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議会報告

第3回定例市議会・本会議総括質問(長谷川薫議員・2011年9月15日)【2011/9/22】

2011年第3回定例議会総括質問【長谷川薫9月15日】

1、新清掃工場の整備計画について

 @はじめに、新清掃工場の整備計画について質問します。さる8月20日に都市計画決定に向けた公聴会が開かれました。公述人として意見を述べた16人全員が、下増田町の建設予定地に強く反対を表明しました。公述人として発言した伊勢崎市民12名に共通した意見は、「予定地は前橋市民にとっては郊外かもしれないが、清掃工場から2.5キロ圏内は伊勢崎市の市街地である。三郷・宮郷・宮郷第2の3つの小学校、さらに第3中学校と宮郷中学校、さらに伊勢崎商業高校や市民病院・美原記念病院・大島病院があり特別養護老人ホームや保育園そして多くの住宅団地があり、ごみ焼却で発生する排ガスなどの環境負荷を多くの市民が受ける。予定地の見直しを求める13,749人の陳情署名を高木市長に提出したのに、全く無視して整備基本計画が決定され説明会が開催されてきた。国の環境基準さえ守れば、前橋市のどこに何を作ろうが、伊勢崎市民には口出しをさせないと言うのは許せない」と強調し、予定地の見直しを強く求めました。
 当局は、予定地周辺の住民の声に耳を傾けて、予定地を見直しをすべきだと思います。答弁を求めます。
(以下は質問席で行ないます。)

 A次に、公述人の多くが清掃工場稼働後の環境汚染への不安を述べています。
県条例にもとづいて市が実施し検討委員会に案として示した「環境影響評価準備書」では、ごみ焼却によって出る排気ガスについては群馬県内で最も厳しい基準値を設定しているなど、さまざまな措置によって、環境に与える影響は回避・低減されていると評価し、事業を計画通り推進しても問題なしという見解を示しています。
しかし、大気汚染防止法に基づく新清掃工場の排ガス規制値は、高さ80メートルの煙突から排出されるときの濃度規制だけであり、原則24時間連続運転される合計396トンの3基の焼却炉から排出される汚染物質についての総量規制は行なわれないのです。何の科学的根拠もなく、安易に環境や人の健康に及ぼす影響は小さいものと考えると断定しているところに今回の環境影響評価の問題点があります。
 環境影響評価書準備書の記述を改めて、大気汚染物質については年間排出総量を種類別に公表し、人に及ぼす影響を医学的にもできる限り明らかにすべきだと思います。見解をお聞かせ下さい。

●大気汚染防止法では、通常の排出基準だけでは環境基準の確保が困難な地域のみ、硫黄酸化物や窒素酸化物のみ総量規制を知事が行なえることとなっている。

 B新清掃工場の公害防止基準で1年間の排出される排ガスの総量を試算すると、鉛や水銀・アルミなど重金属を含む「ばいじん」は8トンにも及び、発がん物質のダイオキシンも40ミリグラム、カドミウムが17kg、硫黄酸化物は46トン、窒素酸化物は83トン、鉛化合物は89トンにも及びます。、排気ガスに混入して輩出されるダイオキシンや粉塵に含まれるこれらの重金属の多くは工場周辺の土壌に堆積することが予想されます。環境にこのようにさまざまな負荷を与える清掃工場を一箇所に集中するのではなく、できる限り規模を小さくして分散してこそ環境負荷を減らせると公述人の多くが指摘しましたた。新清掃工場への集約化はこのような観点と矛盾すると思いますが、見解をお聞かせ下さい。

 C次に、予定地は広瀬川と荒砥川に挟まれた軟弱地盤であり、しかも洪水ハザードマップには5bの浸水想定区域に指定しています。なぜわざわざこんな災害想定区域に清掃工場を建設するのでしょうか。地震や洪水による被害想定を小さくせず、集中豪雨などによる堤防の決壊や直下型地震による建物や施設の倒壊などに備えた万全な安全策が求められます。焼却炉にはダイオキシンや水銀などの危険な物質が蓄積されます。洪水で浸水すれば広範囲に汚染が広がります。また、最近もJR駒形駅舎の整備に当たっては、予想を超えた地下水脈があったために、地盤を固める工法を新たに採用するなどの工事を余儀なくされました。環境影響評価準備書面には、新清掃工場の建設に当たっては固い地盤に到達する基礎工事を行い、焼却炉そのものをかさ上げして浸水を防ぐなどの対応策を講ずる旨の説明がありました。しかしそのためには、土地の造成費用も清掃工場の建設費も河川から離れた平坦地に建設する場合と比べても相当高くなると思いますが、どの程度の費用がかかるのか、当然見積もりをされていると思います。その内訳と国と市の負担割合などの概算金額を簡潔にお聞かせ下さい。
 
