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議会報告

第3回定例市議会・教育福祉常任委員会質問(長谷川薫議員・2011年9月20日号)【2011/9/22】

教育福祉常任委員会決算審査質問・9月20日(長谷川薫)

1、最初に国民健康保険事業運営上の問題点について質問します。
 質問の第1は、国保税の申請減免についてです。

@22年度の申請減免は刑務所への収監や夫が後期高齢医療制度に加入した旧国保被扶養者への減免を除いて、病気・解雇・倒産・事業における損失・農作物の不作など本市の減免規則の1〜5までの理由による減免申請件数とそのうちの認定件数と減免額をお答え下さい。

A申請も認定も大変少ないのではないでしょうか。今日の経済状況から見ると、所得が激減するが世帯も少なくないと思います。減免申請が少ないのは、市の周知そのものが弱いことと、市の国保条例16条にもとづく申請減免規則が前年度所得の半分以上減少しなければ減免対象としないという規定そのものが、現状に合っておりません。前年所得の2割・3割の減世帯も減免を認め、市長の特認も入れるなど、減免規定の改善が必要なのではないでしょうか。

●本市の国保加入世帯の75.9%、4万5417世帯が所得200万円以下です。前年所得にもとづく課税方式をとっている国保税ですから、所得の激減世帯には、減免制度を弾力的に適用して救済し、生活や病院への受診を保障すべきだと思います。

2、つぎに国保法44条第1項による窓口の一部負担金の減免について質問します。

@国保一部負担金の22年度の減額・減免・徴収猶予申請件数及びその実績をお答え下さい。
Aなぜ実績がないのでしょうか。本市の要綱では、世帯の収入が生活保護基準の110%が免除・120%が減額対象として、国保税の滞納の有無に係わらず病院での支払を減免する規定があります。この国保一部負担金減免制度の周知が弱すぎるのではないでしょうか。国保世帯には、納付書と一緒に送られてくる国保税のミニ冊子があります。この19ページには申請減免の制度が小さい文字ではありますが紹介されています。ところがこの医療費の一部負担金の減免制度の紹介は一言もありません。多くの加入者は一部負担金の減免制度を知らないのではないでしょうか。全被保険者にそれがわかるように、まず周知努力をやってもらいたい。いかがでしょうか。

3、次に昨年の4月1日から、倒産・解雇などで失業した人に対し、給与所得を100分の30とみなして国保税を減免する制度が実施されました。

@これにより国保税が減免された人は何人でしょうか、この申請件数と減免件数及び減免額などの取り組み状況をお答えください。

A積極的な制度で歓迎しますが、対象はハローワークで交付された雇用保険受給資格者証に、解雇・雇い止めなどの離職理由が記載されている非自発的失業者に限られ、自己都合は対象外です。
 しかし実際は解雇でも、自己都合による退職扱いとされる実態があり、失業者の負担を軽くするため市独自に減免することや、その際に所得割だけではなく平等割・均等割も減免するなど市独自の拡充を求めますが、いかがでしょうか。

4、次は滞納世帯への制裁措置・資格証明書の発行の中止についてです

 @滞納世帯への資格証明書の発行は1986年国保法改悪で「悪質滞納者に限って」導入され、1997年には「市町村に保険証取り上げの義務付け」が行なわれました。以来、生活困窮者からも取り上げる制裁がすすめられてきました。しかし、世論と運動の高まりの中で政府は、「医者にかかりたいのに医療費の一時払いが困難な場合、世帯主が市町村窓口にその旨を申し出れば、当該世帯に属する被保険者に短期保険証を交付することができる」。「医療費の一時払いが困難だと申し出る状況は、国保証を取り上げることができない『特別な事情に準ずる』」という通達や事務連絡を出しました。本市ではこの間、滞納世帯に占める資格証明書交付率が去年の10月1日で1,202世帯・2.2%です。減少はしていますが、国民皆保険の下で、命を脅かす事態を続けています。本市は、この立場に立った運用をしているでしょうか。資格証明書を発行した世帯は全て悪質滞納世帯と言えるのですか。資格証発行してはならない特別の事由のあるなしの確認手続きが、全て行われているのかどうか、伺います。

