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議会報告

2012年3月臨時議会本会議代表質問(長谷川薫議員・2012年3月21日)【2012/3/28】


3月臨時市議会代表質問 【3月21日 長谷川薫】

 日本共産党前橋市議団を代表し、市長の選挙公約及び所信表明にもとづいて質問を行ないます。

1、最初は国の政治に対する市長の基本姿勢であります。

 いま野田内閣は国民との公約を投げ捨てて消費税の10%増税と社会保障の改悪を一挙に強行しようとしています。また、農業と暮らしを破壊するTPP・環太平洋経済連携協定に参加を表明し、すでに関係各国との協議を開始しています。さらに、福島第一原発の事故原因の究明や今後の地震や津波対策も十分行わないまま、ストレステストの完了だけで政府は原発の再稼働を進めようとしています。

 ところが市長は、市長選挙中も選挙が終わってからも、市民の暮らしや安全に重大な影響を及ぼすこれらの問題には全く言及されていません。市民の福祉の増進を最大の責務とする地方自治体の長として、地域経済を冷え込ませ市民の暮らしをいっそう苦しめる消費税増税や、年金・医療・介護・保育・生活保護などの給付削減と負担増を内容とする社会保障制度の連続的な大改悪、そしてTPP参加や原発依存をやめようとしない民主党野田政権の政治運営に、明確な反対の態度を示すべきではないでしょうか。この4つの重要問題についての市長の基本認識について、それぞれ答弁を求めます。

第二に、市長選挙で市長自身が掲げられた公約について順次お聞きします。

 @最初は市長がすぐやめる・凍結すると公約した新清掃工場建設計画についてです。
いうまでもなく清掃工場は市民生活にとって必要な施設であります。しかし発がん物質の排出などの環境負荷を伴う施設であるからこそ、建設にあたっては、市民のさまざまな不安に応える時間をかけた説明や十分な情報公開など、住民合意をもっとも大切しなければなりません。

 わが党は構想段階から、ごみ減量に逆行し事故が多発している溶融炉の導入に反対するとともに、ごみの分別と減量の推進による施設規模の縮小さらには自然災害や施設事故・環境負荷などのリスク分散を行なうためにも、1箇所への集約方針に反対し、現有3工場の延命化を進めながら複数工場体制を維持すべきと主張してきました。
さらに、工場からの排ガスの影響を心配する伊勢市民が提出した1万5千人の反対署名を重く受け止め、下増田町への建設を安易に決定すべきではないと繰り返し指摘してきました。それにもかかわらず、市が実施した環境アセスは大変不十分な内容であります。市や県が実施した建設に向けて住民の意見を聞く公聴会では、建設賛成の公述人は一人もなく、「十分な建設場所の検討をしないまま、なぜ地盤が軟弱な浸水危険箇所を選んだのか」「環境アセス調査実施中に福島原発事故が発生したのに、放射性物資の影響評価を全く行わなかったのはなぜか」「煙突排ガスは4種類しか想定していない。必ず排出される鉛やカドミウムなどの重金属を環境アセスの調査項目に加えなかったのか」「住宅や学校や病院が集中している三郷や宮郷地域は半径2.5キロ圏内に伊勢崎市と玉村町の清掃工場が操業している。新清掃工場が下増田町にできれば3清掃工場による複合汚染の危険性がある。広域的な検討をしたのか」など、建設計画についての疑問や批判が数多く出されました。

 以上のことからわが党も市長の基本認識とほぼ同様に、これまでの進め方には多くの問題があり、新清掃工場整備計画の抜本的な見直しが必要と考えています。市長は1年間の凍結を表明していますが、今後、複数工場体制の維持やそれに伴う新工場の規模縮小や立地場所の変更を前提として見直し検討をされるのかどうか、端的にお答え下さい。

A次に、市長がピカソやモネなどの名画を飾れない美術館はすぐやめると公約された美術館建設についてです。

 わが党は、過大な財政投資をせず身の丈にあった美術館建設を基本に、平面駐車場を確保できる敷島公園周辺や共愛学園跡地など市の未利用地への立地を求めるとともに、運営を民間に委託せず学芸員を十分確保して直営とすることを提案してきました。しかし、高木前市長は、十分な市民の納得と合意を得ることなく、市が商業施設として活用するために買収しながら、テナントの募集に失敗し遊休化していた旧西武リヴィンをリフォームして美術館とする決断をしました。

