トップページへ 前のページへ 目次ページへ
議会報告

2010年第2回定例会・提出議案中6件に対する反対討論 中道浪子【2010/6/22】

 私は、日本共産党前橋市議団を代表して、議案第67号を始め、第68号、第69号、第72号、報告第2号、及び報告第3号の6件について、反対の討論を行います。

はじめに、議案第67号、前橋市母子福祉センター条例の廃止についてです。
 この事業の廃止の理由として、「2002年度(H14年)を最後に、緊急一時保護の実績はなく、県の女性センターで対応しているので廃止しても問題ない」と言う説明でした。ところが、私の調査によれば、県の女性相談センターの相談件数は年間6,237件。その内前橋市民からの相談件数は1,052件。一時保護入所人員については、08年度で116人在所延べ人数は1,043人。市町村別の人数は特定される恐れもあるので公表していないといいますが、前橋市民は複数以上の方が入所しており、その結果、同女性相談センターでは、年間通して08年度実績で4月度、8月度、9月度、3月度は施設が足りないほどいっぱいになったそうです。
 当局は、こうした県の女性相談センターの事業状況を十分調査せず、しかも、前橋市民がいく人も利用している状況があるのに、県にお任せの感があります。
 今、格差と貧困が広がる中で、生活がしにくくなっており、むしろ今後は女性の相談や配偶者からの緊急避難の対処を求められることが増える傾向にあると関係者も応えており、女性の権利意識も高まり、男女共同参画事業としても、重要な事業であると考えます。
 よって、母子福祉センターが行ってきた事業は、中核市となった前橋市としては、専門職員の体制がある保健所事業や子ども課の支援事業と連携し、本市独自の事業として引き続き発展させていくことが求められているのではないでしょうか。よって、本議案の条例廃止には賛同できないのであります。

次に、議案第68号、前橋市みやぎふれあいの郷の設置及び管理に関する条例の改正についてです。 
 この条例は、みやぎふれあいの郷の管理を指定管理者に行わせるための改正で、施設および設備の維持管理に関する業務も民間に委託することができるというものです。
 当局は、今働いている方々は雇用を継続すると説明しましたが、どんな業者が指定管理者に指定されるのか、現時点ではわからないのに、労働者を継続するという約束ができるのでしょうか。仮に今回継続することができたとしても、その次の指定管理の契約更新時に引き続き継続することができるかは、全く保障できないのであります。
 高齢者が主として利用する福祉施設に、営利を目的とする民間企業が参入することは認めることができません。

次に、議案第69号、前橋市企業誘致条例の改正についてです。
 この条例の改正は、誘致企業に対し課せられる事業所税の負担を軽減し、本市における企業誘致体制を維持するため、新たな助成を設けるというものです。
 そもそもこの条例は、本市に企業を誘致することを目的とするもので、対象となる企業へ固定資産税や都市計画税を3年間減免し、雇用促進の給与の助成、さらには水道料金や用地取得費の助成金などを行うもので、それに加えて、新たに事業所税を3年間助成しようという条例改正であります。
わが党は、誘致企業のみに過大な支援をする条例そのものに反対の立場から、この条例改正には賛成できません。
 尚、わが党は、事業所税については外形標準課税であり、固定資産税や法人事業税などの二重課税となるので廃止を求めており、課税そのものに反対の立場であることを表明しておきます。

次に、議案第72号、前橋市立学校設置条例の改正についてです。
 この条例の改正は、市立第2中学校と第4中学校を統合するための改正で、統合後の校名を「前橋市立みずき中学校」とするものです。
市教委は、2中と4中を統合し新しい学校をつくるのであり、統廃合ではないと言います。
 しかし、学校設置条例は第4中学の校舎を解体し、新築した後、その新校舎の日吉町三丁目9番地2に生徒が移ることにより、第2弾の条例改正が必要です。同時に、城東町4丁目24番12号の敷地は教育施設から市の管財課所管となり、事実上も、手続き上も、2中の(敷地)がなくなることになるの(廃校になるの)です。
 私ども日本共産党前橋市議団は、少子化傾向によって、クラス数が少なくなっている現状だからこそ、正規教員を増やして全ての小中学校を現在の学級定数40人を30人学級にするべきと提案しています。この提案は、子どもたちはもちろん、保護者や先生方からも「ゆきとどいた教育のためには急ぐべき」と、早期実現が強く望まれています。
 ところが、市教委は、少人数学級の願いには背を向けて、文科省の方針どおり、学校の学級数にこだわって12学級から18学級を「学校の適正規模」と位置づけ、それ以下の小規模校は「適正な規模ではない」と決めつけ、学校の統廃合を推し進めています。
 しかし、全国的に広がっている市や県が独自で実施している30人学級を本市でも実施する考えに立てば、学校の学級数が増えて、統廃合どころか、ほとんどの本市の小規模校もいわゆる「適正規模」に該当するのです。
 そもそも、「学校の適正規模」は、教育予算削減など行政の効率性からの政府の発想であります。「適正規模」以下の学校は子どもの切磋琢磨がなくなるなどと教育上の根拠のない論理を強調し、統廃合を誘導することはやめるべきです。
また、学校は子どもにとっての教育の場であるだけでなく、多様な機能を果たしています。例えば、地域のコミュニティーの核であり、地域の財産でもあります。また、災害時の避難拠点としても地域の公立学校の持つ意味は大きく、地域の生涯学習の拠点としての役割も大きいものがあります。特に、学校開放として小中学校の体育館の利用は今でもいっぱいで、学校が統廃合されれば、これまでのような利用はできなくなるのではないでしょうか。
 よって、以上のことから、教育予算の削減を目的とする小中学校の統廃合にかかわる本条例改正には反対です。

