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議会報告

2010年第3回市議会本会議総括質問(9月10日・長谷川薫議員)【2010/9/10】

2010年9月 第3回定例議会総括質問(長谷川薫)

1、最初に富士見地区の巡回バスの運行改善について質問します。

@るんるんバスの乗客は10便あわせても一日平均18人です。西大河原地区の6〜7人の小学生が白川小学校の通学に毎日利用しているので、昼間は1時間半かけて運行する巡回バス一便に乗客平均1人という利用状況です。
昨日の政策部長の答弁でも、このような利用者が大変少ないという現状の問題点を十分、認識されていることは分かりました。
私は、公共交通分野では赤字路線も重要な住民の生活の足になっている場合がほとんどですから、交通弱者対策のためには、収支率が悪くても必要なバスは走らせなければならないと思っております。単純に費用対効果だけで運行の是非を議論するべきではないと思います。しかし、富士見地区の住民のみなさんと懇談してこの巡回バスについての要望をお聞きしましたが、多くの住民のみなさんがバスの運行が必要という立場から運行形態の改善を強く求めています。隣の大胡・宮城・粕川地区で好評なだけに、デマンドバスへの移行を求めている人が大勢おられます。
今年の4月26日に開催された富士見地区の地域審議会でも、委員さんからデマンド方式のバスへの移行検討をしてはどうかとの提言がありました。
年間約1500万円の貴重な財政を投入して運行しているのですから、デマンド化への移行を直ちに決断すべきだと思います。当局の見解をお聞きいたします。

A政策部長は、くりかえし「合併協議で現行のまま引き継ぐと合意されているので当面は現状の運行を継続する」と述べられています。富士見と前橋が合併してすでに1年半です。富士見地区の市民と相談しながら、現状に問題があれば合併合意を見直しても何の問題もないのではないと思います。デマンド化にむけての諸課題があると答弁がありましたが、いずれも住民や事業者などと相談すれば解決できると思います。
 
富士見地区内にも高齢化が進行し、交通弱者が増えています。デマンド化への移行にむけて、住民を中心にして、行政と学識経験者さらにはバス事業者なども参加する検討委員会を直ちに立ち上げるべきだと思います。答弁を求めます。

B2月に策定された本市の行財政改革推進計画は、「成果志向」の視点で事業展開および見直しを行うとともに、市民参加を促進しながら、スピード感とチャレンジ精神をもって改革し、市民サービスの維持向上をめざすと強調し、市民要望へのスピーディーな対応と決め細やかな行政サービスが提供できる行政運営の確立と行財政改革の重点方向が示されています。業務の民間委託や民営化さらに職員削減は驚くほどスピーディーに行なっているのに、どうして富士見の巡回バスは様子見をするのでしょうか。
事業効果や市民満足度などの観点に基づく見直しは、恐れずに行なうべきです。ほとんど乗客が乗っていないバスが毎日富士見地区内を巡回しているのに、一向に見直そうとしない前橋市政にこそ、いまきびしい批判の目が住民から向けられていると受け止めるべきです。
市民の前橋市の行政に対する信頼を高めるためにも、交通弱者を救済するためにも、合併合意にこだわらず、早期に移行を決断することが大事だと思います。このような「るんるんバス」こそ、典型的な行財政改革の対象事業といえるのではないでしょうか。答弁を求めます。

●住民が価値があり役立つと評価し、満足できる施策でなければ、行政の存在価値や信頼を高めることはできません。行政は環境や社会状況の変化に即応しながら、住民の要求や期待に対して謙虚で鋭敏でなければならないと思います。すばやく柔軟性のある対応をしていただくよう強く求めて次の質問に移ります。

2、次は、「わかばプランの非常勤の部活指導について」です。

@県教委が配置する「わかばプランの非常勤講師」は、中学校生活のスタートがスムーズに切れるように、つまずきやすい英語や数学などの教科を中心に学習指導にあったており、学校現場で大事な役割を果たしています。市内の中学1学年の学級数が4学級以上の対象校17校に、合わせて25名の講師が配置されています。この非常勤講師は、一日一万円の報酬で一日7時間45分・週4日・年間140日以内の勤務で1年間の短期雇用契約です。
最近、私のもとに匿名で、相談メールが届きました。内容は、部活指導を断れなくてわかば講師が苦しんでいる旨の訴えでした。「中学校の部活の顧問の先生が学級指導や授業や校務で大変多忙な姿を見ると、部活動の指導を断わることができず、止むを得ず勤務時間外に指導をしている。他の学校でも同じように部活指導の悩みを持っているわかば講師がいる。ほとんどの講師が教員採用試験の受験勉強をしているので、このような状況を教育委員会として改善するように学校現場を指導してほしい」という相談でした。
わかば講師のこのような学校現場の実態を教育委員会として把握しておられるのかどうか最初にお答え下さい。

