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議会報告

全市デマンドバスの実施に向けて(第2回定例会総括質問原稿・小林久子議員2012.7.10)【2012/7/10】

1、全市デマンドバスの実施に向けて
(1)ふるさとバスの検証について伺います。
 大胡宮城粕川地域を走るふるさとバスは4路線4台で運行していた委託路線をH19.1より、デマンド化しました。現在10人乗りワンボックスカー4台が運行し、バス停は261箇所、運賃は大人200円、中学生以下100円。利用者数は平成22年度は3万7691人。一日平均約100人です。
利用者が使いやすいように、これまでバス停のか所数の増設や変更などを行ってきましたが、このふるさとバスをさらに使いやすくしていくことが、全市デマンド化に向けて、市民の理解を得ることにつながると思います。

@公共交通として、移動が困難な住民の足となっているか、また新規の利用者を獲得するなど利用者数を増やすための検証や対策が必要と考えますが、今後ふるさとバスについては、どのような対策を講じていくのか。また、利用者がまた乗りたいと思ってもらえるようにするには、日頃から利用者の声に耳を傾けることが大切と考えます。意見・要望や苦情などの声はどのように把握し、どのように対応しているのか伺います。

A市民の要望に沿うかたちでバス停を設置してきて、この4月には新設27箇所、バス停の変更で、267箇所に増えました。が、区域外への住民要望は依然として高いものがあります。また全市デマンドを掲げるのであれば、区域内にこだわる必要はないと思います。4月の新設バス停に上電江木駅が加わったことは上電の利用向上にもプラスになると思います。大室公園や嶺公園、新里ベイシアなど、要望の強い区域外への延伸を検討してはどうか。

●他の交通機関への影響に配慮したことは承知しているが、今回、全市デマンドを打ち出したのは、何よりも住民要望・住民の目線に立つものであります。全市デマンド化に向けて、ふるさとバスの実施で、地域の人たちの生活がどう向上したかを検証し、またネックになる他の交通機関への影響がどうだったかをしっかり検証をしていただきたい。

(2)富士見地区るんるんバスのデマンド化社会実験の実施と課題
これまで富士見地域から、るんるんバスのデマンド化の要望が出され、署名なども取り組まれ、市長あての要望や要請行動も行なわれてきました。また、昨年12月実施した全世帯アンケートでは、回答した8割の方がなんらかの改善を求めているという結果がでました。
社会実験では、委託路線の2台のるんるんバスの車両を使い、富士見地区内のるんるんバスのカバー地域38平方キロを運行区域とし、バス停は最大160箇所、運行形態は、ふるさとバスと同じく当日電話予約で、運賃は200円、中学生以下100円です。

@富士見地区住民からは、富士見地区外の病院などへの要望も多くあったと聞いていますが、今回の社会実験は区域外は関根前橋自動車教習所付近のみです。委託路線の運行範囲や委託業者を替えずに運行形態のみをデマンド方式に替えるということで計画されていますが、住民の要望の高い区域外の主だった施設病院などへの乗り入れについてはどのような検討がされたのか伺います。

●せっかく社会実験を行なうのですから、いろいろ試して検証することが大切ではないでしょうか。全市デマンドの実施になれば、将来的には富士見とふるさとバスの相互乗り入れということも可能なのか検討課題になってくると思いますので、区域外の延伸を含めた社会実験が必要と思います。

A予約方法と運行システムですが、ふるさとバスのような運行システムの導入を行なうのか。職員が運行ルートを作成する太田市のような方式では、予約数も限られてしまいます。桐生市が新里地区で運行を開始した、デマンドタクシーは、タクシー無線を活用して自宅から目的地まで運びます。利用者がデマンドバスは便利だと思って乗っていただき、るんるんバス以上の利用をしていただくには、導入時からスムーズに混乱なく運行できるようにする必要があります。当日予約で運行するであれば、ふるさとバスのような運行システムの導入が必要と考えますが、社会市実験ではどのような方法を考えているのか。

●いずれにしても、予約時の混乱は避けなければなりませんので、最初の設定が大切です。タクシー無線にシステムを導入したり、運行システムのレンタル等もあるようなので、検討をお願いします。

(3)次に全市の社会実験の実施と課題についてて゛す。

B6月26日、200円乗りあいタクシーの導入に向けた課題を検証する全市域デマンド化研究会の会議を開き、今年度末に行なう社会実験の計画案を示されたということですが、この内容について伺います。

