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議会報告

2010年12月第4回定例議会本会議総括質問 (長谷川薫議員2010年12月10日)【2011/1/18】

2010年12月10日 第4回定例市議会・総括質問(長谷川薫)

 1、最初に買物難民対策について質問します。

 @この問題については昨日、商工部長から施策を検討する前向きの答弁がありました。私からは、施策の具体化に向けての諸課題について質問します。
高齢化の進行の下で、本市においても医療や介護とともに車が運転できず足腰の弱った高齢者の日々の買物を支援する施策の重要性が高まっています。
今後、全国の先進的な取り組みに学びながら施策を推進していくためには、何よりも買物難民・買物弱者の実態調査によるニーズの把握が必要だと思います。民生委員や老人会など地域の自治会の協力を要請し、実態調査を早急に実施すべきです。答弁を求めます。

 A次に政府は、先の臨時国会で補正予算を組み国レベル支援事業をスタートさせました。宅配・移動販売・送迎・店舗誘致などによる買物弱者の生活利便性向上の幅広い事業に補助率3分の2・100万円から上限1億円規模の補助事業です。本市としても、住民や事業者などの地域力も活用しながら、前橋市の地域特性にあった具体的な支援策を具体化するべきです。そのために、老人会・自治会・商店街、商工会、福祉法人、農業協同組合、民間事業者などと本市の関係所管部署を構成団体とする買物難民支援策の検討委員会を早急に立ち上げるべきであります。答弁を求めます。

 B次に、経済産業省の「地域生活インフラを支える流通のあり方研究会」が、今年の5月にまとめた報告書には、「買物というと医療や介護と比べて生命に関わる深刻な課題として捕らえにくい面もあるが、高齢者が自由に買物に行けなくなると、十分な食料品を購入できなくなるために、毎日の食生活において栄養が偏り、健康に害を及ぼす恐れがある」と指摘しています。
 そこで、買物困難者への支援事業の一つとして、調理が困難で栄養改善などの必要があるとして本市が実施している60歳以上の高齢者などを対象にしている自立支援配食サービスの実施条件を緩和し、歩行が困難で生鮮3品などの買物が容易にできない高齢者にも配食サービスを実施すべきだと思います。答弁を求めます。

2、次は住宅リフォーム助成制度の創設についてです。 

 @長引く不況で市内の建設関連業者は仕事が激減し、経営は死活の淵に立たされています。たとえば、私が訪問した市内の畳屋さんは、「かつて市内に60軒あった畳屋さんは今は30軒に半減している。仕事が減っていつまで仕事を続けられるか分からない」と話されていました。大手住宅メーカの請負仕事をしている工務店の方も、「住宅リフォームの直接発注がほとんどなくなり、大手建設メーカの仕事を請けているが、仕事も少なく単価が大幅に引き下げられて経営が苦しい。何とかして建築の仕事が増えるような市の施策を作って欲しい」と要望されました。
このようななか、全国的に、台所・風呂場・畳・外壁・屋根・塗装などのリフォーム工事を地元業者に発注した市民に、直接補助金を出す助成制度が急速に広がっています。
県の制度として秋田県が実施しており、来年度から山形県が始めます。全国の自治体の1割175市区町村、群馬県内では明和町・中之条町・東吾妻町が実施しています。本市も建設関連業者の仕事を増やす救済策として、また、即効性のある地域経済活性策として住宅リフォーム助成制度の創設を今こそ具体化すべきと思います。答弁を求めます。

 A次にその効果についてです。

秋田県では、21億円の助成金で198億円の工事が発注されています。今年の4月に制度をスタートさせた岩手県宮古市は、総工事費20万円以上のリフォーム工事に一律10万円を助成しており、大きな反響を呼んでおります。同市では当初予算は5千万円でしたが申し込みが殺到したために6月と9月議会で総額2億5千万円を追加補正して対応しています。現在までに市内の持ち家の6人に1人が申請し、畳替え・屋根塗装・トイレ改修などの発注が相次ぎ地元業者はうれしい悲鳴を上げています。
この事業は、地域経済への波及効果が予算額の10倍を越すといわれるほど有効な施策です。大きな事業効果が期待できる制度と思いますが、どのような評価をされているかお聞かせ下さい。

3、次ぎに市営住宅の整備促進についてです。 

 @南橘団地の建て替え期間の短縮についてです。3年をかけて1棟48戸の工事がまもなく完了します。3棟を9年もかけて建設するのは時間をかけすぎると、これまでわが党市議団はくり返し指摘してきました。先日私は国土交通省で直接確認してきましたが、市営住宅の建て替え事業は、1棟を当該年度に建てる単年度事業も認めており、除却も含めて総建設費の2分の1の交付金は申請があれば問題なく交付できると明言しております。本市の建て替え予算を確保するとともに、2期・3期工事は建て替え除却対象の住宅の入居者も既設住棟への転居で少なくなっているので、設計も含めて工事期間の短縮を直ちに決断すべきです。答弁を求めます。
 
 A次に耐震補強工事についてです。本市の対象棟数は9棟ですが、入居者には知らせていません。どのくらいの費用でいつまでに工事を完了するかについての計画がありません。釧路市では耐震改修が必要な8棟を市民に公表し、2015年までに約29億円の事業費で完了する計画を明らかにしています。本市においても市民の生命にかかわる補強工事だけに、明確な計画を立てて市民に示すべきだと思います。また、エレベータの設置は今年度末で8団地9棟23基ですが、今後の設置計画を具体化し、入居者に示すべきです。それぞれ答弁を求めます。

