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議会報告

2012年12月・第4回定例市議会総括質問 「デマンドバス・介護保険・生活保護・保育」(長谷川薫市議会議員)【2013/1/4】

長谷川薫・第4回定例市議会総括質問(2012年12月)1問1答

1、私は最初にデマンド方式のバス運行について質問します。

@いま新聞やラジオなどで、「デマンドバス白紙」という報道が繰り返されています。多くの市民から怒りや落胆の声が上がり、特に今月16日から社会実験が予定されている富士見地区では大変な混乱が生まれております。富士見地区内を運行する社会実験は予定通り変更なく実施するのかどうか、まず明確な答弁を求めます。

Aそれにしても、29日の最初の新聞社による問題報道に続いて、4日の市長の記者会見後の5日にも、別の新聞社から不正確な報道がなされたことは問題ではないでしょうか。
デマンド運行を求める住民運動に応えて、当局が積み上げてきた努力に水をさすような報道がなされないよう、とくに新規行政施策の発表については十分留意すべきだと思います。万が一、見出しも含めて市民が誤解を受けるような不適切な報道が行なわれた場合には、記者クラブに記事の訂正を求めるなど機敏な対応をすべきです。
次に市長の選挙公約である全市域のデマンド運行についてお聞きします。当局は、富士見地区内の社会実験後の遅くない時期に、富士見地区を発着する社会実験、つまり富士見地区の住民を対象に地区外の大病院や駅や市役所や図書館などの公共施設まで運行する社会実験を引き続き実施すると表明されていました。この計画に対して、バスやタクシー事業者など事業者が反対していますが、どのような反対理由なのか伺います。

B、私も、今でも経営に苦しんでいる各事業者がデマンド運行による運賃収入の減少に不安を持つことは当然だと思います。だからこそ、社会実験であっても全市域でのデマンド運行をめざす場合は、既存の交通機関に対する影響を十分配慮しなければならないと思います。タクシー、路線バス、マイバス、上電やJR、さらには介護タクシーなどとも共存共栄できるような対応策をできる限り早く示す必要があると思います。現時点でどのような検討をしてこられたのかお聞かせ下さい。

Cこの問題の最後に、市長に質問します。全市デマンドバス運行は市長の全市民への公約であります。市民が交通弱者支援策として大きな期待を寄せています。もうすぐ市長就任から1年を迎えますが、まだ実現の目途は見えてきません。ぜひ、取り組みのテンポを上げていただきたいと思います。
そのためには、県内外のデマンド運行を開始している自治体の経験を学び、本市で取り入れられることは積極的に取り入れる、また、困難を乗り越え前橋市の公共交通の実情を踏まえて他の交通事業者との合意形成を図る、さらに何よりも市民参加で推進することなどが必要だと思います。
そのためには、機構改革で提案されている交通政策課バス係では不十分です。デマンドバス運行準備室など本格的な職員体制を確立することが必要だと思います。市長の見解をお聞かせ下さい。

【提言】高齢化が進行する中、市内全域で毎日の買物や通院に苦労されている高齢者が急増しています。市長は全市デマンドの利用者を、要介護高齢者や障害者などの交通弱者に絞られました。34万市民が暮らす中核市でのデマンド運行は、現実的な判断だと思います。市民に寄り添った市政運営を目指すとい市長の基本姿勢を大切にして、全市域のデマンド運行公約を早期に実現するよう強く求めておきます。

2、次に介護保険について質問します。

@最初は、介護保険料の引き下げについてです。

●「老後の高齢者の不安をなくす」と公約して就任した山本市長も、4月から市内8万人の高齢者の介護保険料を一挙に3割も値上げしました。
さらに、いま自民・公明・民主の3党が消費税増税と年金削減法を強行したために、高齢者の生活不安はますます深まっています。
8月の年金天引きの際に1、200人もの市民が市当局に怒りの電話をかけたのは当然であります。「高すぎる介護保険料を引き下げてほしい」という高齢者の声にこたえて、来年度から一般会計から繰り入れて、介護保険料を第4期の水準に引き下げるべきと考えます。必要な金額は約10億円であります。保険料を引き下げるために法定分を超えて一般会計から繰り入れを行っている市町村は全国で12自治体あります。まだまだ少数でありますが、本市の1400億円の一般会計規模、財政調整基金残高88億円という財政状況から見ても決断すればできないはずはありません。
本市は、工業団地の造成を継続するために4年間で43億円も繰り入れをしましたが、朝倉工業団地の造成が完了した今、新たな組合債の借り入れは必要ありません。繰り入れ先を介護保険特別会計に変えることは十分可能なのではありませんか。答弁を求めます。

