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議会報告

9月議会総括質問(都市計画の統合方針について、異常気象に伴う防災対策について、中小企業振興条例にもとづく産業振興ビジョンについて)近藤好枝(10日)【2013/9/12】

1、都市計画の統合方針について
○7月の住民勉強会で異論続出に対する市の受け止め
旧4町村の都市計画についての住民勉強会は8会場、190人参加しました。宮城地区は支所の周辺以外は住宅密集地はなく、点在しています。畜産、露地野菜など多品目を生産し、農業が大変盛んである。しかし、中山間地であるため、南部地域などと比べると集積するには困難です。農家の子供が実家の農地を譲りうけて、住宅を建て2世代3世代、4世代が隣同士で暮らしている家が多いのです。
調整区域になれば、先祖代々の土地でありながら、農家の子供でさえも、規制がかかることにより、住宅が建てられなくなる場合もでてきます。人口流出が加速すれば、集落の維持ができない地域が増え、鳥獣被害が深刻化し、農地の保全も困難です。今のままでも、農地法の網がしっかりとかかっているので開発が極端に進むことはありません。規制は農業振興にとっても、地域住民の利益にはならないと反対の意見が続出しています。大胡、粕川地区でも農業関係者の方々が線引きは必要ないと声を上げています。当局は勉強会での声を真摯に受け止めるべきではないかと考えますが見解を伺います。

○群馬県内、全国の合併地域の線引きの状況は大変慎重、あるいは延期しているところも多く見受けられます。
平成の大合併では1534自治体が合併していますが、1つの自治体で複数の都市計画区域が併存する市町村が多数生まれています。今後の統合についてどこでも慎重な検討がされています。地域によっては線引きが廃止されている香川県や安曇野市では自主条例を設置しました。田園環境区域については、基本集落の区域設定はスプロール的な開発を規制しつつも、集落の維持及び集落コミュニティ維持のための一般住宅の受け入れを適用し、前橋市では50個連担していれば一般住宅が建てられる条例規定しているところを、10戸連担に規制緩和しました。これら地域の実態に即した慎重な検討がされています。
全国で新たに線引きしたところは、住宅団地の乱開発が大規模に進められているため、線引きの必要性に迫られたところなどが、特徴的です。政令市では義務要件であるため、統合しましたが、統合後、当該住民から切実な要望が寄せられています。都市計画の統合がいかに難しいかが表れています。
 県内でも、前橋市以外は平成30年以前に統合する自治体はなく、太田市では統合についての検討が行われたが、住民の意見を尊重し、見送る検討をしていると伺っています。
旧3町村は市町村合併後の動向をみると、大規模な開発は行われていません。
どうしても、都市計画の統合をしなければならない切迫した理由はみあたりません。にもかかわらず、なぜ統合を急ぐのでしょうかお答えください。

○合併方針の見直し
2004年の市町村合併時では、10年後には農業が盛んで人口流入が進み地域が発展するので、規制する必要性があったと考えられたのではないでしょうか。しかし、現在は宮城、粕川地区は人口減少で農業経営が困難な中、地域の実態、地域の要望は当時とは異なっていることは明かです。したがって、新市建設計画にかかわることを審議する各旧3町村のそれぞれの地域審議会に、昨年と今年7月の勉強会での各地域から異論が出ている意見などをしっかり報告するべきではないでしょうか。報告して、現在の地域にかみ合った都市計画の統合の在り方を正式の議題にして今こそ検討すべきです。さらに、旧3町村合同の地域審議会で検討し、市町村合併時の合意については延期・中止を決断すべきです見解を伺います。

結論 都市計画の統合はどんな町づくりをしていくのか、住民本位の町づくりとはどうあるべきかを時間をかけて作り上げることが、今後の本市の発展に求められていると考えます。専門家とともに地域の実態を十分反映させて、時間をかけて検討すべきではないでしょうか。先に紹介した安曇野市の合併合意は「合併後5年をめどとして同一歩調で行うことを基本とする」として、翌年から専門家による「土地利用調査専門委員会」を立ち上げる一方「土地利用市民検討委員会」を設置して市民参加での検討、アンケート調査、地域懇談会などあらゆる取り組みをして5年間かけて練り上げて、ようやく条例制定が実現しました。結論をいそがず、十分議論し尽したことで多くの住民意見が、条例に反映されたのです。ぜひ、参考にしていただきたいと思います。