 このような不十分な検討の経緯がありましたが、わが党は、市街地立地型美術館も市民が気軽に立ち寄って鑑賞できる利点があると判断し、市の直営を基本に、高価な有名作家の絵画の購入をせず、郷土ゆかりの作家の芸術作品を中心に収集展示するとともに、魅力ある企画展を開催し、市民が低料金で利用しやすいギャラリー機能を高め、入館料をできる限り安くして魅力あふれる美術館運営を行なうよう求めてきました。
そこで市長にお聞きしますが、第1に、市長は高価な絵画は展示できないとお考えのようですが、何を根拠にされているのか。防災上の観点でしょうか。第2に、新聞報道によれば、市長は市の850点・評価額約12億円の収蔵美術品の価値を低く評価し、収蔵庫などの設計変更も示唆しているようですが、専門家の評価にもとづいて判断されているのかどうか。第3に、すでにリフォーム工事中の美術館をについて、市長葉特注品の部材の変更を求めるという答弁もありましたが、市民ギャラリー中心の施設への設計変更が必要と判断しておられるのかどうか、それぞれ見解をお聞かせ下さい。

B次に市長がイベント広場にすると公約した中心市街地千代田町8番街区の整備構想についてです。

 わが党は、前市長に、財政危機と人口減少と少子高齢化社会が進行している中で、南部拠点地区などの郊外に大型商業施設誘致を推進しながら、その一方で多額の財政を投入しながら集客を目的にハコモノを整備し中心市街地を活性化しようとしても両立しないと繰り返し指摘し、すでにオーバーストア状態となっている郊外への大型店出店を抑制すべきと主張してきました。
 
 バブル経済の発想で市街地を拡大することが都市の発展あるいは都市間競争に勝ち抜く都市計画という考え方を抜本的に見直し、既存市街地の再開発を重点としたコンパクトシティーの発想を大切にしたまちづくりに転換しなければなりません。
したがって、市長がお考えの通り、わが党も会議室やホールの利用率にも余裕があるテルサや中央公民館が隣接する8番街に、図書館を含め同じような文化施設を整備することは市民合意も得られず、費用対効果で問題があり、中心市街地への過剰投資になりかねないと考えます。
 市長は、人の交流拠点にすることが大切との立場から8番街をイベント広場にしたいと提案していますが、中心街で七夕や前橋まつりのような市民参加のイベントを開催するだけでは一過性の行事に終わると考えます。当面は利用率の高い駐車場として現在のまま活用し、本市の都市計画全体の中で8番街整備を含めて中心商店街をどのように位置づけるかの検討を市民参加で十分に行なってから判断すべきと考えますが市長の見解をお聞かせ下さい。

C次に、行過ぎた税金の取立ての改善についてです。

 市長は「税金を権力の道具にしない。市税滞納者に対する問答無用の差し押さえをすぐやめる」と公約されました。
わが党も生活や営業が苦しくなって、国保税や市民税を納められない市民には、親身に相談に乗り生活実態を把握して、分割納付や減免の措置をとることが自治体本来の仕事だと考えております。ところが、本市では納税の公平性をことさら強調し、税滞納者の生存権を脅かすようなきびしい取立てを強め、差し押さえ件数は2010年には1万件を超え全国トップレベルになっています。特定の悪質滞納者に限られるべき強制手段が、すべての滞納者に普遍化しています。国税徴収法76条では給与や年金の生計費相当額は差し押さえが禁止されているにもかかわらず、預金に振り込まれれば預金債権化するために、しばしば徴税吏員の裁量で生計費相当額にまで及ぶ過剰な差し押さえが行なわれています。その結果、自営業者は事業継続の道を断たれたり、抗がん剤治療の継続ができなくなり生活保護で救済せざるを得ないなどの深刻な事例も発生しております。これは国税徴収法にもとづく適正な執行とは言えません。自力執行権を乱用せず、滞納者の生活実態を十分把握し、地方税法15条にもとづく納税の猶予・換価の猶予・滞納処分の停止などの納税緩和制度を周知するなどの適切な対応をおこなうなど滞納整理の改善が直ちに必要だと思います。
 
