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議会報告

第3回市議会定例会2012年度決算反対討論 中道浪子【2013/9/26】

 私は、日本共産党前橋市議団を代表して、議案第83号から第89号、第91号、第92号、以上9件について反対の討論を行います。

最初は、第83号一般会計についてです。

第1は、山本市長の政治姿勢についてです。2012年度は、2月の市長選挙で当選された山本市長が2ヶ月間の暫定予算を組んだ後に、6月から初めて編成し執行した予算でした。
多くの市民が市長選で市長が掲げた公約の実現を期待しましたが、年度内に実現したものは、がん検診の無料化や既設3清掃工場の延命化及び新清掃工場建設の白紙撤回などわずかにとどまりました。
多くの市民が願っている小中学校全学年への30人学級の実施や、市内全域へのデマンドバス運行は未だ実現せず、行き過ぎた滞納整理の改善などは全く実現しておりません。
さらに、少子高齢化がいっそう進み、財政が厳しくなっているにもかかわらず、昨年度も、相変わらず荻窪公園や前橋総合運動公園の整備拡張のための調査費や、新前橋駅前第3、西部第1落合、南部拠点地区西部の新規区画整理事業のための調査費が執行されており、これからも大型開発事業が目白押しで、開発優先の市政が推し進められようとしており問題です。
また、昨年の総選挙で民主党が政権を失い、復活した自民・公明の安倍政権は、国民の間には格差と貧困がますます深まっているにもかかわらず、消費税増税と社会保障切り捨ての「一体改革」、憲法9条の改悪、原発再稼動推進、労働法制の規制緩和、TPP推進、オスプレイの沖縄配備や全国での米軍機低空飛行訓練など、あらゆる分野で、国民の暮らしと平和、民主主義を破壊し、国のあり方の根本を壊すような危険な暴走政治を突き進めています。このような、国の政治に対して市長は、市民のくらしの防波堤になろうとする姿勢が大変弱く、どの問題でも「国の動向を見守る」と言う姿勢では、市民の命や暮らし、農業や産業を守ることはできません。

第2は、前工団事業と土地開発公社の解散の問題についてです。両事業は、当局の説明のように、雇用拡大や公共事業の推進を円滑にすすめ、貢献してきたことも事実です。しかし、そのために市民の貴重な税金が湯水のように投入され、前工団へは赤字の穴埋めに43億円投入され、最終的に保有土地が売却されたとして負債総額は7億円にも及びます。
土地開発公社の解散時の負債額は48億3000万円にも及び、これを第3セク債から44億円借り入れて10年間で返済する計画ですが、今後、全て市民への負担となるのです。
市長として当然反省があってしかるべきなのに、歴代市長のずさんな事業計画の付けが市民の負担となることを、真摯に反省しないまま新たな工業団地造成を進め、財源捻出の方法を変えただけで公共用地の先行取得を継続するのでは、同じ過ちを繰り返しかねません。強く指摘しておきます。

第3は、行財政改革における職員の「定員管理計画」の問題とサマーレビューなどについてです。
本市では、「定員管理計画」を策定し、2010年4月1日から5年間で6%の職員(消防職員を除く)削減の計画を実行してきました。2010 年度は47人、11年度は22人、12年度は工科大の独立行政法人化などがふくまれていますが、105人の減員を行い、3年間の累計で174人、7%を削減しました。5ヵ年計画の6%目標を大きく超える職員削減を行ったのです。13年度からまた新たな5ヵ年の削減計画を策定し、可能なものは積極的に民間委託等を進め、5年間で職員数を55人減らす計画です。正規職員を減らし、技能職は採用せず、嘱託や臨時職員など非正規職員を増やしていくことは、現場で必要な技術の継承が絶たれ、市民サービスの低下を招くことは明らかです。
また、市長が率先して実施したサマーレビュー・事業仕分けは、「全事業を予断なく見直して無駄は削る」と大々的に全事業の総点検をしましたが、結局、不要不急の仕分けは不十分で、廃止してはならない米寿祝賀会をいとも簡単に廃止したことは許せません。
また、市立工科大学の独立法人化を推進したことは認められません。
そもそも、国立大学の独立法人化は、国がすすめた教育予算削減を最大の目的としたもので、市立大学の独立法人化は文科省への追随であります。
法人化は、学問の自由が侵害され、大学間競争に勝ち抜くための外部資金獲得競争を強める大学運営に変質しかねません。2004年の国立大学の法人化で、全国90の国立大学への運営交付金は、1,000億円以上も減額されております。  
工科大学は独立法人化が行われましたが、今後も市は大学設立者としての責任を果たし、施設整備費や運営交付金を減額しないよう求めておきます。

