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議会報告

第3回定例議会 総務常任委員会質問 小林久子議員【2011/10/13】


1、滞納整理および差し押さえ処分について 
@日本共産党市議団には、収納課による、きびしい取立てで、生きていけないと市民の方から深刻な相談が相次いでいます。滞納者の生存権や暮らしや営業を脅かす行き過ぎた滞納整理を改めるよう、常々求めてきましたが、しかし、残念なことに改善されていません。平成21年度の差し押さえ実績が8992件です。

いくつか例を挙げて質問します。
64歳一人暮らしで、年金と仕事で得た収入で(5万円の貸家)で、生活してきたが、6月に骨折し、病院の検査でガンが発見され、入院手術、約1ヶ月間入院し、退院した直後に年金19万円のうち11万円を差し押さえられた。抗がん剤(1ヶ月3万円)の治療費が払えない助けてと相談が寄せられました。この方は生活保護を申請し、社協で2万円を借りて、ようやく抗がん剤の治療ができることに。
病気で、働けなくなり、年金のみが生活費です。さらにがん治療が必要な人の年金を差し押さえたことは問題です。生活実態の把握が不十分といわれても仕方がないと思います。このような命を脅かすような、差し押さえは、改めるべきと思いますが、見解を伺います。

Aもう一人の方は、家と土地を差し押さえられ、公売され、生活保護に陥りました。夫婦とも病気になり、自営の仕事が思うようにできず、廃業届けを出した。幸い家と土地を所有しているので、同居していた子どもから金銭援助を受け暮らしていた。収納課に繰り返し呼び出され、短期間で完納を求められ、家と土地が3年前に差し押さえられ、公売されたが落札せず、再度の公売で落札し、立ち退きを余儀なくされました。
不動産公売価格を差し引いてまだ、滞納分があり請求され、働けず、夫婦2人で生活保護を申請し、滞納分はようやく執行停止になった。
きびしい滞納整理で、何も無くなり、生活保護に陥るというケースがふえています。生活保護になれば、かえって市の持ち出しが増えてしまいます。
税の徴収を強化すればするほど、生活困難者、生活保護者を多く生み出してしまいます。いわば市の度を超えた滞納整理により生活保護者を出してしまった、こういうふうにもいえるのではないでしょうか。この点をどう考えますか。

B税金を納めることは義務ですから、否定するものではありませんが、きびしい滞納整理で生計維持費にまで踏み込んでいることが問題です。
 滞納者に対して一年で完納計画を立てさせて、きびしい分納額を示し、払えないといっても納得してもらえず、やっと工面したお金も、約束の金額と違うと受け取ってもらえず、ある女性からは、市役所に行くのが怖いと、震えながら、訴えられました。
ここには、市民の生存権を守るというのが欠落しているように思います。税負担は、個々の税負担能力に応じて、負担能力のない人からは徴収しない、この原則に立ちかえるベきと思うがいかがか。

C国の審議でも、行き過ぎた、収納行政を戒めています。
08年2月8日に国税長総務課調整室の課長補佐は滞納税金での差し押さえについて「生存権、財産権もあり、生活費や仕入れ資金などの生存権的財産は守られなければならないと回答している。
 10年4月2日の衆議院財務金融委員会で、生存権までも脅かすような問答無用の徴税があっては絶対ならないと答弁しています。
病気になったときや、廃業届けを出したときには、地方税法で定める徴収の猶予(地方税法15条)や換価の猶予(地方税法15条の5)などの措置がとられるべきではなかったか。まさにこのケースではなかったか。
徴収の猶予では、自然災害、火災、病気、事業の廃業、休止などが該当します。先ほどのケースは該当すると思います。

D徴収の猶予や換価の猶予などで、対応すれば、猶予期間中の延滞金がゼロないし、半分に軽減されるわけですから、少なくとも、高い延滞金が本税の額を超え、滞納者が返済の見通しがもてないというようなケースを回避することができるのではないか。徴収の猶予や換価の猶予などでの、本市の昨年度の実績をうかがいます。

分納で対応しているということですが、この期間は新たに督促、滞納処分をすることはできないとなっている
 さらに、滞納処分する財産がない、あるいは滞納処分することで、生活をいちぢるしく窮迫する恐れがあるときは、滞納処分の執行停止ができるとなっています。このように生存権を守るための定めがあるのに、実効していないのは問題です。

E次に、延滞金の差し押さえについて伺います。
 本税をすべて返し終わって、しかし、49万円の延滞金が残っていて、これをいきなり差し押さえるといわれた。軽トラックで運送業をしているが、約80から90万円の売上と、月12万円の年金収入で夫婦ふたり、わずかでも働いて、やりくりし暮らしてきたのです。延滞金のみで差し押さえをすることは行なうべきでないと考えるが、いかがか。

