2021年度第2回定例会 吉田直弘市議の総括質問(6月18日)

2021年6月第2回定例会 総括質問 吉田直弘

1、はじめに、水道料金値上げの方針について質問します。

(1)コロナ禍における市民負担

 いま、コロナの影響で在宅生活が長く続くとともに、うがいや手洗いの回数も増え、水光熱費が上がる中で水道料金が増えているというご意見を多く伺っています。中小業者の方からも、売り上げが減っているなかで、固定費の支出は変わらない。水道料金の負担が重いという声も伺いました。

本市では水道料金の値上げ案を9月議会に提案する方針です。段階的に平均23%程度の値上げを予定しています。

最も多くの家庭が使用している口径13mmを1か月に15立方メートル使用する場合の試算で、1カ月372円、1年で4464円の値上げとなります。市民の方々から、「値上げはとんでもない」と不安や怒りの声も寄せられました。コロナ禍のもとでの値上げに市民は納得できません。これまで22年間値上げをせずにきたことは評価しております。しかし、いまは値上げ方針を出すべきではありません。見解を伺います。

●住民にも説明。審議会や議会の意見も踏まえてきた。

●改定なしで安定的な事業継続は難しい。

 コロナで仕事がない、家賃が払えない、食事を1日1回にしているという方々もいます。値上げの方針は出すべきではありません。

(2)一般会計からの繰り入れ

次に、昨年9月からの値上げを予定していた埼玉県川口市では、コロナで生活が大変な実態があるということで値上げを4カ月延期しました。減収分約8億円は、一般会計から補填しました。水道法や地方公営企業法は、水道事業の独立採算の原則を求めています。しかし、地公法第17条の3には、「地方公共団体は、災害の復旧その他特別の理由により必要がある場合には、一般会計又は他の特別会計から地方公営企業の特別会計に補助をすることができる。」と定めて、特別の理由があるときは一般会計からの繰り入れも可能としています。特に今はコロナ禍です。暮らしを支えるために水道収益の減収補填をすることも、特別の理由に当たるのではないでしょうか。値上げを回避するために、一般会計からの繰り入れを市長部局に求めるべきです。答弁をお願いします。

●適正な料金をいただいたうえでしっかり事業を運営。

●地公法の規定はあるが、厳密には認められていない。法的ルールを逸脱してまで一般会計から支援を得るほどの状況ではない。

 市民の声に応えていません。これまでも独立採算制の下で、水道料金収入で事業運営されてきたことは承知しております。収入減で苦しんでいる市民や、水を多く使う飲食店の経営が大変な時に料金の値上げを表明するのは、市政への不信を助長するものであることを指摘しておきます。

 次に財務部長に質問します。先ほど申し上げた通り、地方公営企業法17条の3の規定を活用して一般会計から水道事業会計に赤字分の繰り出しをして、市民の暮らし、中小業者の営業を守り抜く決断をしていただきたいと思います。答弁を求めます。

●企業会計は独立採算制。水道当局の判断で対応を。繰り出し基準にあたらず。

 総務省通知で厳しい繰り出し基準が定められていることは承知しております。しかし、通知でしかない基準に縛られる必要はありません。地方公営企業法の規定を使い、思い切った公費の投入をすべきです。

(3)自己水利用の取組強化

 次に、本市の水源は、地下水をくみ上げる自己水、利根川から水を引く県営の県央第一水道と県央第二水道の主に3系統の水源から水道水を確保しています。そのうち、県央第2水道の供給原価は1立方メートル100円と非常に高額です。これまでに本市も、関係自治体と連携し値下げを求め努力してきたことは承知していますが、原価のさらなる引き下げを求めるべきです。そして、本市の豊富な地下水源をもっと活用すべきです。現在71ケ所の井戸が使えると伺っています。

自己水の1立方メートルあたりの供給原価は約44円です。自己水の利用を増やせば市民の負担軽減が可能です。自己水利用の取組を強化すべきです。答弁を求めます。

●考え方は一致している。県に要望する

●地盤沈下の懸念

強く求めてください。昨年、兵庫県ではコロナ対策のために3か月間の県営水道の料金免除、神奈川県では10%の減額を4か月間実施しました。本県では、県央水の料金減免は一切ありません。県企業局に独自の減免を求めてください。

(4)施設の更新、耐震化への国補助

 次に、水道法2条は、水の安全・安定供給を国と地方自治体の責務としています。

しかし、ライフラインの安定的な確保に欠かせない、老朽化した管路や施設の更新、災害対策のための施設の耐震化への国の補助金は一切入っていません。

国からの補助金は、玉村町との相互連絡管工事を対象に、昨年度、約85万円の交付だけです。老朽管の更新、施設の耐震化の補助基準が、水道料金の値上げを前提としている点も問題です。

しかも、これから最大の課題となる延長約2500kmの管路の更新は補助の対象外です。補助要件や対象の大幅な見直し、財政投入の抜本的な強化を国に求めるべきと考えますが、いかがでしょうか。