●第5期事業計画を見直して、保険料の引き下げを決断すべきだと思います。同時に、介護保険制度そのものの改善を国に求めて、介護保険料を引き下げるべきです。
現在の制度では、介護保険財源の半分を国と自治体の公費負担とし、残りの半分を保険料で賄うため、介護給付費の増加に伴って、保険料が引き上がっていく仕組みとなっています。自治体は保険料の引き上げを抑えようとすれば介護給付を抑制せざるを得ません。このような負担と給付を天秤にかけるような介護保険制度そのものが高齢者福祉の理念と矛盾しています。いま国は、施設介護を抑制し在宅介護を重視して介護の効率化や重点化を求めています。このような国の言いなりにならず、高齢者の安心を作り出す公的な介護保障を求めて、介護保険財源の現行の25%の国の負担割合を高齢者の急増に合わせて、大幅に引き上げをもとめて、介護保険料の引き下げを実施すべきです。国に現場の声、市民の声を届けるべきではありませんか。見解を求めます。

 第Aつぎは、保険料と利用料の減免についてです。

 市内のある70代の女性は所得第2段階で介護保険料の年額は26000円です。天引き後に受け取る年金が月額6万1千円。家賃が3万5千円。わずかな貯金を取り崩しながら、1ヶ月光熱水道費を含めて使えるお金はわずか3万円です。食べたいものも我慢して生活しています。いまのところ介護認定は受けていませんが、将来を介護が必要ないなった時の利用料が負担できるかどうか大変心配されています。
しかも再来年の4月から消費税増税が実施されれば、介護保険料と国保税と消費税分でおおよそ2か月分の年金収入が吹き飛ぶほどの負担増となります。
介護保険料の負担とともに、介護サービスの1割という高すぎる利用料負担のため、本市では支給限度額の約6割しかサービスが使われないなど、低所得者が必要なサービスを受けられない事態が深刻化しています。
このような中で、市民税本人非課税の方の保険料滞納者が現在市内に約1000人おり、制裁措置として利用料が3割に引き上げられた方が平成17年から類型で143人にいます。現在も18人おられます。
せめて生活保護水準の保険料第1・2段階の低所得者は全て免除とすべきです。さらに、利用料についても、低所得者を対象の減免制度を作るべきです。いま週1回のデイサービス利用では月額の自己負担は約7千円になります。週2回になると1万5千円近くになる為、利用を手控えておられる方があります。さらに4月からヘルパー利用も45分以内と以上で区分されたため、これまでと同じサービスを受けようとすると、さらに利用料が増えることになります。
 市町村単独の軽減を行なっている全国349自治体にならい、新たに本市独自で減免制度を導入すべきです。見解を伺います。

第Bつぎは、特養老人ホームの待機者解消策についてです。

 本市では現在21か所の特別養護老人ホームがあるものの、その入所定員は1,387人で、1,514人(5月現在)もの方が待機させられています。 このままでは、「親の介護のために仕事を辞めなくてはならない」人々がさらに増えるたり、「老老介護」などの事態をより一層深刻にします。
 第5期事業計画を見直して、待機者を確実に減らす整備方針と年次計画を示すべきではありませんか。見解を求めます。

●市長に質問します。国の「特養」抑制、在宅偏重の「地域包括ケア」路線への追随では問題は解決しません。
小規模多機能居宅介護や訪問看護サービスなど重度高齢者に対する在宅サービスもありますが、利用料負担重すぎて必要なサービスを必要なだけ使える高齢者は多くありません。いま、サービス付き高齢者向け住宅の整備が進んでいますが、サービスの多くが安否確認と生活相談で内容や費用にもばらつきがあり、介護保険サービスを利用すればさらに1割負担が求められます。24時間対応の定期巡回サービスも事業者が少なく、結局、特別養護老人ホームに頼らざるを得ない実情があります。
医師会から買い戻す岩神町の共愛学園跡地に福祉法人が特養建設を計画していますが、市内各所にある遊休化している市有地に特養ホームの増設を進めるべきではありませんか。
70名定員の特養は利用料を除くと1床当たり年間約220万円の介護給付費と見込まれますから、介護保険料に跳ね返らないように1億5400万円程度の運営費を一般会計から繰り入れれば、十分運営できるのではないでしょうか。      
特別養護老人ホームの抑制策を改めるよう国に声を上げ、県並みの権限を持つ中核市ですから直接国に建設を申請して、建設費用の交付金措置を求めたらいかがでしょうか。待機者解消に向けて積極的な特養整備を進めるべきではないでしょうか。見解を伺います。

