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議会報告

2009年11月 臨時議会 「前橋市一般職員の職員の給与に関する条例等の改正について」反対討論 中道浪子議員【2009/11/16】

 私は、日本共産党前橋市議団を代表して、本臨時議会に上程されました議案第131号「前橋市一般職の職員の給与に関する条例等の改正について」、反対討論を行います。

反対の理由の第一は、人事院の勧告は、公務員の生活実態や社会情勢に見合わない勧告です。
 人事院勧告の内容は、「官民較差」がマイナス0.22%・平均863円になったとして、初任給中心とした若年層と医療職を除き、俸給表を切り下げるとともに、一時金を0.35月の過去最高水準に削減し、持ち家部分の居住手当を廃止するなどであります。労働条件など一定の改善部分があるとはいえ、公務員の生活を破壊する史上第2番目の水準の引き下げとなります。
 昨年来、世界経済が急速に悪化し、わが国でも、「派遣切り・期間工切り」など、大量の首切りが強行され、完全失業率が5%を超えて上昇し続けるなか、有効求人倍率も0.43倍にまで低下しています。
09春闘での民間の賃金交渉も、大手・中小ともに、ベアゼロや定期昇給凍結、大幅なボーナス削減など、厳しい結果となっています。「派遣切り」や賃下げは、膨大な内部留保をため込みながらも、労働者の犠牲で経済危機を乗り切ろうとする財界・大企業がつくり出したものであります。
 このように、財界・大企業がつくり出した「官民較差」なのに「民間準拠」の名のもとに、公務労働者に一方的に押し付け、公務・公共サービスを第一線で支える職員には賃下げを迫り、景気回復を求める声には応えようとしない勧告は、労働基本権制約の「代償措置」としての役割を投げ捨てたものといわざるを得ないのであります。
もとより、公務員には争議権が与えられないなど、労働基本権が制約されているために、その代償として給与などの労働条件については人事院が関与する仕組みになっていますが、その人事院が、1998年から11年間で一時金では1.1月、平均年間61万5千円を引き下げ、ちなみに本年は平均年額15万4千円の引き下げを勧告したもので、とうてい認めるわけにはいきません。

 文字色 反対理由の第二は、市職員の月例給も一時金も、ともに人事院勧告に追随するもので、過去最高の賃金引下げになることです。
 本議案は、本市一般職員への月例給平均で541円引き下げようとするもので、若年層は除きますが、年配者の例をとれば、月額1200円の引き下げになり、同時に、期末・勤勉手当においても、年間・現行の4.5月を0.35月引き下げ、4.15月にしようとするもので、少ない人でも3万円、子育てで一番お金がかかる大学生や高校生を持つような年配者は、22万円もの引き下げになります。
09年度においては、4月からの年間給与における「公民較差」に相当する額を、12月期の期末手当の支給額から減額調整となり、大きな痛手となります。

 反対理由の第三は、公務員の賃金引下げは、住民の暮らしや地域経済に大きな影響を与えることです。 
 ここ数年、多くの地方自治体が、財政危機を口実に賃金の独自カットをおこなっています。勧告や労使合意を無視して給与切り下げを強行することは、地方公務員の生活水準の低下を招くばかりか、地域経済を冷え込ませるものとなっています。
 さらに、公務員給与は、地域での給与水準において「標準性」を持っており、地方の公務・公共関連労働者給与等の水準、年金・生活保護など社会保障の給付水準、最低賃金など「ナショナルミニマム」などに影響を及ぼし、景気への悪影響は避けられないものとなります。

 反対討論の第四は、国民を分断し、公務員バッシングへの迎合することは、あやまりです。 
 この間、弱肉強食の「構造改革」路線がもたらした「官から民へ」の流れや、「小さな政府」論など、様々な誤った考えが流されてきました。
その中で、公務員と民間労働者との対立を意図的に作り出し、公務員が労働者として、くらしを守るための当然の権利まで「公務員の既得権益の打破」と描き出し、財界などによる公務員への批判の宣伝によって、市民の中には「職員が多すぎる」とか、「公務員は優遇されている」「給料を減らせ」などの声も少なくありません。
 しかし、このような中で、民間労働者と公務員がお互いに賃金引下げの競争が強められ、結果として、労働者全体の賃金水準が引き下げられるという悪循環が作り出されているのです。
 いま、100年に1度という景気悪化の中でも、大企業は莫大な内部留保金をため込んでおり、しかも、その中の役員は今でも高額報酬を受け取り、株主にも高額配当を支給していながら、その一方では、大量の非正規労働者の雇い止めや正規労働者のリストラを進めています。
 景気悪化による減収減益だけを理由にして、内部留保を取り崩すこともせず、むしろそれを正当化するために公務員攻撃を強め、公務員給与の引き下げを迫る財界の思惑に、政府は安易に屈してはならないのであります。
 今年度は、これまでの人勧のルールを無視した夏季一時金の引き下げが強行され、それに続く月例給と期末・勤勉手当の引き下げとなっており、市長は、本市職員の生活と権利を守る立場に立てば、職員の労働の対価としてふさわしい賃金の算定を行い、日々の暮らしや子育てに必要な給与水準になっているかなど、自主的に判断することも必要であります。
 民間を含めた賃下げの悪循環に歯止めをかけるためにも、本市の一般職約2,900人の総額約4億2千万円の賃金引き下げは行わないという決断を行うべきであるということを申し上げまして、反対の討論といたします。

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