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議会報告

第二回6月定例会 総括質問 小林久子【2011/6/17】

1、まずはじめに東日本大震災をふまえた防災計画の見直しと災害に強いまちづくりについてうかがいます。
今回の大震災で、前橋市でも震度5強の地震が発生し屋根瓦の損壊が2000件を超え、石塔の転倒やブロック塀の破損、学校校舎や議会棟など市有施設も被害を受けました。停電もかさなり、身の安全確保、日頃の防災対策の必要性が新ためて認識されました。被災地域では咄嗟の判断が生死を分けたと言われています。防災計画を見直し、実効性あるものにしていかなければならないと思います。

@一つは避難誘導体制の問題点と改善策
 3月11日の大震災発生時、市内各施設で、避難誘導体制がどうであったかそれぞれ検証が求められていると思います。市役所庁舎と議会棟では多くの職員、来庁者が建物内にいました。庁舎上階のゆれは大きくエレベーターも停止し、断続的にゆれが続き、避難すべきかの判断がせまられ、階段を下りる来庁者もいました。また、議会棟は玄関のガラスに亀裂が入ったり壁の落下など建物被害と、議会棟を取り巻く駐車場にも来庁者がいました、職員や来庁者に対して的確な避難誘導体制がとられたか。
また学校は、それぞれの判断で対応が異なりました。下校時は、まだ余震が続き、停電で信号機が止まり、電話も不通になるなど、地震後の混乱が生じていました。こうした中、子どもたちを下校させ危険はなかったのか。 地震から子どもたちの安全を守る上で良かった点悪かった点を検証し改善が必要と思いますが、それぞれお答えください。

A次に災害時における要援護者への対応
  今回の大震災でお年よりや小さい子どもなど、いわゆる弱者が逃げ遅れて、多くの犠牲がでました。一人暮らし高齢者・障害者など日ごろから地域で災害時に支援が必要な人を把握しておくことが大切です。自主防災会がうまく機能している地域もありますが、地域の要援護者の把握についてはどのような手立てを取っているかお聞きします。

B次に防災訓練について
防災マップには災害時の避難場所や行動マニュアルが載っていますが、これを熟知し的確に行動できた人は少なかったと思います。多くの人が群馬は大丈夫と安心していたところがあったと思います。どこに避難すればいいか、即座に行動できるには、日ごろから危険箇所を知っておくことや訓練が大事です。分かりやすい行動マニュアルの整備・周知とともに、地震・風水害、火山災害などを想定した防災訓練をいちづけ定期的な実施をしていくことが必要と考えますが見解をお聞きします

(2)次に避難所の見直しと強化で
@1つは避難所の備品や備蓄品の見直しについて
停電で一部の地域で通信手段が失われ、学校など混乱しました。非常時の連絡や避難施設の運営上、非常用電源の確保が課題です。特に避難所となる学校施設や保育所、公民館などには自家発電装置を配備していくことが必要と思いますがいかがでしょうか。
また、今回の大震災は、道路の分断や交通機関の不通、ガソリン不足、原発事故による放射能汚染などがかさなり、被災地に物資が届かず 、水・食糧・医薬品・医療介護用品などあらゆる物資が不足しました。これらをふまえ、備蓄品の内容の見直しも必要と思いますがお答えください。

A次に県外避難者の受け入れで一次避難所の初期対応
今回の震災では各自治体の対応の違いが現れました。前橋市でも福島県などの避難者を受け入れましたが、初期対応は適切であったかどうか。しきしま老人センターに避難された方から直接お話を伺いましたが、「情報が錯綜する中でとるものもとりあえず出てきたが、車のガソリンが無くなり給油もできず、車を乗り捨て、各地を転々として、やっとたどり着いた」という人や、家や家族を失い「田畑も半分以上が海水につかり、農地は放射能にさらされ先が見えない」と訴えられました。こうした厳しい状況にある人に対して毛布2枚の支給で、食事、貸し布団は自前でという対応に前橋はつめたいのではと言う声が市民から寄せられました。県内の他の自治体を調べてみましたがどこも福祉センターや宿泊施設、温泉施設などを避難所として提供し、3食食事提供をしている自治体も県内に20近くありました。こういう非常時は被災者避難者を 区別せず災害救助法に基づきあたたかい対応をすべきではなかったでしょうか答弁を求めます。

A次に市営住宅入居者への対応ですが、避難時地域のコミュニティが大切といわれています。本市も3つの市営住宅などに被災者が避難していますが、見知らぬ土地で、話し相手も無くどうしても孤立しがちになります。小さい子どもを抱えて、保育園に預けたいと思っても、車がなくて、預けられないなどの相談もよせられています。今後仕事をふくめ生活の全体を物心両面で支えていくことが必要です。まず、どんなことでも相談ができる、被災者対応の総合支援窓口やホットラインを設置すべきでないでしょうかお答えください。

