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議会報告

七月議会報告農業振興策について【2012/8/10】

農業振興策について 7月議会 市会議員 笠原寅一

 1.私は、「第6次市総合計画」を総括し、後期総合計画立案にあたっての本市農業振興政策を質問します。
 @.最初に、「進行する農業危機」に対する市長の認識について、伺います
 全国でも有数の農業生産出荷額を誇る本市は、販売農家、自給農家合わせてこの5年間で797戸 9.4%も減り、1年間に159戸づつ減少しています。これに対して、新規就農者は、20人前後ですから農家数減少に歯止めがかかりません。
 「2010年農業センサス」によると専業農家の男子生産年齢人口は、42%で、高齢者の割合は約60%です。今後、後継者のいない農家の割合が一層増加します。 JA前橋の役員に聞くと「農業者年齢は、平均69歳となっていて10年後の農業経営の展望が描けない」と大変心配していました。
 市長は、このように高齢化が進む「進行する農業危機の現状」に対してどう認識され、どう農業の再生策を図っていくのか、基本的な姿勢を答弁されたい。

次に、2 農地保全策についてです。

 「前橋農業振興地域整備基本方針」では、平成32年度までの10年間における農用地確保面積は、国・県の方針を受けて、「10年間現状維持する」としています。これに対して本市は、187fの減少としています。私が指摘したいのは、この農地確保面積を10年間維持する方針設定には、無理があります。
 1点は、市街化調整区域農家は、後継者、耕作者不在のために「固定資産税・相続税の負担から農地を手放したい」との意向が大きいこと。「相続税の課税強化は止めてほしい」というのが農家の強い要望です。しかるに、民主、自民・公明党三党連合は、消費税法案を衆議院で通過させた中に、相続税の課税強化を来年度の税制改正に盛り込むこと予定になっている。この増税が実施されれば「農地の保全・確保はますます難しくなり、減少が一層すすむと思われます。よって相続税増税に対して農家の皆さんは怒っていますので止めるべきです。
 更に、第6次総合計画では(19年6月議会議決され平成20年スタ−トした)将来都市構造づくりとして「前橋南部地区」及び「朝倉地区」と位置づけた大規模開発構想が進んでいること。
 農業用地は、市農業を発展させる基礎でありますが、開発計画推進政策と農地確保策には無理があるのでないか、見解を聞かせて下さい。

B、次に、農業後継者支援策について、

 急速にすすむ高齢化、後継者不足がすすむ地域農業にとって、担い手の確保・育成策は非常に重要な施策であります。減少する農家数に対して新規就農者は、23年度で20人、今年度は22人で、とても追いつかない状況です。
 そこで、新規就農者に対しては、
⑴点は、就農相談窓口の設置をする
⑵点は、農業体験研修の実施をする、
⑶点は、新規研修期間の3年間ぐらいは、営農資金を貸与するか、奨学金を出すなどの助成策を創設し、充実する考えはないか。お答え下さい。

4 安心・安全な農畜産物の提供についてです。

 食品安全基本法構想では、消費者は「安全な食品の提供をうける権利」とともに
「適切な表示・広告を受けて安全な食品を選択する権利」を強く求めています。
 市の総合計画では「適切な表示・情報提供」行うための、生産から販売までの履歴情報を提供する「ユビキタス情報」の導入など農産物の安全・安心を推進計画をたてましたが、進んでいない原因は何故か、明らかにされたい。