●国からの交付金は本体工事費175億円のうちの58億円とお聞きしています。、現時点では、地盤安定化や浸水防止対策のための工事費はどのくらいになるか分からないとのことですから、今後費用が予想以上にかかるなどの事態が起こり得ると思います。

 D次に、一箇所に統合することによって、人件費を除くごみ回収車の収集委託料が現在の3工場体制に比べて、年間2億3千万円28%増えると試算されています。清掃工場の稼働を35年と想定すると、80億円以上もの新たな収集経費がかかります。本体工事費が175億円ですから、余分な運搬コストが本体工事費の半分近くもかかることとなります。一箇所統合によるスケールメリットは清掃工場のランニングコストだけではないでしょうか。答弁を求めます。

 Dごみ回収車の主たる進入道路となる建設予定地直近の交差点で交通事故が多発しています。9月4日には死亡事故が発生しました。関係部局は県と連携し信号機の設置をなぜ市道拡幅工事と並行しておこなわなかったのか。1日平均400台ものごみ回収車の通行が予想されているのに、あまりにも連携が不十分なのではないでしょうか。どのように対応しようとしておられるのか。見解をお聞かせ下さい。

 Eごみ回収車の主たる進入道路となる建設予定地直近の交差点で交通事故が多発している。9月4日には死亡事故が発生した。関係部局は県と連携し信号機の設置をなぜ市道拡幅工事と並行しておこなわなかったのか。1日平均400台ものごみ回収車の通行が予想されているのに、あまりにも連携が不十分なのではないでしょうか。どのように対応しようとしておられるのか。見解を求めます。

 Fこの問題で最後に市長に答弁を求めます。市民や伊勢崎市民の合意もないのに下増田町に建設を急いでおられます。
 私たちは、清掃工場の建設に何でも反対の立場ではありません。
私たちが強く反対した危険な溶融炉の導入を中止し試されずみのストーカ炉を選定したことは評価しますが、現在稼働中の3清掃工場の延命の努力を尽くさず、国が求めるごみ焼却施設の集約による経費削減方針に追随し、環境負荷を分散させずに一箇所に統合する計画を決めたことや、建設予定地を安易に下増田町に決めたことについては同意することはできません。
 
 六供清掃工場の余熱が利用できなくなる温水プールを維持存続するためには年間1億円、35年間の稼働で35億円の新たな経費が必要ですし、ゴミ回収車の委託経費増が同じく80億円、軟弱地盤の補強工事や洪水対策に少なくとも数十億円、合わせて100億円もの余分な費用をつぎ込まなければなりません。(工場本体は175億円)
市長自らが実施し環境への影響なしと評価した環境影響評価準備書面を「錦の御旗」にして、住民合意なしにこのまま下増田町に決定し建設を加速させることは、前橋及び伊勢崎市民の合意は得られません。施設やゴミ回収車からの排気ガスの年間総量などの徹底した情報公開を行宇土ともに、予定地変更もあり得るという姿勢で住民と話し合いをすべきと考えます。 市長の答弁を求めます。

【結論】 ●下増田町の予定地は、かつての清掃工場や食肉処理場の移転建設予定地として塩漬けの市有地でした。隣接する伊勢崎市民の環境保全への心配りを十分行なわず、洪水対策や地震対策の必要性や経費予測も十分検討せず、前橋市の東の隅に安易に予定地を決めたことは明らかに「安易な判断」だと思います。公聴会での前橋及び伊勢崎市民の建設地の見直しを求める強い要望を市長は受け止めて、建設予定地の再検討と見直しを行なうべきだと思います。
納得できない残念な市長の答弁でしたが、私たち日本共産党市議団は、今後とも市民のみなさんとともに新清掃工場の計画地の変更と現在の清掃工場の延命と複数工場体制による環境負荷の低減などを強く求めて行くことを表明し、次の質問に移ります。

2、公共交通マスタープランについて

 @次に公共交通マスタープランについて質問します。各種調査にもとづいて10年間の基本方針をまとめられたマスタープランを読ませていただきました。
方針のなかに、持続可能な公共交通への転換を図るためとの理由から、100円均一のマイバスや200円均一のデマンドバスの運賃を値上げしようとしていることは、市民の願いに逆行しています。上毛電鉄と路線バスの運賃を比較したり、マイバスやデマンドバスと路線バスを比較して、段階制・距離制運賃の設定の必要性を強調しています。
 しかし、そもそも高齢者や障害者・子どもなど交通弱者の生活の足として、路線バスの空白地域や狭隘道路にも走らせるマイバスやデマンドバスは、文字通り高齢化社会の到来にむけての市民の移動確保策であり福祉対策でもあると思います。
運賃の適正化や受益者負担を強調して現行運賃の値上げをすれば、バスへの利用はますます減るのではないでしょうか。値上げをやめて、現行の高齢者割引制度の割引率を高めるとともに、身障者や高齢者にはバスの無料パスや割引パスの発行などを方針化すべきだと思います。見解をお聞かせ下さい。

