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議会報告

合併地区の地域作りと支援を(5月定例議会総括質問小林久子議員)【2012/5/18】


1、合併地区の地域作りと支援について
1)合併検証のあり方 

 平成の大合併は、合併特例債と地方交付税削減というアメとムチにより、国の強力な誘導によりおこなわれ、1999年に3232あった市町村が2010年には約1730と約半分にまで減りました。
前橋市は2004年12月に大胡町宮城村粕川村と、2009年5月に冨士見村と合併し、それぞれ7年と3年がたちますが、新市建設計画のハード面の進捗状況やメリットばかりがとりあげられ、合併した地域の特性や暮らしがどう変わったか、人々の思いなど、ほとんど取り上げられませんでした。
市長は4月に4地区で懇談会を開きました。各地区さまざまな意見が出され、特に富士見地区は「市役所は遠く不便になる。」「地域の伝統芸能への補助金の削減」「支所機能が弱くなり、人が寄らなくなる」「防犯灯の自治会負担が増えた」「地域の一声運動や、他都市との交流など行政と一体でやってことがなくなった。」など、合併後の地域の実情が率直に語られました。市長は今予算で支所機能の拡充を掲げるとともに、合併検証室を設置しました。合併後の問題が地域住民から出ている今だからこそ、従来の合併検証枠内にとどまるのでなく、住民の活動・地域作りがどう後退したかなど、こうした面を含めた検証をしていくべきと考えますが、見解を伺います。
また、伊勢崎市の合併検証は、市民アンケートを実施し市民の率直な声を聞いています。本市でも市民アンケートを実施し検証に役立てるべきと考えますが見解を伺います。

(2)支所機能の拡充について

@地域の要望をスピード感を持ってとりくめるようにするため支所長に権限の一部を移譲し、地域のことは地域で解決できるようにといいますが、合併した旧町村は住民自治が大きく後退しています。合併協議で前橋市の制度に統一すると決めたことを絶対として、合併地域の実情を省みず、職員を一気に減らし、各種団体の補助金などなくしました。この結果、今まで行政と地域の各団体とが一体になってやってきた地域作り、人づくりが機能しなくなり、後継者が育たず、地域がさらに衰退しています。地域の行事の多くが自治会に集約され、自治会役員の仕事は多忙を極めています。一度衰退したものを再構築するにはどうしたらいいのか、こうした地域課題を抱える支所の現状をどのように捉え、今後支所機能をどう拡充していくのかについて伺います。

A合併地区の緊急性のある地域課題をスピーディに解決するために、支所長に権限の一部を委譲し、100万円の予算を計上しました。自治会活動を中心に補助していくとようですが、地域課題はたくさんあり優劣をつけることは難しいと思われます。また、4地区は人口も自治会の規模も数も違い、困難な地域を抱えています。市長は一括交付金化にふれ、頑張っている地域にはより多くの交付金をと地域を競わせるような発言をしていますが、これ以上地域を競わせるようなことになれば、合併地域はますます立ち直れないし、自治会同志の対立を生みかねません。この使い道については慎重さが求められると思いますが、この考え方について伺います。

B支所の職員体制
:現在の3支所は3課体制で大胡支所が21人、宮城支所16人、粕川支所16人、富士見支所が産業課を加えた4課体制で34人です。支所機能の弱体化が余儀なくされている中で、支所長が、旧町長村長のように地域の要望をすべて受け、一部権限をつけても、手足となる職員が不足しています。支所機能を強化するというなら、必要な人員をまず確保することが必要と考えますが、職員体制を増員する考えについて伺います。

(3)自治会・地域活動支援の充実について

@4地区は山間部を含み、高齢化が進み、交通不便地域を抱えています。行政の支援が届かなくなれば、自動的に人口減少が進む地域です。
大胡宮城粕川の3地区は、合併後人口比で約1割前後減少している町が31町中10町あります。三夜沢、中ノ沢、など人口が200人代の山間部の地区が6地区あります。こうした小さい自治会は財政力も弱く、人の手も足りず、地域課題を解決するのも容易でなく、自治会としての機能を維持していくのも大変です。こうした地域への独自支援が必要と考えますが、見解をお聞きします。

2、大胡地域の諸課題について
(1)大胡城跡の整備

 県の指定史跡になっている大胡城跡は、本丸二の丸跡やその北にある、大胡神社のある近戸くるわなども、形状をとどめており、市の重要文化財の算額や市指定の天然記念物のムクロジなどあり、ここも含め一体的に整備をしていくことが必要と思いますが、今後の整備について伺います。また、これから草が繁茂する時期になりますが、見学者が足を踏み入れることができなかったなどということがないように、また、本丸の階段脇のコンクリート部分の陥没など地盤が弱くなっているところもあり、日常的な管理が必要と思われます。除草と管理については計画的に行なっていただきたいと思いますが、この体制についてお聞きします。
 戦争中に軍需工場を移設するために、当時たくさんの朝鮮の人が動員され、地下に大規模な防空壕を掘りました。現在入口はふさがれていますが、この防空壕も戦争遺跡として、後世に語り継いでいかなければならないものです。この当時の様子を証言する方も高齢になられましたが、いらっしゃいます。資料や証言集をまとめるなども城跡の整備とあわせて行なう必要があると思いますが、それぞれ見解をおききします。