第4は、市営住宅の問題についてです。 本市の市営住宅の管理戸数は、5,462戸で、全県下最大です。1960年代から建設してきたために、かなりの老朽化もいなめません。ところが、空き戸数が689戸その内、住居改善や用途廃止、建て替えで入居を止めている戸数が計296戸あり、火災、自殺などで入居できない戸数が47戸となっています。長引く不況と高齢化で市営住宅の入居希望者は減るどころか今も330人が待機しています。少なくとも住居改善、用途廃止、建て替えで入居を止めている296戸を除く、393戸については、待機者の条件に合わせて、エレベーターの設置や風呂釜浴槽の設置、リフレッシュ工事などで、すぐにでも入居可能な市営住宅に改修すべきです。市民の財産の有効活用に徹すべきです。
なお、市が建設した市営住宅は、店舗の撤退や交通不便地域など、生活の利便性が後退した場合には、店舗の誘致や利便性の高いバス路線の運行などで、快適な住環境を維持する責任を果たすべきであり、全庁をあげて取り組む必要があります。現在の不十分な住宅管理を放置したまま、県住宅供給公社への管理代行は、再度撤回を求めます。
 また、市営住宅駐車場管理については、市内40か所の管理団体に委託していますが、引き続き管理運営をしたいと要望している団体で、利用者へのきめ細かなサービスと駐車場料金の完全徴収を問題なく続けてきたと判断できる団体については、委託費が自治会の貴重な活動財源にもなっているので、委託を継続すべきです。

第5は、子育てと教育の問題についてです。市長は、全小中学校の30人学級の実現を、市長選ではっきり表明したにもかかわらず、先送りしたことは問題です。教員の多忙感を解消するための支援員の増員や図書従事職員とその勤務時間の延長などは大変重要だと思いますが、30人学級の実現こそ、いじめや不登校も学級崩壊もない一人ひとりの子どもを大切にする行届いた教育実現の最も確かな施策です。
また、学校給食費の第3子無料化は、 結局、小中学校に同時に3人が通学する世帯という狭い条件にしたために、対象者が大幅に減り約900人、無料化に伴う予算は約2300万円と半減以下となりました。保護者からは、「無条件で第3子の完全無料化を実施して欲しい」「幼稚園児も対象にして」と強い要望が出されています。少なくとも、第3子の完全無料化を直ちに実施し、その後すみやかに、全ての子どもたちに早期に給食費無料化が実施できるよう求めておきます。
小中学校の統廃合については、広瀬中と春日中の合同地区委員会が、日赤病院の移転を契機に解散し、白紙撤回されたことを教育委員会はしっかり総括すべきです。地域の状況は、社会状況の変化で日赤病院のような大病院の移転で開発が進めば、新たな宅地化がすすみ、人口増加による子どもの出生率が高まり、学校への入学の要求が高まることもあり得ます。現在の子どもの人数を基にした推計だけで統廃合計画を推進することが、いかに危険な判断となるかをしっかり学ぶべきです。
市立幼稚園の統廃合計画も問題です。市教委は、幼稚園の充実検討委員会で、大胡幼稚園と大胡東幼稚園の統廃合を論議し、今後園児の推移を見ながら決定していくと表明しています。市立幼稚園は、安定した職員配置が行なわれており、私立幼稚園では担いきれない少人数学級や障害児教育、幼児教育の充実など、幼児教育の実践・研究の場としての重要な役割があります。子どもの命がかかった大胡幼稚園の耐震工事を先延ばしするのではなく、直ちに工事を着工し、統廃合方針は撤回すべきです。

第6は、行き過ぎた滞納整理の改善についてです。市長は、就任直後の所信表明で「公平な心とやさしさを失うことなく、市民が暖かさを感じられる市政運営に臨んでまいります」とはっきり述べています。また、日経新聞系列の全国発行の雑誌で市長は「無理な差し押さえはやらない、きちんと市民と向き合って納税相談を積極的にやりたい、結果として収納率が下がってもかまわない」とインタビューに答えていますが、今もなお、これまで以上に厳しい取立て・差し押さえが行なわれています。先日、昨年から生活保護を受給している65歳の一人暮らしの方に、過去の市税が残っていたと差し押さえの催告書が届けられ、当然、国税徴収法153条1項2号の滞納処分の執行停止に該当するのに、生活保護扶助費を差し押さえると迫って、6000円の納付を強制したのです。明らかに憲法違反です。また、別な方は約束した国保税を毎月払い続けているのに、職員は電話で「国保税が上がったのでもっと払ってもらわねば給料を差し押さえる」と督促し、市民を脅かしています。滞納整理事業は全く改善されておりません。
本来は、滞納者の暮らしの実態を正確に把握して、懇切丁寧に説得を尽くして分納を認め、自主納付を実現するのが滞納整理であり、差し押さえという最後の手段を真っ先に振りかざし強権的に取り立てことは、行き過ぎた取立てです。直ちに是正を求めます。

