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議会報告

2013年第1回定例市議会・総務常任委員会「アーツ前橋・全市デマンドバス・収納行政・前工跡地問題・公契約条例」【3月15日長谷川薫】【2013/3/16】

1、開館目前のアーツ前橋の事業運営について

 @ いま、商業建物の美術館としての改装が完了して、いよいよ本格的な開館準備に取り組んでおられます。すでに、連続的なプレイベントも開かれています。
 アーツ前橋は「つながる美術館」ということが強調されていることもあって、美術芸術作品の鑑賞・価値ある美術作品の収集保存という博物館法の規定による美術館運営・文化行政の枠を超えて、教育や地域活性化や福祉・環境分野へのつながりも重視されようとしていると思います。また、現代美術はとくにこどもや若者の想像力や感性を高めるとも言われていますので、プレイベントでもそこを意識されたパフォーマンスなどが企画されています。
 しかし、アーツ前橋には、水戸芸術館のような演劇や音楽などの多目的ホールはありません。そこでお聞きしますが、美術館運営を基本として多目的な分野の広がりをめざすのか、それとも総合芸術センターのような役割をめざすのか、どのようにお考えかまずお聞かせ下さい。

 A 学芸員だけではさまざまな企画を準備できないのではないでしょうか。公立美術館として、市民の心を癒す、気持ちをリフレッシュする、感性を刺激し、磨くことの出来る特性を発揮する。また、全国的には発達障害児や自閉症児などの障害児の教育の場、認知症高齢者や介護予防に役立てている美術館もあると聞いています。 
学芸員とともに企画を考える専門家の配置が必要となるのではないでしょうか。どのように美術館の多面的な機能の発揮を実現しようとお考えでしょうか。

 B それにしても、私たちが昨年視察した松本市立美術館の館長や多くの方が開
館の特別企画が大変重要となる指摘しています。現在まで、半年後に迫っているオープン企画が成功するかどうかで、その後のアーツ前橋への市民の評価が決まってくるといえると思います。
過去と未来との対話、地域アートプロジェクトの二つの企画を検討中と総括質問で答弁されていますが、これからどのように準備されるのかお聞かせ下さい。

 C 文化推進会議だけでは市民要望が開館後の事業運営に十分反映しないと思
いますが、市民参加の手立てをどのように講じようとされているのか、お聞かせ下さい。

 D 市民の美術館開館への熱い期待に応えられるよう、魅力ある展示企画とともに、低廉な入場料金の設定、働く人も楽しめる開館時間の設定、開館内のショップやミニレストランなども十分な準備が必要だと思いますが、どのように準備されているのかお聞かせ下さい。

【要望】総括質問や今日の答弁を通じて、館長になられる住友学芸員や山本室長などを中心にして、芸術文化推進室職員の皆さんが、開館にむけてのさまざまな努力を続けておられることが分かりました。ぜひとも、市民の期待に答えていただきたいと思います。最後に、音響や照明施設が整備された施設で鑑賞する方が適切な音楽や演劇などの芸術を、あえてアーツ前橋で無理に行わないよう要望しまして、この項目の質問を終わります。

2、次に全市デマンドバスの運行等について

 @ 代表や総括質問の答弁では、新年度の後半までに、交通不便地域を選定し、移動困難者・交通弱者に利用者を限定して、全市デマンドの社会実験を実施したいという意向を市長は表明されました。今後、タクシーやバス事業者の理解を得るための調整や実験や本格運行に向けての市としての対応策をどのように講じようとお考えか、まずお聞かせ下さい。

 A 富士見地区の住民は、富士見地区外の大病院や公共施設駅などへの運行を強く希望しています。対象者を交通弱者に絞って、当初計画どおり、るんるんバスの全市デマンド運行の社会実験を強く希望しています。検討対象とされているとのことですが、ぜひ住民との懇談会を富士見で開始していただきたいともいますが、いかがでしょうか。

 B デマンドバスの運行に移行した富士見のるんるんバスは、住民の皆さんから大変喜ばれています。いま、停留所150箇所をもっと増やしてほしいという利用者からの要望が強く出されています。たとえば、小沢の特別養護老人ホームのサンホーム富士見の前に停留所がないために、特養に入所している家族の方が、見舞いに行くのに、富士見の商工会がある小暮の農産物直売所の停留所から歩いている方もいます。これまでの自由乗降方式ではなくなったために、より多くの停留所の増設が必要になっているのです。住民の要望をただちに聞き取っていただきたいと思います。答弁を。

