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議会報告

2010年第3回定例議会 本会議総括質問(9月9日) 新清掃工場のストーカ炉選択は評価するが、高効率ごみ発電施設は問題 中道浪子 【2010/9/10】

1、新清掃工場のストーカ式焼却炉の決定等についてです。
 本市が、この8月までに10回の検討委員会を重ね、新清掃工場の処理方式に、ガス化溶融炉を選定せず、焼却方式を決定したことは、賢明な判断であり評価しております。
私たち党市議団は、昨年は、成田市の溶融炉選定や川崎市のストーカ炉選定の経過などを調査するとともに、今年2月には、ごみ焼却炉など環境問題専門家を講師に講演会を開催して溶融炉方式の危険性や問題点など、詳細に市民とともに学びあいました。同時に、この間、議会では繰り返し提言してきました。
ところが、新たに提案された「前橋市新清掃工場施設整備基本計画」(案)には、ストーカ炉を選んだものの、高効率ごみ発電施設の設置や焼却灰などの処理の民間委託化などが明記されており、問題点がありますので、以下大きく3点について質問します。

(1)、質問の第一は、高効率ごみ発電の問題点について伺います。
1つは、安全性についてです。環境省は、高効率ごみ発電を行う施設に対して、2009年度より「循環型社会形成推進交付金」の交付率を総事業費の二分の一に引き上げていますが、その背景には、これまでのガス化溶融炉などのように大型焼却炉の導入を進めてきた焼却炉プラントメーカーの誘導があるのです。国が交付金などで導入を促進する焼却炉の安易な選定は問題だと思います。当局の見解をお聞かせください。
 
○前橋市新清掃工場施設整備基本計画には、国の掲げる高効率発電制度による
設備の導入は本市の基本方針に沿ったものと表明していますが、国が求める高効率発電の要件は、発電率18.5%以上の達成を目指すことが条件とされているではありませんか。例えば、発電率18.5%を維持できなければ会計検査院のチェックによって交付金の返還要求もありえます。そうなれば、発電効率の計画値に何が何でも達成しようと、プラスチックなどカロリーの高いごみを積極的に集め、焼却にまわすことになります。その結果、予期しない危険なガスが合成され、発生するなど危険が生まれ、様々な問題が危惧されます。このように高効率ごみ発電施設は、まだまだ未知の分野であります。このことについて当局の見解をお伺いします。
●安全という根拠も十分示さない答弁には、納得できません。
2つは、財政負担の問題点についてです。
 高度で複雑な技術を伴う高効率ごみ発電施設は、結局は、プラントメーカーのいいなりにならざるを得ない面を持っています。
これまでも、多くの自治体で、メーカー言いなりに溶融炉など新技術をともなったごみ処理施設を導入した結果、施設の安定性の確保や、安定的な稼動ができずに重大事故が発生して、ケガ人が出たり、ごみ処理業務が滞ったり、修繕費やランニングコストに多額の出費を余儀なくされてきたのです。
発電で得られる電力の売電収入は増加するかもしれませんが、長期的には、どのくらいの経費がかかるか計り知れないのが実状です。その上、まだ実績が不十分な上に、技術的にも発展途上の施設である高効率ごみ発電の建設時の交付率をメリットとして、踏み切ることが本当に財政的にも賢い選択となるのか慎重にすべきだと思いますが、見解をお伺いします。

3つは、温暖化防止対策についてです。環境省は、高効率ごみ発電について「地球温暖化対策の一環」と位置付けていますが、高効率ごみ発電を維持するためには、カロリーの高い廃プラスチックをたくさん燃やさなければならないと言う問題があります。これでは、地球温暖化対策でもなければCO2削減にもなりません。本市では今でも、一部廃プラを可燃ごみとして収集し燃やしていますが、温暖化防止策としては逆行ではないですか。現状問題も含めて、今後の状況について見解をお聞かせください。
  
○最終処分場の延命化と言いますが、本当は、生ごみなどを高カロリーで燃やすためではな
いですか。東京都は、埋立地を延命するためとして、プラスチック廃棄物を「不燃ごみ」から「焼却ごみ」に分別を変え、「埋め立て」から「焼却」に回し、その結果、排出されるCO2が大きく増加しました。
そもそも、高効率ごみ発電は、発電効率を高めるために、廃プラスチック等の熱効率の高い廃棄物の焼却量をいかに増やすかということを目指す施設といわれており、CO2・温室効果ガスが増加することは明らかだと思いますが、当局の見解をお聞かせください。