第7は、生活保護行政についてです。
長引く不況と非正規雇用の増大で、生活困窮者が増えており、本市の生活保護受給者数は、一昨年度3,608人、昨年度3,745人で100人以上も増加しています。政府は芸能人の母親などの例を持ち出して、不正受給の問題や生活保護費の基準が高すぎるかのような論調を振りまき、生活保護受給者へのバッシングを大々的に繰り広げました。しかし、憲法第25条で保障されているはずの生活保護世帯は、「健康で文化的な生活を営む」には大変困難な状況です。
実際に、猛暑でもエアコンが買えない、親族の冠婚葬祭のお付き合いもできない、中学生の修学旅行費が払えなくて学校から催促されたなど、今でも厳しい生活実態です。
ところが、国は、今年8月から戦後最大の生活保護費削減を始めましたが、「国の動向を見守る」というのが本市の姿勢です。これでは生活困窮者の命やくらしを守ることはできません。今後3年間で平均6.5%、最大で10%、総額670億円もの生活保護費の削減が始まりました。国のいいなりにならず、苦しんでいる市民の意見をしっかり国に伝え、引き下げの撤回を国に求めるべきです。

第8は、環境問題についてです。
まず、前橋再生資源事業共同組合が市から受けた助成金の過払い分は、全額市に返還することを組合に求めるべきです。
昨年5月に発生した前橋資源協への過払い金返還問題は、未だに解決しておりません。当局は、過払い金を2500万円と把握しましたが、資源協の言い分に妥協して1000万円を免除して1500万円の返還で合意しようとしていることは問題です。当局が要綱を策定した趣旨は、9円の基準額を保障すれば回収業者が赤字にならないで、安定的に古紙を回収できるものと定めたものです
従って、基準額を超えて問屋に引き取ってもらった分について、助成金を受け取るなどあってはならないことです。当然このような問題は、市監査委員会に調査を願い判断を求めるべきであります。
また、坂東工業団地の深刻な地下水汚染問題や群馬化成産業の悪臭問題はほとんど改善されていないことです。前工跡地問題は、20年リース契約のメガソーラー設置計画は撤回され、民間活力による暫定的な利用計画が進んでいますが、根本的な土壌浄化の先送りは問題です。県と連携し早期に解決すべきです
また、旧勢多郡の赤城山ろくに土砂などの産廃が野積みされているのに、当局は、放置したままでいるのは問題です。条例規制を急ぐと同時に、堆積した土砂が崩落しないように、直ちに対策を講ずるべきです。

第9は、中小業者への支援策についてです。
 地域内で経済が循環するためには、企業呼び込みの産業政策重点ではなく、市内事業所の約1万8000社の9割、従業員16万5000人の約7割以上を占めている中小零細企業の支援を軸にして、域内再投資力をつける産業政策を大きく推進することが必要です。3月に公契約条が提案された際に、わが党は他市の優れた条例を学ぶと同時に、群馬弁護士会の指摘も反映させ、公契約にかかわる全ての事業者に雇用された労働者の賃金の下限額を定めるように修正提案しましたが、否決されました。しかし、10月の条例施行以降は公契約受注企業の労働者の賃金支払い実態をしっかり把握し、不適切な状況を把握した場合には、是正を求めるとともに条例の充実改定も視野にいれるべきです。また、本市では、今議会で中小企業振興基本条例が制定されましたが、今後策定される産業ビジョンは、中小企業団体やJA、地域の金融機関、中小企業家同友会、前橋民主商工会などに策定協議への参加を求めるべきです。また、市行政と市内中小企業との信頼関係を深めるためにも、実態調査を実施し産業ビジョンに要望を反映させるよう求めます。

第10は、農業施策についてです。
農業従事者の高齢化や耕作放棄地の拡大などで、本市の農業も大変深刻です。それに加えて、政府が推進しているTPPは、本市や日本の農業に壊滅的打撃を与えるものです。ところが、わが党が農業振興の立場に立って、JA前橋や農家のみなさんと連帯して政府にTPP反対の声を上げるように提起しても、市長は赤城の恵のブランド品目の拡大や第6次産業化を促進すれば、前橋の農業を振興することができると安易に考えているのは大問題です。
本市の耕作放棄地は、すでに、粕川地域と匹敵する面積となっています。それにもかかわらず、耕作放棄地がこれ以上広がらないような支援策が必要なのに十分な手だてが取られていません。せめて、遊休農地を借りて新たな耕作地を広げようとする意欲のある農業者には遊休農地を借りて耕作できるように制度を拡充すべきです。
また、再生した遊休農地で農産物を生産する農業者には国・県・市の支援制度をおおいに周知して遊休農地の解消を図るべきです。産出額全国第11位、畜産産出額全国第5位の本市の農業を守るために、市長は、JAや農家のみなさんとTPPを阻止するためにがんばるべきです。