【提言】「介護が必要な状態になっても、人間の尊厳に値する人生を全うしたい」「安心して老後を過ごしたい」という願いはすべての市民に共通した願いです。「介護の社会化」「家族の介護への負担の軽減と解放」をうたい文句として2000年に介護保険制度がスタートして12年がたちました。しかし、今日、要介護者は増加の一途をたどる一方で施設整備は大きく立ち遅れて「保険あって、介護なし」の深刻な事態が続いています。さらに、「介護難民」という言葉が象徴するように、多くの介護を必要とする高齢者とその家族が、政府が進める「社会保障・福祉切捨て」政策の進行の下で、重い経済的負担を求められながら、断片的な介護しか受けられず、非人間的な環境に置かれています。
市長に、かつての措置制度による必要な高齢者に原則負担なく介護サービスを保障する福祉の原点をあらためて思い起こし、介護難民を生まない福祉制度を行政が確立するよう求めて次に移ります。

3、次は、生活保護行政についてうかがいます。第@最初に、国が進めようとしている制度改悪についてです。

●厚生労働省は全国の生活保護受給者が211万人を超え過去最多となったと発表しました。なぜ、生活保護が増加しているのか。主な要因は、不安定な非正規雇用の拡大、高い失業率、ワーキングプアと呼ばれる生活できない低い賃金、無年金や低年金など、雇用破壊と貧困の拡大によるものです。年収二百万円以下の給与所得者が五年連続で一千万人を超えています。貯蓄ゼロ世帯は二割を超え、ふえ続けています。
 生保世帯の急増は、個人の要因より社会の側に多くの問題があります。ところが、憲法25条の生存権を否定する「社会保障制度改革推進法」が制定され、付則で生活保護制度について「不正受給への厳格な対処」、「生活扶助、医療扶助等の給付水準の適正化」がもりこまれました。
 不正受給が問題であるのは言うまでもありませんが、それを口実としたしめつけ強化と基準の引き下げは、あってはならない重大問題です。
 生活保護水準の引き下げは生活保護世帯だけの問題ではありません。住民税の非課税限度額が下がり今まで無税だった人が課税されたり、保護基準に基づいて利用条件を設定している就学援助給付や介護保険料の減額などが利用できなくなります。国民生活の最低ラインの引き下げは生活困窮者をさらに増大させます。「市民の生活全体に重大な影響を与える生活保護基準の引き下げは認められない」という意見を国にあげるべきです。見解を。

第A次は、生活保護の申請についてです。
私は、母子家庭ながら必死で高校生と中学生の2人の子育てをしているお母さんがから「過労もあり心の病気で失業したために、生活保護の相談に行ったけれど申請を受理してもらえなかった。助けてほしい」といった相談を受けました。また、「失業して家賃を滞納している。貯金もそこをついた。一生懸命仕事を探しているが、見つからない。家の明け渡しを求められている」と説明して生活保護の受給を求めたけれど、「稼働年齢だからハローワークで職探しをしなさいといわれた」と相談に来た青年もいました。
本来なら、生活保護が適用されて当たり前の人なのに、申請受理せず、帰らせたり、通帳や賃貸住宅契約書などの必要資料の持参を条件に申請を先送りするなどの窓口対応は今も本市にあります。
厳密に言えば、これらは、いわゆる違法な「水際作戦」です。私が同席して再度本人が申請の意思があることを強く表明すると、正式に受理されることがほとんどです。慎重に審査して決定すれば、何の問題もないのです。
最後のセイフティーネットである生活保護制度がいつでも安心して使えることが重要です。申請権の尊重を改めて窓口担当職員に徹底する必要があると思いますが、見解を。 
【提言】生活保護世帯全体が不正受給をしているかのようなバッシングが起き、それに乗じて、不正受給防止ばかりが強調され、生活困窮者も申請をためらいがちです。したがって、全国で福祉事務所の窓口に一度は相談しながら、申請や利用に至らず餓死したり孤独死する事件が起きています。生活保護窓口を狭めないことが必要だと思います。
 