Aわかば講師は身分上、非常に弱い立場にあり、教員採用試験に合格できなければ将来の生活保障もなく不安な気持ちの中で働いております。もし、学校からの要請を簡単に断れば印象も悪くなり、後々良い結果をもたらさないのではないかと考えて、「受験勉強に差し障るから指導はできない」と簡単に断るわけにもいかないということになりかねません。同時に、生徒や保護者には、正規教員・地公臨教員・非常勤講師の待遇面の相違は分かりません。正規教員の多忙な状況を見れば、公務を分掌しない年齢も若い非常勤講師に部活指導を求める雰囲気が醸成されているのではないでしょうか。
最近の群馬県の教員採用試験は競争率約10倍という難関となっています。「教員採用試験の合格をめざしているわかば講師については、試験の突破を応援するためにも時間外の無償労働である部活指導を禁止する」という明確な指導を学校現場に行なうべきだと思います。これまでにどのような指導を学校にしてきたのかお聞かせ下さい。

B引き続き指導をしていただきたいと思います。私はそもそも、中1ギャップで苦しむ中学校1年生の学習支援を、安上がりの非常勤講師で補っていること自体の改善が必要だと思います。平成21年には群馬県教委は小学校4年生までのさくらプランの教員を常勤化しました。教育長は、文科省や県教育委員会に対して、中学生のきめ細かな学習指導をするために中学校の30人学級制度の早期実現を目指すとともに、当面、非常勤のわかば講師を常勤教員化するよう強く求めるべきだと思います。見解をお聞かせ下さい。

●文科省が来年度から8年間で小中学校の35人学級制度をめざすとして、教員定数を2万人増やす方針を具体化しました。規模の大きい中学校の1年生の学習支援を自治体独自の裁量ですぐに正規教員にすることは困難なことではないと思います。ぜひ声をあげていただきたいと思います。

3、次に、「市立美術館の整備と事業運営について」お聞きします。

@事業費についてです。これまでの4人の議員の方の美術館整備についての質問への部長答弁で、事業費の規模はまだ白紙状態であることが分かりました。
 現在までに整備計画検討委員会は2回開かれ、美術館をウォーク館に整備することは承認し合意していますが、今後、地下1から地上2階までの総フロアー面積約4386平方メートルをどのように整備するかは、今月開く3回以降の検討委員会で事業計画を協議する中で、収蔵庫や展示スペースなどの施設内容が明らかになっていくこと思います。しかし、これまでのように月に1回のペースで委員会を開いても、基本計画策定まで少なくともあと4ヶ月はかかります。プロポーザル方式で設計業者を決める場合は業者選考委員会も別に設置しなければならないとのことですから、設計業務の委託契約の時期は年明けの年度末にズレ込むのではないでしょうか。
今議会に設計業務委託費が計上されていますが、この日程から逆算すれば12月補正でも十分間に合ったのではないでしょうか。全体の整備計画が決まれば事業予算の総額は市として十分積算できると思います。プロポーザル方式で設計者を選んだ後には、すぐに基本設計を行なうとのことですが、美術館整備の総事業費がどの程度の整備費用がかかるのか、また国の財政支援をどの程度受けられるのかが全く示されないまま、今議会に基本設計業務の予算を上程したことについての反省はありませんか。答弁を求めます。

A市民の方からは美術館の整備に期待を寄せながらも、「あまり豪華な美術館にしないでほしい」という意見も寄せられています。高齢者福祉の充実や子育て支援策などのいっそうの充実を願う市民は「美術館への過大な財政投入」を心配しています。
 5月の総務常任委員会で市街地に整備された都市型美術館として、八戸市立美術館と秋田市立千秋美術館を視察しました。八戸美術館は昭和62年に旧八戸税務署を1億1402万円かけて改装していますが、実施設計はわずか270万円です。延べ床面積は、1446uですから整備する旧ウォーク館4386uの約おおよそ3分の1です。それでも人口24万4千人の八戸市で、昨年度の年間来館者は31、389人です。秋田市立美術館は、平成元年に建設した床延べ面積約3000uの新設美術館ですが、建設事業費は総額約15億円です。本市においても、将来も見越して、できる限り経費をかけずに整備するという視点を持つべきだと思いますが、見解をお聞かせ下さい。

