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議会報告

2009年12月第4回定例議会総括質問(長谷川薫議員)【2009/12/9】

09年12月議会本会議総括質問(長谷川薫議員)

1、最初に共愛学園跡地について質問します。

 市長は、12年前の萩原市長時代に土地開発公社が取得した約7000坪の共愛学園跡地を年明けに競争入札で一括売却する方針を表明しました。今回の補正予算で跡地のうち現在もなお土地開発公社が保有する約2700坪を購入時の価格である10億1500万円で引き取り、すでに市が保有している約4300坪あわせて約7000坪・購入価格23億5000万円の土地を売却する方針です。
当局は、有効な跡地活用方法が決まらないために、民間活力を生かすと説明していますが、近隣住民の多くは今も高齢者福祉の施設や公営住宅さらには公園整備などの公的な開発を願っています。
いま美術館建設基本構想策定にむけての検討が開始されたばかりであり、その建設候補地にもなり得ると思います。今すぐに売らなければならない切迫した理由はありません。跡地は市民共有の大事な財産です。今後のまちづくりに重要な位置を占める土地であるだけに、決して売り急がずその活用策について議会や市民の声をもっと広く聞くべきです。市長の見解をお聞かせ下さい。

第2質問

 市の財政状況からの決断だとも当局は説明されていますが、いま売却しても売却価格は購入価格の数分の一程度にしかなりません。しかも、民間住宅分譲地となっても、道路部分を除く宅地は全体の7割程度です。その約5千坪に60坪の家が80戸建てられたと仮定しても、土地と建物の固定資産税の収入は1世帯あたり年間約12万円、総額1000万円程度にしかなりません。地価格下落分の損失を購入時の5割の約10億円と仮定しても、その税収による回収には100年近くもかかり、市の財政に貢献できる金額はわずかです。むしろ、当面は運動公園などに整備して市民に開放して、将来構想の美術館や博物館建設などのために残していたほうが市民の利益に結びつくのではないでしょうか。売却方針の撤回を求めますが、市長の見解をお聞かせ下さい。


2、イトーヨーカドー前橋店の撤退問題についてです。

 前橋駅前のイトーヨーカドーが売り上げ不振を理由に、来年9月末で閉店を検討しているという新聞報道以来、市の対応を多くの市民が注目しています。
 車を運転できなくなった高齢者や身障者など交通弱者は、バスなどの公共交通を利用して通えるイトーヨーカドーは食品や衣類など生活必需品を買える店舗として多くの方々が便利に利用しています。
採算性の悪い店舗ということだけで閉店となれば、これら交通弱者の買い物の場を奪うとともに、本市の玄関口としての賑わいを奪い、中心市街地につながるやけやき並木通りの賑わい復活の努力や駅前ひろばの整備計画にも重大な悪影響を及ぼすことは必至です。
市として閉店方針の事実確認を急ぐとともに、イトーヨーカドー本部や建物所有者などに店舗存続に向けての働きかけを積極的に行うべきだと思います。 
市民経済委員会の私の質問に、にぎわい商業課長は「民間同士の契約なので、慎重な対応が必要」と答弁し動向を見守る態度を表明ましたが、大型店の撤退はテナントの経営や勤務する従業員の雇用問題や地域経済、まちづくりにも重要な影響を及ぼすだけに、問題を重視して機敏な対応をすべきです。答弁を求めます。

第2質問

 市として営業存続の要望を会社やテナントに行なう場合、売り場面積の縮小という事態が発生した場合、空きフロアーに何らかの公的な施設をテナントとして入れる検討も必要になることもあると思います。駅前という有利な条件を生かして、福祉施設や市の行政窓口などの設置などにも積極的な対応が必要だと思いますが、いかがでしょうか。答弁を求めます。

3、次に、穴吹工務店のマンション建設と会社更生法の適用についてです。

 @穴吹工務店が11月24日に東京地裁に会社更生法の適用を申請しました。負債総額は関連会社2社を含めて1500億円にも達するとのことであります。
県内には同社が建設分譲し管理している分譲マンションが26棟ありますが、そのうち19棟926戸が前橋市内にあり、さらに現在、六供町に建築確認済みのサーパス建設計画もあります。
いま、「多額のローンを組んで入居したが、今後長期間にわたって安定的なメンテナンスなどが行なわれるのだろうか」と多くの入居者は深刻な不安を抱いております。
 民間企業の契約として傍観せず約1,000世帯の入居者の不安に答えるために、市が主催して相談会などを開催すべきだと思いますが、見解をお聞かせ下さい。

 第2質問

 サーパス入居者は管理会社に共益費や修繕積立金を積み立てていますが、今後予想を超えた大規模な修繕などが必要になった場合などには、本体の穴吹工務店が負債を抱えている状況で大丈夫なのかと心配しています。また管理会社が将来わったって安定的な経営が維持できるのかと不安を抱いています。だからこそ、個別相談だけの対応ではなく全入居者対象の相談会を弁護士などの協力も得て開いてほしいと願っています。市も穴吹工務店に市の土地を分譲しただけに、入居者への責任もあると思います。市長の見解を求めます。

