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議会報告

デマンドバス・行き過ぎた収納行政・防犯灯の拡充・小規模業者登録制度の拡充について
(総務常任委員会質問)近藤好枝議員5・24【2012/5/30】

1、デマンドバスの拡充について
前橋市公共交通マスタープランは昨年8月に作成されたばかりです。わが市議団はこのマスタープランに対して市民が利用しやすい公共交通網の拡充と現状の料金体系の値上げ見直しは市民負担になることを指摘してきました。新市長は市内全域デマンドバス200円乗り合いタクシーの実現を公約され、交通弱者の切実なる願いが実現できる可能性が広がってきたと考えます。計画されたマスタープランの大きな転換にもなると考えます。
(1)全市デマンドの目的と手法について伺います。
ア、今日、高齢化社会に対応した公共交通として、前橋市をはじめ全国の自治体で研究を重ねながら多種多様な手法で実施され、注目されているデマンドバスです。市域全域を運行している自治体の事例を紹介いたします。
・たとえば、太田市では障害者・65歳以上の高齢者対象に病院や買い物の足を確保する目的で、サービスを提供しています。
人口約22万人高齢者人口約4万2千人、5台のワンボックスカーが市域全域を移動します。利用料金は1回100円。利用者は事前に登録済みのもので停留所は712箇所設置しています。運行時間は午前7時から午後4時です。
・新潟県三条市は市内外問わず全ての方を対象に実施。人口約10万人の都市ですが、タクシー会社に委託しています。利用料金は一人の場合運行の距離300円から3000円、乗り合いの場合エリア間の移動に応じて300円か600円小学生以下は半額です。停留所は836箇所。運行時間は午前8時から午後6時まで。中心街で乗降する利用者数が多いとのことです。
・長野県安曇野市は合併地域の利便性の向上と観光行政の活性化を目的に運行。登録した市内外の方を対象にしています。
人口約10万人、合併町村を基本に市域を5箇所に分けたエリアと市街地の共通エリアを結び、1時間に1便発車14台のワンボックスカーで運行し、利用料は大人300円・小学生・障害者100円、未就学児は無料となっています。運行時間は午前8時から午後5時。
このように、対象を限定するのか、しないのか、市域全域を移動できるようにするのか、しないのかなど、どのように考えているのか伺います。

イ、次に今回の全市域デマンド化に向けての社会実験についてです。実施時期について伺います。

ウ、全市域デマンド化社会実験の継続性
実施時期について伺いましたが、次の段階では新たな地域を指定して更なる社会実験をおこなうのか、そのまま社会実験した地域を本格運行するのか、どのような取り組みを考えているのかお伺いします。

エ、富士見のるんるんバスは現行運行ルートをカバーする社会実験、一方地域外の市内の群大病院などの主な医療機関、大型商業施設、前橋駅、市役所などに富士見地区から直接行ける要望については全市域デマンドバス化の社会実験で行うとのことでした。全市デマンド化と位置づけて、るんるんバスを移行する際に地域外にも行けるようにできるのではないかとの声も寄せられています。同じ地域を対象に二つの社会実験をすることは住民も混乱するし、調整にも時間がかかることも予想されます。こうした問題を考えると、最初から富士見地区を全市デマンド化と位置づけて1つの社会実験にするとの考え方もあるのではないかと考えますが、お答えください。

二つの社会実験を富士見地区で行なうためには、停留所は2種類置くのか、地域内の停留所はたとえば150箇所、地域外は50箇所となるのか。地域内の移動はるんるんバスを運行していたA社に電話して予約する。地域外に行くときにはタクシー会社B社に電話して予約するのかという問題も想定されますが、この点はどのように考えていますか。

結論 前橋工科大学の研究によりますと、利用対象地域の地元説明会参加者が多ければ多いほど利用者が増えること、利用者数は高齢化率に比例すること、システムが定着するまでに半年かかることなどを、明らかにしています。二つの社会実験を実施する富士見地区住民の皆さんへの十分な周知をしていただき、住民の皆さんの要望が前進し、さらには全市デマンド化に向けての成果が得られるようにしていただきたいと思います。