 そこで市長に質問します。第一は、市長は、税滞納者への給与・年金それらが振り込まれる預貯金債権などの差し押さえ件数を大幅に減らして、ていねいな納税相談による自主納付を基本とする本来の収納行政への転換を本市徴税吏員に直ちに指示すべきと考えますが、見解をお聞かせ下さい。

 第二に、これまで当局は個人情報保護のためと説明し、納税相談に呼ばれた税を滞納している市民との市議会議員の同席を一貫して拒否し続けています。しかし、税滞納者の生活実態を把握している市議会議員が、依頼を受けて納税相談に積極的に関与することは、滞納整理の障害になるどころか自主的な納税や分割納付への促進と新たな滞納発生の抑制に結びつくものです。市議会議員の同席を認める改善を直ちに行なうことを求めますが、市長の見解を求めます。

D次に地域経済振興策についてです。

 市長選挙の際に全日本・建設交運・一般労働組合・群馬県本部が実施した候補者アンケートに、市長は次のように回答されています。「公契約条例と公共サービス基本法は一体のものであり、その理念は官製ワーキングプアーを作らないと私は考えています」「私は公契約条例と中小企業振興条例を公約しております。その実施を当選後最初の議会へ条例提案を行ないたいと考えます。公契約条例の精神は、建設工事の発注だけではなく、公立学校の修学旅行のバス運賃にまで及ぶすべての公契約に関して広く行なわれるべきと考えております。また、住宅リフォーム助成制度は市内業者が受注する場合、条件なしに上限50万円まで、2分の1、2世帯・省エネ・バリアフリーでは100万円まで2分の1を公約しています」と回答しています。
 市長が公約された、1,000人の新たな雇用拡大と地域経済振興策の充実をめざし、公契約条例・中小企業振興条例の制定および対象工事を大幅に拡大し、上限20万の現行制度の助成額の大幅費引き上げを内容とする住宅リフォーム助成制度拡充を市内の多くの中小企業や個人事業者が期待しております。本臨時議会には提案がなされていませんが、公約どおり5月の予算議会には二つの条例案と新たな住宅リフォーム助成制度をそろって提案されるのかどうか明確にお答え下さい。

E次は、前工跡地の土壌汚染・田口の水道水源汚染、荒口の群馬化成産業の悪臭などの環境問題についてです。
 
 市長は、県や近隣市町村と力を合わせると公約されています。これらの環境汚染問題の解決のためには県との連携が不可欠です。前市長が前工跡地の土壌汚染問題で県を相手取って土地交換契約の無効を求め提訴をしていますが、わが党は、県に安易な交換契約を締結したことを市長が真摯に謝罪し、できる限り市の財政負担が重くならないよう、群馬県にも汚染土壌の除染費用20億円の応分の負担をしてもらうよう知事と話し合い、判決が出る前にできるだけ早く和解すべきだと考えますが、市長はどのように対応されようとしているのでしょうか。答弁を求めます。

 また、県企業局が1977年に造成した坂東工業団地の地中に1961年当時に県の許可を得て関東電化工業が埋めた約300トンの発がん物質が、田口町の水道水源を長期間汚染し続けている問題についても、すでに22年前から除去装置を設置稼働し1億3千万円も財政投入をしており、給水している南橘地区の8000世帯の不安解消のためにも原因物質の早期除却のための県との話し合いを進展させるべきと考えます。さらに、群馬県化成産業の悪臭公害についても、化成場法にもとづいて現在地への設置を現許可し、さまざまな工場の施設改善のための資金を助成した県と十分連携を図り、対症療法的な改善指導ではなく、会社に対して抜本的な悪臭防止策を求めるべきです。前橋市内の3大公害とも言えるそれぞれの環境問題の早期解決に向けてそれぞれの問題で、県との連携をどのように進めて環境保全を図ろうとされているのか、お聞かせ下さい。