 A次に消防本部跡地の同社が分譲中の医療モール併設マンションについてです。

今年の2月にオープンしたにもかかわらず、現在に至るまで全く医療モールが埋まらず、契約そのものが実現性のないずさんな契約であったことが浮き彫りになっています。穴吹工務店の事実上の倒産によっていっそう医療機関の入居が期待できなくなっていると思いますが、いつまで今のような状況を容認しておくつもりでしょうか。市との契約にしたがって、医療モールの入居が実現しなかった場合の違約金として、土地の売却価格の2割・約6000万円の返還を求める時期にすでに来ているのではないでしょうか。答弁を求めます。
さらに、同マンション建設には国の優良建築物等整備事業として土地購入価格とほぼ同額の約3億円の補助金を前橋市が交付しています。医療モールが埋まらなければ、補助採択の要件を満たさないため、補助金返還の責任が穴吹工務店に発生します。期限を定めて返還を求める判断を前橋市が行なうべきではないでしょうか。答弁を求めます。

第2質問
 
 まだ違約金や補助金の返還を求める時期ではない。医療モールの実現を求めるとの答弁がありました。しかし、会社更生法の手続きは、今後示された期間内に管財人に債権の存在を前橋市が届けなければ、補助金や違約金返還の債権を主張できなくなります。このような状況が続けば、会計検査院などから補助金の返還を求められることも当然予想されます。穴吹工務店の失態の責任を前橋市が3億6千万円も担うことになりかねません。  
そのような最悪の事態を想定しておられないのかどうか、見解を求めます。

 B次に、サーパスのような民間分譲マンション開発に過度に依存したまちづくりは、今回のような企業倒産による不安定な側面を免れません。これまでにも市の立体駐車場を管理していたエヌエフ地所の倒産による管理責任の放棄や、南部拠点地区の熊谷組の撤退などを経験しております。旧市立神明幼稚園跡地や消防本部跡地を地域の活性化に役立つ開発と判断して穴吹工務店に売却しましたが、企業の経営状況や財務体質を十分調査するなどの慎重さが求められていたのではないでしょうか。開発主体を慎重に総合的に選定するとともに、民間活力依存だけではなく再開発事業や特定優良賃貸住宅や優良建築物整備事業などの国の補助メニューを活用した行政主導のまちづくりや公営住宅供給を推進すべきです。今回の穴吹工務店の破綻を今後のまちづくりや住宅政策の教訓にすべきだと思いますが、見解をお聞かせ下さい。

4、旧前工跡地問題について質問します。

 市長は知事を相手取って裁判で「要素の錯誤」を主張して土地交換契約の解除を求めようとされております。要素の錯誤は、表意者である前橋市に重大な過失があれば成り立たちません。市長が小寺前知事との契約ということで緊張感を欠いて土地交換を急ぎ、実務的には、土地の売買契約のプロである管財課職員が土地履歴も十分に調べず、校舎の解体も土壌調査も前橋市が行い、しかも「すべての瑕疵担保責任を放棄する」という前例のない契約を県と結んだこと自体が、重大な過失であります。
このようなとんでもない契約をした市長が重大な過失はなかったと主張することには到底無理があると思いますが、どのように主張されようと考えているのかお聞かせ下さい。

第2質問

 前工跡地についてです。私たちは、土壌汚染対策法の精神に立てば、土壌汚染され続けていた土地を長年にわたって所有してきた群馬県に除去責任が一切ないとは考えておりません。市長が異常な契約合意をしたために、県の除去責任を求められなくなっているのですから、県と市民にこのような軽率な契約を締結した事実を市長自らがみとめ真摯に謝罪してこそ、問題解決の糸口が見つかるのではないかと繰り返し主張してきたのです。
市長は謝る態度も示さず、調停ではなく提訴を選択し、勝訴判決あるいは裁判長の和解勧告によって県が話し合いのテーブルについてくれることをただただ期待することは決して市民の理解を得ることはできないと思います。
また、この裁判に敗訴し全面的に前橋市側に責任があるとの判決が出た場合には、市長は多大な損失を発生させたことについて、どのような責任を取ろうとお考えでしょうか。

第3質問

 今回私が質問した4項目の問題は、市民が大変関心を寄せている問題です。土地購入や市有地の利活用について、市民に十分意見を聞かずに、慎重さを欠く安易な土地取得や売却がさまざまな解決困難な問題を引き起こしています。まちづくりにも重大な影響を及ぼしています。市の保有土地は、市民共通の財産という認識が弱いのではないでしょうか。
暗礁に乗り上げた前工跡地の土壌汚染の解決策や医療モール併設マンション計画の事実上の破綻などの負の教訓を、今後の行政にしっかり生かすべきです。  
最後に、市民の声をしっかり受け止めて、イトーヨーカドーの存続の努力を尽くすことや共愛学園跡地の売却方針の撤回をもとめ、市長の答弁を求めて、私の質問を終わります。

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