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議会報告

2013年第3回定例市議会本会議総括質問・生活保護・介護保険・国保・市営住宅・土地開発公社の解散(長谷川薫費員・9月11日)【2013/9/29】

2013年9月議会総括質問 日本共産党市議団 長谷川薫 

1、福祉の充実について 

(1)生活保護

@最初に生活保護について質問いたします。

 政府は、戦後最大の生活保護費の削減を8月から開始しました。今後3年間で平均6.5%、最大10%、総額670億円もの削減であります。前橋市では、7月と比べて8月は2・6%150万円の減額となり、高齢夫婦は月額2000円減額し、子供2人の母子世帯は5080円もの減額となりました。
政府はあたかも生活保護費が高すぎるような論調を振りまいていますが、生保世帯の暮らしの実態は、親戚の冠婚葬祭への出席を諦めたり、食事や入浴の回数を減らしたり、電気代を抑えるために真夏でもエアコンをつけずに我慢するなど、憲法25条が保障すべき「健康で文化的な最低限度の生活」にはなっておりません。貧困化が全体として進んでいるからといて、ナショナルミニマムである生活保護基準を下げるべきという考え方は間違っています。市長は、国に対して生活保護費の削減をただちに撤回するよう求めるべきです。
 また、生活保護基準の引き下げは、最低賃金の引き上げを抑え、住民税の非課税基準、国保税や医療費の一部負担金の減免基準、介護保険の保険料・利用料の減額基準、障害者自立支援法による利用料の減額基準、就学援助の給付対象基準など低所得者の暮らしを支える制度の縮小に直結します。市当局はこれらの制度に影響を及ぼさないように必要な手立てを講じているのかどうか、それぞれ答弁を求めます。

 ● いま「保護費の引き下げに異議あり」という審査請求運動が全国に広がり、県内でも、27人が審査請求を提出しています。「黙っていたら、ますます人間らしい生活が奪われる」という怒りの行動であります。

 A 政府は、基準額の引き下げにとどめず、さらに秋の臨時国会に「生活保護法改正案」を再提出し、親族の扶養の強制や申請権の制限を強め、生活困窮者が申請意志を表明しても、あれこれの理由を述べて、申請を受理しない「水際作戦」をいっそう強めようとしています。
いま、福祉事務所に相談しながら、結果として申請を受理してもらえずに、餓死したり孤独死する悲惨な事件が全国各地で繰り返えし起きています。
  今必要なことは、生活困窮に陥った方々を行政がいち早く把握し、生活保護を受けやすくすることです。生保受給者を人間として尊重し、病気の場合は十分な治療を保障し、自立に結びつくようあたたかく援助することが必要です。
 家賃や水道、ガス、電気などのライフラインの滞納などの情報を関係機関が連携して把握し、孤立死を防止する生活保護行政を強めるべきです。
  本市ではそのような体制が機能しているのかどうか。
また、政府に対して、生活保護制度の改悪をやめるように、強く声を上げるべきと考えます。それぞれ見解をお聞かせ下さい。

 ●生保受給者が全国で216万人を超えて、過去最高を更新し続けているのは、年収200万円以下の給与所得者が1000万人を超え、貯蓄ゼロ世帯が、全世帯の3割に上り、国民年金の平均受給額が4万円台にとどまるなど、日本社会を未曾有の貧困が覆っているからです。
それでも日本の生活保護の捕捉率はわずか2割と推計されています。8割の人が生活保護基準以下の収入・資産での生活を強いられています。
 貧困対策に十分な手を打たないまま、生保申請の門前払いや保護の打ち切りを強化すれば、国民の命が脅かされるだけです。
 市民の最後のセイフティーネットである、生活保護制度の改悪に追随しないよう強く求めておきます。

(2)介護保険

 @ 次は介護保険です。政府は、要支援1・2と認定された高齢者への介護保険給付を廃止し、市町村が裁量で行う「地域支援事業」に移す方針を明確に打ち出しました。サービス供給体制も運営基準も示しておらず、国の責任放棄であります。
 要支援者は全国で150万人、本市では今年の5月現在4,787人、そのうち3,237人が訪問介護やデイサービスなどを利用しています。これまでどおり要支援の高齢者が介護サービスを利用しようとすれば、利用料は1割ではなく全額負担しなければならず、結局これまでの介護サービスを諦めなければなりません。介護保険特別会計の介護給付費が一時的に減っても、長期的には高齢者の重度化が進み、逆に給付費が増える事態になりかねません。
 さらに、以前のように親を介護するための“介護離職者”が激増したり、利用者の減少によって、介護事業者の経営が破綻して、多くの介護労働者が失業し、今でも不十分な介護基盤を崩壊させる恐れがあります。  
要支援者の「介護保険はずし」をしないよう、国にただちに意見を上げるべきと考えますが、見解をお聞かせ下さい。