次は、第84号国民健康保険についてです。長引く不況と非正規雇用の増大で本市の国保世帯の平均年間所得額は138万円まで落ち込んでいるにもかかわらず、1世帯あたりの国保税額は所得の1割を超えて約18万6,000円にも達しています。納期限までに納められない滞納世帯も約2割となり、滞納者への差し押さえは2011年度は4,286件にも及んでいるのが実態です。国保税が高い原因は、医療給付費が伸びているにもかかわらず、国保会計の総収入にしめる国庫負担の割合が1984年以前に比べて現在は25%まで半減しているためです。これでは一般会計から繰り入れを増やさない限り、国保税の負担増を抑えることはできません。
 本市でも昨年度の国保財政は、赤字が見込まれたため、本市としては初めて一般会計補正予算を組んで約18億4,600万円を国保会計に繰り入れました。
しかし、同時に今年度に見込まれる赤字分の内、医療費分の不足は加入者に負担を求めて、1世帯平均・年間23,000円の引き上げを強行したのは問題です。
ただちに、引き下げるべきです。
対前年度比所得5割減だけを対象とする現在の申請減免制度の改善の見直しも繰返し求めてきましたが、改善する姿勢が全くありません。
大阪市などの申請減免制度に習って、所得階層別減免基準の設定や前年所得3割減額者を対象とすることなどは本市でも実施すべきです。
また、今年視察した広島市では、短期保険証で滞納相談を進め、基本的に資格証は発行せず、昨年度9世帯、一昨年度は5世帯と極めて少数です。本市では、国保税を1年滞納すると機械的に資格証を発行し、昨年度は1,324世帯です。そもそも国民皆保険制度の精神からすれば、いのちを脅かす資格証の発行はすべきではありません。

次は、第85号後期高齢者医療についてです。本制度は、75歳以上の高齢者医療を国保会計から外して、別会計にして差別医療の導入で受診抑制を狙うものです。昨年度は、年金給付金が削減される中で約9.5%の保険料が値上げされ、高齢者はますます生活への不安を強めています。制度の廃止を国に求めるべきです。

次は、第86号競輪事業についてです。
長引く不況の中で、本市の競輪事業は、車券の売り上げが上がらないために、特別競輪を開催して売り上げに努力しています。しかし、ギャンブルを奨励し、地方自治体の財源確保策とすることは間違っているので反対です。

次は、第88号介護保険についてです。
昨年度本市では、第5期介護事業計画実施に当たり、65歳以上の介護保険料を年間11億円、約3割も引き上げました。市役所には1230件もの苦情の電話が殺到し、前橋社会保障推進協議会や年金者組合など各種団体からも引き上げた介護保険料を元に戻してと強い要望が出されています。
また、全国では数多くの自治体が実施している低所得者への保険料・利用料の軽減策の拡充を認めない姿勢は問題です。特養ホームの増設は、1500人もの待機者がいるのに、3年間で230床の計画だけで解消しようとする計画を持たないことは、認められません。
さらに、今後、国が要支援者を介護保険から外して地域支援事業に移行させようとするとともに、特養ホームから要介護1・2を排除しようとしていますが、「国の動向を見守る」という姿勢ではなく直ちに制度改悪中止の意思を表明すべきです。今後とも高すぎる介護保険料や利用料の負担を軽減し、高齢者及びその家族の生活を守るために全力をあげるべきです。

最後は、第87号農業集落排水事業、第89号簡易水道事業等、第91号水道事業、及び第92号下水道事業についてです。水道局は、災害に強く安全で安定性の高い水道施設の維持管理に重点を置いた事業に努力されていますが、最も安全性が求められる水源井戸や浄水施設の管理を民間企業に委託継続していることは認められません。計画的に直営に戻すべきです。また、受水単価の高い県央水道の受水量を県企業局に理解を求めて減らし、地下水の利用比率を高めて、財政収支を安定化すべきです。なお、水道料金や下水道料金に消費税が転嫁されていることを認めることはできません。政府は、来年4月から消費税を8%に引き上げようとしていますが、ライフラインである水道料金の負担がさらに重くなることは多大な影響を及ぼします。市長と公営企業管理者は、消費税増税にはキッパリと反対を表明されるよう求めておきます。以上申し述べましてで、9議案に対する反対討論といたします。

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