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議会報告

2009第3回定例議会 前橋市長等政治倫理条例の修正についての提案理由説明 小林久子議員【2009/9/24】


私は、日本共産党市議団を代表して、本議会に上程された議案第127号「前橋市長等政治倫理条例の制定について」に対する修正案の提案理由説明を行ないます。

 近年数々の政治腐敗の事件が報道され、政治や政治家に対する市民の不信が高まっています。政治と政治家への信頼回復をどう図っていくのかが問われています。
 市長等、公職に携わるものが、自己の利益や特定の者の利益を 図るために権限を乱用したり、地位を利用して便宜をはかるなどの不正行為を働くことがないように、政治倫理条例を制定することが、公正で市民に開かれた政治を実現していくために今求められています。
 
 前橋市では、昨年2月17日、市長選の投開票の結果が判明した直後から市長の親族企業や支援企業に関わる疑惑報道が続きました。中心市街地の4番8番街区の開発や、朝倉工業団地の拡張計画、みずきの住宅団地造成、県住宅供給公社の土地購入にかかわり、市長の親族企業や、支援企業に利益誘導が行なわれたのではないかとの報道が相次ぎましたが、市長の説明責任が不十分であり、いまだに市民の怒りは収まっていません。

日本共産党市議団は、2008年3月定例議会で、一連の疑惑の真相を明らかにすることを市長に求めるとともに、前橋市や前橋工業団地造成組合などが、市長の親族企業などに、土地の売却や買い入れをすることや、指定管理者の選定、業務委託、開発計画への編入などを条例で制限するなど、ルール作りが必要ではないかと提案を行ないました。
 市長は、わが党のこの質問や提案に対して、理解を示し、市民に対して不信を与えたことを認め、今後こうした事態を招かないためにもルール作りを検討したい旨の答弁を行ないました。

 また昨年9月議会では、わが市議団は、市長をめぐる一連の疑惑解明のために、100条調査権の発動を求めようとしましたが、議会の同意を得られませんでした。
昨年12月議会では、「前工跡地の取得に関わる県との契約に重大な問題があった」ことや、市長・親族企業をめぐる疑惑などの説明責任を果たしてこなかった。などの理由で、市長の辞職勧告決議が決議されました。しかし、法的拘束力がまったくないこともあり、市長は十分反省もせず今日にいたり、疑惑の解明にはいたっておりません。 

 ようやく今議会で、市長から、政治倫理条例の提案がありました。今後の前橋市政が、市民に信頼されるようにするために、市長等の幹部職員が自らを律する基準や規範を 定めることは、大変大切なことは言うまでもありません。
しかし、提出された条例案に反対するものではありませんが、精査すると不十分な点がありましたので、より実効性があり、市民の評価に耐えうるものにするために、修正提案を行なうものであります。

  まず第4条の政治倫理基準に、政治活動に関し、政治的又は道義的な批判を受けるおそれのある寄付を 企業及び団体等から受けないこととし、市長等の後援団体にあっても同様とするとの1号を加えました。寄付は個人献金に限定し、汚職・腐敗の温床となる企業・団体献金は禁止すべきです。市長の後援団体にあっても同様に禁止すべきです。

 第4条に次の1項を加えました。
 市長等は政治倫理基準に違反するとして疑惑を持たれたときは、誠実に当該疑惑の解明に当たると共に、責任を明らかにしなければならない旨の、市長の協力義務を加えました。

 次に、第4条の次に「市との契約の自粛」の条項を加えました。
市長等、その配偶者および当該市長等の2親等以内の親族又は、同居の親族が経営する企業、ならびに市長等が実質的に経営に関与する企業は市との売買契約、賃借契約、請負契約、委託契約、その他の契約及び請負契約に係る下請け契約を締結しないよう務めなければならないと規定しています。
地方自治法では市長の兼業の禁止規定はありますが、親族企業の請負などの禁止規定がなく、不十分であります。 
今回市長の親族企業、支援企業などが、土地の売却や購入、開発に関わっていたことが疑惑を持たれる大きな要因となりました。
憲法22条の「職業選択の自由」及び民法の「契約の自由」に抵触するとの意見もありますが、修正案では、市との契約の自粛と定めています。他の自治体の条例を見ますと、請負契約等の辞退、あるいは遵守としているところもある中で、禁止でなく努力規定としており、憲法に反するとの議論の余地はありません。
市長や副市長などはその任期中は私権の制限を受け入れることを 甘受しなければならない程の透明性が求められると考えるべきであります。
また第5条の市民の審査請求権を保障することは大切なことです。しかし条例案では市民の総数の50分の1以上の連署をもって調査請求ができるとして、地方自治法に定める住民直接請求並みの高いハードルとなっています。これでは条例の実効性を失わせる恐れがあると考えます。真に市民の権利を保障していく立場に立てば、一人でも調査請求ができるようにすべきです。その際、市民は疑いがあると認めたとき、それを証明する資料を添えて、調査請求書を提出するとなっており、権利の乱用で、市政執行が阻害される心配はありえません。

 党市議団は市長に対して、市民への説明責任を果たすように一貫して求めてきました。しかし、市民の疑惑解明を求める声が届かず、市長の市民への説明が行なわれてきませんでした。 このことからも、条例の制定に当たって、市民の調査請求権をしっかり保障することが必要となります。

 今申し上げた点をご理解いただき、日本共産党市議団が提出している政治倫理条例修正案にご賛同いただきますようお願いいたしまして、提案理由の説明といたします。

なお、議員の政治倫理条例については、各派代表者会議で議論している通り、議員自らを律していく立場で、制定していくことを合意し現在検討しているので、今日の市長提案の条例案に議員を加える立場には賛成できないということを申し添えておきます。

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