(3)次に災害時の通信網の整備について
今回の地震では停電で通信網が遮断され、災害情報や、学校・市有施設のとの連絡などができなくなり混乱しました。こういう事態に対応できる通信手段や市民への情報伝達方法を整えておくことが必要と思います。防災無線とともにメール、ツイッター、FMラジオなどの活用などを考えておくべきと思いますがいかがですか。
屋外拡声装置は85箇所に設置し放送を始めていますが、聞こえる範囲は限界があります。すべての人に聞こえるというのは難しいが、市民への情報伝達手段として、設置箇所数の増設が今後必要ではないかと思いますがいかがですか。

(4)次に前橋市建築物耐震化計画の促進について
@前橋市はこの計画を平成20年1月に策定し、市内建築物の耐震化の目標を定めています。計画の時点で耐震化がすんでいない建物は一般住宅が約44000戸、特定建築物が民間と市有あわせて216棟あります。市の耐震改修促進計画では、平成27年度までに、一般住宅85%、特定建築物は90%の目標を掲げていますが、現在の進捗情況をお聞きします。

A次に住宅リフォーム助成制度を創設についてですが、この制度は全国330自治体に広がり、県内では8自治体が実施しています。大震災で本市でも屋根瓦が損壊を受け、修理費用に多くの負担を余儀なくされていますが、太田市や桐生市、館林市、渋川市などは緊急対応として住宅リフォーム助成制度を被害を受けた屋根瓦の修理や改修にも使えるように、前倒しで実施しました。本市も屋根の被害が多数あったのですから、住宅リフォーム助成制度をつくり、屋根の改修に使えるようにすべきです。
また、住まいの耐震化とともに省エネ、バリアフリー、防犯などのリフォームの必要性が高まっています。市民の幅広いリフォーム要求にこたえるために、住宅リフォーム助成制度の実施が必要と考えるが答弁を求めます。

B次は市営住宅9棟の耐震化について。
今回の大震災で市営住宅は、冷蔵庫や食器棚など家財が倒れ、外に逃げたり、公民館に避難した人もいました。幸い大きな被害が無く、本当に良かったと思います。市営住宅など高層の建物は、下の階が被害を受けやすくなります。私たち市議団がボランティアに入った仙台市では、築10年、12階の市営住宅が、すべての壁に亀裂が入り、無残な姿になっていました。新耐震基準を満たしているので構造事態は影響を受けず、命を守ることはできましたがここは全員退去となりました。前橋の市営住宅9棟は1986年以前の旧耐震基準によるもので、多くの住民の命を危険にさらします。今住んでいる住宅が耐震が必要だと知らされていない住民は、地震時のすばやい対応を遅らせ被害を増大させることになるのではないでしょうか。耐震化が必要な住宅だときちんと住民に知らせるとともに、耐震化計画を明らかにし実施を急ぐべきです。お答えください。

C次は学校施設の耐震化です。東日本大震災で多くの学校が住民の避難所になったことをうけ、5月24日文科省は公立小中学校の施設整備の基本方針を改正し、2015年までの全学校の耐震化完了を明記しました。大震災で「安全性の確保が極めて重要。一刻も早くすべてを耐震化することが最大の課題」と2015年のできるだけ早い時期に耐震化の完了を目指すとしました。国は地震防災対策特別措置法の改正で今年3月末までの期限だった耐震化工事の国庫補助率3分の2を15年度まで延長しました。本市の小中学校体育館の耐震化は大変遅れています。国の促進策にあわせて、予算措置もし、耐震化のテンポを速める必要があると思うが見解をお聞きします。

(5)次に原子力発電所災害発生時の対応を防災計画に位置づけることについてです。今回の原発事故はいまだに収束の目途が立っておらず、高レベルであるにもかかわらず、国が放射線量の速やかな公表および、避難指示や対応策などが遅れ、市民生活に不安が広がっています。本市でも放射線量の測定を始めたが、市民の不安に答えるには、上下水道施設、学校、清掃工場などの市の各施設や、土壌や農作物などの測定計画をたて速やかに公表すべきです。全国で多くの自治体が、原発の安全神話からの撤退の意思を示しています。市民、子供たちを放射線被害からどう守るか、防災計画の中に、原発事故時の対応をきちんと盛り込むべきと思うが見解をお聞きします。

2 次に市の消防力の強化と消防広域化計画について
@整備指針に対する充足率と対応 
平成22年は火災発生件数が131件とやや減少傾向、建物火災が85件、延焼棟数124棟、全焼36棟、焼損床面積が5456平方メートルで過去10年間で2番目に多い面積になっています。死者3人、56世帯が罹災。救急出動件数は13543件で増加傾向にあります。
国の消防力整備指針は、消防署の配置と数など各種基準を定めていますが、現在の整備指針に対する職員、車両の充足状況をお聞きします。

B県の消防広域化推進計画
 また、県の消防広域化推進計画では、消防組織の一元化を進めようとしています。消防は火災等から住民の生命・身体・財産を守るという大変重要な役割を果たすものであるだけに、火災予防も火災出動も、より地域密着型の実践的な消防行政が求められています。広域化では初期消防の遅れや消防署と消防団の連携が難しくなるなどなどさまざまな問題が生じます。広域化については、反対を表明している首長もおり、前橋市としても、県の広域化方針に縛られるのでなく、広域化に安易に参加すべきではないと考えるが見解を伺います。