 A本市では、このような状況を受けて数年前から資格証明書の対象世帯でも医療が必要で、一時的に医療費の支払い困難な場合は、国民健康保険課では、申し出れば弁明書を提出させて短期保険証を交付していますが、その対応を知らないまま、受診を抑制している世帯も少なくないのです。「保険証がないから病院にいくのをがまんしていた。」という方の相談をお受けすることも少なくありません。最近も、昨年の10月に資格証明書を発行されたために30代の息子さんがてんかん発作を抑える薬を飲めなくなって、痙攣が頻繁に起きたために、失業し再就職できないという方の相談を受けました。生活保護の申請をして、健診命令で受診できるようにはなりましたが、資格証の発行はこのような事態を引き起こします。
病気になっても医療機関にかかることを困難にし、市民の生命を脅かすこととなる資格証明書の発行をやめるべきではありませんか。

 【結論】滞納世帯との接触の機会を作るためなら、命を奪いかねないし資格証の発行ではなく少なくとも6ヶ月の短期証で対応すべきです。高い国保税を引き下げる努力を国が怠りながら、払えない市民からは保険証を取り上げて医者にかかれなくする。自治体にその義務化を押し付ける。こんな事が許されるのでしょうか。
 政令市であるさいたま市は資格証を原則として発行していません。「資格証明書を発行すると医者にいけなくなりますから、結局、納付の放棄につながり収納率が上がりません」「滞納者には会うことが大事です。支払い能力がある人にはきちんと措置をとる。払いたくても払えない人には事情を聞いて分納や執行停止などの相談に乗る。会えば解決するので、資格証は原則として発行しない」と述べています。

 そもそも本市の滞納世帯の7割は年間所得が200万以下という低所得者です。 資格証明書の交付数と滞納金額の発生数には因果関係はなく、資格証明書の交付が逆に滞納者を窓口から遠ざけ、「納付機会」の向上にはつながっていません。
 本市も発行を廃止して、国に対しては、受診をためらい命を失う悲劇や病状を悪化させる事態を生み出す資格証明書の義務化をやめるよう求めるべきではないですか。

5、次に国保税の引き下げについてです。〜国庫負担金の増額・市の一般会計の繰り入れ

 @決算では、本市の国保加入の約5万5千世帯の平均所得は155万4千円で、1世帯あたりの平均国保税額は15万8724円で、所得に占める保険料負担率は10.16%にも及んでいます。たとえば、子ども二人の4人家族で年間所得200万円の世帯では、32万円もの国保税額であり、所得に占める国保税の負担率は16%です。子どもさんの高校や大学の学費も払いながら、場合によっては住宅ローンなども抱えながら歯を食いしばってがんばっている市民にとって32万円以上の国保税がどれほど大きな負担になっているか、想像に難くありません。 年金で生活しておられる所得130万円のご夫婦の国保税は15万円を超えています。高い国保税は高齢者にとっても耐え難い負担となっています。このような実態があるからこそ、「国保料は下げてほしい」という切実な市民の声が上っているのです。
 市町村国保の運営が困難に陥っている最大の原因は、自民党政府が、1984年の法改悪を皮切りに、国の責任を次々と後退させてきたからです。市町村国保の医療費に対する国庫負担は、1984年に45%から38.5%に下げられたことが最大の原因です。国保財政全体の国庫負担割合もかつての50%から現在は25%まで後退しています。国に対して、国庫負担削減をやめ、1984年の水準に戻すよう求めて、国保税を引き下げるべきではないでしょうか。 見解を。

 A本市は、国保会計への一般会計殻の繰り入れは法定繰り入れだけであり、国保税を引き下げるための繰り入れは行なっていません。 一方、一部事務組合である前橋市工業団地造成組合には、22年度の3ヵ年で34億円もの一般会計からの繰り入れを行い、単年度の実質収支の赤字の穴埋めを行ないました。販売の見込み違いの土地の買収の穴埋めに一般会計を投入しています。 国保会計への繰り入れこそ緊急に行なうべきです。国保は、国や自治体の手厚い援助があって、はじめて成り立つ医療保険です。本市でも、所得200万円未満が76%以上と低所得者が加入者の大半であり、制度の維持には、独自の財源確保策が必要です。低所得者や高齢者に多大な負担を求めている実態をふまえ、「高すぎる国保税」を今こそ、引き下げるために、一般会計からの繰り入れを実施するための検討を開始すべきです。いかがですか。

