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議会報告

第二回6月定例会 報告3号「前橋市国民健康保険税条例の改正の専決処分について」反対の討論  中道浪子【2011/6/24】

  私は、日本共産党前橋市議団を代表して、報告第3号前橋市国民健康保険税条例の改正の専決処分について反対の討論を行います。
 この条例の改正は、昨年の課税限度額4万円の引き上げに続く、さらなる引き上げ案です。
 今回は、基礎課税額を50万円から1万円引き上げて51万円、後期高齢者支援金等課税額も13万円から1万円ひきあげて14万円、加えて介護納付金課税額も10万円から2万円引き上げて12万円にして、合計4万円の引き上げとなり、73万円の最高限度額が77万円となります。
 このことにより、昨年度当初課税ベースでいうと3,837 世帯に影響し、合わせて5,161万円の負担増となります。
例えば2人世帯で一人の所得の場合、年間所得771万円以上の世帯が77万円の課税限度額の徴収がされることになります。
 低所得者や中間所得者層への負担増を避けるものとはいえ、課税限度額を連続して大幅に引き上げることは場当たり的のものであり、本来求められている国保制度の抜本解決策ではありません。
 課税限度額を連続して引き上げることで国保財政の一時しのぎをするのではなく、例えば、課税限度額制度をなくして累進課税方式に改め、課税所得額をもっと細分化するとともに、本来の高額世帯へ所得相応の国保税の徴収ができるように改正することが求められているのではないでしょうか。
 本市においても現行の国保制度は、制度疲労ともいえる問題が深刻化し、国保税の滞納世帯は年々増加し、昨年10月度の資格証と短期保険証の交付世帯は3,660世帯で、前年度と比較して若干減少したものの、資格証の交付世帯は1,278世帯で加入世帯に対する交付率は2.3%、短期保険証の交付世帯は2,382世帯で交付率4.3%という大変な状況です。
格差と貧困が広がる中で、医療費を削って生活しながら、それでも滞納に追い込まれ分納しながら短期保険証を受け取る事例が増加しています。
 このような世帯では、慢性疾患を患いながらも、定期的に診療を受けられない患者も増えており、医療関係者は患者宅を訪問し、通院の継続を勧めるという命を守る取り組みも行われており、深刻な受診抑制が起きています。
 まさに、お金の切れ目が医療を受ける機会を抑制し、国民皆保険制度が形骸化されつつあります。
 そもそも地方自治体の本旨は、住民の福祉の増進に寄与する立場を貫かなければならないのに、国民皆保険制度の下で住民の命と健康が守れない状況を生み出していることは、由々しき事態です。
 こうした事態を招いた最大の要因は、国保に対する国の国庫負担の大幅な削減があります。国保は、医療保険のセーフティーネットで、他の保険に入れない高齢者、病人などの無職者、ワーキングプアーなど低所得者などが多く加入する制度であります。そのために財政基盤が弱く、そもそも国が大きく財政保障をしなければ運営が成り立たないのであります。
 かつて、市町村国保収入に占める国庫支出金は1974年度には最大58%でした。しかし、2008年度は24%にまで半減しており、国庫負担の減額と高齢化の進展による医療給付費の増額にともなって市町村の国保税が大幅に上がり、国保運営そのものの危機的状況が生まれています。
 このため、各市町村は国保財政の運営が苦しくなり、加入者への国保税の引き上げと収納率向上を目指して厳しい滞納整理に力を入れて強権的な取立てで、給与や売掛金、年金まで差押えして、憲法25条で保障すべき生存権をうばいかねない異常な行政運営が広がっています。
 本市のみならず、すでに多くの自治体では、国保財政は自治体と国保加入者だけの努力では解決できない状況に追い込まれているのです。
国は削減した国庫負担分を戻さず、市は、それを補うための一般会計からの繰り入れをしようとせず、県レベルでの国保の広域化推進や課税限度額引き上げだけに追随することは国保制度の抜本解決策とはならないということを強く指摘し、反対の討論といたします。

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