2、行き過ぎた収納行政について
(1)新市長による改善の内容
 市税等の徴収は行政運営の上で貴重な財源であり、適切な徴収業務を行なうことは前提であると考えています。しかし、行き過ぎた収納行政については改善すべきであります。とりわけ、納税相談の具体的な場面で納税に対して職員に分納の申し出があれば、実情に即して適切に処理する自主納付を尊重すべきです。
前市長の方針で行われた、相談は受けない、払わなければ差押えすると納税者を追い込むような対応は直ちに改善すべきです。
山本市長は市長選挙のマニュフェストで市税滞納者に対する問答無用の差押えはやめると約束しておられます。議会では「職員には問答無用の差押えと誤解されるようなことのないよう、職員の接遇向上とふれあいの向上をおこなう」「納税者との接触の機会を増やす」と応えています。具体的な改善内容について伺います。

改善しているとの答弁ですが、それならば、納税相談の立会人の同席を認めるべきです。私ども市議団は納税の相談を受けた場合、たとえばAさんは弁護士に依頼して自己破産手続をするまで支援し、滞納整理についてもどのように納税できるか詳細に分析して具体的な解決策を持って、収納課に伺っています。自主納付できるように援助しているのです。相談者は税の滞納していることにより、気後れして職員に言うべきことも十分いえない方もいます。こうした方の実情をていねいに説明して、分納相談が円滑に行くように促すことに対して、なぜ同席を拒否するのか。他都市では認めていることが、本市ではなぜ認められないのか。改善していると言うなら、これも認めるべきではありませんか。見解を伺います。

(2)次に、差押さえの判断基準について伺います。
   市長就任後の新たな差押えの判断と考え方
ア、債権の差し押さえについて、市長就任前と1・2月と就任後の3・4月それぞれの差押え件数をお答えください。
答弁1・2月は1876件    3・4月は424件

差押え件数が減っている理由について伺います。
憲法、地方税法、国税徴収法に基づいて適正な対応を行なうことも当然と考えます。ここで大事なことは生存権を脅かすような差押えは、憲法違反であるし、地方税法、国税徴収法でも保障しているということです。

たとえば、生存権を保障している生活保護費や失業手当が銀行口座に振り込まれるや否や預金を差し押さえた事実が以前はありました。今は当然、改善されていると思います。しかし、現状でもたとえば職がなくホームレス状態のAさんはようやく就職でき、お金をためてアパートを借りようと考えていた矢先、滞納分の差押えすると就職先の会社から連絡を受け、止む無く会社から滞納分の税を差し引いて納税しています。
市が求める分納金額を払うと、アパートを借りるお金はありません。せめて、アパートを借りて人間らしい生活が保障できるように分納額を下げるよう求めましたが市は応じませんでした。自主納付の意志はあるのです。いかに滞納者であっても人間として当たり前の人権を保ち誰もが幸せで健康に生活するという生存権があります。いかに、税金であっても滞納者の生存権を否定する生活においこむことはできません。このような場合の判断の考え方について伺います。

納税者の生活実態を無視する収納行政は今後行わないと表明していただきたいとお思います。いかがですか。

滞納してしまったとき納税が困難な場合は納税の猶予が認められます。差押えを受けても換価の猶予制度が活用できます。さらに、執行停止も活用できます。法律上も税を納められないことを想定して納税緩和制度を保障しています。
この制度を十分活用しているでしょうか、納税相談者にも周知しているのか伺います。

市民は納税緩和制度があることをほとんど知りません。市民の財産を調査や差押えという職権を乱用することがあってはなりません。
納税者の生存権を保障する納税緩和制度をしっかりと周知して、納税猶予の申請用紙はいつでも収納課の窓口において活用できるようにすべきです。


