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議会報告

2009年12月議会総務常任委員会審査
議案第166号「訴えの提起について」(前橋工業高校跡地の土壌汚染問題) 中道浪子【2009/12/11】

1、行政のプロとしての契約の甘さについて質問します。
@市長は、現状が一歩も進まないから、訴訟すると言っていますが、なぜ、現状が一歩も進まないのか、市長は考えたことがあるのですか。

Aまず、なぜ一歩も進まないのか、なぜ県が全く応じないのか。このことを深
く考える必要があると思いますが、再度お答えください。

Bそのような考えでは解決しませんね。
それではお伺いしますが、この契約書をある弁護士に見せたところ、県と市の詳しいやり取りを十分知らない弁護士でも、この契約はおかしいと言っています。また、通常、土壌汚染調査は契約後1年間、土地に瑕疵があった場合は、損害の請求権の猶予があるにもかかわらず、この契約書の9条があるために、あえて1年の猶予も否定する屈辱的な契約だと言っています。こんなひどい契約を県が提起したのなら、それを受けた市は、その契約をそのまま受け入れるのではなく、契約の内容を訂正するか、指摘するか、そのまま受諾してはいけないものだったのではないでしょうか。行政のプロですよ。いかがですか。

C市民の大事な財産、県民の大事な財産を動かすと言う認識が互いに欠けていることが見えるような気がします。契約の甘さについて、もう一つお聞きします。土壌汚染の調査費についですが、県はこう言っています。「土壌汚染分も含めて交換していただきたい。産業技術センターの貸し付け残期間5年分の貸し付け料の7千万円で、土壌汚染の調査費用および除去費用を相殺すればよい。前橋市で土壌汚染の経費をもってもらえばよいのではないか」と市側に言い、市は「5年契約更新の7千万円で相殺したいということか」とたずねると、県は「前回そのように話したつもりである」とこたえ、市側は「この場で決断できないので持ち帰って協議する」ということがいただいた資料に書かれています。そこで、お伺いしますが、市側は「その話を持ち帰って協議して」県にどのような回答をしたのかお聞かせください。

●この7千万円についてはしっかり協議して、土壌汚染調査をやろうと言う結論を出したのですね。その上で、契約を交わし、合意書の締結をしたというのですね。行政のプロなら、ここで法律家を入れて県から提起された契約書を検討するはずですが、なぜか、契約書は手続き上のもので、提起されたとおりの契約書に合意書したのですね。
市長は、県との信頼で契約書を交わし、合意書を締結したと強調していますが、行政のプロが、そんな言い訳して、世の中が通るでしょうか。

2、次は、建物の解体、敷地の整地をなぜ急いだのかです。
@都市緑化フェアのバックヤードとして使いたいという目的があったので、急
いで等価交換の契約・建物の解体・整地をしたと伺っていますが、前工跡地は前々から市として手に入れたいという願望があったのではないでしょう
か。私は、都市緑化フェアが開催されるのが、グットタイミングで、緑化フェアのバックヤードを土地の入手の理由付けにしたのではないかと思われてならないのです。そして、緑化フェアが終わったら、ゆくゆくはどこかに売却しようとしていたのではないでしようか。いかがでしょうか。
     
A推測の域かもしれませんが、私が思うに、都市緑化フェア開催のこのタイミ
ングを外せば、前工跡地は手に入れにくくなる。共愛跡地も高値で購入しても利活用しないまま更地になっている。この上、購入の目的がはっきりしない前工跡地は購入しにくい。このチャンスに前工跡地を購入したいと県に働きかけた。県もなんでそんなに急いだのかと疑問を持っているほどである。
 結局、以上のようなことで、急いで契約し、建物の解体、敷地の整地と急いだのではないですか。いかがですか。
    
B県は、市から購入したいとの働きかけがあったので、県は、これまでも活用
している契約書を前橋市に提起し、契約を結んだ。本来なら、県であれ、どこであれ提起された契約書の内容をきちんと協議検討し、法的な検討をして契約を交わすのが行政のプロであり、当然である。このことに対して、100歩譲ったとしても、県が提起した契約書を正式に締結する前に、土壌汚染調査を実施するのが行政のプロなのに、こともあろうに、建物を解体して、敷地の整地をしてから土壌汚染調査をしたというのですから、順序が逆どころか、行政のプロがやることではありません。いかがですか。

C契約書の合意も建物の解体・土壌汚染調査などの経過上も、市に落ち度があ
ったことはまぎれもない事実、それをまず認めることが必要だと思いますが、これまでの間、市長は自らの反省をしようとしない。そういう態度が県から見ると許せないし、話し合いの場を作ることができない原因になっているのではないでしようか。自らの過ちは自らただし、その上で、県に対して要請するものは要請するという姿勢がないとこの問題は一歩も前に進みません。
ところで、こんな契約を結んだことは、他に理由があったのではないですか。
例えば、小寺知事なら、あとで何か問題が起きても対応してくれるから、契約の内容について深く考えなかったのではないでしょうか。もっと言えば、契約書以外の約束があったのではないですか。いかがですか。

