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議会報告

教育福祉常任委員会質問( 2011年5月20日 長谷川薫議員)【2011/5/20】

教育福祉常任委員会(2011年5月20日)長谷川薫議員の質問

 いま多くの市民や児童生徒の保護者から、500名あまりの子どもたちが犠牲になった今回の東日本大震災を教訓にして、地震などの災害から子どもたちの命と安全を守ってほしいという要望が強く出されております。いまもなお余震も心配されますし、福島第一原発の事故も収束しておりません。地震はいつどこで起こっても不思議はありません。そこで、通告にもとづいて順次質問させていただきます。

1、今回の地震は多くの市民が体験したことのない震度5強の強い揺れでした。本震後も強い余震が続いたために子どもたちも大きな不安を感じたと思います。
 また学校や保育現場の教職員や保育士のみなさんも、初めて体験した大きな揺れであったことや地震発生直後から固定電話や携帯電話も不通となり、東部地域では停電になったこともあり、学校や保育所などの現場では地震発生時の避難や子どもたちを安全に帰宅させることについては、それぞれ現場の独自の判断が求められたと思います。
 
私も地震の翌日、市内の小学校に出向き校長先生に地震発生時の様子をお聞きしました。地震発生時は、日頃の避難訓練のとおり大きな揺れがなくなるまで机の下にもぐらせて安全を確保させて、揺れが落ち着いてからでランドセルなど何も持たないで直ちに運動場に避難させ、その後は、余震続いていたために、教室に戻るのは危険だと判断して、担任教員だけが寒さ対策のために児童の上着を教室に取りにもどって児童に着せてから、上履きのまま全児童を集団下校させたとのことです。
 一方、ある小学校では余震が続くなかで集団下校させたために、帰宅途中に余震が来たために、電柱もグラグラ揺れて、道路上に子どもたちが恐ろしくなってしゃがみこんだそうです。下校時間ではありましたが、あの余震が続いている中で、すぐに子どもたちを下校させたのは、危険でもありかわいそうだったという保護者の意見も聞いております。東部地域では地震直後の停電によって信号機が消えた中で帰宅した児童もいたのではないでしょうか。
 
 また、乳幼児を含む大勢の子どもたちを預かる保育所は災害時、より大きな危険にさらされたのではないでしょうか。
保護者が働いているため、すぐ保育所に駆け付けることは難しいと思います。
延長保育を実施している保育所や保育園では、停電などの対処はどのようにされたのでしょうか。

そこで伺います。3月11日の地震発生時に保育所や小中学校の現場では児童生徒をどのように避難させたのか、安全確保のためにどのような判断が行なわれたのかなどの状況についお聞かせ下さい。学校教育課長と保育課長の答弁を求めます。

2、幸いにも今回の地震で子どもたちにけがなどはありませんでしたが、私は、今回の地震発生時のすべての保育現場や学校現場の避難状況を詳細に把握して、問題点はなかったか、改善すべきことはなかったのかなどをしっかり検討し、今後の避難や子どもの安全策を確立すべきだと思います。それぞれの学校や保育所の建物の状況や当日の風当たりの強いところや弱いところなど自然条件、地盤の状況による揺れの強弱の違いなどで、避難の判断も相違があると思います。したがって、単純に避難の判断の相違を問題にすべきではないと思います。事実にもとづいて総括し、総合的に検討をして、これまでの災害時の避難マニュアルの見直しをおこなうことも必要なのではないでしょうか。それぞれ見解を求めます。

なお、現行の災害活動実施マニュアルには詳細な避難方法についての記載はありません。どのような検討をされていますか。聞かせ下さい。

3、つぎに、日常の避難訓練の実施状況について伺います。

@乳幼児を預かる保育所は、各種災害を想定した避難訓練を毎月行うことが義務づけられているそうですが、本市の保育所および園の実施状況をどのように把握しているか。
 小中学校の避難訓練の実施状況についても順次答えください。

A地域防災計画や地震対策編の災害活動実施マニュアルをみると、初動期対応は避難誘導した後、建物の被害状況を把握するなどと記されています。私は、もう少し子どもの避難誘導策については今回の避難を教訓に詳しく記述するとともに、保育や学校現場の日常的な訓練に生かすべきと思いますがいかがですか。

●前橋市では津波はありませんが、地震を誘発する活断層が県内には6本も走っております。直下型の大きな地震がいつ発生するかわかりません。子どもたちの命を守るための避難誘導策についての検討を行なうよう強く求めて次の質問に移ります。