D.TPP交渉に参加した場合の本市農業への影響についてです。

野田内閣の玄葉外務大臣は、6月5日の日本経団連総会で「原発稼動や増税法案の
決着後にTPP交渉参加を判断する」と述べています。経団連は、6月11日に「一刻も早い時期に交渉参加の英断を求める」という「提言」を発表しています。
 九月のアジヤ太平洋経済協力会議(APEC)か、アメリカ大統領選挙前までに交渉を詰めていく状勢です。しかも、国会にも、国民にも秘密主義によってまとめようとしているためにメデアも消費税増税法案や民主党の内紛問題の報道のみで日本の経済、外交上の最大課題のTPPの報道が少なくなっています。
 市長に質問します。TPP交渉に参加し協定を締結して場合、農産物の関税が取り払われた場合は稲作農家の約九割も影響を受けます。減産額は、23億円にもなります。養豚農家は本市ではもっとも影響を受けます。
 玉村市場では1キロ当たり枝肉は、約五〇〇円で売らていますが、外国産は、1キロ約300円で入ってくるとのこと、いまでも餌代負担でのぎりぎりの生産を続けている畜産農家は、やっていけなくなると言っています。
 県農政部のまとめた群馬の農業生産への影響額は七八〇億円以上、本市は約178億円で、ながても畜産は146億円で最も影響を受けます。
 農家経済が維持できなくなると、消費購買力が大きく減少し市の経済も、市税収入も落ち込むことは明らかです。
 市長は、このようなTPP参加した場合の深刻な影響を受けることをどうみているのか、どう対策を講じようとしているのか、明確な答弁を求めて第1回質問は終わります。



第2質問に入ります。

 「進行する農業危機」に関して市長答弁をお聞きしますと、生産支援から付加価値の高くなる販売支援を講じていく、後継者支援策、農地保全もすすめると言われていますが、「農業危機」への認識は、極めて薄いと思われます。
高齢化のすすむ担い手不足については、国の政策・県の政策たのみで市としての独自の助成策は明確でありません。そこで、個別ごとの重点施策について、質問します。
○農産物の販路拡大のための「前橋ブランド化」開発推進について、

 総合計画では、販路拡大のために「新しい物産、特産品の発掘、開発から「前橋
ブランド」を創出、育成し新たな観光資源としての定着をはかってきました。この中で一つは、「赤城の恵み」など25品目の認証によるブランド化を推進してきた。
 しかし、「農畜産物のブランド化」の目標値7品目は、「大島なし」一つのみで、米、麦など主要穀物でのブランド化のすすまなかった原因をのべられたい。

 再質問・市長は、「農産物の販売促進によって夢のある市農業にしていく」と述べているのですから、穀物類のブランド化、品質確保のために県の試験研究施設の活用や市職員の農業技術員の増員をはかり、本気で取り組む予算と体制をつくるべきてす
○ 農業所得確保策に関連としての鳥獣被害対策について、

 宮城地区に於ける畑の被害は、猪・鹿による農産物(トウモロコシ)を食べられて畑は荒され作物が作れない深刻な状況です。
 被害は、農業者の営農意欲を喪失させ、地域によっては、農作業や日常生活の安全性確保にも問題が生じて、看過できない状況にあります。

 一点は、猪、鹿、熊などの中山地の畑に大きな被害をもたらしています。山林開発や荒廃によって森林内では食べていくものが無くなったことから人里に下りてきたトウモロコシなど食い荒らすようになったのです。
 県・市も捕獲作戦を重視していますが、やまから人里に下りてきた猪などの発生源対策を講じる必要があると思います。見解を聞かせて下さい。
2点は、猪は、一年に二回も出産し、一回10頭も出産する程繁殖力が強く現在の捕獲数では追いつかない状況となっているので、捕獲作戦については、一斉に市町村を超えた広域対応を行い、効果的で成果の上がる根本的対策をとるべきです。答弁されたい。




 ○日本国のTPP参加について、市長の見解を求めます。

(時間の関係でこの原稿はよみあげられなかった。
  市の一機関である農業委員会は挙って反対表明をし、行動を起こしています。
 JA前橋は、幟旗をたてて反対運動を展開しています。市長は、先の党議員の代表質問では「TPPは、国の動向を見る」と言う姿勢でした。
 この姿勢では、農家のくらしも市の経済も守れません。TPP交渉への参加をすれば、一点は 後期計画は大幅に見直しが必要となります。
二点は、市の主な農業が壊滅的打撃を受ければ、前橋の経済は、大変な深刻な事態となります。このことから認識すれば市民の暮らしを守る立場の市長は「TPP協定参加はすべきでない」という立場にたち、政府への意見表明をすべきことを強く再度もとめますが、ご見解を聞かせて下さい。)


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