Fデマンドバスなどの公共交通の充実についてです。

 市長は、買い物難民を減らすためデマンドバス市内全域運行・市内全域で200円の乗り合いタクシーの100台運行、さらに中心市街地などからの帰りの交通手段確保を想定し、午後10時までの運行を公約されています。現在、市当局は富士見地区での今年の秋からのデマンドバス運行準備を進めていますが、同地区の住民は、旧市内の病院、たとえば群馬大学病院や心臓血管センター、日赤などの基幹病院や市役所などの公共施設までのデマンドバス運行や、片道200円の現行料金の維持などを求めております。より利便性を高めてデマンドバスを運行してほしいという住民要望に応えるべきだと思いますが、見解をお聞かせ下さい。

 その一方で、市長はデマンドバスを広げるために赤字路線を廃止して財政対応すると述べたと報道されていますが、その考えはバス利用者の実態を認識していない発想です。本市の路線バス44路線のうち、25路線は赤字のため、市が民間バス会社に運行を委託しています。委託路線を中心にマイバスやデマンドバスを含めたバス事業全体の市の補助金は年間約2億6千万円ですが、赤字路線といえども1台平均7・1人の乗客が生活の足として利用しています。赤字路線を含め路線バスを廃止せず存続維持しながら、たとえば芳賀・総社清里・城南地区など路線バス空白地区を中心にデマンドバスやマイバスを効果的に運行するべきではないかと考えますが、見解をお聞かせ下さい。

G次に市長が公約された30人学級の全校実施と第三子からの学校給食の無料化についてです。

 新聞報道によると、30人学級についてはすでに公約撤回を決断されたようですが、あまりにも選挙公約を軽く扱いすぎるのではないでしょうか。すべての子どもの行き届く教育の実現に向けての30人学級制度の実現は多くの教職員や父母の願いであります。発達障害児を支援する現在の支援員の66人を増員するだけでは、市民の期待に応えられません。市教委は全小学校への実施には83名の教員の増員と必要経費を4億6500万円と試算しています。全小中学校の実施には10億円と試算していますが、本市の財政状況から見ても段階的に実施すれば不可能な施策ではありません。十分な検討を行なわず公約を撤回せず、未来を担う子どもたちの行き届いた教育実現のために、県のさくらプランやわかばプランの拡大を求めつつ、市独自で30人学級制度を拡大していく努力を尽くすべきだと思います。見解をお聞かせ下さい。

 また、学校給食の第三子からの無料化は、当局は対象児童約2000名で必要経費は約1億円と試算しています。公約どおり4月から実施すべきだと思います。明確にお答え下さい。

H次に国保税や水道料金の引き下げについてです。

 市長は、年金削減や消費税増税で不安が増す中、暮らしを守りますと公約されました。高すぎる国保税、無慈悲な保険証の取り上げ、過酷な滞納制裁などで、いま多くの市民が苦しめられ命が脅かされています。現在の本市の国保税額率の引き上げは8年間抑えてきたというものの、加入世帯の国保税負担はすでに年間所得のおおよそ1か月分にも及んでいます。しかも国保税額は、前年の所得で計算されるために、失業や病気や事業不振で収入が激減しても多額の国保税が賦課されることも問題点です。
 
 本市では、一年以上滞納している世帯が約7000世帯・加入世帯の13%を超えており、国保税を納めたくても治められず滞納をする世帯が増え続け、資格者証発行は約1000世帯、短期証も2500世帯を超えています。

 長引くデフレ経済の下で地域経済が冷え切っているときに、自治体においても市民の暮らしを暖める施策を推進することが大切です。国保を引き下げるためには、第一に国保財政の基盤を安定するために国庫負担の大幅引き上げが急務です。現在の医療費の38・5%を1984年の水準の45%に戻すことを国に求めること、そして第二に、当面は市の一般会計から国保特別会計に法定外の繰り入れを決断する、第三に、倒産とか不況・不作・病気などによって所得が激減下方を対象にする申請減免制度の枠を拡大する改善は急務です。三つの手立てを講じて公約どおり国保税の負担軽減を行なうべきと考えますが、市長の見解をお聞かせ下さい。
 また、公約どおり水道料金の引き下げを具体化すべきと思いますが、どのような検討をされておられるの、県企業局に県央第2水道の受水単価トン当たり110円の引き下げを要請して引き下げを図るのかどうか、お聞かせ下さい。