Dところが知事が変わって、大沢知事の立場とすれば、契約書上の約束以外の
ことはできないことははっきりしているのであり、契約以外のことを大沢知事に求めても無理があるというものです。もちろん、トップが変わったからといって行政の継続性については否定するものではありません。前代未聞の契約書を交わしたのは当時の小寺知事と高木市長ですから。小寺知事は現在存在しないのだから、契約以外のことは何もできないのは当然です。トップが変わったことを認識して、市長は当時の小寺知事と交わした契約書の甘さの内容を大沢知事に説明し、頭を下げて理解を求めるべきだったのではないでしょうか。そういう態度を一度も取っていないのではないでしょうか。それでは知事も話し合いのテーブルにつくはずがありません。多くの方々はそう考えていますよ。従って、話し合いのテーブルに載らないのは、市長に責任があると言うことになります。いかがですか。

●全然反省するつもりがありませんね。

3、続きまして、「要素の錯誤」についてです
@この件についても、弁護士に聞いてみたところ、表意者である前橋市に、重大な過失があれば「要素の錯誤」は成り立たないといっています。今るるお聞きしてきたことは、前橋市に重大な過失があったと思わざるを得ないのであります。その上で、H18年10月18日付合意書の締結には、「1つ前工跡地及び工業試験場跡地は、土壌汚染法に定める有害物質使用特定施設があり、土壌汚染対策法に定める土壌汚染調査を行う必要がある。調査及びその調査結果報告は前橋市が行うとともに、調査経費全額を前橋市が負担する。 
2つは、前橋市は汚染の除去等の措置に必要な経費を全額負担し、群馬県は一
切費用を負担しない。
3つは、前橋市は、瑕疵担保に基づく損害賠償請求等を群馬県に請求できないものとする」と、重要なことが契約書に書かれています。「県から提起された契約書だから」「信頼の中で契約書を合意したもの」と市長は強調しています。どんなことを言われても、どんなに信頼している間柄でも、どんなに尊敬している人でも、後で問題にならないように約束するのが契約書です。契約書が約束の最高のものとして受け止めなかったことが、行政のプロとしての大きな失態だったと言わざるを得ませんが、いかがですか。

Aですから、「要素の錯誤」で争うには無理があると思います。
これを押し切って訴訟にもっていって、しかも結果として敗訴した場合には、県との話し合いの場は失われてしまい、最高裁まで争うと言うことになれば、前橋市の失態を全国にさらすことになり、それでなくても、今前橋市は、中核市になって観光行政を全国にアピールし、前橋の特産品も販路を広げたいという時に、知事を相手に訴訟に負けたと言うことになれば、市民力も観光推進計画も台無しになってしまいます。訴訟に負けたら、こういうことになってしまうということを考えているのですか。

B全然反省するつもりがありませんね。市長は、「要素の錯誤」を県に理解し
てもらいたい。「要素の錯誤」で県に歩み寄りたい。と言っていますが、「要素の錯誤」を理由に提訴すると言うのは、県に対して宣戦布告をするようなもの。あるいは、この問題を100%県の責任にするということです。そんな態度では解決の一歩も進まないことは明らかです。提訴ではなく、知事と話し合うべき、知事と話し合いができないとすれば、市長は退任して市側の新たな責任者を改める必要があると思います。いかがですか。

C市長は、この間の態度を改めて、知事に胸襟を開気、寛大になる必要があり
ます。市長が本当の謝罪の姿勢を示さなければ、解決の道はありません。県は話し合いのテーブルに載りません。
ところで、市長は、今度の提訴は「第三者に判断してもらう」「司法の場で判断をあおぐほうが一歩前に進む。県も同じように考えている」とおっしゃつていますが、県のどなたがおっしゃっていたのですか。私は、県の担当者に直接ききましたら、全くそんなことは思っていない」と、びっくりしていました。市長、県のどなたが第三者に頼んで解決したほうが前進すると言ったのですか。お聞かせください。
Dおかしいですね。私が直接県の担当者にお聞きしましたら、全くそんなこと
思っていないといっていました。市長は、訴訟の結果に従って、解決の道を見極めたいと言っておりますが、この問題は契約者の当時の小寺知事と高木市長の交わした契約書が問題になっているのですから、片方の小寺知事はすでに知事としては存在していませんから、市長がしっかり責任を取る以外道はないのです。ところがご自分の責任は回避して、訴訟の結果に全て責任を負わせようとしています。これでは解決するはずがありません。本日の審査の結果もありますが、まだ間に合いますから、直ちに上程した議案を取り下げて、話し合いの場を持つべきです。話し合いに県が応じないと言いますが、本気で市長が取り組んでいないからです。こういう時に土下座と言うことがぴったりなのではないでしようか。勇気を出して話し合いの場を作るべきです。いかがですか。

●苦労している職員の救済はトップの役目。困惑している近隣住民の救済もトップの役目です。市長の解決方法の選択にかかっていることを申し上げまして、私の質問を終わります。

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