B、次に運営体制です。部長は今日、市としては直営もしくはそれに近い形を考えていると答弁されました。
私たちも、公立・私立を問わず、また博物館法に該当する、しないとにかかわらず、美術館・博物館は、貴重な文化遺産を次の世代に守り伝え、その価値を社会に普及させるという公共的な使命を持っています。
ですから直営と表明されたことは大いに評価するところであります。
そこで私は、そうした立場を確認する質問をします。
今、基本構想検討委員会でも協議されたとおり、全国の美術館・博物館は今、この崇高な理念が、今日、行政改革における規制緩和や民営化などの大きな動きの中でないがしろにされ、商業主義的な論理に従属させられるような状況も強まっています。
 運営費削減、学芸員を減らすための配置替え、指定管理者制度の導入など管理体制の変更などが求められたり、都市や地域社会の再開発、活性化のために、文化遺産や文化施設を有効な道具にするという動きも広まっています。 
 このようなか、本市においても最近、美術館の事業と同じ芸術文化の普及活動を目的とするNOPが設立されています。私には、指定管理者制度の導入を視野に入れた動きと思えるのですが、このような十分な活動実績のないNPOや営利企業に美術館の運営をゆだねるべきではないと思います。
八戸や秋田の市立美術館も、運営は財政的にもきびしいけれども公的な使命を達成するためには指定管理者制度の導入は無理と判断して直営を堅持し、市民とともにさまざまな芸術活動を積み重ね、地域社会の中で公共性を高めようと必至の努力をしています。そこで部長にお聞きしますが、直営に近い形の管理運営体制はどのような形なのか、指定管理者制度を想定しているのか、さらに、その場合も無条件に提案募集せずに、文学館のように施設管理公社などの公的外郭団体に限定されるのかどうか、あるいはNPO法人などにも広げようとしているのか、明確な答弁を求めます。

C、つぎに事業計画と収支計画についてです。

 八戸も秋田の美術館も、歴史的に価値のある美術品のほか、県内ゆかりの作家の作品の収集に努め、個人収集家による寄贈にも助けられて、多くの収蔵品を有しています。八戸市は2165点、秋田市は2400点の収蔵品を管理しています。八戸では市内在住者有志による自主開催のグループ展覧会も毎年30回以上となり、器は小さくとも、市民の美術に対する大きな思いを受け止めて、芸術活動の拠点となっています。
 本市においても、市民が一度訪れて美術品を観覧したら2度3度と訪れたくなるような魅力ある美術館でなければならないと思います。また、市民の税金で購入してきた収蔵美術品をできる限り多くの市民の目に触れられるようにして、人々に感動と安らぎを与え、人々の心を豊かにすることが必要です。また、単に入場者数の多い企画に流れることなく、芸術的な価値を市民に伝える、次世代に伝えるという大事な企画展も必要だと思います。
 そこでお聞きしますが、美術館の事業は経営効率や入場料収入を増やすことを目的とする収益事業ではありません。観覧料金については、子どもや身障者や高齢者を無料にすることや、常設展を無料にして企画展のみ有料にして運営するなど、負担を軽くする配慮を行なうべきだと思いますが、どのようにお考えか、お聞かせ下さい。
 また、美術館の嘱託の学芸員を最近になって2人雇用したとの事ですが、魅力あふれる美術館運営の中心を担うのは、専門知識を持った学芸員だと思います。今後開館までには学芸員の役割を重視し、正規職員として雇用すべきだと思いますが見解をお聞かせ下さい。

E、駐車場の確保と周辺の環境についてです。

元気21の利用者にとっても、すでに駐車場の利便性が悪いうえに美術館が整備されれば、直ちに駐車上問題が浮上してくることは必至です。だからといって、近隣の土地を購入して立体駐車場を整備するということをせず、周辺の民間駐車場の借り上げなども検討すべきだと思いますが、駐車場対策をどのように考えておられるのか、お聞かせ下さい。
 また、美術館の開館時間が夜にまで延長されることも予想されます。ウォーク館周辺は、今も夕方からの飲食店の路上での客引きが現在は常態化しています。このような周辺環境では、美術館の来館者に不安を与えるばかりか、都市型美術館として気軽に訪れられる前橋美術館としてのコンセプトが生かされません。どのような対策を考えておられるのかお聞かせ下さい。

●市立美術館の整備は、市民の長い間の要望です。優れた文化を創造し、かつ次世代に継承するためには息の長い取り組みと、目先の利益にとらわれない長期的な展望が必要だと思います。そのことによって、前橋という地域社会に計り知れない貢献を果たします。美術館は、本質的に市場原理や効率性、採算性は相容れません。強引に採算性を重視するなら、消費経済のための文化になってしまい、文化が持つ本来の創造性を失ってしまいます。
市民の心の支えとなるような美術館にしなければなりません。学芸員を中心に市民参加・市民合意で魅力あふれる美術館の事業計画を立て、市が直営するよう強く求めて質問を終わります。

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