 A次に、富士見町を巡回する現行のるんるんバスのデマンド型への移行についてです。マスタープランの冒頭に、全国的には安易なデマンド型の導入によって、来街者が利用できなくなる場合や、地元要望に無原則に応じてしまい財政的に困窮するなどの問題も生じているなどと記載しています。
 しかし、本市は平成19年からデマンド型のふるさとバスを運行し、年間約4万人が生活の足として利用しており、さらに富士見の巡回バスのデマンド化を進めようとしているにも関わらず、マスタープランの冒頭に全国的な問題としての記述ではありますが、デマンド型の運行形態をあえて批判的に記述することはやめるべきだと思います。
また私は、本議会で繰り返し、るんるんバスは利用者の状況や財政効率から見てもデマンド型への移行を急ぐべきだと主張してきました。昨日の質問に対する部長答弁では、国道17号の関根町に巡回バスの路線を延伸し利用者が若干増えたけれども、利用促進のためにはデマンド化が必要と当局は判断されているようです。
 昨年の12月に早期移行を求める743名あまりの市長への陳情署名も提出されており、富士見全域の住民の強い要望です。住民参加で検討委員会を直ちに立ち上げるとともに、デマンド移行後の運行開始日を明確に決めて逆算で、スケジュールを具体化すべきだと思います。見解をお聞かせ下さい。

 B市長に質問します。昨日、市長は市長選挙への立候補を表明されました。
前回選挙時もバス公共交通の充実は、政策に入っていました。しかし、今も市民からは「もっとバスを便利にしてほしい、料金を安くしてほしい」という要望が強く出されています。マイバスやふるさとバスの運賃値上げを前橋市が検討しているということを市民に知らせて、共感が広がるとお考えでしょうか。
自家用車が一家に1台から1人1台となり公共交通への依存が少なくなっている現在にあっても,自分で車を運転できない高齢者や子ども、また学生などにとっては,バスや電車などの公共交通は日常生活に必要不可欠な移動手段となっております。また、高齢化社会に向けて、時代や地域に対応したバスの運行システムに機敏に見直しを行い、市民の切実な要望に答えるべきであります。
 急速に進行する超高齢化社会の中で、公共交通は地域の重要な装置、社会資本、ライフライン、市民の移動の確保は本来的な行政のサービスと位置づけるべきだと思います。市内の農村部では、公共交通機関がなく不便な地域のため,やむを得ずなれ親しんだ地域を離れざるを得ないという方もおり、地域の一層の過疎化、コミュニティの崩壊などの懸念もされるところであります。
受益者負担という発想での料金の適正化・値上げ方針は、マスタープランからはずすべきです。  答弁を求めます。

【結論】住む地域や年齢によって移動機会の格差が生じてしまうことのないよう、今後さらにもう一段の取り組みが必要な時期に、値上げなどを市長が提案しないようにすべきだと思います。強く求めて、次の質問に移ります。
   
● わずかな年金で暮らす高齢者や生活保護世帯などの方は、高齢者割引券を活用してもバス代を節約するために涙ぐましい努力をしているのをご存知でしょうか。
たとえば日赤病院などに南橘団地から通院する方は、前橋駅までの運賃が350円、前橋駅から日赤までが150円、往復1,000円もかかります。この運賃を節約するために、南橘団地から自転車で下小出町のバス停まで行って南橘団地初のバスに乗っています。下小出のバス停から乗ると前橋駅までの運賃が190円で乗往復320円の節約できるからです。

 3、保育の新システムについて

 @民主党政権が導入を狙う「子ども・子育て新システム」について質問します。
この「新システム」は現行の保育制度の解体という重大な問題があり、この制度が導入されれば、市町村の保育実施義務がなくなり、市町村は保育の必要度の認定と保護者への補助金支給を中心とした保育施策に後退します。また、保護者は就労時間を基本に要保育度が認定されるため、利用できる保育時間が制限され、保育料も利用した時間で負担が増える応益負担に変わります。
 また保育所への企業参入を促進するために、国は保育の最低基準をなくそうとしており、保育水準の格差も広がります。
 保護者は自己責任を求められ、保育所と直接契約することとなり、保育所に入れない子どもがいても、国と自治体は公的責任を負わないというものです。
市長はこの新システムを撤回するよう国に要求すべきではありませんか。また、国に対し保育所の施設設備基準など児童福祉施設の最低基準を改善するよう求めるべきではありませんか。あわせて答弁を求めます。