2、異常気象に伴う防災対策について
        
(1)ゲリラ豪雨対策
異常気象による豪雨、竜巻、突風、落雷などの災害が多発しています。
○実態把握と内水ハザードマップ作成 
過去において、本市では1997年の時間当たり100ミリを超える豪雨により建物等の被害が400件以上発生しています。こうした事態を受けて、前橋市雨水対策協議会で水害対策を行ってきましたが従来の対応だけでは不十分です。そこで、ゲリラ豪雨対策として、どの程度の強さの雨だったら、どこがどれくらいの時間で、どれくらい冠水するのかを事前に把握することが求められます。当面の対策としては、現課に寄せられた水害被害による改善要望をまとめ、具体的な個所を鮮明にし、実態を明らかにして、情報を共有すべきです。
豪雨時のシュミレーションに基づいた内水の水害を想定したハザードマップを作成し、すべての対策の前提条件を作るべきです。
この情報をもとにそれぞれの担当部局で共有し、雨水対策協議会の中にゲリラ対策部を設け、改善策に役立てたらいかがか。市民にも周知して自主防災にも反映させるべきと考えますがそれぞれお答えください。

反論
従来、災害が起きると水害が起きたところを改修するという事後対策を改めて予防につながる、事前対策に力を入れていただきたいと思います。

○ポイントをしぼったハード整備等
本市では過去の雨量の実態から、公共工事の構造基準を他市よりも時間当たり高い63・5ミリの降雨を設定していると伺っています。しかし、改修対象の用水路などが膨大あり、対応しきれていないのが実態です。農業地域では、高齢化による耕作放棄地や用排水路の維持管理が困難なところでの水あふれ、農地の宅地化が進み農業用水と道路排水が一緒になっているところ、市街地では合流式下水道地域の雨水対策が求められます。また、用排水路の形状が直角に曲がっているところやカーブしているところが水あふれするのが特徴ではないでしょうか。これらの、洪水危険地区に対して、今までの構造基準を上回る施設整備をすべきと考えるがいかがか。


陳情のあがったところから優先度をつけてとりくむと同時に、道路パトロールと同じように用排水路もパトロールして、農業地域では用排水路の泥上げ作業や、清掃を行うなどの維持管理もぜひ実施していただきたいと思います。

○土嚢配布と土嚢ステーションの問題
・一つは本市の市民サービスステーション、支所など20か所に土嚢ステーションを置き、市民が24時間必要な時に持ち出せるようになっていますが、7月の豪雨では活用が大変弱かったので、十分な周知をすべきです、いかがか。

・二つは他市では5月ごろ希望者に取りに来てもらい、高齢者宅には配布も行っている。本市でも集中期間を決めて周知や配布などおこなうべきです、いかがか。

・三つは消防署・消防団は豪雨時においても119番通報すれば、土嚢の緊急配布やポンプ車も出動し水防を行うという防災の役割についても市民に周知すべきと考えますがそれぞれお答えください。

(2)竜巻突風対策
竜巻突風は、近年地球温暖化により、頻発しており、災害の発生がどこでも起こりえます。市民の命と安全を守る対策が緊急に求められています。
9月3日に埼玉県越谷市、千葉県野田市に発生した竜巻は、建物被害1100棟を超え、重軽傷者70人近くと甚大な被害をもたらしました。被害住民は「一瞬何が起こったかわからなかった。2階は一面ガラスが散乱し、逃げるのがやっとだった」と生々しい証言があり、電柱がおり曲り、住宅が倒壊するなど、大変な惨状が報道されています。4日にも栃木県や三重県で竜巻被害を受けました。本市でも、8月11日の突風による被害が発生しています。
○基本的知識の普及啓発等
竜巻災害は発生のタイミングが突発的であり、被災直後被災者がその原因を竜巻と認知することが困難です。埼玉、千葉県をまたがる竜巻ではとっさにトイレに逃げ込んだ、学校では屋内の中央にふせた、などの経験から、日ごろから身の守り方を周知していれば人的被害を最小にとどめられると考えます。
そこで、竜巻が発生したらどこで、どのタイミングで身を守るかについての基本的知識を行政が普及啓発すべきと考えますが見解を伺います。

○危険情報の伝達と公共施設や民間の頑丈な建物の紹介など
竜巻発生情報の伝達はたいへん困難な側面もありますが、素早い危険情報伝達が求められます。気象庁の注意報などの発表をより多くの住民に伝達する手段の充実とともに、多くの人が集まったり、安全確保に時間を要したりする学校、社会福祉施設、集客施設等の管理者等への既存の連絡体制やメール、ファクスなどを用いて情報伝達についての十分な体制確保について伺います。
また、頑丈な建物への避難場所として、実際の被害場所により活用できない場合もあるが、一つの情報提供として、公共施設や企業などを紹介するという方策も検討すべきです。それぞれお答えください。

