているたことをご存じではないのでしょうか。スーパーシティ構想を市長は強力に推進されていますが、今日の答弁からも個人情報保護の認識が大変弱いことが露呈したと思います。                                                                                                                         更に、市当局は、スーパーシティ構想は、最先端の情報技術とビッグデータの融合で様々な生活課題を解決するとバラ色に描いておりますが、民間企業が運営するため、先端サービスを利用する市民は、一定の利用料等の対価を支払わなければならなくなり、公共料金の値上げなどが大変心配されます。。対価を払えない市民はサービスを利用ができないという問題も起きてきます。

このような大きな問題点を含んでいる構想は、本来なら、内閣府に特区申請する前に、一部住民への説明だけにとどめず、住民合意が必要ではなかったでしょうか。

今後、国から本市が国家戦略特区に採択された場合でも、国と協議しながら進める基本構想策定の前に、住民合意を得るべきです。                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                   

住民合意がなければ採択されても事業を中止するとともに、合意が得られた場合でも、行政が事業推進を先行することなく、住民が継続的に事業全体に関与できる仕組みを具体化すべきです。

とくに、前橋市が持つ個人情報を住民合意なく事業者に提供しないなど、個人情報の流出防止に万全を期すことを定める「安全管理基準」を策定するとともに、事業者に対して、本人の同意なしに顔認証システムによる個人情報の収集を行わせないなどの対策こそ優先すべきです。

また、マイタクの利用をマイナンバーカードの利用に一本化する制度改悪の撤回を求める市民要望や、各種行政サービスのデジタル化によって、窓口での丁寧な市民サービスが後退するなどの懸念やデジタルに弱い高齢者などへの特段の配慮を求める市民の声も高まっております。これら個人情報保護の強化やデジタルデバイド対策を後回しにして、先端サービスの絞り込みなどを進め、国が急ぐデジタル化方針に追随し、スーパーシティ構想を拙速に推進することはやめるべきです。

第2に、補正予算の中の観光・宿泊施設等誘客支援事業として追加した1200万円の補正を認めることはできません。

県内の宿泊施設に宿泊した県民に対して1泊5000円の割引をする愛郷ぐんまプロジェクトの第2弾に合わせて、本市が市内の宿泊施設も宿泊した場合に、3連泊を上限に1泊当たり1000円のクーポン券を交付するものです。

県内の観光・宿泊事業者も、昨年からコロナ感染が全国に広がる中で、長期にわたって集客が大幅に減少し、厳しい経営を強いられていますが、市内の感染者は減少傾向にあるものの、今後の再拡大も心配されており予断は許せません。このようななか、4月26日から始まった愛郷ぐんまプロジェクトは、新型コロナウイルス感染症の急速な拡大によって4月29日から中止されていますが、再開されればすぐに前橋市が上乗せ支援をして、市内滞在を促進させることは問題です。

いま、ワクチン接種が始まりましたが、集団免疫を実現するまでには時間を要するとともに、政府が強行しようとしているオリンピックによって感染力の強いインド株のような変異ウイルス株による第5波の感染拡大も心配されています。

昨年の7月に政府が強行したGo-TOトラベルキャンペーンが、全国にコロナ感染を拡大したことを教訓とせず、再び、人流を拡大する政策を安易に進めるべきではありません。コロナウイルス感染症拡大をいまだ封じ込めることはできず、さらなるリバウンドを抑えるための努力が求められている中で、前橋市内での宿泊客を県内から集めるための支援策を実施することには賛成できません。

当局は、補正予算化するなら、市内宿泊業者への独自の直接支援を行うとともに、国に持続化給付金の第2弾の給付を求めることこそ急ぐべきであります。

次に、議案67号、新設「道の駅」の工事請負契約についてです。                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                      わが党は、既存3カ所の道の駅の運営との共存共栄を前提にしたうえで、適切な規模で上武道路沿線に新しい道の駅を新設すること異論はありません。

しかし、現在進められている新設「道の駅」の整備事業については、以下4点の理由から、現状のまま進めれば負の遺産となりかねないという立場から、本議案の24億3100万円の工事請負契約を認めることはできません。

その反対理由の第1は、すでに7㌶の用地買収を完了しましたが、建物も含めて施設規模が県内最大で過大であることです。

上武道路の平日24時間交通量からみても、同規模の全国の幹線道路沿線に整備する道の駅の標準的な面積は、2㌶程度であります。駐車場および建物規模も過大であり、その結果、民間事業者に資金を求めるPFI事業の手法を講じても、総事業費は約100億円、本市の財政負担だけでも建設費約49億円、15年間の指定管理料24億円、合計73億円にも及ぶ大型事業となっております。