 B雇用促進住宅の買取についてです。市内には総社町と天川大島町に4棟120戸の雇用促進住宅があります。厚生労働省は、地方自治体への譲渡を表明しており、譲渡価格も不動産鑑定評価の半分に減額し、10年間の分割払いまで配慮しています。市営住宅として購入し、市民の低家賃住宅として管理すべきです。以上答弁をそれぞれ求めまして第1回目の質問といたします。


【自席での1問1答】

1、最初に買物難民の支援策についてです。高齢者が歩いて買いものができる近所の商店やスーパーがなくなった地域は芳賀団地や鶴が谷団地のような郊外のみならず、サティやヨーカドーが撤退したために休市内などなど市内全域に広がっています。
私の住んでいる南橘町にも高齢世帯や高齢単身世帯が増え、日々の買物に不便している方が増えています。
すべての市民が高齢化すれば買物難民になって行く可能性を秘めているだけに、全市民的な施策として、また高齢者が元気に暮らしていける街づくり位置づけるべき課題です。
いま、すでに買物支援策を実施している自治体に共通している点は、地域ごとの高齢者のニーズを把握し、それぞれの実情に合わせて、支援策を選択し、国の緊急雇用の補助金など国の有利な各種補助金を活用して、できる限り財政負担を少なくしながら民間のノウハウも活用しながら、効果的な事業運営をしています。
買物支援策以外にも商店街を衰退させた大型店中心の街づくり政策の転換も必要ですし、マイバスやデマンドバスのような交通政策の充実もふくめて横断的な検討が必要です。ニーズ調査と検討委員会の立ち上げを一日も早く商工観光部を中心に、政策部や福祉部健康部と連携して早期に事業をスタートするという立場に立つべきだと思います。いかがですか。

2、配食サービスの対象者に買物難民を広げるべきとの私の意見には全く耳を傾けようとしていないことは残念です。これから高齢化がいっそう進みます。買物困難者はバスやタクシーを使わなければならない。私の近所の92歳の一人暮らしの女性は、タクシーを利用して富士見のベイシアに買物に出かけますが、行きかえりで1600円のタクシー代を支払って1回に2000円程度の買い物をしています。近所に移動販売車が来てくれたり、買物送迎バスを運行してくれたらうれしい。と話しておられます。低所得者は生鮮食料品の摂取が結果として少なくなって、健康を維持できなくなることが多くなります。だからこそ、配食サービスの利用を拡大して、一日1食でも栄養価の高い食事を提供することで、健康を維持し、病気や要介護状態にならないように支援することは、必要なのではないでしょうか。配食拠点を増やすことも含めて、検討の俎上に乗せるべきだと思います。いかがか。

3、住宅リフォーム助成制度の広がりで、いまや「個人資産に税金の助成はできない」などという議論はなくなりました。たとえば64市町村のうち20自治体が実施している埼玉県などでは、この制度は景気対策として理解されており、全く制度に批判的な意見はなく、むしろ中小商工業者への仕事起こし施策として市民に歓迎されているそうです。事業の所管は住宅リフォームの促進という観点では建設部局になると思いますが、本当は経済波及効果の高い有効な地域経済振興策です。税金が呼び水で仕事を広げ、雇用を広げ、消費に回り、生きたお金として市内を循環します。市民が喜び、中小業者が潤い、雇用が広がり、商店の売り上げも増える、1石2鳥にも3鳥にもなる事業です。制度創設の立場から検討していただきたいと思いますがいかがでしょうか。

4、市営住宅の施策の充実についてお聞きします。

国土交通省は公営住宅の抑制をしており、新規住宅の建設には消極的で問題ですが、既設住宅のリフレッシュ事業については予算も確保し、積極的に自治体の整備事業を支援しようとしています。建て替え事業も耐震補強もエレベータ設置事業も、予算をしっかり確保して整備を促進していただきたいと思います。道路建設などの土木事業と比較しても、修繕も含めた市営住宅の改修は多くの関連業者の仕事を増やし、経済を活性化させます。市営住宅整備は福祉施策としての側面も持っています。エレベーターの整備は閉じこもりや階段からの転落事故をなくし、高齢者の自立も促します。耐震補強は住宅の管理責任者として当然求められる工事です。
市営住宅の長寿命化計画を市民に公表して、促進すべきです。

5、今も約400名もの市営住宅入居待機者がいるにもかかわらず、国の抑制策の言いなりになって、市営住宅の管理戸数を増やさないという立場は、市民の低家賃の公営住宅を求める願いに背を向けています。雇用促進住宅の購入については、国が有利な譲渡案を提起していることは全庁的に承知していないのではないでしょうか。地価も下落していますので、相当有利な購入契約になると思います。市かも両方とも群馬総社駅。前橋大島駅に近く立地は他の市営住宅に比べても大変好条件です。しかも、公営住宅法に縛られませんので、単身者や高齢者の入居など裁量で入居させられる低家賃の住宅に活用することもできます。そのような検討を建設部長、再度、できませんでしょうか。答弁を。


●最後に市長に答弁を求めます。市長は、生命都市・いきいき前橋とか「住んで安心、暮らして満足、市民力前橋」を政治理念に掲げておられます。
私が今日質問した買物難民対策も住宅リフォーム助成制度も、市営住宅の耐震補強工事のリフレッシュの促進も、市長が掲げたこの理念にすべて合致するものばかりです。部長の答弁は、いずれもあまり積極的ではありません。市長自身はどのようにお考えなのか、簡潔に答弁を求めて私の質問を終わります。

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