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議会報告

介護保険料の引き上げはやめよ(3月29日市議会反対討論)近藤好枝【2012/3/30】

 私は日本共産党前橋市議団を代表して議案第6号平成24年度前橋市介護保険特別会計暫定予算及び議案第24号前橋市介護保険条例の改正についての2件について反対の討論をいたします。
 最初に議案第6号についてです。
介護保険制度がスタートして12年、この間介護サービスの総量は増えましたが、自公政権の社会保障費の削減路線のもと、負担増やサービスの切捨て、介護報酬の削減などの改悪が繰り返され、民主党政権になり更なるサービスの切り下げで制度の矛盾が噴出しています。
 介護費用の1割の高すぎる利用料負担のため、支給限度額の6割しかサービスが使われないなど、低所得者が必要なサービスを受けられない事態が深刻化しています。その上、介護保険料の引き上げが行われれば、本市でも市民税本人非課税の方の保険料滞納者が3月8日現在1050人おり、保険料を払えない高齢者は介護保険制度からからはじき出されかねません。今こそ、低所得者などへの介護保険料の減免の範囲と額を広げ、せめて保険料第一段階の低所得者は全て免除すべきです。さらに、利用料についても市町村単独の軽減を行なっている349自治体にならい新たに導入すべきです。
 新年度からの実施を検討中の「総合事業」は介護保険の指定サービスではないため人員・設備・運営などに厳格な基準もなく安上がりの不十分なサービスになることは必至です。現在「要支援1・2」の人は予防給付としてヘルパーによる家事援助やデイサービスなどを利用できますが、総合事業が導入されると市の判断で低コストなサービスに切り替えられます。こうした、総合事業は導入すべきではありません。
特別養護ホーム待機者は1500人と増え続け、大幅な増設が求められます。しかし、第5期計画では230床と大変少なく、待機者解消には程遠い状況です。高齢者が安心して介護が受けられる大幅な基盤整備に拡充すべきです。
さらに、介護保険料の引き上げが盛り込まれた暫定予算は認めることはできないのであります。
以上の理由から本議案に反対いたします。

 次に議案第24号についてです。
高齢者の生活をよりいっそう深刻にする介護保険料の大幅な引き上げには反対です。
今回の条例案は第5期介護保険事業の2012年度から3年間の介護保険料を決定するものです。基準月額3725円から4825円へ1100円引き上げ、平均約29・5%も跳ね上がり、無年金の人でも生活保護世帯でも高い介護保険料を払わなければなりません。第5期介護保険事業の期間中に年金は2012年6月に昨年の物価下落分として0・3%削減、同じく12月、翌年6月、翌々年6月と3年間下がり続けて、合計で2・5%と年金が削減される中での大幅な値上げは、年金暮らしの高齢者の生活を破壊するものです。高齢者の実態からも介護保険料の負担は限界であり、引き上げないための対策が求められます。
 一つは介護保険給付費準備基金を全て取り崩して保険料の引き上げ抑制に使うべきです。
 二つは財政安定化基金の活用です。介護保険財政が悪化した場合のために市町村が市民から徴集した介護保険料の一部を拠出し、都道府県に積み立てられているものです。今回、国は介護保険料の高騰に歯止めをかけるため、特別に立法化して県の独自判断で基金の取り崩しを認めました。県に溜め込んである財政安定化基金は2012年3月現在40億2850万円です。そのうち市町村分拠出金9億5000万円を県内の37自治体に分けて、本市に1億5700万円が配分され介護保険料の財源に使われる予定です。しかし、まだ基金に余力があるのですからさらなる保険料抑制に充てるよう県の決断を求めるべきです。
 三つは保険料の負担段階設定を細分化し、所得400万円以上の階層へ累進的に負担を求めなど改善し、低所得者への負担を軽減すべきです。船橋市の17段階設定や横浜市、鎌倉市などにならい手立てを講じて負担増を抑制すべきです。
 あらゆる努力をしても介護保険料の引き上げ抑制ができないならば、一般会計からの繰り入れを決断すべきです。市は今年度3月補正予算で早急に買い取る必要性が疑問視される土地開発公社からの引取りで6億5千万円を計上しました。さらに、前橋工業団地造成組合へは一般会計からの繰り入れを10億4590万7千円おこない、4年間で43億5458万円にも及びます。塩漬けの土地や破綻している事業には湯水のように、市民の血税を注ぎ込みながら、市民生活に直結する介護保険特別会計への繰り入れは法律で禁止されていないのにもかかわらず検討されていないことは問題です。法定以外の繰り入れを行なっている千葉県浦安市、埼玉県美里町を見習うべきです。国の指導に従うことなく、本市として決断することが市民の生命・財産を守る地方自治体として最も真価が問われているものではないでしょうか。これこそ、地方分権の流れにそうものであります。
 今後も持続可能な公的介護保険の役割を果たすためには現在の低い国庫負担割合25%という根本問題を解決する必要があります。2000年の介護保険の導入前に介護費用の50%、導入後には国庫負担は25%と半減しました。公費負担が制限されるもとで給付費の増加は介護保険料の引き上げに直結します。高齢者は「保険料値上げを我慢するか介護サービスを受けるのを我慢するか」という選択を迫られるのです。介護保険制度のしくみの限界を打開するためには国庫負担を大幅に増やし、安心できる介護保険制度に転換するよう国に強力に求めるべきであります。
 なお、第5期介護保険事業計画の介護保険料の引き上げ(案)が前橋市社会福祉審議会に提案されたのは、3月議会で条例案が上程された後の3月26日でありました。市民の代表と位置づけている審議会で十分検討されないまま、議会提案されたことは重大な問題であり、猛省を求めておきます。
 最後になりますが市長は高齢者にやさしい市政を実現する、老後の不安を解消すると公言されています。しかし、公約違反とも言える介護保険料の大幅な引き上げは高齢者に最も打撃を与えるものであります。高齢者はもとより市民の納得は得られません。本条例案は直ちに撤回すべきです。以上申し述べまして反対討論といたします。

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