●国には交付要件の緩和を求める。他自治体との連絡管には85万円。

●2500km管路の更新に補助の拡大求める。

 増大する施設の更新、耐震化費用を賄うため、繰り返しの値上げ求めるような制度は問題です。国が責任をもって、国民の生活基盤への財源確保をするよう強く国に求めてください。また本市でも、法的な拘束力のない総務省通知に縛られず、老朽管の更新や耐震化を補助するために一般会計から繰り出しする決断も強く求めます。

(5)水道料金の減免制度の創設

次に、厚生労働省の調査によると、コロナ禍の中での生活や経済支援の対策として、水道料金の減免を行った全国の事業者は512に上ります。減免にかかる費用を一般会計から拠出を受けた事業者は309ありました。

コロナに限らず、全国の中核市58自治体中、10自治体が福祉的な減免を行っています。大阪府枚方市では、生活保護世帯や母子、父子世帯などを対象に基本料金を減免しています。市民の切実な声に応え、水道局と市長部局が力を合わせ福祉減免に取り組むことも地方自治体としての責任です。本市独自の水道料金の減免制度の創設を求めます。いかがでしょうか。

●なかなか難しい。基本的には市長部局で対応すること。

 (非常に消極的な答弁でした)いま水道料金を値上げせず、水道料金の減免で暮らしを支えることが、コロナの中で市民や中小業者を守り抜く、力強いメッセージになります。9月議会では、水道料金の値上げ提案をしないよう強く求めます。

2、次に、済生会前橋病院の存続について質問します。

(1)医療法等改正の問題点

先日、市民団体「済生会前橋病院の存続を求める会」の方々が意見書の提出を求めて党市議団に要請に来られました。今国会で成立した医療法等改正法を受けて、済生会病院の存続を求める切実な声が寄せられました。

改正法の特徴は、病院統廃合や病床削減を国が財政支援をするというものです。全国の高度急性期・急性期病床約20万床の削減を方針とする地域医療構想の更なる推進をしようというものです。

2018年9月に、全国の公立・公的病院の「再編統合リスト」が発表され、このリストに済生会前橋病院が含まれています。その後に、コロナ禍となり日本の医療体制の脆弱さが明らかになりました。

それでもなお、この期に及んで20万床を削減するために公立・公的病院の削減を撤回していないのは問題です。地元のみなさんの間にも、怒りの声が広がっています。

要請にこられた方々からは、「コロナの感染拡大が少し収まれば、再び、済生会病院の統廃合を進めようという国の動きも強まるのではないか」とおっしゃっていました。市民にとっては命に係わる重要な問題です。住民と行政が危機感を共有して行くことが必要と考えます。いかがでしょうか。

●済生会への認識、地域での役割、(     )

●協議会だけが本市の意見を述べられる場所。済生会はなくてはならない病院。協議会で共有。

第8次群馬県保健医療計画によると、人口10万人あたりの医療施設に従事する医師数は、本市は443人です。これは全国トップクラスです。

しかし、前橋保健医療圏を除く県内9医療圏は、どこも全国平均の240人に届いていません。お隣の高崎市は、病院に従事する人口10万人当たりの医師数が、本市の約3分の1です。本県は深刻な医師不足です。

感染拡大の状況や大規模災害次第では、県内全域から救急患者が集中し、本市においても入院ベッドの不足の問題などが生じ、市民の命と健康が脅かされる恐れもあります。この度の法改正は、地方にも大きな影響を与えるものです。済生会病院の存続へ、県とも調整、意見交換をしていただくよう、強く求めます。

(2)国への働きかけ

次に、国への働きかけについて質問します。済生会病院の救急患者の受け入れ数は、2019年度は年間4060人、一日当たり約11名と伺っています。

通常の外来・入院などの患者を含め、約3割は隣接する高崎市の方々であると伺っています。高崎市には公的病院がなく、公立病院の高崎総合医療センターだけしかありません。こうした事情から、高崎市民の多くの方々が済生会病院を利用しています。

高崎市内の医療機関の方に伺いましたが、「済生会病院は救急患者の受け入れを断らない、受け入れられないときは受け入れ先の病院を探してくれたこともある。地域の医療機関に積極的に協力してくれる」というお話しも伺いました。医療機関同士の地域連携を積極的に行い、広域的に命の砦としての役割を果たしている病院です。

国は、病院の役割や地域の実情を把握せず、機械的に済生会病院を統廃合の対象に名指ししました。現在、地域医療構想の議論そのものがコロナ禍の影響で凍結状態となっていますが、それでもなお、再編統合の方針を撤回していません。

高崎市とも連携し、「再編・統合」リストから済生会前橋病院を外すよう、国に働きかけるべきであると考えますが、いかがでしょうか。

●第一義的には協議会で意見を述べることになる。国の動向を見て有効な手立てを検討する。

(現在、前橋地域医療対策協議会そのものが開催できない状況が続いていることは承知しています。)菅政権は、昨今の深刻な感染拡大が続いた状況の下でも、病院削減で命をないがしろにする法改正をしているわけです。国や県の様子見ではなく、地域の病院を守るための積極的な役割発揮を求めます。厚労省への要請は、オンラインでもできます。済生会病院や地域住民、高崎市とも連携し、国に対して済生会病院の存続を迫るよう強く求めます。

