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議会報告

教育福祉常任委員会質疑 介護保険条例改正 3.27 小林久子【2012/3/27】

1、介護保険料区分の細分化による低所得者救済について 
第5期介護保険料は基準額が57900円に負担が増え、第4期と比べ月額4825円、1100円、年間13200円もの大幅値上げになります。

@保険料の徴収は、基本的に年金からの天引きで、問答無用の徴収になっており、保険料を納めないと、利用料は全額あるいは3割負担と言うペナルティが課せられています。年金が年18万円以下の人は普通徴収です。本来なら生活保護対象の世帯ですが、年金がこんなに少ない人でも保険料を払わなくてはなりません。
介護保険料の未納者は3月8日現在で、2775人。滞納額は1億600万円ですが、これを保険料の段階別に示してください。大きく市民税本人非課税、市民税本人非課税だが世帯に課税者がいる場合、本人が課税者の3段階に分けて示してください。

A本人の年金額は低くても、課税者が家族にいると、段階が上がり、本人の保険料負担が重くなるという問題があります。未納の原因をどのように捉えていますか。

●負担能力に応じてといいますが、保険料の設定自体に問題があります。年金収入が18万円以下でも、無年金の人でも保険料は払うことに定められています。家族に課税者がいれば、本人の年金が低くても、段階は上がり、重い保険料負担が課せられます。こうした人たちに対する、保険料の負担軽減をしたというが努力が足りなかったのではないでしょうか。

B次に、保険料区分についてお聞きしますが、今回第3段階が2つに分かれました。この段階は本人も家族も非課税世帯です。特例第3段階は年金収入120万円以下ですが、介護保険料3段階の対象は、65歳1人暮らしの方を例に挙げると、年金収入がいくらになるか示してください。
120万円以上151.5万円以下

C新たに特例3段階を設けたことで、この改定率は7,8%に抑えましたが、第3段階の人は非課税世帯であるにもかかわらず、保険料は43400円で負担幅が29.6%にもなっています。
わずか月にすると10〜12.5万円の収入では生活保護世帯とほとんど変わりません。ここをもう少し負担軽減する必要があると思いますが、いかがか。

Dまた、年収が151,5万円以下であれば市民税非課税ですが、これをわずかでも超えると、市民税課税者になり3段階アップして第5段階の65000円になり、21700円も上がってしまいます。わずかの差であまりにも負担が違いすぎます。この課税と非課税の境界の人の負担軽減をはかるべきではないですか。

E夫婦2人世帯の場合でみてみると、夫の年金が201,9万円以下、妻が国民年金で平均的受給額54万円だとすると、非課税世帯で、夫は第3段階43,400円。妻は第2段階26,000円で、夫婦合わせて介護保険料は69400円。しかし、夫の年金が201.9万円以上だと市民税課税世帯になり、介護保険料はやはり3段階アップし第5段階の65100円。妻の介護保険料は本人が非課税者だが、世帯に市民税課税者がいる特例4段階の50600円。夫婦合わせて保険料は合計115700円になる。この差はなんと46300円もなります。こうした境界の負担軽減をするためにも細かい区分わけをして低所得者への負担を最小限にとどめる配慮が必要です。第5段階は所得125万円以下でくくられていますが、ここを細分化すべきではないかと思いますが、いかがですか。

●このご夫婦の場合、国保税が114009円と合わせると約23万円にもなり、夫婦合わせて年金が月21.5万円ですから年金1ヶ月分を超える重い負担です。このように3年ごとに保険料を引き上げ、一方でサービスはこの間抑制してきました。保険あって介護なしと当初から言われてきましたが、介護保険制度自体がすでに破綻に向かっていると言わざるを得ません。

F船橋市は、高額所得者の区分をさらに3段階増やし、保険料の所得区分を15段階から17段階にしています。非課税者の改定幅は10%以下にとどめている。基準額1とすると、これに対する料率を0,45から2,5まで広げています。一方本市は、0,45から1,75にとどまっています。船橋市は第5段階を2段階に分けました。こうした他都市の状況を参考にして、 細分化する検討はしましたか。

G低所得者の負担を 軽減するためにも、所得の高い人にはもう少し負担をしてもらうべきではないでしょうか。本市は第8段階の人数は保険者全体の約3.6%でわずかだと答弁しましたが、人数にすると何人ですか。

H2956人でも、この中には高額所得者がいるとすれば、上限を400万円で切るのでなく、たとえば、500万円、600万円、1000万円、1500万円など区分を設けて、高額所得者には細分化して負担をしてもらうことも必要ではないですか。