 C 芳賀団地や鳥取団地など芳賀地区の住民の皆さんが、富士見のデマンドバスの運行を芳賀地域まで広げてほしいという切実な要望が上がっています。いかがでしょうか。

 Dふるさとバスやるんるんバスの停留所方式のデマンド交通をドアツードアー方式に移行してほしいという強い要望が出されています。いかがでしょうか。

【提言】
 陸運事務所への認可手続きや関係事業者との調整など、デマンド運行にはさまざまな課題が山積していることは分かります。しかし、超高齢化社会を迎える本市においても、高齢者の移動を保障することは、まさに生存権や生活権の保障のための社会資本整備であります。スピード感を持って取り組んでいただくよう強く求めておきます。

3、前工跡地の土壌浄化について

 跡地はすでに7年前になりますが、2006年に市が県から等価交換によって取得しましたが、国の環境基準の2・6倍の六価クロム、20倍の水銀、360倍の鉛、6・8倍の砒素、3倍のフッ素による高濃度汚染が続いています。
 日本共産党市議団は、昨年の十二月の議会で、「土壌汚染の浄化をさらに今後20年間も先送りすることとなる前工跡地の3分の1、1.1fへのメガソーラー設置のための4億8千万の補正予算には賛成できない」との立場から、修正案を提案し賛成多数で可決しました。

 @しかし、私たちは市民への健康被害や地下水などへの汚染を広げないための
安全対策を講じた上での暫定利用を否定しているものではありません。
そこで政策課長にお聞きします。完全浄化の費用は20億円程度かかると見込まれていますが、立ち入りが認められる覆土などによる暫定工事の費用はどの程度と試算されているのかお聞かせ下さい。

 A 課長もご存知の通り、わが党も賛成しましたが、地元要望にもとづく暫定利用の暫定利用のための設計や工事費用の一部として6000万の補正予算を昨年の第3回定例議会で補正予算を全会一致で可決成立しています。
 20年リースのメガソーラーは突然降ってきた計画です。なぜ、メガソーラーの設置を、地元要望である駐車場や芝生広場整備の条件にしたのか、全く理解できません。なぜ、当面の利用として地元要望実現に限定しなかったのか、お聞かせ下さい。

 B 繰り返しますが暫定工事を私たちは否定しているわけではありませんので、利活用検討委員会をただちに開いて、当面は地元要望だけ具体的に推進すべきだと思いますがいかがでしょうか。

 C 次に、抜本的な土壌浄化についてです。覆土や舗装による立ち入り・暫定的
な土地利用が実現できたとしても2.8ヘクタールの広大な土壌汚染を放置すべきではありません。封じ込め対策で問題がないかのような汚染の事実を軽視する発言が当局によって繰り返されていますが、利根川の上流地域の集中豪雨による水位上昇の繰り返しによって、跡地の下を流れている地下水位が上昇し、汚染の物質が広範囲に流出し、長期的には跡地の汚染物質による下流地域の環境汚染を引き起こす危険性は否定できないと思います。
 本市の環境都市宣言は「本市の豊かな自然環境を楽しみ、守り、育て、将来の世代に引き継いでいくことは、私たちに与えられた権利であり、責任でもあります」と唄われています。
 土壌汚染対策法が認めているからといって、汚染土壌にふたをしたまま土壌浄化を先送りすることは絶対に認められません。

 そこでお聞きします。市長は、土壌浄化費用の負担を県に求めないと本会議の代表質問で答えました。しかし、跡地の汚染責任が全くない前橋市が、土壌浄化費用を全額負担することにも、根拠もなく安全宣言をする前橋市の環境凝視にも、市民は納得しないのではないでしょうか。
 前高木市長の軽率な土地交換契約は有効に成立しているという判断が裁判で出されましたが、だからといって政治的な解決策が閉ざされたわけではありません。
市民も納得できません。したがって、山本市長は今後も汚染土壌の完全浄化を目指して、知事と政治的な解決策を探るべきです。
 わが党が求めたにもかかわらず、和解せず高木前市長の失政を裁判で明らかにしただけでは、市民の安全・快適な環境で暮らしたい、貴重な市有地を有効活用してほしいという、市民要望には答えられません。