 

(3)延滞利率の改定(答弁市長)
 ○予算書にある市税分延滞金は昨年度予算7875万3千円ですが、今年度は
1億412万3千円と昨年度よりも増額しているのです。ていねいな納税相談をすると、延滞金が増えると言う考えで予算化しているのでしょうか。

○滞納税のうち、延滞金が膨らみ返済しきれない方に対する収納強化をしてきたのがこの間の収納行政です。平成17年の予算では市税分延滞金の予算は550万でした。しかし、うなぎのぼりに予算は増えて今年度は1億412万3千円です。
延滞金の完納を重点化してきたために、払えない実態のある納税者を追い込む結果になったのです。
 ア、私ども市議団は税の延滞利率14・6%は、税を収めたくても収められない市民にとってサラ金並みの重い負担となり、延滞金が本税より多くなり収められない悪循環が起きているので、利率を下げるべきと考えています。市長は選挙のマニュフェストの中で税の延滞利率14・6%の改定を約束しております。
なぜ、改定すると約束されたのか。その動機はどのようなことであったのか、お伺いします。

○延滞利率の改定をするためには国の法律を改定しなければなりませんがどのように改定するのか伺います。

○そこで、本市独自の改善では延滞金減免規定を作るべきと考えます。たとえば、執行停止に至らないが、延滞金の減免によって救済できる場合も少なくないと思います。他都市では地方税法に規定する延滞金の減免に関して統一した適用ができるよう、詳細な規定を作っています。市長のマニュフェストの沿うものと考えますが見解を伺います。

結論 
前の市長の下では生存権を脅かすような行過ぎた滞納整理によって、私の相談者で生活保護を受給するようになった方もたくさんいます。さらには、自殺未遂した方もいらっしゃいます。滞納整理を強化することによって市財政の観点から収納額は1次的に増えるかもしれません。しかし、生活保護受給者が増えれば結果として市の財政支出を増やします。市民生活を支え市民が自ら生活を再生できるように支援するのが行政の役割です。まさに、地方自治体の本旨を尊重することが求められていると考えます。

3、防犯灯のLED化の促進
市民や子どもたちの安全を守り、地域の防犯に役立てるために重要な役割を担う防犯灯事業です。しかし、地域によっては、自治会の維持管理負担が重く設置したくとも、防犯灯の設置に消極的な自治体も残念ながらあります。先の総括質問では現状の設置方式のメリットデメリットを検討し、リース方式の導入などよりよい制度となるよう検討しているとのことでした。
(1)最初に本市の防犯灯の設置数と市の電気料金への補助金と自治会負担についてです。
 新年度の防犯灯関連予算は4805万3千円です。前橋市内の昨年度防犯灯数は21,277灯でありますが、昨年度の電気料金の総額と市の補助額、自治会負担額はそれぞれいくらか伺います。


(2)、防犯灯をLED照明に交換、設置している自治体が増えていますがそのの効果について伺います。電気料金はどのくらい下がるのかも合わせて伺います。

低消費電力で長寿命が最大の効果

LED電球の効果は大変大きいと思います。
今、急速に普及しつつあるLED照明ですが、性能を定めた規格や基準の法整備が追いついていないとの指摘もあります。札幌市役所では2010年3月に庁舎内の蛍光灯9000本を交換しました。その内の1部が細かく点滅することによるちらつきで、職員の体調不良をおこしたとのことです。こうした、品質にも十分吟味すべと思います。
(3)市として現在プロジェクトチームを作り検討しているとのことです。旧宮城村は防犯灯は村の財産でしたので、通学路にも必要なところには、設置できました。旧富士見村も同じ扱いだったが、今年度から自治会に移管されると聞いています。電気料金の縮減などの技術普及による可能性もありますので私はこの際、LEDを設置を一気に行ない市有財産にし、設置維持管理すべきではないかと考えていますがいかがですか。また、富士見地区の新たに発生する今年度の自治会負担はいくらかお答えください。