●発着地域を富士見地区に限定し、利用者4〜5人が乗れる普通乗用車を2〜3台用意し、3ヶ月程度の実験を行なう。予約制で利用者の乗降場所にあわせた運行ダイヤを組む

C平成22年9月におこなった公共交通アンケートでは、公共交通について「不満、やや不満」が36%。「満足・やや満足」が8.7%と言う結果がでています。こうした中市長が公約に掲げた全市民対象のデマンド化には市民の期待は大変大きいものがあると言えます。
現在市はJR、上電など鉄道とバス自主路線17、委託路線26路線が運行していますが、交通の不便な地域を多く抱えています。郊外はバスの本数も少なく、路線から外れると高齢者はバス停まで行くのが大変です。買い物難民と言われる人が郊外だけでなく市内中心部にも点在しています。路線バスでカバーできないところをデマンドで補う形が望ましいと考えます。路線バスやタクシーへの影響を懸念する声もあり、課題は多いと思いますが、互いに補完し合い共存できる方向を見出してほしいと思います。研究会でどのような方向が議論されたのか。
また、利用者を全市民対象にするのか、登録制にするのか。バス停方式かドアツードアか、エリアを設けるなど検討課題は多いと思いますが、計画素案を示すにあたって庁内ではどのような検討がされたのか。

●いろいろ議論があるようですが、全市デマンドを実施するんだという、市のスタンスをしっかり示すことが大切です。

D安曇野市のデマンドバスあずみんを視察してきました。あづみんはドアツードア方式で、全市域を5つのエリアにわけ、それぞれのエリアを1時間ごとにのぼりくだり2台の車が同時に運行し、市中心部の共通エリアへ乗り入れができるようになっています。7台のパソコンでオペレーターが電話で予約を受け付けています。平成23年度の利用者数は、一日平均368人です。人口約10万人と行政の規模は違いますが、全市デマンドを実施している市として学ぶところは多いと思います。何よりも高齢者が元気に外出できる機会が増え、60代以上の利用が全体の約8割、障害者の利用は35%にのぼります。市内の4つのバスタクシー業者に委託しています。ドアツードア方式だから、バス停までいけず外出をあきらめるということもありません。おかげで免許証の返上も増えているとのことです。現在本市が導入しているAVプランニングの運行システムでもドアツードアは可能としています。研究する必要があると思いますが、見解を伺います。

●桐生市の新里地区はこの4月から2つのバス路線を廃止し、タクシーを活用し自宅から目的地までドアツードアで、デマンドタクシー2台で実証実験を開始しています。4.5.6の3ヶ月で順調に利用が伸びているようです。6月は966人の利用があったそうです。これらも参考にぜひ検討を。

(4)他の公共交通との調整
公共交通マスタープランでは、現況のバス路線網をベースとして、利便性向上や利用促進をはかるとしています。一方課題として、委託路線の需要が少なく、バス車両による運行や定時定路線での運行の見直しが必要な区間があり、必要に応じて運行形態の見直しを検討するとしています。こうした、地域にデマンドバスの導入も考えられるとしています。

@全市デマンド化の実施にあたり、現在本市で運行を委託している路線バスの取り扱いですが、今後どのようにして行くのか。

A郊外の交通が不便な地域や、路線バスから外れた地域、こうした路線バスでカバーできない地域がたくさんありますが、全市デマンドでこれらの地域がカバーできるのでしょうか。地域型のデマンドバスの導入ということが考えられます。委託路線の見直しの中で、西善、東善、はが、荻窪、江木、城南、大室など、公共交通の少ない不便地域に、全域型のデマンドと平行する形で、区域型として新たにデマンドバスを導入していくことが、移動困難者の解消につながると考えますが、見解をうかがいます。 

B路線バスの乗降調査では、朝夕の通勤通学時間にピークがあり、こうした人たちの足を確保することは必要です。ここは定時定路線にして、昼間の利用が比較的少ない時間をデマンド化するというように、弾力的な運用方法も有効と考えますか゛見解を伺います。

●車の保有率が高い群馬県ですが、年所得世帯や高齢者世帯は自動車保有率は相対的に低くなっています。さらに、経済状況の低迷を反映して保有率も低下傾向にあると言われています。さらに高齢化の進展や、突然の病気・治療などにより、移動困難者になるか分かりません。
年金生活のある70代後半のご夫婦は、介護保険料や国保税、後期医療保険料などが引き上げられ頼みの年金も年々減り、生活を切りつめながらやっと暮らしています。2人とも持病があるのに病院まで行くのに、タクシーやバスはお金がかかるので、よっぽどのことがなければ乗れないといいます。このご夫婦は全市デマンドが実施されれば助かると言っていますし、低料金での移動の確保は、多くの高齢者の願いだと思います。公共交通を考える上で、こうした福祉の視点が大切です。
ぜひ住民目線にたち、前向きに検討してほしい。全国のさまざまな取り組みを視察もし、職員の体制も整えて、全市デマンドの実施に向けて全力で取り組んでいただきたい。


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