第三に、介護保険条例の改正についてです。

 市長は、老後の不安を減らしますと公約されています。いま年金給付が物価スライドと称して引き下げられ、4月からは後期高齢者保険料が平均1割引き上げられるなど高齢者が悲鳴を上げているのに、市長は本市の介護保険料を3割も一挙に引き上げようとしています。わが党は、高齢化率が高まり介護給付が増えれば、介護保険料の引き上げにつながる制度そのもの仕組みの問題点を指摘し、介護保険会計に占める国庫負担割合の25%の引き上げを一貫して求めています。このような国レベルの制度改善が行なわれない中での第五次介護保険事業計画を立てる上でのむずかしさは理解できますが、3割の引き上げを認めることはできません。市長は、高齢者を大事にしたいとさまざまな機会に述べてこられたことは承知しております。本気で高齢者の暮らしを守るとされる意思をお持ちであれば、改正条例提案を撤回し、いまこそ一般会計の繰り入れによって引き上げを抑えるべきと考えますが、明確な見解をお聞かせ下さい。
以上で第一回目の質問と致します。



第2質問

1、市長は、市長選マニュフェストで、雇用・所得・幸せ倍増計画を掲げました。前橋に雇用と所得を増やす経済をつくり、老後の心配、子育ての不安、放射能など暮らしの不安を減らすと市民に公約されました。国政に意見せずして実現できるものはありません。
消費税増税は国の動向を見守るのでは、市長のマニュフェストは文字通り「絵に描いた餅」になります。市長、政府がめざす消費税増税分5%は13・5兆円の大増税です。しかも大開発を再開させ大企業や富裕層に年間1兆7千億円も減税するなど無駄遣いを続けたままの大増税です。しかも社会保障切捨てと一体の大増税です。社会保障は充実どころか、充実予算2兆7千億円をはるかに上回る切捨てが計画されております。物価スライドを理由にした年金給付削減は2兆円、年金支給年齢引き下げによる給付減は6兆円から10兆円。子ども手当ては4400億円削減、医療費と介護保険料の負担増は2700億円、総額20兆円もの国民負担増です。1997年、当時の橋本内閣によって消費税5%への増税など総額9兆円の国民負担増が強行された結果、消費が冷え込み、回復しかけていた景気が急速に冷え込み税収が大幅に落ち込み、それにともなう景気対策の財政支出で、国と地方の長期債務がわずかその後の4年間で200兆円も増える結果を招来ました。消費税を増税しても、経済が悪くなれば、全体の税収は減り、社会保障の財源などは生まれてこないのです。消費税大増税が内需の六割を占める家計消費にも、雇用の7割以上を支える中小企業にも破滅的な打撃を与え、暮らしも経済も財政も壊すという認識はないのですか。見解をお聞かせ下さい。

 また、高木前市長は、「TPPがどうなろうと本市の農業を守る」と述べましたが、全く無責任な発言です。TPP参加による本市農業への影響は、現在の農業総生産額の46%、年間177億3千万円もの減収となると当局が試算しており、コメや麦・生乳は9割が壊滅すると見込んでいるのです。医師会も「参加すれば医療の市場化を招き、公的医療保険制度が崩壊する」と強く反対を表明しています。市長は本日の答弁で、本市の農業振興と合わせて食品産業の新規創業も期待できる旨のお話もありましたが、TPPに参加すれば農業自体が成り立たないのです。市長はTPP参加反対運動に連帯する意思はありませんか。はっきりお答え下さい。