6、国が進める国保の広域化の問題点。

@ 国民健康保険の一元化の問題についてであります。厚労省は将来的な医療保険制度の全国的な一元化に向けて、その前段階として市町村国保の広域化に向けての検討を都道府県に求めており、群馬県もそれを受けて、国民健康保険財政安定化等支援方針なるものを策定しています。
  国は広域化に向けて市町村に一般会計からの法定外繰入金の解消を求めています。本市は法定外の一般会計からのこの繰入をしていませんが、結局、国保税は広域化すれば、全県的な均一課税となり、本市の国保税額が相当引き上げられることが予想されます。広域化反対という立場を表明すべきではありませんか。

 【結論】今、住民の暮らしを守る自治体のあり方が問われます。国民の命と健康をまもる公的医療保険、生存権を保障する社会保障制度がが、高すぎる保険料によって暮らしを脅かし、貧困に苦しむ人を医療から排除するという事態が起きています。なんとしても改善が必要だと思います。 国は、後期高齢者医療制度にかわる新しい制度として国保の広域化を打ち出していますが、市町村の国保を県単位に広域化しても、公費負担を増やさない限り、何ら問題解決につながらないと考えます

2、次に介護保険事業の問題点についてです

1、最初に利用料の減免について質問します。

@介護保険制度が導入されて10年がたちました。「介護の社会化」を掲げ発足した制度ですが、保険あって介護なしと言われるように、重い利用料負担でサービス利用の抑制が余儀なくされています。本市の介護サービスの利用率は4割にとどまっています。介護を必要とする人たちが介護を利用できないのでは、公的介護制度の存在意義にかかわります。市独自の利用料減免制度をつくることとることを求めます。 いかがでしょうか。

【結論】 「夫を週2回デイサービスでお風呂に入れてもらうために、妻は食事をへらしている」など、少ない年金で暮らしている高齢者が、介護の利用料などが重くのしかかり、生活が壊される事態が広がっています。介護のために身を削るような思いで生活していたり、介護保険サービスを利用するお金さえなく、老老介護に耐えている人たちもいます。所得の少ない人ほど高齢期に介護の必要度が高いことも明らかになっています。所得の低い高齢者がお金の心配をせずに安心して介護を受けられるしくみを作るべきです。

2、つぎに介護保険料(第5期)の引き下についてです。

 @ 日本共産党国会議員団が調査した全都道府県をはじめとする140自治体への調査では,「国民の保険料・利用料負担は限界」として国庫負担増を求める要望が最も多く5割に上っています。また「要介護5で、週5回の通所介護とショートステイで限度額いっぱいまで使って在宅生活を続けている。特養ホームに10ヵ所以上申し込んでいるが決まらない」など在宅生活が限界にきている方が増えています。こういった基盤整備が遅れる原因は、介護サービスを充実すれば、それが保険料とリンクする制度の仕組みにあります。介護 政府は軽度の人は、市町村の判断で介護保険サービスの対象外に出来るしくみをもりこむなど、更なる給付抑制を検討していますが、容認できません。市長、政府に対し、給付抑制路線を改め、介護保険への国庫負担を引き上げ、介護保険料の住民の負担軽減を図ることを強く求めるべきです。

2、つぎに特別養護老人ホームの増設についてです。

 @本市の特養老人ホーム待機者は、昨年10月1日現在で1,472人,その内,入所の必要性が高いと考える申込者数は491人(33.4%)です。本市では今期計画の2013年度までの3年間で180床の整備計画しかなく、すでに2年間で前倒ししたため、今年度の増床はありません。これでは何年待っても待機者解消の見通しはありません。  特養の増設計画を今の数倍に引き上げる必要があると考えます。平成24年度から平成26年度までを計画期間とする「第5期介護保険事業計画」を策定する際に、国が特別養護老人ホームなどの施設サービス等の総量を規制した参酌標準を廃止したことを踏まえるとともに,戦後ベビーブーム世代が2015年には高齢期を迎えることを踏まえ、特養入所ニーズ把握し、十分将来を見据えた適正な計画となるよう取り組むべきです。答弁を求めます。

