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議会報告

第4回定例市議会 請願本会議賛成討論 請願第1号「小中学校給食費の無料化を求める請願」および「保育所における給食調理の外部搬入を行わないことを求める請願」
【中道浪子】【2010/12/17】

 私は、日本共産党前橋市議団を代表して、請願第1号「小中学校給食費の無料化を求める請願」、および請願第2号「保育所における給食調理の外部搬入を行わないことを求める請願」について、賛成討論を行います。

まず、請願第1号「小中学校給食の無料化を求める請願」についてです。 教育福祉常任委員会で審査された「小中学校給食費の無料化を求める請願」は、子育て支援策として、十分検討に値する施策であります。 

第一に、実施に必要な財源問題についてです。
 他会派は、すべて現下の本市の厳しい財政情勢のもとでは、実施は困難と主張しましたが、たとえ先行して、本市で実施したとしても、子どもの医療費の無料化のように、県を動かし、県の制度化によって県と財政を分担するなどは可能であります。
また、請願者は、小中学校の給食費無料化を求めていますが、実施にあたっては、埼玉県小鹿野町や和歌山県新宮市のように、第2子から実施している自治体や、場合によっては南アルプス市のように、第3子から実施するなど、段階的に制度の実施を開始することも可能であり、検討の余地は十分あります。  
本日の議会運営委員会で宮田和夫委員長が、「請願項目には学校給食を無料にしてほしいとだけなのに、第二子からとか第三子からの無料化について討論を行なっている。請願事項を拡大解釈して討論するのは問題」との発言がありました。
 私どもは、請願者との懇談の中で、請願者から「無料化実現に向けてはいっきに実施が無理な場合には、段階的な実施も推進してほしい」との意向も聞いています。
最近の本議会の請願審査にあったては、多数決でほぼ恒常的に不要とされている、紹介議員の趣旨説明や市の所管課の説明もていねいに行ない、できる限り請願者の思いを受け止めて、ていねいな審査が求められていると思います。 
開かれた議会をめざす議会改革の大きな課題とすべきであります。
また、真政会は、給食費の無料化は本市が先駆けてしなくてもいい。むずかしい。また、市民フォーラムは、耐震補強や建て替えなど施設整備が求められている。本市単独ではその実現は不可能などと言い切っている姿勢は、市民の要望に耳を傾けない態度ではないかと思えてなりません。
かつて、私が市議会議員になった頃は、子どもの医療費無料化は、満1歳の乳児のみでした。若いお母さんや市民から、せめて満3歳まで、あるいは就学前まで、そして中学卒業までと、市議会に請願が提出されたり、議会で繰り返し質問しきた経緯があります。そのほとんどに「財源がない」「無理だ」と反対していた会派が大勢ありました。しかし、市民・県民の要望と運動が粘り強く取り組まれ、前橋市が実施したことを契機に、全国に先駆けて群馬県の施策として実現させることができたのであります。
子どもの医療費と同じように、子育て支援策の大きな柱に給食費の無料化を位置づけるべきであります。

第二は、低所得者の救済だけをめざすものではないということです。 格差と貧困の広がりの中で本市では、昨年度の決算で就学援助制度を活用している児童生徒は2,566人となっており、今年11月22日現在で、就学援助制度を活用している児童生徒が、2,721人となり、昨年に比べて255人も増加している状況です。ところが、本市の就学援助の対象世帯は、生活保護世帯の収入基準の1.1倍までであるため、生活保護も就学援助の支援も受けられない低所得世帯が増えているのが実態です。他の会派は、「低所得世帯は生活保護や就学援助で救済していると強調していますが、苦しい生活を余儀なくされている児童生徒が増えているのですから、給食費の無料化が必要なのではないでしょうか。
また、清新クラブや真政会、市民フォーラムなどは、「子ども手当があるから」といわれますが、子ども手当の創設目的は、単に給食費の負担軽減ではなく、少子化対策として安心して子どもを生み育てられるような子育て環境づくりであったのではないでしょうか。

第三は、全国の自治体が、次々と無料化の実施に踏み切っていることです。
 南牧村が今年4月から給食費無料化を実施していることを紹介したところ、市民フォーラムは、南牧村は過疎対策の一環だと反論したのですが、来年度から実施することを表明した神流町やその隣の上野村も、「安心して子育てができる環境をつくり、人口増加につなげたい」と町長が述べているように、人口減、少子・高齢化は全国で進行しており、南牧村などと同じようにその対策が求められているのです。

第四に、最高裁の大法廷判決の引用は、正しく理解していないのではないかと思われることについてです。
 請願者は、「憲法第26条は、義務教育はこれを無償」とし、その憲法の精神に立てば、教科書と同様に学校給食費も無償とするのが本来ではないかと主張しています。その主張に対して、市民フォーラムは、「最高裁の大法廷で判例が出されているが、憲法の規定の対象は、授業料の無償を意味し、教科書や学用品まですべてと解釈することはできないとの判断が示されている。給食費の徴収は、学校給食法で規定されており、憲法で言う無償の範囲に入らない旨の」反対の理由を述べました。しかし、現に小・中学校の教科書は、長い歴史の中で多くの父母や教職関係者の強い要望により、すでに、無償化を勝ち取り、法制定もされているのです。従って、現在も引き続き無償化が実施されているのです。国民の運動の高まりの中で、判例に基づく行政施策は変化することを理解していない討論といわざるを得ません。