 さらに、原発をなくせという声はいまや国民・市民多数の世論です。私たちは東北大震災から多くのことを学んでいますが、最大の教訓は、原発の重大事故がひとたび起こると、周辺地域の住民に耐え難い放射能被害を長期にわたって与え続けるということではないでしょうか。福島原発から200キロも離れている本市においても決して楽観できない放射能汚染が及んでいます。地震列島といわれる狭い国土に54基もの原発を抱える日本に安全な場所はありません。いったん制御不能に陥れば、国家すら破壊しかねない巨大なリスクを持つ原発はなくすべきです。それにもかかわらず、福島原発事故がいまだ収束せず事故原因の解明も十分ではないにもかかわらず、また使用済み核燃料や大量の汚染土壌の処理の行方も不透明なまま、安易に原発を再稼働させようとしている政府に、はっきりと原発依存のエネルギー政策の転換を求めるべきです。取り返しの付かない危険性と高いコストが暴露された原発に群がる「利益共同体」への税金のばらまきをやめ、自然エネルギーへの本格的な推進普及に舵を切れば、新たな新エネルギー分野の産業が成長し雇用も拡大されます。本市の地域経済の再生にも大きな可能性が広がります。たとえば、農業のハウスの加温・冷暖房に石油を使わずに太陽光や風力などの自然エネルギーや木質バイオマス・畜産し尿のバイオマスなどに転換できれば、支払うエネルギー費用を地域で循環できます。木質バイオマスの普及は、森林整備と結びつき国土保全や地下水涵養などの森林の多面的機能を高めます。畜産糞尿の活用は畜産振興に貢献します。
 新たな産業を興す力にもなる、脱原発を地方から発信すべきではないでしょうか。答弁を求めます。

2、次に市民との公約についてです。すぐできることは直ちに具体化すべきです。再検討が必要なものやあらたな財源の捻出が必要なものについては、市民の意見を聞き、市民に説明しながら早期実現をめざして一歩ずつ努力し、公約に責任を持つべきです。現在の民主党政権のように選挙に勝つために公約をばらまいたとの批判を受けないように忠告を申し上げ、再度質問させていただきます。

@清掃工場も美術館も8番街の再開発構想も、公共事業は市民の納得と合意なしには進められません。そのもっとも大切な前提は、行政と市民の信頼関係です。清掃工場については伊勢崎市民の合意も必要です。

 再度、しっかりした情報を全市民対象に公開し、さまざまな不安や疑問に答える時間をかけた説明と検討が必要だと思います。
 清掃工場については現3工場の長寿命化の具体的な内容と費用の試算を直ちに示すことが必要です。美術館については設計変更の必要性の有無と、運営の変更方向をはっきり示していただきたいと思います。8番街開発は、中心街への新たな文化的な施設集中が本当に必要なのかどうかを市民に問いかけていただきたいと思います。答弁を求めます。

A収納行政の改善についてです。

 市長は、徴税担当の職員に、滞納者であっても市民には人権が存在していることを認識させていただきたいと思います。市民は、だれでも等しく憲法11条の基本的人権・13条の個人の幸福追求権・25条の生存権など、人間として当たり前の人権を保ち、幸せで健康に生活するという生存権があります。いかに税金であっても、その滞納処分によって滞納者の生存権を否定するような制裁や過酷な生活に追い込むことはできません。営業権を侵害する処分もできません。国保税はすでに市民の担税力を超えているという実態もあり、滞納者にだけ責任があると言えないのです。市民の人権を尊重する指導を改めてすべきと思いますが見解をお聞かせ下さい。

 次に、収納課は滞納している本税を完納して延滞金だけが残っている市民の預貯金などの差し押さえをしています。滞納者の生活実態を十分把握して、滞納税を分納誓約どおり完納した場合には、延滞金の減免を行うよ牛どうすべきだと思いますがいかがでしょか。
 また、収納課は納税の猶予をほとんど行なっていません。納税相談で猶予申請書の提出ができることを説明し、納税の猶予の運用で14.6%の 延滞金を減額し、差し押さえを解除するなどの納税緩和制度で救済する対応を的確に行なうべきです。がいかがでしょうか。

B経済波及効果抜群の住宅リフォーム助成制度は、対象工事を大きく広げて市民にも業者にも大変好評の高崎市の事業をしっかり参考にして改善していただきたいと思います。制度改善の内容と事業開始による公募時期を市長はどのように指示されようとお考えか、お答え下さい。また、建設業法や下請け法では歯止めをかけられない、下請けや孫請けを含む労務者の賃金を保障することによって、ダンピング受注や下請けへの過度のピンはねを抑制し、官製ワーキングプアーをなくす効果がある公契約条例の制定こそ、お金が市内に循環して地域経済を活性化する効果があると市長も主張されています。私たちがすでに議案提案しております、野田市や川崎市の公契約条例も参考にして早期提案を求めますがいかがでしょうか。