14.6%という、高い延滞金が、納税をより困難にしています。生活困窮者には、延滞金を減免する制度をぜひ作っていただきたい、強く要望いたします。

●税は、応能負担が原則です。所得の少ない人には少なく、所得の多い人にはより多く負担してもらう。そして、生活に必要な最低限の所得をも得られないような人は非課税にするのが原則です。これが行財政改革で、大きく崩れてきています。定率減税の廃止、税源移譲で、住民税が一律10%に。 配偶者特別控除や年少扶養控除の廃止、特定扶養控除の縮減、課税が強化され、応能負担の原則がゆがめられています。
業者は、消費税の免税点が年間売り上げ3000万円から1000万円に引き下げられ、零細な業者までが消費税の納税義務を負わされ、商売が続けられないなど深刻な事態が広がっています。民主党政権は、今後消費税をさらに引き上げようとしています。こうした庶民への税負担の強化が、払いたくても払えない人を増やしています。日本の相対的貧困率は16%OECD諸国中アメリカについで高くなっています。こうした市民の置かれている現状、生活実態を把握し、丁寧な納税相談で、徴税に当たっていただきたい。

2、消防・防災

(1)消防・防災
@市内には道路幅が4メートルにみたない道路がまだ、多く在ります。
火災、災害、急病人が出たときなど、一分一秒を争う迅速な現場到着が求められますが、こうした車両が入っていけないような狭い道路周辺の住民は、不安を抱えています。利根西の江田町公民館の周辺道路や、北代田、下細井など市内では、狭隘道路が存在しています。
道路整備が急がれるところですが、こうした狭隘道路の現状の把握と災害時、緊急時の対応について伺います。

A本市では消火栓、3907か所、防火水槽公設937箇所の設置をすすめてきたが、山林は61キロ平方メートルと全市の面積の5分の一を占めています。こうした山間部は、道路事情が悪かったり、民家や別荘などが点在するなどしていますが、消防水利が十分確保できません。こうした地域を受け持つ消防署では、山火事発生を防ぐために、大量の水を確保することが必要となります。昨年の本市における山林の火災発生件数は1件ですが、過去10年間を見ると、17件発生しています。
広大な林野の火災では取水場所が近くにないケースなどもありえます。こうした地域の把握と消防水利の確保 火災への備えなど、どうとりくんできたのか伺います。

(2)消防団
@消防団は、市町村合併により、1団、6方面団、20分団、1307人の団員を有する県内最大規模の消防団となりました。合併時の協議で、各町村の制度を考慮し、前橋市の制度に段階的に調整していくとしました。当時前橋市には出動手当は無く、大胡・宮城・粕川地域は出動手当を5年かけて減額し、平成21年度で手当が終了しました。富士見地区は現在調整中です。
22年度は団員の士気高揚と組織の活性化を図るとして、出動手当制度を導入し、災害出動1500円、警戒および訓練出動各1000円を支給することになりました。これにともない運営交付金を見直し、減額したということですが、どのような改訂を行なったのか。また、この改定で団員一人当たりに係る額は、21年度と22年度を比較するとどう変わったかお聞きします。

A昨年は火災発生件数が、131件、3月の大震災や、夏の台風や集中豪雨などでの出動も多かったのではないかと思います。また、団員の約7割がサラリーマンということで、仕事との兼ね合いで、出動も制限されることから、市役所やJA、消防団協力事業所などと協力連携し、団員の活動を支えているとのことですが、災害、警戒、および訓練の昨年の出動人員、出動回数はどうだったのか伺います。

平成21年度については出動状況の把握ができていないということで、出動情況の比較ができなくて残念ですが、いずれにしても、危険をともなう仕事にであります。
 
●3月の東日本大震災では、大規模な津波が発生し、死者行方不明者約2万人を越える犠牲者を出しました。そして、この犠牲者の中には、わが身を省みず市民を助けるため最前線に立ち、命を落とした約250人の消防団員がおります。日ごろから、昼夜を分かたず、真っ先に危険と隣り合わせの現場にとびだしていく、こうした団員の士気高揚と、任務をしっかり保障する立場で今後とも予算執行をお願いします。国や県にも予算の増額をしっかり働きかけていただきたいと思いますので要望しておきます。

(3)防災無線
@前橋市防災マップを見ますと、市内の一時避難場所としての一次避難所が、96箇所、長期の避難を想定した2次避難所が73箇所ありますが、このうち防災行政無線設置事業で、85箇所に屋外施設を設置しました。主に避難所となる小中学校、消防団詰め所、などですが。しかし、防災無線が聞こえる範囲は限界があり、聞こえない市民の間では、不安を募らせています。
そこでうかがいますが、85箇所とした根拠について教えてください。