●環境省は、容器包装リサイクルを行ったほうが、高効率のごみ発電施設で焼却するよりもCO2排出量が少ないと公表しています。当局は、認識不足ではないでしょうか。当局は、施設メーカーの言いなりにならず、機種の選定を見直すよう強調しておきます。
質問の第二は、焼却灰等の民間委託化の問題についてです。○「新清掃工場施設整備基本計画」案は、ごみ焼却後に排出される焼却灰や飛灰の資源化を民間委託化すると決めています。
民間委託すれば、焼却灰や飛灰はゼロになりますが、スラグやセメント材として適正に製品化できるのか。また、仮に製品化しない焼却灰や飛廃は、どこに、どんな方法で安全に埋め立て処分するのか。大変心配で、不安がついて回ることになります。
ごみを焼却して、何も残らないということはあり得ません。残った焼却灰や飛灰は市がしっかり責任をもって、安全に最終処分する。これが常識ではないでしょうか。民間委託して、大丈夫なのかどうか。見解をお聞かせください。

○一般廃棄物の処理は、自治体の責務です。民間委託して、最終処分場の延命
化を図るとあくまでおっしゃいますが、経済効率を優先して、委託するのではなく、自前で処置すべきです。荻窪の最終処分場は、埋め立て率が今年3月現在で22%、富士見は30%の埋め立て率です。両施設とも、あと18年ほど対応できると当局も試算しています。今から、最終処分場の延命化を図りつつ、新たな処分場の建設場所も検討しながら、新清掃工場の建設計画を具体化すべきです。に取り組むべきだと思いますが見解をお聞かせください。

●ちなみに、横浜市は、焼却灰を民間委託に引き取ってもらって、セメント原料にしてきましたが、埋め立てより輸送費のほうが高くつき過ぎて、今年度は全量埋め立てにまわしたと伺っています。民間委託せず、最後まで市が責任を持つことを求めておきます。
質問の第三は、清掃工場の複数か所設置についてです。 わが党は、六供清掃工場の延命化を図り、新清掃工場との複数体制を維持管理することを、これまでにも繰り返し提言してきました。
 しかし、当局は効率化を図るため1か所に集中したいと考えを変えようとしていません。そこで、まず第1に、ごみ収集車が1か所に集中することを避けるためにも、工場の分散化が必要です。第2に、工場に影響を与えるような事故や災害があったとしても、2か所の清掃工場を維持することができれば、ごみ処理が滞ることなく対処することができます。第3に、伊勢崎市民から、市街地や住宅地に隣接しているところで、なぜ前橋のごみを全量焼却するのかと、下増田町の新清掃工場建設は、見直しを検討して欲しいと強い要望が出されています。  
これらのことを勘案しても、少なくとも、六供工場と2か所体制に検討すべきだと思いますが、見解を伺います。

○そんなことを言っておりますと、伊勢崎市民の理解を得ることは大変むずかしくなるのではないでしょうか。
高効率発電施設は、まだ未知の分野なのです。安全面を重視して、今からでも、慣れた通常のごみ発電付のストーカ炉に変更すべきだと思いますが、お考えをお聞かせください。

●今、温暖化防止や資源保護、環境汚染防止など、地球環境問題が大きく問わ
れる中で、ごみ処理施設を検討する際に、第一に考えなければならないのは、「ごみを大もとから減らす」ために、効果がある施設かどうかです。それを抜きに「どう処理するか」だけを考えると、ごみ減量化のスピードを遅らせたり、処理施設の規模に合わせたごみ量を確保するために、さらに燃やすごみを増やすことになりかねません。
本市で導入しようとしている新しい高効率ごみ発電施設は、以上のように様々な問題点があり、変更することを求めるとともに、市民と力を合わせて、本市のごみ減量化計画の目標にどうしたら達成できるかを第一義に考えて、新清掃工場の建設に取り掛かかることを申し述べておきます。