3、次に、アーツ前橋について質問します。

(1)作品収蔵、管理の改善

 アーツ前橋は、現在、7月の再開へ準備を進めています。私自身も再開を心待ちにしています。全国のアーツ前橋ファンの方々より、再開への期待の声も寄せられています。

同時に、2人の作家のご遺族の方より預かった6作品の紛失問題では、本市のガバナンスの改善、早期解決に誠意を尽くすよう求める声も伺いました。昨日、運営が館長任せであったこと、学芸員の責任者がいなかったことをのべていました。

 いろいろ調べてみましたが、「アーツ前橋の設置及び管理に関する条例」並びに同施行規則がありますが、ここには館の運営にかかわる責任の所在、肝心な作品の収集・展示、保管、紛失などに関する一般的な定めもありません。

条例や要綱で収集から管理に至る責任、紛失時の責任の分掌を明らかにしている自治体もありましたし、愛知県岡崎市では、岡崎市美術品等寄託受入事務取扱要綱を整備し、とても分かりやすく定められていました。

館長や学芸員、寄託者、寄贈者の皆さんに共有される管理運営方針を整備し、作品収蔵や管理の改善を進めるべきです。見解を伺います。

●マニュアルの整備などを進める。

 海外でも、ニューヨーク市の市立博物館やメトロポリタン美術館など、先進国の美術館では、小さな町の美術館にもコレクションマネジメントポリシーが明文化されています。

収蔵から、作品の保管、紛失時の責任、収蔵品の調査研究への活用に関するルールを整備し、再発防止を強く求めます。

(2)施設整備

 次に、施設整備について質問します。アーツ前橋の美術作品の保管施設は、収蔵庫と一時保管庫があります。一時保管庫は、企画展などのために一時的に預かる作品などを保管する施設です。さらに使用頻度の低い作品は、教育プラザに保管していると伺っています。現在、収蔵庫のキャパシティーがわずかになってきたとも伺っています。

立体駐車場併設のアーツ前橋は、車両火災による火災リスクから、寄贈や寄託に不安を持つ方々もいるのではないかというご指摘を専門的な知見を持つ方から伺いました。作品の収集、調査・研究活動の機能を高めるためにも収蔵庫の新設を求めます。いかがでしょうか。

●民間など外部の収蔵施設の確保も検討。防災対応は施設完備、立駐の火災を想定した訓練を毎年実施。

 美術作品の収集・調査・研究、展示をする美術館にとって、収蔵庫はその最も大切な場所です。収蔵庫不足という美術館の機能不全を起こすことなく、安心して美術作品を寄贈・寄託をしていただくためにも、収蔵庫の新設を強く求めます。

(3)職員体制の強化

 現在、アーツ前橋には7名の学芸員さんがいます。そのうち4名がフルタイムの非正規、3名が会計年度任用職員と伺っています。

学芸員は、作品の収集、保管、管理、調査研究、企画展の企画など館の運営のほか、教育機関や福祉施設への普及活動も行います。学芸員は、博物館法に定められた専門職です。全員不安定雇用というのは問題です。学芸員の増員、正規雇用化など、職員体制の抜本的な強化が必要と考えますが、どのようにお考えでしょうか。

●経験を積んでいただいた学芸員の人材育成も必要。総務部とも共有。

学芸員の方々が、収集や調査研究という本来の役割を今まで以上に力を発揮できるよう、予算をしっかり確保されるよう求めます。

 アーツ前橋の設置に関する条例、第1条には、「美術を中心とした多様な表現活動を広く市民に紹介し、芸術文化を通じた交流の場を提供するとともに、質の高い芸術文化事業の運営を市民参画により実現し、もって未来へ向けた創造と魅力あるまちづくりを市民とともに推進するため、本市にアーツ前橋を設置する。」とあります。

本市の文化芸術の発信という重要な役割をになう学芸員が激務や低賃金で職場を離れることがないよう、処遇改善も併せて求めます。

若手作家の登竜門ともいわれるVOCA展で、アーツ前橋の学芸員推薦の2名が大賞、2名が入選したことが新聞に紹介されましたが、日ごろの調査・研究の成果です。

 アーツ前橋は、全国に貴重な公立の現代美術館です。しかし、現代美術は、「よくわからない」と思われる方も多く、市民にとって身近とは言えません。

再開からしばらくは、市民に無料開放をしてみてはいかがでしょうか。

学芸員による館内ツアーや、収蔵庫を見学できるバックヤードツアーを企画し、広く市民と対話・交流し、身近なマチナカ美術館としての発展を求めます。

最後に、芸術作品の一つ一つは、作家の方々が制作を通して世の中を見つめ、対話し、様々な出来事に向き合ってきた意味やメッセージが込められています。紛失した作品や収蔵品の一つ一つに思いをいたし、再発防止策を示し、遺族の方々との話し合いを尽くし、本市の文化行政やアーツ前橋への信頼回復に取り組まれるよう求めて、すべての質問を終わります。