B一次二次避難所あわせると158所になります。こうした避難所になる場所には防災無線が必要ではないでしょうか。今後増設する考えについて伺います。

B防災ラジオ
防災無線のみでは情報伝達に不安との声も上がっています。全国では緊急告知ラジオの購入への助成を始めている自治体があると聞いています。緊急時に自動的に受診電源がはいり、緊急放送をします。
市原市は、防災無線を受診する防災ラジオの購入を希望する世帯が急増したため、6800台を購入し、地理的要因で防災無線が聞こえにくい地域に、購入費の一部を補助するかたちで導入しています。
本市でも、山間部をかかえ、防災無線が届かない地域、災害で孤立する恐れがある地域、また、要援護者、など自ら情報を取りにくい人たちを対象に優先的に、防災ラジオの購入助成を進めていくべきと思いますが、見解をお聞きします。

(3)自主防災会
本市は現在自主防災会が174ありますが、平成22年度は16の地域で新たに結成されました。大震災を経験して自主防災会の活動がより期待されるところです。
 自主防災会の組織は、自治会を中心に結成されていますが、あくまで自主的な組織ということで課題があります。 自治会役員が兼務しているので多忙や、役員交代などで、継続性を欠き、活動が低調になりがちなどの問題があります。消防署、消防団、など防災の専門家のアドバイスを受けながら実践を通じて活動を高めていく。地域の防災リーダーの育成などの課題があると思います。

@自主防災会立ち上げ時の防災用品購入補助について伺います。
市は自主防災会の結成に当たって、災害応急対策に必要な資材、機材を購入する際に、購入費の一部として10万円の補助を行なっています。平成22年度は自主防災会活動用資機材整備事業で160万円支出されています。市は要綱で、購入資機材の範囲を示していますが、それを見ますと、初期消火資機材として可搬型小型動力ポンプ、消火器、組み立て水槽、ホースボックス、バケツなどが上がっています。他に救助用、救護用、訓練用として各資機材が細かくあげられていますか゛、防災用品を一式そろえるとなると費用もかかります。それぞれの会ではどのようなものを購入しているか伺います。

A購入指針
限られた予算で、購入するので、購入に当たっての優先度の判断が異なりますし、また、資機材の範囲も広範囲になっており、絞りこむのに頭を悩ますのではないでしょうか。
資材機材の配備に当たって、最低限の必要なものの指針を示すことが必要ではないかとおもいますが、いかがでしょうか。

貴重な税金を投入するわけですから、立ち上げ時に基本的に必要なものは、市のほうで用意したほうが、良いのではないかとも思います。研究していただきたい。

B立ち上げ後のサポート体制について
自主防災会の昨年度の活動実績ですが、総会は108の会でおこなわれ、防災訓練44回、防災知識の普及64回、地域内安全巡視などが80回などとなっています。こうした自主防災会の活動資金は自治会が負担しているのでしょうか。
防災訓練には、資材や消耗品、炊き出し用食材、非常用食材、飲料水など、費用の確保が必要です。自治会の予算で捻出できるところはいいですが、財政に余裕がある自治会ばかりではありません。自主防災会の活動を促すうえで、訓練実施時の一部補助を行なうなど、自主防災会の活動を市がサポートしていくことも必要ではないかと思いますが、いかがでしょうか。

C未設置の自治体への支援
全自治会に設立されることを目標としていますが、現在284 自治体中175が設立。まだ自主防災会が設立されていない地区では、上川淵、城南、富士見地区などが、率にすると低くなっていますが、立ち上げに向け、市としては、今後どのような支援が必要と考えるか

●設立時、設立後とも、やはり、活動を支える資金面の問題があります。
さらに、資機材の確保、災害時の情報伝達をどうするか、初動体制、応急活動、要援護者への対応など幅広くあります。こうした問題を意見交換できるような、自主防災会同士の横の連絡や情報交換の体制が必要となってくると思いますので、こうした面もぜひ研究していただきたいと思います。昨日の総合防災訓練では、練馬区光が丘地区の住民組織連合協議会の皆さんに参加していただき、お話しをうかがいましたら、それぞれの自治会組織での訓練と連合協議会の訓練と定期的に行なっているということです。また、活動資金として区から年間3万円の補助があるということです。こうした先進地の事例から是非学んでいただきたいと思います