●要支援者を介護保険から除外すれば、介護難民が続出して大問題になると思います。国の今後の動向を見守るだけではなく、制度改悪の中止を求めるべきです。

 Aさらに政府は、特養ホームから要介護1・2の高齢者を退所させたり、一定以上の所得者の介護利用料を「2割」に引き上げるなどの改定も行なおうとしています。
「家族介護から社会介護へ」という理念を形骸化し、公的責任を後退させる制度改悪に反対すべきだと思いますが、見解をお聞かせください。

●政府は、介護保険料や利用料を引き上げながら、その一方で当然保障すべき給付を減らそうとしています。国民の老後の不安を広げる制度改悪をやめるよう、今こそ国に声を上げるべきです。

(3)国民健康保険

 @次は、国民健康保険についてです。今年度の国保税の引き上げで、「国保税が高すぎる。納めたくても納められない」という加入者の声がますます高まっています。
一般会計からの約7億円の繰り入れで、引き上げ幅を抑えたとはいえ、1世帯平均2万3千円、総額約12億円の国保税の引き上げは、低所得世帯が大半である国保世帯の暮らしを圧迫しています。
 長引く不況と非正規雇用の増大で本市の国保世帯の平均年間所得額は138万円まで落ち込んでいますが、1世帯当たりの国保税額は所得の1割を超える18万5845円にも達しております。納期限までに納められない滞納世帯も約2割に達し、滞納者への差押さえも2011年度は4286件にも及んでおります。
 国保税が高い原因は、医療給付費が伸びているにもかかわらず、国保会計の総収入にしめる国庫負担の割合が1984年以前に比べて現在は25%まで半減しているためであります。
これでは、一般会計からの繰り入れを増やさない限り、国保税の負担増を抑えることはできません。
 国は、国民皆保険制度を維持する責務を十分果たさないまま、2015年に国保運営を都道府県単位に広域化して国保の危機を乗り切ろうとしていますが、抜本的解決にはなりません。
今、アベノミクスによって食料品やガソリンなどの生活必需品の物価が高騰し、市民生活は厳しさを増しています。国保世帯の暮らしを守るためにも、国庫負担の増額を今こそ強く求めるべきです。また、来年度の一般会計からの法定外繰り入れ額を予定の9億円にとどめず増額し、国保税を引き下げるべきだと思いますが、当局の見解をお聞かせ下さい。

 A次に所得の減少による生活困窮世帯を救済するための、本市の現在の国保税申請減免規定の見直しについてです。
国保税減免対象者を、対前年度比5割以上の所得減少に限定せず、大阪市のように所得別の減免基準に見直すとともに、対前年度比3割減も対象とすべきです。また、医療機関窓口の一部負担金の減免基準も緩和して、生活保護世帯の所得水準以下の加入者の一部負担金の減免緩和を行うべきです。それぞれ見解をお聞かせ下さい。

 B次に、制裁措置についてです。資格証の発行は命を危険にさらす制裁です。
人口118万人の政令市広島市は、1年以上の滞納世帯に資格証明書の発行を求める国の圧力に屈しないで、資格証の発行は基本的に行わないという立場を堅持し、資格証の発行は、悪質と明確に確認できた加入者だけの数名にとどめています。本市においても受診が必要になれば3ヶ月の短期証を発行して医療を保証するという対応ではなく、そもそも受診抑制を招きかねない資格証の発行はやめるべきだと考えます。見解をお聞かせ下さい。
  
 ●国民皆保険制度を維持する責任は国にあります。高齢化が進めば医療給費がますます増えて、国保運営がさらに困難となることは当然です。国保加入者はすでに十分な国保税を納めております。
市民の命と健康を守るためにも、国庫負担金の抜本的増額を正面から政府に求めるとともに、一般会計からの繰り入れもさらに増額して国保税を引き下げるよう強く求めておきます。

(4)社会保障制度改革
 
 政府は今、「自己責任」原則を強く打ち出し、社会保障への国の責任をつぎつぎと後退させ、国と地方の社会保障費を大幅に削減しています。そして国民には、「給付は高齢者が中心で負担は現役世代が中心になっている」とか「超高齢化社会が到来するので持続可能な社会保障をつくる」と説明しながら、高齢者だけではなく全世代を対象に社会保障の全面的な制度改悪を進めています。
 しかも「社会保障のために消費税の増税が必要」と政府は説明していますが、社会保障制度の全面的な改悪を進めながら、低所得者ほど負担が重苦なる逆進性の強い消費税増税を強行しようとすることは、許せません。
 憲法25条の生存権保障に値する社会保障給付をすべての国民に保障して、それに必要な財源を消費税ではなく、応能負担の原則に応じて法人税や所得税で確保する方向にいまこそ転換すべきだと思いますが、市長の見解をお聞かせ

