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議会報告

第1回定例議会教育福祉常任委員会質疑・保育の新システムの問題他(小林久子議員5.25)【2012/5/25】

1、子ども子育て新システムの問題

 子ども子育て新システムは社会保障と税の一体改革のトップにすえられ、現在法案が国会で審議中です。待機児解消や子育て支援の充実のためと称して消費税を増税し、その財源に充てようとしています。
 政府は増え続ける待機児ゼロ作戦打ち出しながら、保育予算の増加や認可保育所の整備に力を入れず、この間公立保育所の民営化や定員を上回るつめこみ保育、待機児の新定義の導入やこども園など、もっぱら規制緩和を進めてきたといえます。さらに新システムでは、幼稚園、保育園をなくし幼保一体のこども園の創設や、小規模の保育、保育ママ、また企業の参入を認めるなど、公的責任を大きく後退させようとするものです。

(1)市町村の役割について、公的保育の実施責任

@新システムの一番の問題は市町村の保育の実施責任をなくしてしまうことです。
現行保育制度は市町村と利用者が契約を結び、市町村から委託を受けた保育所からサービスを受け、保育料は市長村に払い、保育の実施責任は市町村にあります。ところが新システムでは、市町村は利用者の保育の必要性を短時間か長時間かに分け、認定し、利用者は保育園と直接契約し保育料も施設に支払い、市町村は保育の実施責任を持たなくなります。このように保育制度を大きく変えてしまうことについて、当局の見解をお聞きします。

●保育の必要性の認定では、保護者の就労状況によって短時間利用の区分をもうけて、これまで1日丸ごと同じ保育を受けることができた子どもを分断してしまいます。子どもの豊かな発達を保障する保育の営みが細切れ保育によって壊されてしまうと市内の保育園関係者からも不安の声が上がり、請願も出されています。保育の質も大きく後退するものであると思いますがいかがか。

●市町村は新システムの実施主体としての役割を担い、自由度をもって地域の実情に応じた給付等を設計し、提供、確保するとありますが、これは介護保険や障害者自立支援法と同じように、保育の必要性で選別し、直接契約など福祉も自己責任とする考えにもとづくもので、大問題です。

(2)最低基準 

 保育所最低基準は、児童福祉法で児童の身体的、精神的及び社会的な発達のために、必要な最低線を定めたもので、保育関係者は長年改善を求めてきました。
 ところが、地域主権改革一括法の成立により最低基準を、都道府県、政令市、中核市が条例化することにしてしまいました。本市も今年度条例化するとのことですので、何点かお聞きします。

@面積基準について伺います
現状でも、定員の上限を撤廃し詰め込み保育を行なっているのに、国の最低基準をなくしてしまったら、どうなるのか大変心配されるところです。市が中核市として条例制定するさいに、従来の最低基準が後退することはあってはならないし、市がむしろ拡大するというのであれば、良いのですが、条例化に当たって面積基準についてはどのように考えているのか伺います。

 A保育士の配置基準
3歳以上児は幼稚園基準30人、保育園は20人だが、本市は独自に16対1で保育士を配置しています。幼保一体のこども園は保育所と幼稚園とどちらの基準にするか。市の独自に拡充してきた基準が後退することにならないか心配です。今後保育士基準をどう設定していくのか伺います。

●新システムでは、こども園、小規模、家庭的保育などの地域型保育をみとめそれぞれ基準が示されます。指定要件の人員配置基準・居室面積基準などは従うべき基準と参酌すべき基準とされ、より低い基準へ流れる危険があります。実際待機児などが多い地域は基準を緩和できるようにするなどが検討されているわけです。
本市が最低基準を作っても、最低基準の廃止により、今まで作り上げてきた保育制度が大きく後退しこどもたちの保育環境の悪化につながるというふうに思います。

3)給食調理の外部委託

新システムでは、施設の認可制度から指定制度の導入にかわり、幼稚園が認定こども園になる場合、調理室の設置が困難ならば、3歳以上のこどもについては園内に調理室がなくても給食の外部搬入を認めるとしています。幼保一体のこども園では、午前中は幼稚園の教育を受け、午後は長時間の保育を必要とする子が保育を受けるというように変わります。
一方で保育所は調理業務の外部委託が構造改革特区の中ですすみ、2010年には全国公立私立保育所の3歳以上の給食を特区指定なしで外部からの搬入を認めました。
本市では、3歳以上児の主食の外部搬入を炊飯センターへ委託事業を昨年5園、今年は残り11園実施予定、公立18園すべてへ拡大し完全給食化を進めています。
新システムのなかでも自園調理を基本とすべきと考えますが、給食室の設置と外部委託について今後どのように考えているのか伺います。

●自園に調理室があってこそ食育の実践やアレルギー除去食などに対応できます。給食の外部委託が進めば、今後給食室の改修予算など施設整備の予算も困難になり、委託が進むことも考えられます。

●なお公立保育所の主食の外部搬入にかかわる1000円の実費徴収の問題は、本市は保育料第3子無料化を実施しており、この対象のこどもや、生保世帯や非課税世帯も含めて無料にする方向での検討をするよう要望します。
 