3,工科大学法人化
 
 工科大は平成9年夜間短期大学から4年生大學になり、学科の再編拡充や、教職課程の設置、大学院の専攻の拡充など、教育研究の質の向上と、産学連携、地域貢献に取り組み、前橋市の公立大学として、市民の理解を得て発展してきました。現在大學を取り巻く状況は、国立大学の独立行政法人化、公立大学は約70%が法人へ移行するなど、国の進める経済効率優先の構造改革が進められ、大学間競争が激化しています。
国立大学は、全国86 の大學が法人化され、国からの運営交付金は6年間で750 億円も削減されています。さらに基礎的な教育研究費と人件費が各大学毎年1%ずつ削減され、財界の求めるトップ30大學に競争的な予算が集中的に配分されるなど、大學の序列化が強行されています。
公立大学においてもおなじで、この危機感から、平成21年8月、公立大学協会長矢田俊文氏が総務大臣にむけて、要望しています。その内容は、公立大学に関する地方交付税措置の単価がいちじるしく減少しており、平成21年度は16年度に比べ32%減少した。公立大学の教育機能向上を支える地方交付税措置を少なくとも平成16年度の基準まで増額せよというものです。

@交付税措置
そこでうかがいますが、本市の大学に関する交付税措置の算定方法や措置される金額がこの間どうかわってきたのか、お聞かせください。

A基準財政需要額
公立大学への財政支援は基準財政需要額に反映されていますが、これを基準として、大學評議会は、国が算定する大學にかかる基準財政需要額以上の大學経費が確保できる運営費交付金の獲得をめざすとしています。学生数から算出する基準財政需要額18億1300万円と試算していますが、これが大學予算の1つの目安になると思われますが、この点をどう考えますか。

B財政・法人化後の運営費交付金について
 工科大学の評議会が昨年8月25日に地方独立法人化の決定をしました。この中で、法人化に向けての課題として何点か挙げています。
まず運営費交付金についてです。
22年度の大學決算額は16億3800万円。に対して自主財源は約7億3000万円です。不足分を 確保しなければなりませんが、運営費交付金でカバーできるのか。
もし運営交付金が削減されれば、授業料や、外部資金などの自主財源でやりくりしなければならなくなります。
すでに法人化したところでは、授業料の値上げ、職員の非公務員化と有期任用、研究費の削減で、教員は外部資金獲得に奔走するなど、後退しています。このような状況の中で法人化後の財源確保をどう考えているのか。

C大學研究費の財源確保
工科大は平成20年度から、教員の教育研究費補助金を見直しました。平成19年は教授で一年間123万円だったのが、60万円に削減、准教授、講師、助手等もそれぞれ削減しました。そして教育研究活動推進事業費として出されていたものが、大きく削られ、重点教育研究費に5800万円。大學の活性化で、教育研究活動活性化費として22年は50万円を10件500万円の予算を計上し若手教員の教育研究の活性化を図るとしています。
これは、枠があり、枠から外れれば、研究予算を確保できない教員ができてしまう。研究意欲、士気の低下、教員の流失につながりかねないと思います。
教員は、科学研究費などの競争的資金獲得や、受託研究、共同研究、寄付金集めなど外部資金獲得に力を入れなければならなくなります。山口県立大学は外部資金獲得額2倍の目標をかかげています。
法人化後の大学研究費の財源についてはどう考えますか。

●中期目標の達成状況を6年ごとに審査され、短い期間で教育の成果を問うことがもとめられる。予算の差別化や減額により、大學の種別化、統廃合が進むと思われます。 法人化により、効率的経営や自己資金の獲得が強められ、資金に結びつかない幅広い教養教育や基礎科学の研究や、地域への貢献が弱まる危険があります。そしてこれは大學の自治を危うくするものであるとおもいます。

D人事制度、教職員の非公務員化
教職員の非公務員化は、雇用や身分の不安定化につながります。
研究や教育に専念することができなくなり、雇用も3年から5年の有期雇用へ、非常勤講師の賃金単価を削減、雇い止めもおこっています。首都大学東京では、給与の年俸制、任期制などにより大量の人材が流失しています。 
このことで、必要な人数の教員や職員を確保できない、教員の補充ができないなどの問題がおきています。

工科大学は専任教員数を常勤で大學設置基準比2.0を目標にするとありますが、平成22年は、専任教員69人、大学設置基準必要教員数63人に対して、1,10です。学科改変を進め6科に増えましたが、今年度は、昨年に比べて教授が3人減っています。非常勤講師は103人から130人と増えている状況です。大學は専任教員の増員を求めています。
法人化により教職員の確保等が困難になることが予想されるが、設置者として、どのように考えるのか。

●先日法人化した国立大学の2010年度の給与水準が発表されましたが、常勤役職員の人件費は行革推進法が求める06年度以降の5年間で5%以上の人件費削減目標を大きく上まわり10,7%減少しています。
教職員の安定した身分を保障することが自由な教育・研究環境を保障し、多くの優れた、研究成果と、人材を生み出すことができると思います。非公務員化をすべきではありません。
国立大と違い公立大は、法人化するかしないかは設置自治体の任意です。
 大學の自治を守るためにも法人化はすべきではありません。

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