次に、報告第2号、前橋市市税条例の改正の専決処分についてです。
 この条例改正の個人市民税に関わる項は、公的年金や給料から個人市民税を天引きすることができるというもので、今年10月の年金支給から実施しようと、すでに、専決処分されているものです。
 そもそも、公的年金などの所得から、介護保険料や国保税などの特別徴収を行うことに対して、わが党は自主納税を基本とする立場から、強制的な年金天引きに反対してきました。これまでも、特別徴収を強制的に実施してきましたが、年金から天引きするということは、銀行の引き落としとは違って、年金から税金などを差し引いた額が通帳に記入されるので、「なぜ、こんなに年金が少ないのか。間違いではないか」との問い合わせが市の窓口に殺到し、混乱したこともありました。従って、年金天引きについては、対象になる一人ひとりに了解を得てから実施すべきで、個人の同意を得ないで、年金などから個人市民税を天引きする条例は認められません。

最後に、報告第3号、前橋市国民健康保険税条例の改正の専決処分についてです。
 この条例の一部改正は、後期高齢者医療制度に関わる減免措置の継続や倒産・解雇等の事業主都合により離職した人への一定期間の国保税軽減等改善するものも盛り込まれていますが、国保税の基礎課税額の上限を47万円から3万円引き上げ、50万円に、後期高齢者支援金等課税額の上限を12万円から1万円引き上げ13万円に引き上げるという税の引き上げがあり認められません。
 今、国保税の滞納世帯は年々急増しており、国保税の滞納を理由に資格証の発行とともに、短期保険証の発行は急増しています。慢性疾患をわずらいながらも定期的に診療にいけない人も増えており、医療関係者は患者宅を訪問し、診療の継続を勧める深刻な事態まで起きています。格差と貧困が広がる中で、医療費を削って生活しながら、それでも滞納に追い込まれ、分納しながら短期保険証を受ける事例が増加しています。まさに、お金の切れ目が医療を受ける機会を抑制し、国民皆保険制度が形骸化しつつあります。
 そもそも、地方自治体の本旨は福祉の増進にあり、国民の命と健康を守ることから考えると、由々しき事態が広がっています。
 このような事態を招いた最大の要因の1つに、国保財源の国庫補助を医療費ベースで45%から38.5%に削減したことがあります。
 また、国保の総収入に占める国庫支出金の割合は、1984年の49.8%(約50%)から2005年には30.6%(2007年には25%)と激減し、一人当たりの国保税の平均は、(年間)3万9020円から8万353円と倍増し、国庫負担の削減と国民負担率が増大し続け、「払いたくても払えない」国保税となっているのです。
 このため、各市町村は国保財政の運営が苦しくなり、加入者への国保税の引き上げと収納率向上をめざして厳しい滞納整理に力をいれているのです。
 今回の条例の一部改正が低所得者や中間所得層への税負担をさけるために、最高限度額の引き上げを行うことにしたとの報告がありましたが、しかし、国保税は、上限も含めて既に高すぎる状態にあり、国保会計を改善するためには、本来、国が負担すべき国庫負担額を元に戻すことや、国保総収入に占める国庫支出金の割合を戻すこと、加えて、限度額に当る所得層をもっと細分化し、累進性を強めることも求められています。
 この改正による本市への影響は、3,200世帯、5,600万円と伺っていますが、基礎課税総額の1.7%%にあたり、これによる財政効果が高いとはいえないのです。本市のみならず、既に多くの自治体では、国保財政は自治体・国保加入者だけの努力では解決できない状況に追い込まれているのではないでしょうか。
 国が削減した分を戻さず、国保加入者の限度額引き上げに負担を背負わせることには同意できません。
なお、市民フォーラムの細野議員が、先の総括質問で共産党市議団が「本市が6年間国保税を凍結したのは市民運動と世論の力」と報告したことに対して、調べてみたら、本市は他の自治体よりも国保税額は低い旨の発言がありました。
 そもそも、本市の国保税も決して負担が軽いものでもなく、年間所得の約1 割が税額として賦課され、重い負担をしなければなりません。その結果、「払いたくても払えない」実態があります。したがって、国保税引き下げのための国の国庫負担を元に戻すことはもとより、一般会計からの繰り入れは、ルール外ではなく可能であり、他の自治体でも実施しており、本市でも実施を検討すべきです。以上、申し上げまして、6件に対する反対の討論といたします。

ページのトップへ