(2)大胡ぐりーんふらわー牧場の整備

 大胡ぐりーんふらわー牧場は、シンボルの風車を中心に広大な敷地に、道の駅、農産物直売所や、ポニー、羊などの動物とふれあいゾーン、ローラー滑り台、木製遊具のゾーンがあり幼稚園児や小学生などに人気があります。また、バーベキューやバンガローなどキャンプ施設も充実しています。観光シーズンなどは大変なにぎわいを誇っています。
牧場の今年度の管理事業は1493.8万円で、農事組合法人さんぽ道に498万円で、日常的な管理を委託していますが、他の施設とちがい動物の世話やえさ代など費用や人手もかかります。遊具の不具合や施設のドアノブなど細かい修理が必要なところが見られ。また、菖蒲やミズバショウのゾーンが雑草に負けて、荒廃し、記念樹なども大きくなりうっそうとしており、枝落としなども必要です。定期的な管理と見回り、除草を行なっていると思いますが、もう少し、回数を増やすなど、きめ細かな維持管理が必要と思いますが見解をお聞きします。


第2 質問

1、合併検証のあり方

 平成20年10月に全国町村会が行なった合併の検証でも、従来の中央集権体制に基づくトップダウン的手法により、合併が推進され、国の強力な指導により合併を余儀なくされ、合併で住民サービスが低下し、行政が遠くなり、周辺部が衰退するなどの弊害が出ているとしています。
合併を行政サイドから検証するのか住民サイドから検証するのかで、大きく違ってきます。大胡宮城粕川の3地域でも、保健所、シルバー人材センターが大胡に集約され、社会福祉協議会支所も縮小、地域包括も直営がなくなるなど、再編集約縮小され、住民生活が激変しました。頻繁な家庭訪問や、シルバーの高齢者宅訪問などきめ細かい交流で、行政に守られているという安心感があったのがなくなる。しかしこれは行政サイドから見れば効率化と評価するわけです。前市長は合併のメリットばかりを強調していましたが、山本市長は、合併検証や、支所機能の拡充について取り組むとしています。また、集中でなく分散を選ぶと今議会で答弁していますが、合併は大きいことを良しとするもので、相矛盾すると思いますが、市長は平成の大合併をどのように捉えているのかお聞きします。

●住民目線に立ち、住民自治、地域作りの視点を欠いた議論を再び繰り返してはならないと思います。効率化を求めた合併で地域が衰退し立ち直れない状況です。合併後3年たった富士見地域でさまざまな問題が噴出していますが、同じ過ちを繰り返すのか。合併協議に縛られることなく、地域の要望を吸い上げ、解決に向け対応をしていってほしいと思います。

●平成の大合併で、市町村の規模が大なるを良しとし、自治体リストラ推進の嵐が吹き荒れる中でも、合併と真剣に向き合い、小さくても地域、住民が輝く自治体を目ざし自立の選択をした町村もあり、1000程度にまで自治体数を減らすとした国のもくろみは崩れました。こうした自治体を正しく評価することが必要です。


2、支所機能の拡充

 3支所の産業課を廃止するときは地域の農業者などを中心に反対の声が上がりました。特に畜産を中心とする宮城地域では、反対の声が強かったことを記憶しています。地域の基幹産業ともいえるものをしっかり守るためには、身近な支所に担当課があり、何よりもすぐ相談でできる職員がいることが大切です。3支所に産業課を復活させることと、富士見支所については産業課をなくさないでの声も地域から出ており、存続していくべきと考えます。それぞれ見解をお聞きします。

●支所機能の拡充というなら今まで削ってきた、支所機能を元に戻すこの方向で見直すべき。

3、地域担当専門員の配置

 先に紹介した全国町村会の合併検証でも「行政が遠くなり、これまで培ってきた行政と住民相互の連帯が弱まり、住民の地域作り活動に支障が生じている。」などの事例が多く見られるとしています。
今年1月に岩手県二戸市を視察してきましたが、ここは楽しく美しいまちづくりを目的に全世帯対象に、自慢できるもの、大切にしているもの次世代に伝えたいものなどについて記述式で全世帯アンケートを実施し、貧乏で雑穀しか食べられなかった土地柄だが、この雑穀を使った食文化へ光を当て、価値ある身近な宝を再発見し、人と自然のつながりを大切にエコツーリズムのまちづくりを進めている。ここで、学ぶべきと思ったのは、地域担当職員を49地区に配置し、市民と行政が一体にとりくんできたことです。
地域作りは人づくりだと思います。補助金を出すから地域でやってというのではだめだと思います。地域担当の職員を配置し、役所の中から出て、現場でいっしょに汗を流す。こうしたことが大切ではないでしょうか。いかがですか。

●今必要なのは人づくり。せっかくある地域審議会もハード面ばかりでなく、地域作り、人づくりについて議論する場にしていくべきではないでしょうか。
 職員の増員はないということですが、地元職員を支所に配置するなどして職員が地域の活動に参加できるようにするなど配慮が必要です。
 




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