 Aまた、この間の整備では、個室のみのユニット型施設を中心に整備されましたが、毎月の入所料が12〜13万円と高く、ホテルコストといわれる入居料や食費に補助を行い、年金等が少なくても入所できるようにすべきです。また、比較的安く入れる4人部屋などの従来型施設は、建設に対する県の補助がなかったために、この間は整備されませんでした。特養ホームをつくる医療法人等に一部4人部屋を併設して整備するよう、市として働きかけるべきですが、見解を伺います。

 【結論】小規模多機能の居宅介護施設の整備も進んできましたが、在宅介護で暮らせない高齢者も増えてくると予想されます。特養待機者の解消をめざす整備方針とともに、低所得の高齢者も特別養護老人ホームに入所できるよう、検討中の時期計画に反映していただくよう要望いたします。

3、次に介護施設への入所の支援についてです〜地域包括支援センター

 @在宅での介護が困難となり、特養や老人保健施設などへの入所を希望する場合、多くの場合、施設を探しは原則として家族が行なわなければなりません。近くに親戚などの支援を頼れない高齢世帯では施設探しに大変苦労しています。
 このような場合、地域包括支援センターが支援できるようにすべきではないでしょうか。地域包括は、高齢者福祉の拠点として、介護保険のみならず、総合相談、包括的、継続的ケアマネジメント、虐待防止、権利擁護等の機能を担う、言わば高齢者とその家族の駆け込み寺としての心強い役割を果たしています。地域包括への市としての財政支援を増やして体制強化を図り、施設入所への支援を担えないかどうか、見解をお聞かせ下さい。

 A市の委託料を増やし、スタッフ体制を強化し、その重責を担うにふさわしい経験と力量のある人を配置する必要があります。 今後、高齢化がいっそう進むことを考慮に入れれば、さらなる機能強化が求められており、人件費委託料をその仕事にふさわしい額に引き上げるべきと思うが答弁を求めます。

 【結論】団塊の世代が高齢期を迎える2025年を目途に、地域包括ケアシステムの構築が求められています。在宅が困難となり施設サービスに移行が必要となったときに、在宅サービスのケアマネージャに施設入所のための支援を求めることとなりますが、それぞれの地域で地域福祉を担い、援助する役割を担っている地域包括支援センター、の人的体制を確立し、機能強化を図り、介護難民を生み出さないよう支援をすることが必要と考えます。強く要望しておきます。

4、2012年度実施に向けた厚労省の介護保険法改正の問題点についてです。

 @改正された介護保険法が改正法では、大幅な介護負担増と給付減らしの方向が示され、「お年寄りから生きる意欲を奪うのか」と市民の大きな不安が高まっています。
 調理・買い物・掃除など生活援助中心の要支援や軽度の要介護の人は自治体の判断で介護保険の対象外の総合事業で対応できるという法改正は、「介護の社会化」とは真っ向から反する事態です。
「軽度」と言われる高齢者でも、必要な介護を取り上げられれば症状の悪化や在宅生活が困難になる例は山ほどあります。負担増かサービスの後退かと二者択一を迫るのではなく、必要な介護の保障の手立てをとるのが政府の責任です。長年にわたって社会に貢献してきた高齢者は「国民・市民の宝」のはずです。介護保険者として今回のこの介護保険大改悪に対してどのような態度でのぞむつもりでしょうか。答弁を求めます。

 A二つ目は、医療専門職が担うべき医療行為を介護職員に押し付けることです。
 国が看護師不足を放置し、医療が必要な患者を無理に退院させてきたため、施設の介護職員がたんの吸引などを肩代わりせざるをえない現状です。改定法はこの現状を逆手にとり、たんの吸引を法律で追認することを突破口に、介護職員が担う医療行為を厚労省令で拡大していく仕組みです。
 安全性を確保できるのか。事故の責任は誰が負うのか。賃金上の評価もなく研修と業務の負担が重くなれば、離職者がさらに増えないか。現場は多くの不安を抱えています。見解を。

 【結論】共産党は、「要支援」と認定された高齢者へのサービスを、市町村の判断で安上がりなサービスに置き換えることを可能にすることや、医療専門職が行うべき医療的ケアを介護職員に押しつけるなどの問題点があることから改正法案に反対しました。介護保険者として、市からから国に問題点を指摘し、介護施策が後退しないようにしていただきたいと思います。