第五に、討論に使う資料は、正確に状況を示すものにすべきです。
 清新クラブは、「文科省の調査結果を引用して、学校給食費の未納の責任は、保護者としての責任感や規範意識の問題によるものが60.0%で、経済的理由の33.1%より規範意識の方が上回った」と述べましたが、文科省の学校給食費未納調査には、05年度調査に続き、09年度調査の結果が発表されています。
12月1日の文科省の報道発表によれば、未納の原因については、保護者としての責任感や規範意識の問題を挙げた学校が前回の60.0%から53.4%に減った一方、保護者の経済的な理由が前回の33.1%から43.7%に大きく増え、国民生活悪化の影響をうかがわせるものとなっています。討論した議員は、この05年度の古い調査の60.0%と33.1%を使ったものと思われます。しかも、05年度の調査は、ご存知のように(私が当時の担当常任委員会で指摘したように)、小中学校に通っている子どもの保護者全員を対象にしたものの、保護者に直接聞き取りしたものではなく、子どもの担任が保護者を客観的に調査しそれをまとめて県教委に提出し、文科省がまとめたもので、実情とは大分かけ離れた結果が出た調査だったのです。
 その後の09年度調査は、学校給食を実施している2万9000校の内、610校を抽出し調査したもので、その結果、学校給食費未納の原因は、保護者の責任や規範意識によるものが53.4%、経済的な理由が43.7%と報告されているのです。09年度調査を正しく使わず、05年度の古い調査の数字に固執した討論では、給食費未納の状況を正しく反映しているとはいえないのであり、不採択のための理由にはなりません。
よって、請願第1号は、格差と貧困の広がりの中で、大変有効な子育て支援であり、検討する課題として十分成り立ち、賛成すべきものです。

請願第2号「保育所における給食調理の外部搬入を行わないことを求める請願についてです。 
 請願項目の第1項については、不採択を主張した全会派が共通して、保育所・保育園の給食の外部搬入を認め評価していることは、非常に憂慮すべき事態であります。
請願項目の趣旨に反して給食の外部搬入を認めることは、子どもたちの健全な育ちよりも、効率性や経済性を優先するもので、いま政府自体が強調している食育の重要性を軽視するものであります。
給食の外部搬入の自由化は、「保育の産業化」に向けての第一歩であり、重大な懸念を禁じ得ないのであります。
 よって、前橋市は、給食センターなどからの外部搬入する給食を行わずこれまでどおりの施設内における自園調理を原則とし、食育基本法や保育所保育指針にそった食育に努めてほしいという願意は妥当であり、極めて重要な請願であります。
この請願と同じ内容の請願を渋川市議会では賛成多数で採択しています。
なお、本市公立保育所の保護者から、ごはんもパンも調理して提供してほしいと言う意見が出ており、それに応えようと当局が検討していることは、よいことだと考えています。ただし、外部搬入を安易に選択せず、まず、自園で主食の調理ができるように施設を改善・改修することを検討すべきであります。
万が一、調理室の改善・改修が絶対無理だとする保育所があるとすれば、外部搬入は、主食のみとすることにとどめるべきであることを再度申し上げておきます。

請願項目の第2項については、「市独自の補助金は不要」とか「厳しい財政状況なので今のまま継続する」、あるいは「おおむね願意は満たされている」などと述べています。
本市が実施している制度として、障害児加算制度にアレルギー児の対象が含まれており、一人当たり・月8,250円支給されていることは、評価するものです。
しかし、市内の私立保育園では、この補助金は、除去食をつくるために独自に雇用している調理師への人件費としては大変不十分で、普通食と分けて使うための、なべ、かま、まな板、包丁などの調理器具やガス・水道料金などの光熱費などに使っているのが大半であります。
アレルギー除去食をつくるためには、つくる量こそ異なりますが、卵の除去食とか、小麦粉の除去食など、一人ひとりの子どもに合わせてつくるため、大変時間と手間がかかります。
 このように、アレルギー児への補助金は除去食を専門に作る調理師の配置に必要な人件費としてはあまりにも不十分なのです。
また、アレルギー除去食を作るためには、きざんだり煮炊きしたり調理上最初から普通食と同時進行でつくらなければならないため、除去食用の給食をつくる調理スペースも広くしてほしいというもので、現実に保育園で働いていて、子どもの保育を通して施策の不十分さを改善してほしいと言う極めて切実な要望であります。当然、認めるべきであり、施設改善を求める願意は、妥当であります。

以上で、請願第1号、および第2号について、賛成の討論といたします。

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