トップページへ 前のページへ 目次ページへ
議会報告

福島原発事故による放射能汚染と対策について 総括質問 近藤好枝【2011/6/24】

1、福島原発事故による放射能汚染と対策について
(1)子どもおよび市民の放射能汚染に対する安全確保
3月11日の東日本大震災から私たちの生活と価値観は大きく変化しました。地震、津波そして世界に例を見ない原発事故による放射能汚染です。事故はいまだ収束のメドがたたず、子育て中のお父さんやお母さんは子どもへの健康被害に対する不安が増しています。その最大の原因は、汚染状況の把握、測定が詳細に行なわれていないこと、健康被害への納得のいく説明が十分されていないことであると考えます。そこで以下質問します。

@子どもに関わる問題

ア、最初に、群馬県が実施する保育所や校庭1箇所の地点での測定は子どもの生活実態を反映しきれないと考えます。 私は今月に入り子どもたちの遊び場としてたくさんの親子連れが利用している公園に出かけ、感度のよい測定器で何カ所も何回も計りました。公園の中央は0・1マイクロシーベルト、木の根っこは8倍の0・8マイクロシーベルト、遊具の周りが囲まれているところは、空気がたまりやすいので0・7マイクロシーベルトくらいありました。本市として測定器を購入していますが、保育所や保育園での日常生活からも、幼稚園や小中学校の生活からも各施設でいつでもどこでも空間放射線量が微量でも測れるようそれぞれ放射線量計を全施設に配布すべきと考えますがいかがですか。

答え 配布する考えは無い、今後保育所や学校について、市が購入した測定器で(県と同じ機器)定期的に全保育所や全小中学校で定期的に測定する。

○保育所や学校の中心点の1地点を測定をするのかどうか。その測定の理由をお聞かせください。

答え
正しく測定するためには原発ではなくもともとの放射線の影響がわからないので評価できない。

イ、もともとの自然放射能や人口放射能であっても原発で受けた新たに加わった放射能であっても、子どもたちに与える影響はその合計したものによる健康被害です。子どもの日常生活に与える健康被害に対する対策であるはずです。子どもは一箇所にじーっとしているわけではありません、0歳児の乳児は砂遊びや泥んこ遊びで泥を口に持って言ったり、砂埃が口に入ったりと、放射性物質を含んだ泥や砂やほこりを口に入れる危険性が高いと考えます。現場の先生方もぜひ細かく測ってほしいと言っていますので、保護者や現場の先生方の要望に応えていただきたいと思います。
測定した値に対する対応ですが、セシウムは表土の2から3センチに積もりますが、表土の除去を考えていますか、部分的に測定した値が高い場合は、立ち入りを禁止するなどの処置も求められると考えますがいかがですか。


ウ、学校プールについてです。セシウムはプールの底にたまりやすいのではだしで入ったら皮膚から吸収したり、切り傷などから侵入します。呼吸から吸入して体の中に入ります。県内でも今年は汚染されているので、例年と違い掃除は教師や保護者が行なった学校もありました。前橋市もこのような対応をすべきだったと考えますがいかがですか。私どもに寄せられた保護者からの話では、プールの水の検査が行なわれていないのが不安でプールの授業を見学していた子どもが1クラスで5人いたとのことです。そこで、検査については全ての小中学校で実施し、雨に放射性物質が含まれている可能性があるので、雨が降った後は直ちに検査し、検査結果が出るまではプールに入らないとかシートをかけるとか浄水場の対応と同じく厳格な対応をすべき考えますがいかがですか。

答え 健康科学大学の専門家に聞き、現在の空間放射線量ならば問題ない。

子どもたちの健康問題を充分検討した対応にならず残念です。プールは泳いでいると水を飲み込みますから、水道水の検査と同じく厳しい基準で監視すべきです。

エ、学校給食の食材について放射能汚染測定の検査が行なわれ大変よかったと思っています。今後さらに、検査品目と検査回数を増やし、産地表示も実施してほしいと考えますがいかがですか。

答え 安心を担保するために実施した。検査環境が整った。検査内容は給食に使う頻度の高いものから簡易検査をしている。今後、魚介類も含めて検査する。
今後産地表示もする予定

今後も検査回数を増やして保護者の不安に応えてほしいとおもいますし、汚染された食品が検出された場合、食材として使用しない決断も迅速に行なっていただきたいと思います。

オ、教育長に伺います。測定した数値への対応と考え方ですが、文科省は4月19日に小中学校などの施設での1年間の積算放射線量の基準値を20ミリシーベルト以内と指示しました。この暫定基準値はお母さんがたから猛烈な避難をあびて、5月27日に当面の対応として1ミリシーベルト以内をめざすとしました。この文科省の方針についてどのように考え本市の子どもたちに対応していくのか。理科がご専門と伺っていますので外部被曝と内部被曝の合計をどのようにかんがえるのかお伺いします。

1ミリシーベルトになっても、これはあくまでも学校にいる間の空間放射線量であって、外から受ける放射線被害つまり外部被曝を問題にしています。
内部被曝はプールや学校給食や飲料水、家庭などで食べる食事の中に含まれる放射性物質を体に取りこむことによる放射線被害です。双方の合計が子どもに与える放射線被害です。
私は日常の生活を保障しながら、市民を始めとりわけ子どもに対しては、放射能汚染対して、ここまでだから安全という基準はないという立場で限りなくゼロに近づけるための対策を総力を上げてとるべきと考えます。そのためのあらゆる知恵をと対策をお願いします。