3、次に小中学校の適正規模方針の問題点についてです。 
 @、最初は対象校への統廃合方針の具体化をする場合の問題点です。
あらかじめ断っておきますが、私ども日本共産党は、統廃合だからなんでも反対という立場ではありません。次の3つの基準で判断しております。

第1に、統廃合が子供の教育にプラスなのかマイナスなのかという点です。その点では、これまでに教育委員会では、小規模校のメリット、デメリットが検討され、小規模校のよいところが具体的に述べられており、例えば「人間関係面ではいじめや不登校が把握しやすく、子どもへの指導もしやすい、子ども同士、子どもと教師及び地域の保護者と教師の間で緊密な関係を築きやすい、地域の教育力がより生かせるなど」など、小規模校のよい点を指摘しております。
 ところが、小規模校のデメリットについては、「人間関係が固定化され切磋琢磨ができない、部活の選択権がなく希望するスポーツができない。多面的な考えや意見を述べ合い練り上げ深めていく学習が困難」 「教師への依存度が強くなりやすく主体性や自主性、社会性が育ちにくい」 などが強調されています。しかしそのデメリットも、近隣の同程度規模の学校との共同部活や体育大会などの共同開催などの学校関連携によってカバーされている点が十分地域や保護者に説明されていません。保護者や地域への説明が小規模校のデメリットに重点が置かれた結論になっていることは残念であります。
 
第2に、学校は子どもの教育のみにとどまらず、その地域にとって独自の役割があります。この観点から、基本方針案を見ますと、運動会や文化祭などの行事を通じて、地域の核としての役割を担っています。さらに、東日本大震災などで防災の大切さを私たちは肌身で感じているように、現在市内のすべての小中学校がその地域の避難所や避難場所になっています。統廃合が進めばどうなるのかという地域住民の命や安全を守るよりどころをどうするのかという問題も重要であります。
 
第3に、地域の子育て、地域の存続に深くかかわることだけに、小中学校の統廃合は行政が一方的に進めてはならないと思います。小規模校のデメリットだけではなくメリットも含めて、正確な情報を開示し、徹底した住民合意を貫くことが大切だと考えます。教育委員会の基本方針だけで小学校の統廃合を進めるべきではありません。対象となる一つ一つの学校ごとに住民参加の議論を行わなければならないと考えます。これらの基準、観点で質問いたします。
 
 @、広瀬中と春日中の各地区委員会が両校の統合の結論を出し、今後合同の地区委員会を立ち上げる方針を提起しています。
 両委員会がこのような結論に至った最大のよりどころは、両中学校の通学区域の世帯6,055世帯を対象に4月に実施した意向調査だと思います。
意向調査のアンケート用紙は、賛成か反対か、その理由を問うものとなっていますが、このアンケート用紙を広報まえばし4月1日号と合わせて配布する際に添付したアンケートのお願いというA4版の文書に、「地区委員会が検討を重ねた結果、統合して新しい中学校を作ることが望ましいという結論に達した」と記載しています。これでは住民の自由な意見集約のアンケートにはならないのではないでしょうか。両校の特徴や良さを何も知らさせていない。このようなアンケートでは、世論誘導型アンケートになりがちです。教育委員会は、地区委員会の自主的な取り組みといわれるのかもしれませんが、私は、このような意向調査をする場合には、その前に教育委員会として住民説明会や公聴会をそれぞれの学校で開催し、その内容を地域に文書で広報すべきです。アンケート用紙の配布の際には、両校の小規模校としてのメリットやデメリットもわかりやすく記載したチラシなども合わせて配布するように援助すべきではないでしょうか。見解をお聞かせください。
 
 A、教育委員会は任意の団体である地区委員会の検討過程であること理由に、両地区委員会だよりと地区委員会報告書という文書だけが議会に提出されただけで、両地区委員会での検討内容の詳細・過程は全く分かりません。
いま児童・生徒数の減少を理由に、全国の市町村で小中学校の統廃合が行われておりますが、住民の合意形成の過程に、教育委員会からの作為的な誘導が行なわれれば、賛否を含めて自由な議論が欠落しかねません。地区委員会には各校長も出席されていますが、どのような正確な情報が提起されたのか、デメリットを補う努力が尽くされていることも示されたのか、お聞かせ下さい。
 