【主張】
 わが党は、前市長の誤った判断によって、県との等価交換契約で今日の事態を招いた責任は重大だと指摘し、前市長に対しては県知事との市長という職を賭した交渉によって土壌浄化費用の一定の負担を県に求めて、市民の負担を軽減して早期完全除染を実現すべきと一貫して求めてきました。いまでも、県の道義的責任を求めるべきという立場は変わりません。地裁判決で、契約無効の前橋市の主張は完全に争えなくなりましたが、土壌汚染防止法の根本精神にたてば、汚染土壌の浄化責任は原因者と土地所有者にあるからです。県の道義的責任の追及は当然求めることが出来ると思います。

 私は、岩神地区の跡地周辺の住民に直接話をお聞きしましたが、ほとんどの方が将来にわたって安心して暮らせる住環境を求めていると思います。20年間もの固定化するメガソーラーの設置に不安を感じておられる方がほとんどです。  
わが党は、暫定的に地域住民が利用できるような封じ込め工事をしたうえで、芝生公園や運動広場や駐車場を整備するよう強く求めておきます。
 また、前工跡地は利根川河畔、赤城や榛名を望む好立地の市民の貴重な財産です。周辺住民の意向を尊重するとともに、土地利用については全市民的な理解を得るよう強く求めておきます。

4、収納行政について
 
 @ 現年課税分の税滞納への対応についてです。

 自主財源確保に向けての市税収入の確保が重要であることは言うまでもありません。しかし、長引く不況の下での雇用不安や失業、病気などで期限内納付ができなくなった市民の方には、積極的に徴収猶予や換価の猶予などの納税緩和制度が使えることを周知して、滞納繰越などによって滞納税と14.6%の延滞金が累積して結果として自主納付できなくなる状況を作らないことが大切だと思います。
 収納課では3係のうちの2係が、現年課税の徴収に当たって、督促状の送付や滞納者への早期接触を図るための臨戸訪問やコールセンターの運用を重視されているとのことですが、現年分の税滞納者への対応についてどのような留意をされているのかお聞かせ下さい。

 A 次に滞納整理についてです。

 今、多くの自治体で、全国的に滞納繰越を減らしていくために、躊躇なく
財産調査を行なって差し押さえを行なうことが重要という収納行政の風潮が強まっています。本市においても、年間の差し押さえ22年度をみても7703件18億円以上に上っています。差し押さえによって滞納者に来庁させる機会を作るということになっているのではないでしょうか。差し押さえが自主納付の近道という認識は改めて、正しい納税意識の啓蒙を行なって、期限内の自主納付を進めることが必要なのではないでしょうか。

 ●ひどい事例@市内の66歳の一人暮らしの女性の例です。1ヶ月9万円の老
齢年金と月2万円のパート収入で、2万9千円の借家に住みながら、質素な暮らしをしています。パートの仕事もなく、老齢年金を満額受け取れないときの生活が苦しくて、市税を約11万円滞納していました。ところが、収納課が12月から年金から4万円差し押さえをしたために、食べられなくなって、生活保護を申請。12月下旬に生活保護が決定しました。ところが、2月も差し押さえを解除しないまま4万円を差押えたために、今も生活保護を受け続けています。差し押さえをせず、分納を認めれば、生活保護の申請をしなくてもよかったのです。年金の差し押さえによって生活保護に陥る例はしばしばおきています。

 B 生活や営業を脅かす債権の差し押さえ

 預金口座に入金された給与などを全額差押えるなどして、最低限の生活を脅かすような差し押さえをしてはなりません。差押える際には、家族構成などを把握しないまま、差し押さえ禁止財産まで差押えることとならないよう、事前調査をしているか。

 C 納税相談における行き過ぎた言動

 納税義務者以外の家族に対して納税を求めたりしていないでしょうか。また、納税相談において、納税資金を管理できないような方への丁寧な生活指導を行なう必要があるのではないか。