○そこで、市長はエスコ事業を視野に考えているようですが、エスコ事業は問題があると考えます。先に県内でエスコ事業を導入して設置した市では、3つの課題があると聞いています。1つは市内に本社のない事業契約業者が契約業者になったこと。その結果市内の電気業者が下請けになり、仕事が減ったこと。2つはLEDは玉切れしないと考えられていましたが、雷に弱いコンデンサーを使ったため、市内随所で修理が求められたこと。3つは従来よりも増設されなくなったことなどを聞いております。こうした点も含めて、経費の削減だけでなく、市内中小業者の仕事受注にも貢献できるよう十分検討していただきと考えますがいかがでしょうか。




4、小規模修繕工事登録業者への発注の促進についてです。
(1)小規模修繕工事登録業者への仕事発注
公共工事においては、公契約条例の制定を行ない、地元業者の仕事を支援し、労働者の賃金を確保し、保証していく仕組みづくりが今こそ求められています。こうした前提に立って、地域の事業者は仕事不足の中で離職する方も増えています。現在の経済不況の中では仕事自体を確保することも大変であり、また若年の職人も育っていきません。そういう意味で、中小零細事業者対策として行政に地域経済を活性化し地元業者の仕事の受注機会を拡大するため、入札に参加できない業者でも直接公共工事を受注できる、営繕・修繕・改修などを行なう小規模修繕工事登録業者への仕事発注を高めることが重要であると考えています。

ア、はじめに、大工さんやガラス屋さん、水道やさん、左官・ガスやさん・畳やさんなど身近な地元の業者である、小規模修繕登録業者数の5年間の推移についてお答えください。

登録業者数は大きく高まっていないものの若干増加している。私が3年前に取り上げたときは、協同事業組合は登録できないとの回答でしたが、改善もされています。

イ、小規模修繕工事登録業者への発注状況
○昨年度は対象工事約13億2千万円のうち約6千5百万円と伺っていますが、この5年間で小規模工事・修繕工事及び簡易修繕の対象となる工事の内、発注件数に対する発注率、発注額に対する発注率の推移についてお答えください。

○3%から5%と少しつ改善はしつつあると思います。
次に昨年度の登録業者は何件でそのうち何社に仕事が発注されたのですか。発注率は %か伺います。

答え 106社中75社  70・8%

 ウ、対策と改善
   本市と同じ小規模修繕工事登録業者への発注率を高める努力を行ない地域経済の活性化のために他都市でも努力しています。太田市は対象工事金額の30%を占める発注を行ない、高崎市では登録業者は約280社で対象工事金額の約10%を毎年発注しているとお聞きしています。これに対しますと、前橋市はまだまだ位置づけと取り組みが弱いのではないかと思います。まず、登録業者になれば仕事が来ることを広くアピールして、工事を受注できる業種を増やす努力が求められると考えます。教育委員会の学校施設や市営住宅などは対象工事がかなりあると考えますが発注率を高めるために、どのように改善するか。今後の対策について伺います。
  
(2)市庁舎等や教育委員会の小規模修繕にかかわる費用を別枠で予算化し、緊急修繕の発注をできるだけ市内中小業者に行なうことにより雇用を創出するということで、1億円の予算が計上されています。この予算は小規模修繕登録業者も発注対象にすると伺っています。
 本予算の趣旨と小規模修繕登録業者への発注は合致するものです。この間工事を受注できたAさんは「以前は、小さな仕事でも特定の大きい会社の下請けにしか市の仕事が来なかった。制度が始まってからは、私のような小さい業者にも回ってくるようになりました。」と喜ばれています。
今年度は特に力を入れて、この制度の趣旨を市内業者に広く周知するとともに、各課にも徹底し、産業政策課とも連携して市内業者の仕事の受注機会を広げていただきたいと考えるがいかがか。

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