 A前橋市はこれまで、保育士の配置については最低基準の上乗せをおこない、保育料の軽減を行なうなど市独自で保育の充実支援策を強めてきました。新システムに移行すると、これまで積み上げてきた58施設・約5600人の子どもたちの前橋市の保育水準が大幅に後退するのではないでしょうか。8月に前橋市を中心会場に全国から保育関係者が約7500人集まって合同研究集会が開かれました。毎年開かれていますが、今年は政府が今年度内に法案を提出して2013年度から移行するという状況のもとで開かれたこともあり、この新システムの導入に反対するという集会にもなりました。本市の私立保育園協議会や保護者からも大きな反対の声があがっています。
直ちに新システム移行後の本市保育行政への影響を検討すべきと思います。見解をお聞かせ下さい。

 【結論】新システムの本質は、児童福祉制度として機能してきた現行保育制度を解体し、市町村の保育実施責任をなくして、保育の産業化・企業参入を進めるものです。
不況の中、保育所に子どもを預けて働きたい人の数はいっそう増えると見なければなりません。未来を担う子どもたちが、豊かな子育て環境の中で大事にされるよう、現行保育制度をさらに充実改善するために、新システムの導入に市長が反対するよう強く求めておきます。

4、給食費の無料化について

 @次に、学校給食の無料化について質問します。わが党市議団はこれまでにも繰り返し無料化の実施を求めてきましたが、市長は財政的に実施困難という立場を示されてきました。 しかし、私は、市長は憲法26条で定められている「義務教育は無償とする」という立場に立って、できる限りの努力を尽くすべきだと思います。小中学校では、給食費や副教材費、実習費など様々な名目で保護者負担を求めています。入学時には制服代 体操着、部活費用や修学旅行や野外活動費も入れれば義務教育の9年間だけでも約60万円を超える大きな負担です。
 民主党政権は中学生まで月額26、000円を給付するとした子ども手当の廃止を決めました。国の子育て支援策が大きく後退するなかで、学校給食やさまざまな教材費などの父母負担の無料化など、子育ての負担軽減などを求める声が上がっています。前橋市の場合、小中学校の給食無料化に伴う予算措置は14億円ですが、生活保護や就学援助などで既に市が負担している分を除けば、より負担は軽減されます。現在既に無料化を実施している自治体もあり、学校給食法が無料化を妨げる根拠にはならないと考えます。やる気になれば実施できると思います。
 子どもの医療費無料化に続いて、子育て支援策の柱として、本市においても学校給食費の無料化を実施すべきだと思いますが見解をお聞かせ下さい。

 A本市の就学援助の対象は生活保護基準の1.1倍までの世帯を対象としており、児童数約2800人で全体の約1割に限定されており、実際に生活が苦しくて給食費の負担に苦しんでいる世帯への救済策としては不十分であります。
 学校給食の無料化は、群馬県南牧村、伽北海道三笠市や山口県和木町など、小規模な自治体で過疎化対策としてスタートしましたが、いまや子どもの貧困対策として、さらには子育て支援策として実施する自治体が広がっています。新たに茨城県大子町でも実施され、兵庫県相生市も来年度から実施を発表し、栃木県大田原市も無料化に踏み切っています。また徳島県北島町が今年度から半額助成を行い、完全無料化をめざしています。埼玉県小鹿野町は、第2子以降の給食費を無料化し、江戸川区は学校給食費の3分の1を補助しています。こうした財源を確保してできるところから開始するという自治体の努力にまなぶべきではないでしょうか。本市においても、段階的な無料化、一部助成などを検討すべきではないでしょうか。

【結論】子育て支援策として子どもの医療費は中学校まで県レベルで無料化が実現しました。また県レベルの無料化には80億円必要と試算されていますが、市町村と県が折半すれば40億円の財源を確保すれば狩野です。今後とも県との協調による無料化をめざすことが必要ですが、子どもの医療費の無料化のように本市が先駆けて実施し、県に実施を迫っていくことが今こそ必要ではないでしょうか。子ども手当てが廃止され、国としての支援が後退するなかで、給食費の無料化は多くの子育て中の市民の共感を広げると思います、安心して子供を生み育てられる市政の実現に向けて、子そだて支援策をさらに強めるためにも無料化の実施を強く求めておきます。

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