 中小企業振興条例は中小企業家同友会や民商などの業者団体や労働組合などが地域経済振興と労働者や市民の雇用拡大のために、強く制定を求めている条例です。帯広市では2007年に中小企業振興条例を制定していますが、制定前から中小企業経営者や業者団体、地域金融機関が共同で条例案を練り上げ、産業振興ビジョンを作り制定後も産業振興会議を作り持続的に地域ブランド品の共同開発や観光交流施設の新設、販路の拡大などを続けています。群馬県の中小企業憲章が昨年の6月に制定されましたが、県議時代は中小企業振興のために積極的に提言をされたとお聞きしております。より良い振興条例の制定が迅速に進むよう条例検討段階からのから市民参加を求めますがいかがでしょうか。

Cデマンドバス、学校給食の無料化、30人学級、国保税や水道料金の引き下げは、当然事業実現には財源の手当てが必要になりますが、市長は所信表明でも老後の不安と子育ての不安を減らし、人材育成の強化と教育環境の充実が将来の前橋に還元されると表明し、任期中にスピード感を持って全身全霊で実現すると述べられています。
そのためにも、これまでの工業団地造成や都市計画道路などの開発優先の施策をあらためなければ、これらの市民要求は実現できません。同時に、行政の民営化や非正規雇用を促進し官製ワーキングプアーを増やす施策展開では、行政サービスの質や安全を低下させます。
 開発優先の施策を減らし、福祉や教育に重点施策を移行する政策転換をしながら、公約を一歩ずつ前進させていただきたいと思います。

3、次に、介護保険料の3割引き上げについてです。

 いま不足する特養ホームを増やしてほしい、介護難民を減らしてほしいという切実な声が高齢者や介護事業者から上がっています。今回の介護保険料の大幅引き上げを山本市長が提案していることに、多くの市民が落胆しています。公約と違うのではないかという声も上がっています。介護保険財政の国の財政負担25%を増やす法改正はすぐには進みません。しかし、市町が決断すれば一般会計の繰り入れと、所得区分のうち高所得者の区分をさらに増やして、累進的に保険料を引き上げて低所得者の引き上げ率を下げるなどの努力は可能です。

 本議会の3月補正予算には、前工団に約10億4千万円の一般会計の繰り入れ予算が提案されています。10億円を介護保険会計に繰り入れれば、介護保険料1年分の引き上げを中止できます。また、土地開発公社からの用地を引き取るための6億5千万円の繰り入れも予算化されています。財政健全化法による国の指導による税金投入ですが、その一方で、国保や介護特別会計への保険料引き上げの抑制のための繰り入れを国が禁止を指導していることは問題です。

 わが党は、地方分権の推進と国が強調して地方の裁量権を拡大しているのですから、介護保険導入時の国の強権的な指導を恐れず介護保険会計に一般会計からの繰り入れを行なえば良いと思います。3割もの引き上げをそのまま進めようとしている市長の議案提案は、高齢者の負担軽減を主張した市長選挙の公約とも矛盾すると考えます。
議案を撤回して、5月議会に提案しなおすべきだと考えますが、いかがでしょうか。答弁を求めます。以上で2回目の質問と致します。

第3質問

 市長の公約や所信表明には、わが党が主張してきた施策と共通するものが少なくありません。支所機能の充実や下請業者の保護、デマンドバスの充実、高齢者福祉や教育の充実などです。しかし、私の代表質問への答弁では、公約実現をめざすとはっきり表明されたのは、デマンドバスの運行拡大や住宅リフォーム制度の拡充・・・・・・・・・だけです。清掃工場や美術館の見直しも8番街構想も方向性がはっきりしません。介護保険料の3割引き上げは、引き上げを抑えるための努力不足で市長の最初の公約違反であります。

 わが党は、今後も市長の公約の実現を強く求めるとともに、公約実現のために、土地の先行取得を慎重に行うことや前工団事業の早期終息の決断、さらには都市計画の見直しなどを提言していきたいと思います。
公約をしっかり守っていくという市長の決意の程を最後にお答えいただくことを求めて、私の質問を終わります。

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