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議会報告

2012年第1回定例市議会総括質問・長谷川薫市議会議員(2012年5月16日)【2012/5/23】

 私の質問は、市営住宅事業についてです。 

 1、本市の市営住宅は、立地場所により入居希望の差異はあるものの依然として市民の強い行政需要であります。

 住宅に困窮している市民に低家賃の住宅を提供する福祉施策であり、人口減少が続く本市の人口増にも寄与する施策でもあります。したがって市は空き家戸数を極力減らし、できるだけ多くの市民が入居できるようにすることや、住宅の修繕やリニューアル促進など一層の工夫と努力が必要だと思います。

 ところが、現在の本市市営住宅の入居は4,809世帯であり、管理戸数5,462戸に対する入居率は88%で、653戸が空き家となっています。入居率が最も悪い芳賀団地は76%、南橘団地と江木団地はともに84%です。

 入居待機者が全体で416人もいるのに、5月1日の入居斡旋可能として市民に紹介している戸数は、はわずか39戸で空き家全体の5%だけであります。空き家対策の遅れが示されています。
 芳賀第6団地や南橘団地の一部などの用途廃止予定の空き家111戸を除いても、542戸もの空き家が残っており、中には数年間空き家のままとなっているなど慢性化していることは問題です。原因をお聞かせ下さい。

 2、次に、市営住宅の定期的な修繕およびリフォーム工事の促進による長寿命化策についいてであります。

 私自身も現地を歩いて確認しましたが、入居率の悪い住宅は共通して修繕が遅れており、階段や外壁のコンクリートがひび割れ、塗装が剥がれ、建物全体の老朽化が大変進んでいます。建物の修繕が行き届いていないのです。

 屋上防水や外壁塗装、給排水管の交換工事など比較的規模の大きい計画修繕さらに入居者の要望に応える小規模の戸別修繕に必要な予算額があまりにもを少なすぎます。
 2009年度の約4億円をピークにして、11年度が3億円、12年度が2億2千万円と減り続けており、今年度予算も昨年度並みで増えておりません。貴重な社会資本である長寿命化のためにも、入居率の向上のためにも、修繕予算を大幅に増額すべきです。見解をお聞かせ下さい。
 
 また、入居者の責任部分とされている畳や建具、壁紙、ドアノブなどの修繕についても、5年10年と一定の入居期間が経過したら、市の費用負担で修繕するべきです。とくに、最近はドアノブの経年劣化によって洗面所や風呂場やトイレに入居者が閉じ込められる事故が発生しています。私も南橘団地の入居者の連絡で現場に駆けつけましたが、洗面所に閉じ込められた小学生を北消防署のレスキューが救出するのに1時間もかかりました。1人暮らしの高齢者も住んでいますので、一斉点検して老朽化したドアノブの交換を市が行なうべきと思いますが見解をお聞かせ下さい。
 さらに、住戸改善事業では、国領・荒牧・岩神・日吉など横廊下方式の住棟については、耐震化工事とあわせて事業効果の高いエレベーター設置を急ぐべきだと思いますが、見解をお聞かせ下さい。

 3、次に、団地全体の居住環境や利便性の改善・向上対策についてです。

 現在社会実験を進めている富士見地区のデマンドバスの運行区域に芳賀団地を加えたり、広瀬団地にマイバスの路線を増設するなどの公共交通の利便性向上を図るべきです。また、高齢者などの買物弱者対策として、最低限の生活必需品を買える店舗を確保するとともに、移動販売車などの運行も検討すべきです。
建物の修繕促進と平行して、市が建設した市営住宅の生活の利便性向上に向けて関係部局がすべきと考えますが、当局の見解をお聞かせ下さい。

 4、次に高齢者などの住み替え要望促進のための助成制度の創設についてです。

 いま、エレベーターのない中層の住宅に住む高齢者や身障者の多くが、1階への住み替えを希望しています。ところが、おおよそ20〜30万円かかる原状回復工事費を負担することができないために、住み替え申請を出せない場合がほとんどです。昨年度の住み替えが全市で3戸にとどまっている原因でもあります。低所得高齢者の原状回復工事費の負担額を大幅に助成する制度を創設して住み替えを促進すべきだと考えますが、当局の見解をお聞かせ下さい。

 5、次に団地内の樹木の剪定についてです。
 
 入居者の高齢化が進んでいるため、建物の周辺に植栽され入居者の管理責任とされている低木の樹木の剪定に入居者の多くが苦労しています。植栽して20〜30年経過すれば低木といえども幹は太く硬くなっており、腕力の弱くなった高齢者には手に負えません。
 市の樹木の管理規定の見直しや、今後の外構工事の設計見直しも必要だと考えますが、当局の見解をお聞かせ下さい。

 6、次に、建て替え促進についてです。
 
 老朽市営住宅の今後の建て替え計画は、南橘団地の二棟を残すだけとなっています。同団地の用途廃止予定の住宅は住み替えや転居で空き家が急増しており、入居者の安全が脅かされています。そこで、1棟の建設に設計に1年かけ、工事に2年かける立て替え事業期間を短縮して、少なくとも今後4年間で2棟を建設し入居を早めるべきです。また、すでに建て替えが完了している6階建てのNA棟の入居者は、引き戸型の玄関ドアーを開けたときにドアーがスットップしない 、インターホンの最大音量が小さすぎる、玄関の取り付けのイスの高さが調節できない、風呂場のドアーが使いにくい、夜間の廊下などの共用部分の照明の節電機能がない、などの設計上の問題点を指摘しています。できるだけ早く修繕するとともに、今後建設する2棟の建物設計を変更すべきです。工事の促進とあわせて見解をお聞かせ下さい。