(4)指定制で企業の参入

こども園については、学校法人、社会福祉法人、株式会社、NPO等多様な事業主体の算入を可能とし、指定水準を満たせば、誰でも保育事業に参入できるとされました。保育が企業の儲けの場にされたら、福祉が後退します。子供の保育環境の悪化、保育士のパート化、施設が子どもを選ぶことや、儲からなければ安易に撤退など、保育の質の低下や、保育難民の発生など、保育水準が今より大きく低下することが予想されますが、企業の算入を認める新システムは保育の後退につながると思いますが、見解をうかがいます。

●利益を優先する営利企業と保育は相容れません

(5)保育料  

現在保育所の保育料は利用時間に関係なく保護者の所得に応じて市町村が決める応能負担ですが、これを利用時間に応じた料金にします。
料金は、公定価格に付加的な幼児教育や保育の料金として自由価格を上のせする仕組みです。上のせ部分は公的給付(利用者補助)の対象外で全額自己負担といわれています。応能負担が崩れ、保育料の保護者負担が増えるといわれていますが、この点について、市の見解をうかがいます。
現在本市では、第3子の保育料無料化などの市独自の拡充をしていますが、これが後退することにはならないか。いかがか。

●現在保育所で徴収されていない入学金や体操や音楽などの課外活動にかかる実費徴収も上のせを認めます.公定価格を超えて、多額の費用を払える払えないで、保護者の経済力により、保育に格差を持ち込むことになります。低世帯など困難をかかえる家庭やハンディを持つこどもが利用できなくなる危険があります。保育料の滞納による、退所も現実問題として起こりえるという問題をはらんでいます。

(6)待機児解消

新定義では待機児はゼロですが、旧定義では本市4月現在106人います。新システムでは、介護保険制度と同じように、保護者は保育の必要度によって、市町村から認定を受けます。入所するには施設を自ら探して、保育所と直接契約を結ぶことになりますまた、保護者は所得や障害など優先入所が必要とする子どもに対しては市町村が斡旋し応諾義務を課すと言うが、施設が整っていないなどの理由で断られることも考えられます。市の責任が後退し保護者の自己責任ということになれば、必要な保育が受けられない、かえって待機者が増えることになるのではないかと思いますが、この点をどう考えますか。
また、市町村か゛待機者の状況を引き続き把握することができるのか伺います。

●市町村は待機児をカウントする必要がなくなる。見えなくなる。待機児を解消するには待機児の数をきちんと把握し、必要な保育施設をつくっていくことでしか解決できない。

●前橋が独自に切り開いてきた、第3子保育料無料化や保育士の定数の拡充などの良い施策を続けることも困難になりかねません。
 こどもの成長発達を保障する保育を大きく後退させるもので、反対あるいは慎重な対応を求める意見書は、2010,6から2012,3までに26都道府県議会255市区町村議会にのぼり、新システムの撤回を国に求めるべきです。

2、30 人学級

構造改革により、教員給与の国庫負担率が2分のTから3分の1に減り、2007年より特別支援教育への移行が行なわれる中で、教室や施設整備、教職員が十分確保されないまま臨時、非正規教職員の増員で現場は対応してきた状況です。
国が40 人を変えない中で、都道府県の少人数学級を認めたことから、全国で大きく広がっています。
こうした中にあって、県は大沢知事が公約に掲げた30人学級の実現に向け県独自に取り組み前進をしてきています。県が行なっているさくらプランは最初は1年生の一定規模のクラスにティームティーチングとして教員2人体制でスタートしその後、新さくらプランでは30人学級とティームティーチングとを選択できるようにし、現在では小学校1.2年30人以下学級3.4年、中1の35人以下学級へと進んでいます。この間教員も非常勤から常勤化しています。国のほうも2011年4月から30年ぶりに小学校1年生が35人学級になりました。順次学年を引き上げていくとしていましたが、今年度は小二の35人以下になっていない学級を解消するための加配にとどまりました。
こうした状況下で山本市長は30人学級を公約に掲げ市長に当選しました。ところが3月臨時議会で早くも公約を撤回する発言をしました。これにはこどもを持つ保護者の方から怒りの声が上がっています。
30人以下学級はこどもの学習や成長に間違いなくよい効果があると群馬県も、文科省も認めています。本市でもぜひ実施すべきと考え質問します。
@現在県は小学3.4年の35人学級を県が実施しています。ここを30人学級編成にするとクラス数はそれぞれ何クラス増えますか。
 また5年6年では何クラス増えることになりますか。

試算では、小学校での実施は教員83 人、4億4500万円の試算。一度には難しくても、順次引き上げていくと決断し検討していくべきではないでしょうか。

市内の小学校の各学年の児童数を見てみますとおおむね1クラス35人以下の学級が多く見受けられます。ただ中には40人に近いクラスもあります。長野県は小学校の1クラスが35人以上40 人になるクラスの解消に取り組み、30人規模35人基準の学級編成をしています。これにより1クラスが18人から35人以下となります。学力の向上や不登校生徒の現象などの成果を出しています。
それぞれの学校の状況を見て、弾力的にとりくむことも必要です。