3、新清掃工場の立地場所の問題について
@ハザードマップの浸水地域
新清掃工場予定地は、ハザードマップでは建設予定地が洪水時には、2〜5メートルの浸水地域にはいり、浸水想定区域の指定がされています。
先日おこなわれた都市計画課の住民説明会では、地元住民から、広瀬川と荒砥川の合流点は過去にも大洪水があったところであり「ハザードマップで、5メートル浸水という危険が想定されるところに建設するのはどうか」との発言が合いついででました。今回の大震災で釜石の湾岸防波堤のようなトップレベルの施設を整備しても津波に脆くも破壊されてしまいました。大震災から学ぶべきは、想定外という考えや、安全神話からの脱却、技術過信への戒めなど、自然の驚異を国民が改めて認識しなければならないということだと思います。絶対的な安全などありえないと今みんな思っています。こうしたことから、あえてリスクが高いとわかっているところに新清掃工場を統合し建設することに対して住民の理解はえられないと思いますが見解を伺います。

また建設予定地は軟弱な広瀬川砂礫層の上にあり、柏崎銚子構造線と関東平野北西縁断層帯にはさまれ818年の弘仁地震の記録もあります。もともと河川だった地域で、掘れば水が出てくる地域で、駒形駅橋上工事でも設計変更を余儀なくされています。より強固なものにしようとすれば、かなり深く掘削し支持基盤を作らなければならず、莫大な経費がかかります。そうしてまでこの地に建設しなければならないのか。この点をどう考えているのか伺います。

4、西大室の産廃施設建設について 
 (1)事前協議
@有限会社ヤマエンタープライズが西大室町に産業廃棄物処理施設の建設を進めようとすることに対して、現在、地元では建設反対の運動が起こっています。事業者は産業廃棄物である廃プラスチック混合物をゼオライザーという低温分解処理する施設と、コンクリート廃材を破砕処理する2つの施設をつくろうとしています。市は平成22年1月21日付けでヤマエンタープライズに対して設置協議の手続き終了の通知を出しましたが、
第一の問題は、事前協議に提出された合意書等の書類の記載に不備があったことです。昨年12月に県の都計審に提出しようとしましたが、書類の不備が見つかり延期した経緯があります。事業者は周辺地権者から同意書と合意書の中に、提出の日付時はすでになくなっている人の署名や、土地の地番の記載の誤りがありました。このような書類の不備がありながら、チェックが不十分で、事前協議の終了を市が出していることです。
A問題の第2は、合意書等の取得方法に問題があり、周辺地権者が撤回意志を示し、地権者の合意が得られていないことです。
私も周辺地権者から取得時の状況を直接おききしましたが、産廃施設じゃないよねといったら、そんなものではないといわれ、他は全部とってお宅が最後だからといわれ、しょうがなく書いたといっています。もう一人の方は資材置き場といって署名したが産廃施設とわかり反対したら、何時間も居座り最後は脅迫めいた口調で迫られ、この方もあんたが最後だからと言われみんなが賛成したなら反対しても仕方ないと思い判を押したといっています。このように産廃施設であることを隠したり、長時間居座り、威圧的な言葉で署名を迫るなどの取り方は問題です。また近隣住民、自治会も反対の意志を示しています。22年4月16日、産廃施設計画反対の署名1164人分を市長に提出。4月19日には、市長とヤマエンタープライズに対して、産廃施設に隣接する地権者や7人の合意書と同意書の撤回の意思を内容証明郵便で送っています。同年9月21日には1109人の反対署名を持ち再度市長に陳情しています。県も反対署名が提出されています。
こうした合意書等の問題、住民の強い反対がありながら、問題なしとして県の都計審にあげてしまったことには市の姿勢に大きな問題があると思われますが、この点をどう認識しているのか。それぞれお答えください。

(2)ゼオライザーという低温分解施設の安全性・環境への影響について。
 廃プラスチック混合物を低温分解する施設は実証実験を数回行ったが、悪臭が発生し住民の通報で実験が中止になったと聞いています。この施設はゼオライトを触媒としてごみを低温で分解し、1000分の1に減用化し発生した分解ガスを循環させ、有害物質は一切外には出さないとアピールしていますが、臭い対策で後付で活性炭吸着装置をつけています。設置予定は実験した機械の33倍の規模とのことでが、もともとコンパクトな設計で地元のごみ処理に役立つよう開発されたもので、大規模産廃施設の処理 を目的にしたものでなく、まだ完全なものではないと開発者も言っています。
また、農業振興地域で大正用水がすぐ下を流れています。ゼオライザーは約6トンの水を使い、分解ガスをシャワーリングで水と油に分解し、大量の汚染水が発生するが、適正に処理すると言っていますが、投入前の廃棄物の保管時、低温分解時、分解後の保管処理それぞれ高濃度の有害汚染物質が流れ出す危険があり、雨水に混じって汚水が用水に流れ込む危険があります。周辺農業や環境への影響をどのようにかんがえているのか答弁を求めます。


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