第3は、就労支援と自立の相談体制についてです。

がんばってハローワークに通えば仕事が必ずみつかる。このような状況ではない。これが実態です。行政が派遣切りやサービス残業を規制し、国民所得を増やして内需を拡大するなどで、雇用を創出しないかぎり、「働きなさい」「ハローワークに毎日通いなさい」などの就労支援だけでは意味をなしません。
 リストラの嵐が吹き荒れている今、働ける条件のある生活保護世帯への就労支援、自立支援を強めるためには、職員体制の強化が急務です。前橋市では10月現在、被保護世帯数世帯2835、被保護者数は 3694人です。
 社会福祉法では、ケース輪カーの標準を80世帯に1人としています。本市は  世帯で標準を超えています。被保護者では85.9人に1人です。ケースワーカーが1日4世帯、現在10日の訪問指導となっているので、月40世帯。職員は一生懸命頑張っていますが、月に1回の訪問すらままならない状態では丁寧な生活指導ができるでしょうか。被保護者の就労支援と自立のためにもケースワーカーの大幅な増員を求めます。見解をお聞かせ下さい。

【提言】本市においても、今、生活保護を必要としている人が、本当に受給できているかといえば、そうではありません。全国的にも、いわゆる生活保護の捕捉率はわずか3割だと厚生労働省が推計を発表しました。憲法25条が保障する「健康で文化的な最低限度の生活」を権利として具体化した生活保護制度本来の趣旨がゆがめられることがあってはなりません。生活保護は生きるための権利であり、再出発のための制度であります。必要な方が保護を受けられない、抑制されるという事態を絶対に発生させず、生活保護制度を知らせ、最後のセーフティーネットを機能させるべきです。そして、職員体制を充実させて、生活保護受給者が自信と勇気を持って生きてゆく知恵と力をつけて再出発できる、あたたかい生活指導・就労支援を求めまして次に移ります。

4、最後に、保育についてです。

●第@は、保育の実施義務についてです。

野田政権が打ち出した保育の新システム法案は、市町村の保育の実施義務をなくし、保育所運営に財政的な責任を負わず、公的責任をなくすものでことをねらいにしていました。
 当然、全国から猛烈な反対の声が上がり、児童福祉法24条の保育の公的責任を今後とも維持する内容が3党合意の「子ども・子育て支援法」に含まれ、入所先の決定や保育料の徴収などは、今までどおり市町村の責任で行なうことが維持されました。
しかし同時に、幼保連携型の認定こども園による利用者と事業者の直接契約は並存しており、市は利用者に払うべき給付金を事業者に代理受領してもらい、保育料は事業者が徴収する方式が導入されました。政府はこの直接契約施設を拡大しようとしています。また、公立と私立連携型の保育所が新たに法律に定められ、公立保育所の民営化が誘導されています。
 市長は今後、市立保育所の民営化や保育園から幼稚園と保育園一体型の認定子ども園への移行を促進することなく、現行の公立と私立の保育体制を維持するとともに、保育を提供する義務を市としていっそう積極的に果たすべきだと思います。今回の保育制度改定についてどのような認識をされているのか、お聞かせ下さい。

●第2は、保育の必要量を認定する制度についてです。

子ども・子育て支援法は、認定による保育の必要量、すなわち保護者の就労時間によって保育時間の上限を決めるため、保護者や保育関係者から1日あたり5〜6時間以内という短時間保育も生まれ、必要な保育ができなくなるとの不安が寄せられています。子どもの生活リズムや子どもの発達成長を促す保育目的とは関係なく、親の働く時間帯に合わせた保育の実施が求められます。しかも、認定された保育時間の保育料は応能負担とされており、それを超えれば公費補助がないために市町村が延長保育の保育料の助成制度を作らない限り全額保護者負担になりかねません。認定制度が導入された場合、親の保育料負担が増えないようにするとともに、市として子どもの保育時間を独自に保障すべきと考えます。見解をお聞かせ下さい。

●第3は、施設運営について

 保護者の就労時間によって保育の利用時間が決められると、介護保険や障害者自立支援法の報酬のように、利用に応じた支払いが原則になるために、短時間に区分された子どもが多い保育所では財政運営が不安定になる恐れがある。とくに、私立保育園の運営が困難となります。

●第4は、保育労働者の労働条件と保育内容について。

 不安定な財政運営の中で、保育士の低賃金・非正規化が進み、保育内容・保育の質が後退する恐れがあります。市として、どのような支援策を考えているか。お聞かせ下さい。

【提言】子どもの権利保障の拡大を基本にしながら、定員を超えた詰め込み保育の是正や3歳未満児童の受け入れの拡大、保育料の不安軽減、保育条件の改善、保育者の待遇改善など、市民や保育関係者の願いに応えた保育のいっそうの充実を求めて、すべての質問を終わります。

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