○農産物に対する被害を最小限にとどめるため
竜巻、突風被害は人や建物だけではなく、農作物にも深刻な被害をもたらします。前橋市で8月11日に起きたダウンバースト現象ではナス、なし、オクラ、飼料用とうもろこし、ニガウリが被害を受けました。竜巻、突風被害予防対策として、防風ネット等農作物被害防止施設の整備や低コスト耐候性ハウスの設置、風害等を受けやすい地域における農用地の防風施設等の整備などが取り組まれているが、設置の促進と現行の補助率の引き上げなどを検討したらいかがでしょうか。

(3)防災計画の充実
 ゲリラ豪雨・竜巻被害対策は風水害の延長でなく突発的に甚大な被害をもたらす特性を理解し地域防災計画に具体的に位置づけるべきではないでしょうか。
豪雨対策竜巻等の対策について有識者を交えた委員会などを設置して竜巻等突風発生の仕組みを理解したうえで気象情報を把握し、身を守るための正しい行動につなげ、初動に生かしていく防災計画に拡充すべきですがいかがですか。
そして、対応マニュアルなど作成し、自主防災組織および市民にわかりやすく周知すべきと考えますがそれぞれ見解を伺います。

(4)見舞金の拡充
○現在の見舞金制度では、ゲリラ豪雨や竜巻被害に対応できていません。東日本大震災の時には屋根瓦の損壊に見舞金制度がつくられた、が昨年の9月で終了した。こうした取り組みを生かして、住宅の流失や床上浸水だけにとどめず、床下浸水や突風被害を想定した屋根の損壊にも見舞金を支給すべきと考えますがいかがですか。

○農作物の被害は8月11日の突風に対しては農漁業災害対策条例の対象にならない。被害農家は全体の面積や被害個数に関係なく実害が生じているわけですので、せめて見舞金を創設して農家支援すべきと考えますがいかがですか。

結論 深刻な被害をもたらしているゲリラ豪雨と竜巻突風災害はいつどこでも起きうるものです。前橋市は比較的災害が少ないといわれていますが、いつ災害が起きても不思議ではありません。こうした危機感を持ち、あらゆる可能性を汲みつくして予防あるいは減災対策を講ずるべきで、あの時もっと対策を立てておけばよかったということのないようにしっかりしたと対策を求めておきます。

3、中小企業振興条例もとづく産業振興ビジョンについて
今までの自治体の施策は、国の政策に準じて実施する位置づけから中小企業振興策は融資制度が中心でした。法改正によって、「地方分権」政策の一環として、行政が自分の地方の自然的、経済的、社会的諸条件に合わせた独自の施策を立案し、実行する責任を持つものとなり、中小企業振興基本条例が注目されるようになりました。わが市議団は早期にこの条例制定を求めてきました。これを受けた、産業振興ビジョンは実効性のあるものにすべきです。
そのための、施策準備・展開が大変重要だと考えます。

○中小企業の実態把握
中小企業振興基本条例を作成する段階から、十分な実態把握を行った、東京の墨田区の経験を大いに学ぶべきです。墨田区では中小企業が集積する中小企業施策を住民福祉の向上につながる最重要課題と位置づけて、区の係長級職員180人によって、区内全商工事業所の調査を実施しました。単なる景況調査ではなく経営実態からどのような取引先があるか。何に困っているかなど、詳細な調査をしました。これを具体的な施策に反映させていったのです。前橋市でも、今年度中にビジョンを作成することにこだわらず、行政が本気になって中小企業振興をするんだと、時間をかけて、実態をしっかりつかむべきと考えますがいかがですか。

○推進体制
実態把握を前提に、市と中小企業団体や中小企業同友会、金融機関、農協や民商など、各種団体代表が参加して、産業振興ビジョンを作成することが求められます。先進地である北海道の帯広市では、中小企業振興条例制定のための検討プロジェクトが設けられ、中小企業経営者と行政担当者との共同作業が展開されました。条例制定後は産業振興ビジョン作成に向けて、18人からなる中小企業経営者協議会が設置され、この協議会で条例に基づいて4部会にわかれて、40名近くの委員が約1年間かけて集中議論しました。会議の回数は100回近くに及びます。記録はすべて担当職員がまとめ、産業振興ビジョンが作成され、ビジョンの施策を推進するための帯広市産業振興会議を設置しました。この会議が毎年、施策の実施状況の公表、点数評価、見直しをしています。本市でも、条例制定を行ってきた、中小企業振興施策等懇談会を継続し委員メンバーを拡大して、第6次産業の対象となる農協や小規模事業者の歴史ある団体、民主商工会などもメンバーに入れ、部会を作り、ビジョン策定後の推進体制も保障するものにすべきではないか見解を伺います。

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