2、文部科学省の少人数学級推進と本市の小中学校統廃合の学級規模の問題等についてです。
@最初は、文科省が進める少人数学級実施の見解について伺います。 文部科学省は、2011年度からの8年間で、現行の40人を、30から35人に引き下げる少人数学級化を目指すことを公表しました。来年度予算概算要求に初年度分の人件費を盛り込み、その上で、2011年の通常国会に学級編制基準を定める義務教育標準法改正案を提出する予定です。本市においては、この文科省の政策転換に対して、今後対応策を検討することが迫られてくると思いますが、検討のスケジュールと予算を含め見解をお聞かせください。
(文科省は、最初は小中全体を段階的に35人学級に、6年間で取り組むという
ことのようですが、本市では、県の施策で既に小学校1・2年生は30人、3・4年生は35人を実施していますから、8年間もかけないで、文科省の方針を実施することができます。例えば、最初の3年間で5・6年生と全中学生を35人学級とし、続いて、小中学校全てを30人学級として取り組むことができれば、3・4年生の国語力支援や、6年生の中一ショックへの対応策などを上回る、ゆき届いた教育ができるはずです。)

○本市でも特に1・2年生の30人学級の成果を多くのみなさんが認めており、文科省の方針を上乗せできるような取り組みが、求められています。子どもも、保護者も、先生も大変期待しています。本市における少人数学級の取り組みの見解をお聞かせください。

●文科省は、国民から少人数学級の強い要望を受けて、2001年からは、地
方の独自予算であれば、40人を下回る学級編成が認められるようになったのではないですか。これから文科省の方針を受けて、検討する際に、今、述べた文科省の方針を上回る提案を盛り込んでいただくことを求めておきます。

A次は、少人数学級実施の県への重点要望について、市長に伺います。  前橋市と市議会は、今年度も県知事への重点要望として、少人数学級実施についての要望書を県知事に提出しました。「子どもの医療費・中学校卒業までの無料化」や「子宮頸がんの予防ワクチン接種への全額市費助成」などのように、市長が自ら、本市として実施の決断をした後に、県に実施の要望をしていくことが、知事に対して切実さを感じさせます。
少人数学級の実施も県を頼りにしながらも、まず市長が実施の決断をすることが、実際に、施策の実現に接近するのではないかと思いますが、市長の見解をお伺いします。

●先ほど私が申しましたように、市独自で少人数編制ができるようになったのですから、市長が自ら実施できると言うことを認識すべきです。
私は、「子どもは社会の宝」と考えています。今、格差と貧困の実態が子どもたちの中にも影響を及ぼし、給食費が払えない、家賃が滞っている、夜逃げ同然に親子で引越しするなど、子どもをめぐる状況は大変です。本市の不登校児童・生徒も依然として300人を上回っています。一人ひとりの子どもに対して、せめて、行き届いた教育や学校での生活指導など丁寧な対応が求められています。市独自の30人学級の実施の方向性を出して、来年の知事への要望に反映させていただくよう求めておきます。

B次は、小中学校の統廃合計画の中止と学校の新増設計画の策定について伺います。
○本市では、学校の適正規模は、学級数が12学級以上18学級以下を標準とする規定を設けて、小中学校の統廃合を進めていますが、文科省が来年、学級編制基準を定める義務教育標準法改定案を国会に提出する方針を受けて、学校の適正規模の基準となる学級定数が大きく変わろうとしてことから、現在の学級定数を基準にしている小中学校の統廃合計画は、中止すべきだと思いますがお考えをお伺いします。
また、学級の定数が今の40人から少人数に変われば、新たに教室を増やさなければなりません。少人数学級実施を速やかに推進できるように、今から、全小中学校の施設設備を点検して、教室が足りないということのないように、新たな学校の増・改修工事計画を策定すべきだと考えますが、見解をお聞かせください。

○統廃合の関係ですが、全学年が35人学級になれば、これまで小規模校の対
象とされていた総社小と元総社北小は適正規模になりますから、直ちに計画から外すとともに、市民や父母に早急にそのことを示すべきです。さらに、30人学級の編制になれば、適正規模校が増えます。教育委員会として、小人数学級に対応した学級数の推計値を作成し、提起すべきだと思いますが、いかがでしょうか。合わせてお答えください。

●最後になりますが、政府の調査では18歳未満の7人に1人が貧困状態にあります。貧困が者やお金だけではなく、子どもたちの希望や意欲まで奪っています。お金のあるなしにかかわらず、安心して暮らし、豊かな教育を受ける機会を保障するのは大人の重い責任です。子どもたちが生き生きと夢や希望を語れる社会をつくるために、当局も議会も「立場の違いをこえて」少人数学級移行の流れを一緒に促進していこうではありませんか。当局の答弁を求めて、私の全ての質問を終わります。

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