 B、学校の適正規模については、義務教育諸学校等の施設費の国庫負担等に関する法律施行令では、「おおむね12学級から18学級までであること」とあり、それを適正規模として、それより学級数の少ない学校を小規模校とし、統廃合の対象としております。しかし、この適正規模とは、子供の教育にとって適正という意味ではありません。これは8,000人程度の住民に一つの中学校があることが行政的に効率性がいいとされた基準でもあり、それ以下は効率が悪いから統合しようという、いわばリストラの基準そのものではないでしょうか。
一人一人の子供に目が行き届き、教師も子供と人間的に温かい関係で結ばれる、そういう規模を考えると、文部科学省のサイズに合わせなくてもいいのではないでしょうか。
 
 C、また子どもは学校の中だけで育つわけではないという観点です。今全国でも限界集落がふえ、子供たちがいない、子供の声が聞こえない集落は本当に寂しいものであります。子供がいないということは、若い親がいない、若い親がいないということはお年寄りを支える担い手がいない。そんな中、小規模校が複数校連携して合同授業を行うなどで補い、学校を維持している自治体も多数あります。その点では、現在本市でも複式授業をしている嶺小学校や滝窪小学校金丸分校の両地区委員会は統合に反対の意思を表明されました。子供たちは、まだまだ地域で見守られ、地域で育てられています。小規模校の統廃合は慎重の上にも慎重に教育委員会は対応すべきです。その点で、春日と広瀬中の進め方には問題があると思いますが、市の認識をお伺いいたします。

 D義務教育制度は国の制度ですが、公立学校の設置、運営主体は市町村であります。しかし、学校が維持できるように義務教育費国庫負担法を定め、教職員給与の3分の1は国が、3分の2は県の負担となっています。将来方針に添って統廃合が進められた場合、当然校長先生、教頭先生は少なくなります。さらに、相対的なクラスの減少で先生方そのものも減ります。そのことによって、県費教職員の給与が減額になるのです。 小中学校の統廃合は、国や県の教育費の削減こそが大きな理由であって、また、設置、運営主体が市にあるにもかかわらず、学校の統廃合を推し進めることは、日本の未来を担う子供たちを育てる上で、不可欠な教師、先生という人的資源をみずから返上することになると私は考えます。教育リストラ・行財政改革という観点での統廃合の推進が行なわれれば問題だと思います。教育長のご見解をお伺いするものであります。


 【結論】世界の国々では”小さな学校″が大切にされています。 『ユネスコ文化統計年鑑19 98』によれば、初等教育の学校規模(各国の学校の平均子ども人数) は、日本の33 1人に対して、ヨーロッパをはじめ主な国ではほとんど1 00人台です。国連の機関である世界保健機靖(WHO)も、学校は 「小さくなくてはならない・・・生徒100人を上回らない規模」 とはっきりのべています。
   国は1956年にすでに小中学校の「適正規模」を12〜18学級とし、それが学校統廃合の基準となっています。一方で、1973年に当時の文部省は、"学校規模を重視するあまり無理な統廃合を行うことは避ける""小規模校として残し充実させるほうが好ましい場合もある""住民の理解と協力を得て進める"などの通達を出しています。子どもの教育という点では、子ども同士あるいは教師との人間的なつながりの深さ、少人数だからこそできる温かみのある教育活動など、小規模な学校のよさは広く認められています。
 しかも地元住民・子どもたちにとって身近な学校に通えないというのは問題です。 学校は、運動会やお祭り、文化祭などをふくめて、地域の拠点としての役割も担っています。子どもが少なくなったからといって統廃合をすすめれば、集落や地域のコミュニティーの崩壊、地域社会の荒廃という取り返しのつかない事態を招きかねません。  子どもは地域の宝です。「地域の子どもは地域で育てる」という教育方針からも、無理な統廃合はやめるべきです。学校統廃合は、子どもの教育と地域社会の存続の双方にかかわります。それだけに、子どもを含む住民で統廃合の是非についてよく話し合い、合意を尊重することが不可欠です。地域においては地元の要望がだされ、一定のPTA、自治連合会での形式的意思形成はされているものの、地元住民合意の形成は未だ不十分さが残っています。引き続き、全地域・住民を対象に合意形成のための説明会などを開き、行政としての説明責任を果たすことを求めるものです。

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