A市民に関わる問題
1−ア、前橋市水質浄化センターの下水汚泥についてです。私ども共産党市議団が申し入れた6月の水質浄化センターの一般開放は危険性があるので中止するよう求めましたが、中止となりよかったと思います。 放射性物質の検査の問題ですが、5月20日の下水汚泥の焼却灰のセシウムの値と焼却灰を濃縮した溶融スラグのセシウムの値と比べると3割に減ってしまいました。つまり、セシウムが気化して溶融施設の煙突から空気中に飛散したのではないかと考えられます見解を伺います。ばいじんに含まれる放射性物質の検査をし、飛散しているのか否かを検査すべきと考えますがいかがですか。

イ、実際に周辺に拡散した可能性は高いと考えます。下水浄化センターの周辺住民は不安を感じています。私もサーベイメーターで地表や1メートトル地点を20数箇所測りましたが下川地区では2マイクロシーベルトを計測した場所もありました。周辺の測定をするとの答弁がありましたので、ぜひ調査結果の公表と周辺地域の土壌についても放射性物質の検査をすべきと考えますがいかがですか。


検査した結果放射線濃度が高い地域が見つかった場合はしっかりと対策を立てていただきたいと思います。

ウ、周辺の空気汚染を防ぐための対策として、気化したセシウムを封じ込める装置を取りつける対策が必要と考えます。焼却炉への対策とともに溶融施設にもともに放射性物質を防止する設備を設置すべきと考えます。また、現在、新しく建設中の下水汚泥炭化施設にも設置すべきと考えますがいかがですか。

2、清掃工場の放射能汚染問題

○現在の六供・大胡・亀泉の清掃工場について、剪定枝や草むしりした雑草など放射能汚染されている可能性のあるゴミが排入されているので、特に施設内の集塵機や焼却灰は濃縮され、濃度の高いセシウムが検出される可能性があると考えます。答弁の中で施設の場内の空間放射線量は数箇所で測るとのことですが焼却灰の検査もすべきと考えますがいかがですか。

(2)食と農業に関する放射能汚染対策(健康部長・農政部長)
ア、安全な農畜産物を消費者が買って安心して消費してもらうために、風評被害をなくすためにも検査体制の強化が求められています。現在の検査体制は県が国の委託期間に依頼して週1から2回12から13品目をサンプリング調査をしているとのことですが、県と連携し、民間会社に調査依頼することなども検討し、調査回数、調査品目を前橋市の生産物について増やすべきと考えますがいかがですか。

政府の方針で市区町村ごとに、農畜産物の検査と安全確保の判断ができるのだから、きめ細かく行なうことこそ大事だと考えます。

イ、米の食品偽装や牛肉のBSEの発生、中国餃子の有害物質の混入など食に対する信頼が大きく揺らいでいます。こうした事態を受け法整備や検査体制の強化が行なわれてきました。今回の放射能汚染によって、農産物を始め魚介類など原材料から全ての食品に加工され流通していきます。これに対する、食品監視強化の方針が整備されていない中です。何を買い何を食べたらよいかとの声が高まっています。魚介類は高濃度の放射性物質の汚染水が海洋に拡散していることから原材料である農産物や魚介類など加工されたものについても放射能汚染食品の検査を前橋市としても検査すべきと考えるがいかがか

答え 出荷段階で安全性が確認されているので実施する考えはない

食品監視指導計画にも放射能汚染に対する監視の位置づけがされていない、食の安全を確保するためには厚労省の緊急時における食品の放射能測定マニュアルもあるのですから、検査をし、安全なものだけが流通するためにも、指導計画にも追加するよう強く要望します。


ウ、生産・加工・及び流通の履歴・取引の情報・所在に関する情報を追跡できるトレーサビリティーシステムは健康と命に関わる危険性を管理する方法として優れていると考えます。過去にも、国産牛肉や豚肉の一部や米や魚など各段階を通じて食品の移動を追跡する消費者に安全な食品を選ぶ点でも生産者の安定した信頼性を保証する上でも今後求められていると思うが、国にトレーサビリティーシステムの導入をするように求めるべきと考えるがいかがですか。

答え
農水省から平成16年よりトレイサビリティーを作るように指導されている。速度を速め努力する。

生産者と消費者の共通した信頼と安心を気づく上でも大事な問題と考えます。ぜひよろしくお願いします。
そして、国に対して食の安全を確保するため、放射能汚染の検査体制の強化と追跡調査、放射性物質の暫定的な基準の明確な検証を行い、今後30年以上続くであろう汚染対策システムのしっかりとした構築を行なっていただくよう強く求めていただきたいと思います。

それぞれ関係各部に渡って答弁いただきましたが、本市の放射能汚染問題に係わる対策は具体的に始まったばかりです。しかし、子どもを持つ親をはじめ市民の不安は増しています。本市として地震における災害対策本部は解散いたしましたが、原発事故に係わる問題は今後も長く続きます。全庁横断的な対策委員会をつくり専門家も入れて、情報収集から調査・対策、市民への広報活動などを担い、統一した見解と取り組みを行ない、原発に係わる損害などについてもしっかりと請求する機関が必要であると考えますので要望いたします。

ページのトップへ