3、次に、保育所や学校施設の耐震化についてです。保育所や学校施設は、児童・生徒が一日の大半を過ごす学習、生活の場であるとともに、学校施設は地震、豪雨等の災害発生時には、地域住民の応急的な避難場所、地域の防災拠点としての中心的役割を担っています。
 地震発生時において、乳児や児童・生徒の人命を守るとともに、地震等の災害発生時の児童生徒、地域住民の避難場所として必要となる機能を果たせるように、施設や設備の損傷を最小限にとどめるために、十分な耐震性能をもたせて保育所や学校施設を整備することが重要であると思います。
そこで、現時点の保育所園・児童館・学童保育所、校舎や体育館などの学校施設の耐震化率はどのようになっているのかお聞かせ下さい。
文科省が公表している小中学校の耐震化率は、昨年4月1日が現在で73.3%です。

A今回の地震で大規模ではありませんでしたが、学校施設の損壊もありました。朝倉小学校の体育館の天井材の一部落下もありました。今回の地震を踏まえて、本市の保育所や児童クラブ・児童館や小中学校施設の耐震化を急ぐべきだと思います。従来のテンポで進めるのか、それとも耐震化を促進するのか、基本的な考え方と方針をそれぞれお聞かせ下さい。


現在の状況をみると、教室では耐震性が劣る教室が、桃井小・元総社小・元総社南小・粕川小・1中・5中、体育館は多くの小学校34校、中学校が11校が耐震性なしと診断されています。一九八一年の新耐震基準以前に建てられた、建物が大部分です。耐震診断によって、耐震性のない建物と確認されながら未改修のままであることが明らかになっているにもかかわらず、耐震補強が先送りされているのです。

大規模な地震によって倒壊等の危険性の高いIs値0.3未満の体育館が本市には何棟ありますか。
二宮小学校・東小学校・上川渕小などが該当しますが、耐震診断がこれからのところもありますので、大規模地震に耐えられない体育館が少なくないのではないでしょうか。

B耐震補強工事を行なう場合の現行の国庫補助制度がどのようになっているのか、概要をそれぞれお聞かせ下さい。

体育館の耐震補強工事に必要な予算は1校当たり約5000万円で国の交付金は3分の1との事です。耐震化が進まない理由として、「耐震補強事業の予算措置が困難」、「耐震診断経費の予算措置が困難」と財政面での問題があると思う。
 多数の学校を抱える設置者である市が、多大な財政負担が生じることから耐震化を躊躇しているという現状を、どのように解決して耐震診断の実施、耐震化の促進を図るのか。

●設置者が行う公立小中学校施設の改築又は耐震補強に係る事業については、義務教育諸学校施設費国庫負担法(昭和三十三年法律第八十一号)第三条第一項等により、これに要する経費が国庫負担又は国庫補助の対象とされている。また、地震防災上緊急に整備すべき木造以外の校舎の耐震補強に係る事業等については、地震防災対策特別措置法(平成七年法律第百十一号)第四条等により、国庫補助の割合を当該事業等に関する法令の規定にかかわらず二分の一にする等の特例措置が講じられている。

国は、設置者が学校施設の耐震化を促進するために、現行の国庫負担・補助制度の見直しを含めた財政措置を講ずべきと考えます。
 学校施設の耐震化等は、重要な社会資本の整備であり、この事業に対する国等の財政支出は経済的効果があると思います。
強く国に予算化を迫るべきですが、基本的な考えをお聞かせ下さい。

●体育館は卒業式や入学式、全校集会など大勢が集う機会が多く、中学校では部活でも使います。さらに、いざという災害時には避難所にもなる施設です。私は、耐震診断は国土交通省の補助事業も受けられるとの事ですが国に対して予算増額を強く求めて、一日でも早く耐震化を完了すべきだと思います。国や県への働きかけはどのように行なっているのかお聞かせ下さい。

「市民の生命・財産を守る」ことを基本とし、市有建築物の優先的かつ計画的な耐震化を促進していくとともに、地震に強いまちづくりを推進していくべきです。
●子どもの命を守るためにはお金を惜しまないという政治姿勢が行政の基本的なスタンスが今ほど求められているときはないと思います。もちろん、基礎学力をしっかり身につけさせ、いじめも不登校もない学校づくりが求められますが、自然災害や原発事故からこどもたちの命を守る・安全を確保するという教育行政が改めて求められていると思います。ぜひ、耐震化工事の促進を求めておきます。


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