 7、次に耐震改修工事の促進についてです。

 耐震化が必要な9棟のうち今年度は古市と南口改良住宅の工事が事業化されていますが、設計が完了している国領の2棟も今年度内に工事を実施すべきです。地震災害への備えは、最優先すべきです。入居者が住みながらの耐震工事も技術的に十分可能でありますので、残る5棟の設計及び工事については工事完了を何年度とするのか明確にすべきです。当局の見解をお聞かせ下さい。

 8、次に家賃減免制度についてです。

 現在、低所得者対象の市営住宅家賃の減免を行なっている総数は764戸で、入居者の15.8%です。高齢者は年金が減り、介護保険料などの負担が増え、加えて消費税増税計画などで、将来不安を強めています。若年労働者もリストラ解雇による失業も少なくありません。そこで、これまでの申請減免制度の周知だけにとどめず、市に入居者が毎年提出する所得申告を受理した際に、減免基準に該当すると判断した入居者には、返信用封筒を添付して減免申請書を再度送付するなどの改善が必要だと思います。見解をお聞かせ下さい。

 以上で、第1回目の質問と致します。

第2質問をします。

 @私は住民生活の安心と安全、既存施設・構造物の長期利用のためには、その定期的な維持補修を始め、耐震改修、バリアフリー型のリフォームが欠かせませないと思います。答弁では「空き家が多いのは、入居希望者の入居対象団地が偏っていたり、1階や2階の希望が多いいために、4~5階の希望が少ないため」などと空き家の原因を述べられましたが、私は最大の原因は、市営住宅の補修事業が不十分で適切に管理されていないからだと思います。
国は、財政支出抑制の観点から市営住宅や道路や橋や清掃工場などの既存公共施設の長寿命化の計画を策定した自治体には、点検から補修・建て替えにいたる予防保全の計画的な維持管理に必要な費用に社会資本整備交付金を出しています。市の負担分がありますが、積極的に国に手を上げて、市営住宅の維持補修予算を抜本的に増額する必要があると思います。
県営住宅が実施しているような2戸を1戸にして床面積を広げるリフォームや浴室や給湯設備を改善するなどのバリアフリー工事をいま市営住宅で進めなければ、30戸のうち半分の14戸が空き家の芳賀団地RH棟などのような建物が増えて、今後いっそう老朽化が進んで、やがては用途廃止を迫られていくのではないでしょうか。現状を見れば修繕予算の抜本的な増額の必要性を認識されると思います。答弁を求めます。

 Aつぎに予算不足とともに、市営住宅の修繕を計画的に進める職員体制の不足も市営住宅の管理上の問題点だと思います。
 建築住宅課は、松島課長以下4係で嘱託員4名を含めて34名体制です。日常的な市営住宅の入居者の要望に応えた修繕業務は建築営繕係の6名だけで対応されています。入退去や家賃徴収などを行なう管理係11名を除いた住宅整備係や設備係の職員は、主として教育委員会を除く消防署や公民館や美術館などの市の建物の設計や工事監理や営繕・維持管理を行い、同時に市営住宅の大規模修繕や建て替え事業を担っています。さらには、今後事業拡大が想定される耐震・エコ・子育ての住宅リフォーム工事の申請及び審査業務も所掌されています。
 私は、市内に散在している245棟5462戸の市営住宅の維持管理をする職員体制のうち、とくに修繕工事実施体制が弱いことが今日の不十分な管理状態を生み出しているもう一つの大きな原因だと思います。本市の貴重な社会資本である市営住宅を長寿命化させて市民に快適な低家賃住宅を提供する施策を強めてゆくためにも、修繕工事を管理する職員の増員が必要だと思います。答弁を求めます。

 B団地全体の利便性の向上の必要性については、芳賀団地だけの問題ではありません。それぞれの団地の入居者の要望をしっかり把握していただきたいと思います。市営住宅は、1人暮らし高齢者、母子家庭、生活保護世帯、要介護高齢者の方々が多数居住されています。公共交通による利便性向上、介護や医療の支援、低所得者の支援など多面的な行政サービスの需要が多い地域です。
修繕の促進は、市内の中小建設業者の仕事を増やす雇用対策・景気対策でもあります。入居率を上げることで、税外収入のアップにもつながり、公共財産の効率的な活用にも結びつきます。
 市営住宅の住み替えの効果的な実施を図れば、介護施設への入所ではなく在宅で暮らし続けられる高齢者も増えて、介護給費支出の抑制にも結びつきます。
低木の剪定をシルバー人材センターが受注できれば、高齢者の雇用機会を拡大できます。
 市営住宅の適正な維持管理によって、市の総合的な施策前進の成果が生まれてきます。安心して暮らせるコミュニティーを形成してゆくためにも、建築住宅課だけではなく、関係各部課との連携事業を推進していただきたいと思います。最後に、当局の答弁を求めて私の質問を終わります。



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