本市は、人口減少による税収減などによって財政運営がますます苦しくなっており、コロナ感染防止対策はもちろん、老朽化が進む多くの都市インフラを含む各種公共施設の維持管理と更新事業、少子高齢化対策の多くの施策の展開に必要な財源が不足し、地方債の発行と財政調整基金の取り崩しをしなければならないときに、事業の費用対効果を慎重に検討しないまま、県内最大規模の道の駅を新設することは、無謀であり市民合意は得られません。

第2に、本市の農業振興に貢献する施設に向けての市の努力が不十分のまま、民間事業者に事実上丸投げして事業を進めていることは問題です。

 言うまでもなく、道の駅の来場者が最も期待している農畜産物直売所をどのように運営していくかが、現時点でも明らかにされていません。加工施設も含めて、事業運営が運営事業者任せで、農畜産物の特産品や加工食品の開発、さらには農業後継者の育成策や新規就農者を確保する支援策など、道の駅の設置者である本市が農業振興に役立つ事業計画づくりに、なぜ積極的に関与しないのでしょうか。

地元南橘地区の農家も高齢化し、直売所に出荷できる生産者は限られています。また、荻窪、大胡、富士見の直売所にいま出荷している農家の方の多くが、「新設される『道の駅』までは出荷できない」と言っておられます。既存の道の駅の直売所の売り上げや運営に大きな影響が及ぶにもかかわらず、農家の方々との十分な話し合いや調整が行われていないことも問題です。農産物直売所運営方針に市が積極的に関与しないままでは、新鮮で安全な地元農産物を来場者に提供することはできませんし、農産物を大量に販売している大型商業施設との差別化ができないまま開業すれば、年間80万人~100万人もの集客目標も実現できません。

市農政課は運営事業者任せにせず、JA前橋の皆さんや市内の農家の皆さんの意見や要望を十分聴取して、新しい道の駅の事業が農業振興に貢献できるよう、もっと積極的に農家を支援して、直売所の魅力を高めるべきです。

第3に、当局は、「赤城を味わい、赤城を体験する道の駅」をめざして、前橋観光の拠点、ゲートウエイの役割を果たす施設にすると説明していますが、道の駅への来場者が魅力を感じるような観光企画がほとんど具体化されていないのは問題です。

赤城山観光も市内の美術館や文学館、臨江閣の観光施設も、花火大会や初市・前橋祭り・七夕などのイベント見学などは、インターネットで検索すれば道の駅を経由しなくても誰でも直接訪れることができます。全国の道の駅でも、ほとんどが、ドライバーの休憩施設になっています。観光案内施設を効果的に使って来場者を周辺観光地に周遊させる効果を上げている施設はほとんどありません。川場村の道の駅・田園プラザも、長時間滞在型の最終目的地になっています。本市が目指しているレンタサイクル利用も周辺道路の安全対策が不十分です。今回、建設部に代わって事業を所管する観光政策課や前橋コンベンション協会は、道の駅を出発地として、赤城や前橋市の魅力を味わい体験する周遊、体験型の観光事業の企画をどのように具体化するのかを全く明らかにしていないのも問題です。

第4に、施設全体が本市の洪水土砂災害ハザードマップで3メートルの浸水危険地域に想定されていることを全く軽視していることです。

災害発生時の救援拠点や支援物資の集積配布などの防災拠点の役割を果たせなくなる恐れがあるにもかかわらず、細か沢川などの堤防嵩上げなどの洪水防止対策工事が県とも連携が図られず、全く具体化されていないことも問題です。

市当局は、「地震災害などの際には防災拠点としての役割が果たせる」と説明していますが、本市において最も防災対応が求められている風水害時に対応できないまま、具体的な手立てを講ずることなく事業を進めて開業することは認められません。少なくとも、浸水防止工事の実施とともに、浸水時に対応できる避難場所の確保が、建物設計に反映されるべきです。
  以上の4点の反対理由の通り、運営事業者任せでこのまま進めれば、農業振興も観光振興にも防災拠点としても役立たない道の駅になるのではないでしょうか。

当局の皆さんは、『民間事業者の知恵や資金を活用した方が、事業の成功が期待できる』と繰り返し説明してきましたが、農家や市民の意見を十分聞かないまま進めれば、集客に失敗して運営に行き詰まり、将来は『巨大な負の遺産』となりかねません。 

以上、申し述べまして、補正予算と新設「道の駅」の2議案に対する反対討論と致します。