●ひどい事例A 市内の定年退職後、老齢年金11万円の生活をしている62歳の男性。本人は精神疾患を患い、その妻も目の病気で働けず夫婦とも通院生活をしています。同居している次男も近く結婚する予定で、自分の生活が精一杯。市営住宅に住んでいるが、以前の市税の滞納が約40万円。納税相談に応じたら、担当職員に「払わない場合は息子に請求する」とか「本人死亡の場合は妻に請求する」と、言われた。こんなひどい言動は許せない。と相談を受けました。

D 生活保護世帯への滞納税の納付指導

 生活保護世帯の方に、国保税滞納分の分納指導をしていないか。

E 滞納処分の執行停止の判断についてです。

 資産もなく生活保護申請が出来るような低所得の自己破産者や低年金の方に対して、分納の督促や差し押さえが行われている。資力もなく納税が困難な方に対しては滞納処分の執行停止の必要だと思うがどのように判断して執行停止をしているのか。

 ●ひどい事例B糖尿病で働けない66歳の市内の無職の男性。
  
 平成17年に自営していた会社が倒産して、弁護士に依頼して破産処理をした。負債額は1億2千万円だったそうです。当時自宅の家土地を任意売却処分をして、滞納税のうち本税を群銀本店で全額約500万円納入した。延滞金が470万円あまり残っているが、まだ毎月払うように呼び出しを受けた。1万円は無理なので5千円をに減額してもらったが、息子と二人暮らしで借家に住んでいる。年金はつき6万円。資産も貯金も何もない。死ぬまで払い続けなければならないのか。と話しています。 このような場合も、滞納整理の執行停止にならないのでしょうか。

【提言】地方財政の危機的状況の中で、「滞納額を減らすことが至上命令となり、若い職員などに、税法の原則を教えることなく、差し押さえのノウハウを教えて、件数と金額で成果を競わせる。特定の悪質滞納者に限られるべき強制手段が、前滞納者に普遍化しているのではないでしょうか。
 いかに税金であっても、その滞納処分によって滞納者の生存権を否定するような差し押さえや、営業権を侵害する処分はできません。

5、公契約基本条例の問題点

 いま、全国各地で建設労働者や公務労働者による公契約条例制定の運動がすすめられています。わが党市議団も繰り返して公契約条例の制定を求めてきました。
 3年前、2010年第三回定例市議会に公契約条例の提案も行ないました。
市長も、中小企業振興条例と公契約条例の早期制定を市長選挙で公約されました。
 しかし、市長が今回提出した条例案については、公契約条例の最も重要である公契約の現場ではたらく労働者の下限報酬が定められていないという点です。 労働基準法や最チン法などの遵守による適正賃金では、群馬県の最低賃金が696円という現状から見ても、全く実効性が担保されません。
 いま、自治体が発注する委託・契約で、年間所得が二百万円にもならない不安定な労働者・官製ワーキングプアーが広がっています。本市が業務委託している労働の現場でも例外ではありません。それだけに公共工事および業務委託も対象にして、そこで働く労働者が人間らしく働き、生活できる賃金と労働条件を定め、守ることは、非常に重要です。そのことは、条例案でも明らかなように前橋市の公共工事や公共サービスの質を向上させ、地域経済の活性化に寄与していくことになります。
 今回の条例案には適正な賃金を支払わなければならないという抽象的な規定だけで、その点がすっぽり抜けており、きわめて不十分といわなければなりません。なぜ下限報酬を決めなかったのか、説明を求めます。

【提言】 公契約条例は、地方自治体など公の機関が、土木・建築工事や印刷物の発注、物品の購入、さらに施設の管理、運営に対する委託などにあたって結ぶ契約が適切におこなわれ、そこにかかわる労働者が人間らしく働くことができる賃金、労働条件を定めるために制定されているものです。
 全国的に始まった、この条例制定の背景には、建設不況のもと競争入札によるダンピングが横行し、それが建設労働者の賃金や労働条件にしわよせされていること、また、公務労働の民間委託が進められ「官製ワーキングプア」という低賃金労働者が広がっていることがあります。
 じっさい、本市の公契約による工事や業務委託の現場でも、市が発注した建設工事の現場では、下請け業者に適切な賃金が払われていないという問題も生じています。また、指定管理者に委託した現場では、賃金が低く、職員が定着しないなどの問題も起こっています。

 わが党市議団はこの条例がより充実したものにしていくために、今後修正案も提案しながら、いっそう奮闘することを表明して質問を終わります。







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