●ぜひ細分化して、低所得者への保険料軽減をすることを検討すべきです。

2、基金及び一般会計からの繰り入れについて
@平成24年度に限り、第5期保険料増加の抑制のため、都道府県の財政安定化基金の取り崩しを認める法改正が行なわれ、県は市町村の拠出分9億5000万円を取り崩し、本市に約1億5700万円が配分され、市の介護保険給付費準備基金7億円のうちの6億円を取り崩し、保険料上昇の抑制にあてたと答弁されています。
介護保険給付費準備金ですが、第4期保険料の算定にあたり、本市は第3期17億円の介護保険給付費準備基金を一部取り崩し、一人平均年間4100円(8.4%)引き下げました。こうした実績もあります。今回基金はあといくら残っていますか。

Aたとえわずかでも、高齢者の負担軽減をはかる市の姿勢が大切です。全額取り崩すべきではなかったか。

B財政安定化基金は、市町村の介護保険財政の財源不足が起きたとき、資金を貸し付ける基金を積み立て、運用する仕組みです。市町村と都道府県、国がそれぞれ3分の一ずつ拠出していますが、市町村の拠出分は全額高齢者の介護保険料です。今回の措置は当然だと思います。
介護保険制度開始から、09年度までの10年間で市町村から集められた拠出金は約950億円。基金の積み立て総額は約2850億円に上っています。
今回市町村の分だけ取り崩したが、県、国それぞれ基金があります。
この間介護保険料引き上げと給付抑制で市町村の介護保険の資金不足が起こることはきわめてまれになっています。したがってこんなにたくさんの基金を溜め込む必要はありません。国や県拠出分も取り崩すよう求めるべきです。いかがか。

C一般会計からの繰り入れについて伺います。
市は前工団には毎年赤字の補てんに一般会計から4年間続けて40億円以上つぎ込んでいます。開発には税金をつぎ込んでも、高齢者を守る介護保険料の負担軽減には使えないというのでは、納得できません。本会議質問に対しては出来ないとの答弁でしたが、国の指導だけで禁止の法律はありません。一般会計からの繰り入れはいかがですか。

D千葉県浦安市、埼玉県美里町などは保険料の値上げを押さえるために法定以外の一般財源を繰り入れています。こういう市町村もありますが一般会計繰り入れは法律で禁止されているものではありません。いかがお考えですか。

●国は保険料の全額免除、収入に着目した一律減免、一般財源の繰り入れは適当でないと強調していますが、介護保険は自治事務であり、国の指導は助言に過ぎません。実際各地の市町村が一般会計の繰り入れで、保険料や利用料の減免を 実施しています。
市は今回の大幅値上げを抑制しようという姿勢が大変弱い、ただちに検討しなおして保険料の引き下げは撤回すべきです。。

3、介護予防・日常生活支援総合事業
@12年度から地域支援事業に新たに「介護予防・日常生活支援総合事業」が創設されます。いわゆる総合事業を導入する市町村は、要支援者へのサービスを従来どおりの保険給付とするか市町村任せの総合事業とするかを決めることになります。
総合事業は施設や人員など国の統一基準はなく、ヘルパーの訪問による調理や選択など生活援助を、シルバー人材センターや民間業者の配食や見回りなど、安上がりものに置き換えることも可能です。
総合事業は、軽度者のサービス水準を後退させるもので、導入しないように、前回の請願でも申しましたが、 本市の第5期スマイルプランはこの総合事業を取り入れていくのかどうかお聞きします。

Aここで問題なのは、自治体が行なう地域支援事業は、介護給付費の3%以内、「総合事業」分は2%以内に抑えなければならないという財政的な制限があることです。
 要介護度別の在宅利用者の割合を見ると、説明資料では、要支援1,2は2816人(平成24.1)これは在宅の要介護認定者全体の35%と高く、介護給付費の割合で見ると、全体の13%を占めています。
地域支援事業費は24年度の推計で介護給付費全体の約2,2%となっています。これを総合支援事業の3%の枠内で行なおうとすれば、提供できるサービスはわずかになり、要支援1.2の人のサービスが大幅に後退することになります。
こうした問題を持つ総合事業ですが、第5期計画の途中で実施した場合、これらが、介護給付費などにどう影響すると考えられますか。

●現在行なっている地域包括支援センターの運営や介護予防教室や配食サービスに加え、要支援1.2の人の通所・訪問介護、短期入所などを従来どおり行なう余地はありません。
総合事業が創設されれば、要支援者のサービス削減にとどまらず、非該当とされた高齢者のサービスも削減されることは明らかです。
厚労省は、年度当初からの実施でなくともかまわないとして、2号保険料が投入されるなどとメリットを強調し実施を促していますが、給付費を抑制する施策の1つである総合事業は次期計画で実施すべきではありません。

今回の介護保険法の改定は、地域包括ケアを目玉とし、介護予防・日常生活支援総合事業」や24時間対応定期巡回サービスなどが制度化されましたが、お年よりの生活を支える点で不十分と関係者から指摘されています。
コストの高い施設から在宅へ、医療から介護への流れをいっそう強め、サービスの削減を進めることは問題であることを指摘して質問を終わります。


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