A副市長にお聞きします。教育現場は、特別支援学級の児童生徒や特別な支援を必要とするこどもがふえており、これを支援することは必要ですし、教師の多忙の解消も必要です。しかし、支援員の増員でいいと言うことにはなりません。県のさくら・わかばプランに関する調査では、効果として「児童生徒の実態把握をより的確に行なえるようになった」「学習意欲の向上」「個別指導などのきめこまかな指導の充実」が高くなっています。少人数学級の効果は実証済みです。副市長は県の企画部長として、県の少人数プロジェクトささえてきた一人として、ぜひ本市でも市長を支え30人学級の実現に力を尽くしていただきたいと思いますが、答弁をお願いします

B国もようやく踏み出したが、全国で少人数学級が確実に広がっています。長野県の教育長は教育は未来への投資であると言っていますが、まさにそのとおりだと思います。道路をつくるより教育を、未来を担う子供たちの教育にお金を惜しむなどと言うことがあってはならないと思いますが、再度見解をお聞きします。

3、学校統廃合

@地区委員会の取り組みの状況ですが、協議の終了及び進行中のところの状況についてお聞きします。
A春日中と広瀬中の合同地区委員会の進捗状況について伺います。

●中止したところもあり、統合した二中4中も、現在協議中のところもいずれも子どものためを思って真剣に協議をしていることと思います。
 
B平成23年度包括外部監査の結果報告書が3月15日付けで議員に送付されました。この中で、「市立小中学校の適正規模及び適正配置に係る事業の進捗状況について」の意見が述べられています。この内容は前橋市の対策の現状、基本方針、行政コスト、取り組みの問題点、今後の方向などについて述べています。
学校統合した場合のコストを試算し、適正規模の推進で学校教育環境の充実と共に、管理運営費の節減に寄与すると述べています。
また、校舎の老朽化と耐震工事にふれ、ムダな費用をなくすためにも早急に統廃合の結論を出す必要があるとも言っています。学校の統合が遅れれば遅れるほど廃止予定の学校にかかる行政コストを負担し続けることになる、計画的に統合すべきと意見を述べています。教育委員会はこれをどう受け止めていますか。

C市はこれまでコスト削減ではない、あくまでも子どものためと言ってきましたが、うそだったのかと、言われかねない。子供のためと協力しているPTAや地域の方たちがこの外部監査の報告を見たらなんと思うでしょうか。教委はこの外部監査報告を認めるのですか。何もいわなければ認めたことになります、本音は外部監査のいうとおりということになってしまいます。

Dホームページにも外部監査の報告が掲載されています。これをこのまま乗せておくのか。教育委員会の方針と違うのであれば、違うと表明すべきです。子どものためと思って、今協議しているところのPTAや学校関係者になんと言うのですか。

E行政は監査で指摘されたことに対して措置状況を報告することになっているようですが、どのように報告するのですか、

4、公民館施設利用状況

今年度の教育行政方針をみますと、5つの施策の2つ目に心豊かな地域作りの充実として、社会教育の拠点としての公民館の役割を述べています。
 各地区の文化祭や芸能大会、市民芸術祭などの発表の様子をみますと、地域で実にさまざまな団体がいきいきと活動していることがわかります。
地域の生涯学習、生きがい作りの拠点として、中央公民館、地区公民館がより多くの人に利用され有効に活用されることが大切と思います。

@中央公民館と地区公民館と分館などの施設を有していますが、公民館の現在の利用状況について利用率も含めてお伺いします。
A中央公民館、地区公民館の利用減免団体数と利用の傾向について伺います。
 
B利用制限について
利用を総じて見ると中央公民館は利用が伸びていますが、地区公民館は利用が伸びず、減っているところもあります。
公民館活動が活発に行なわれているかどうかは、地域の文化のバロメーターともいえます。ふじみ地区は地域に開かれた公民館としていかに多くの地域の人に利用してもらうかを課題に取り組んできましたが、合併して公民館の警備員がいなくなって不便になって利用が激減しました。(71000人から21000人)このことを富士見地域の人たちは大変嘆いています。
前は調整会議をしていたのに今は夜などガラガラだそうです。
本市の公民館の施設使用規定は、各減免団体の利用回数などの上限を決めています。
地区公民館などについては、利用も減免団体が多く、施設利用に空きがある状況です。大胡公民館の陶芸教室は大胡陶芸クラブが、利用していますが、月に4こまの利用では、政策の時間も制限され、また、技術的な指導の時間も十分取れません。施設利用が多く調整が必要と言うのであれば仕方ありませんが、利用を制限しないで使えるようにすべきです。
空きがあるのであれば、利用を制限しないで、使えるように施設の利用状況を加味しながら、利用枠の拡大を図るべきと考えますがいかがか。

●一日を午前・午後・夜間として3こまにしているので、一日使うとするとあとは1こましか使えない。減免団体に対する利用の拡大を図る上からも見直しが必要です。地区の公民館の利用を拡大するためにも、公民館長の裁量で空きがあれば減免団体の利用が拡大できるように改善すべきと考えますがいかがか。

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