 ●高齢化の進展で社会保障費が増大するのは避けられません。 日本共産党は、不要不急の大型開発や軍事費のむだ遣いを改め、富裕層と大企業への優遇税制をただせば、社会保障を再生させる財源は確保できると数字もあげて提案しています。「応能負担」の原則に立った税制改革と、大幅な賃上げや雇用のなど安定など国民の所得を増やす経済改革を進めれば、社会保障をヨーロッパ並みに充実させる道も開けます。  社会保障制度改悪と消費税増税を、社会保障の「持続のため」と言いつくろっても、国民の納得は決して得られません。

2、市営住宅の外部委託の問題点について 

 @次は、市営住宅の外部委託の問題点についてです。低所得の市民に低廉で快適に暮らせる公営住宅を確保する施策は福祉施策です。管理代行制度の導入により県営や市営など公的賃貸住宅の一元管理ができ、サービスの向上、事務処理の迅速化が図られると当局は説明していますが、県住宅供給公社への管理代行は、11人分の職員人件費約7300万円の支出削減が最大の理由であります。
しかし、入居者へのサービス低下が大変懸念されますので、2点の答弁を求めます。

 その一つは、高齢世帯・高齢単身世帯・母子世帯などが多く居住する市営住宅は、福祉的な配慮やさまざまな高齢化に対応する管理が求められています。  
住宅の入退去や家賃の徴収状況などで入居世帯の暮らしの実態を把握できる建築住宅課が、介護や生活保護・子育て支援策など他の福祉や教育部局との連携を強め、総合的な暮らしの支援を行なうべきです。
公社への委託は、住宅管理業務の効率化はできても、入居者の暮らしの安心を確保することはできず、市民サービスの後退につながると思いますが、どのようにお考えでしょうか。

 二つ目は、入居者の募集、決定、明け渡し請求、入居の継承、同居承認、名義変更の事務処理、さらには、苦情対応などは今後とも行政判断が必要になる場合が少なくないと思います。また入居世帯の所得、家族構成、勤務先などのプライバシーに関する個人情報の事務処理も多く、中立性、公平性、個人情報の保護などが求められます。これら迅速的確な事務処理が後退すると思います。それぞれ、見解をお聞かせ下さい。

Aつぎに駐車場管理についてです。

 市は駐車場の管理を、市内の40の管理委員会に委託しています。料金の集金と市への納入、駐車場の抽選や不法駐車の監視や防犯灯の設置、さらには車庫証明書の発行などの業務委託費として、1台あたり月額300円を管理委員会に支払っております。南橘町自治会の駐車場管理委員会には、毎月ほぼ12万円、昨年度は148万円の委託料が支払われています。同自治会は、委託料の一部を自治会の運営費に活用し地域住民の諸活動に役立てています。市議会には、今年の6月26日に南橘町自治会、広瀬一丁目自治会、広瀬第一団地自治会から「委託の継続」を願う陳情書が届いております。
したがって、適切な駐車場の維持管理を行い、これまでお通りの管理の継続を希望している管理委員会については、その要望に答えるべきと考えますが、どのようにお考えなのかお聞かせ下さい。

B答弁をお聞きしても、管理代行では、5千戸余の市営住宅入居者の要望に沿った細やかな配慮やサービスが失われる恐れがあります。老朽化した市営住宅は、給排水設備の漏水や外壁の落下さらには雨漏りなど今後ますます修繕の要望が増えることが予想され、緊急的な修繕対応も求められると思います。
しかも、公営住宅には社会的弱者の入居割合が増えており、プライバシーの保護に配慮をしつつ、快適な住環境の確保とあわせて、福祉的な生活支援なども強めなければなりません。以上の点からも、外部委託方針を撤回して、市が責任を持って直接管理・運営を行うべきだと思います。見解をお聞かせ下さい。

 ●人件費コストの高い直営から、低コストの公社に委託する自治体のスリム化は、市民の住生活を保障する公務労働の専門性を軽視する考え方であります。半世紀以上にわたる市営住宅管理で蓄積した行政サービスの水準を維持し市民サービスの質を落とさないためにも、管理代行を中止するよう強く求めます。

3、土地開発公社の解散について
 
 @ 次に今年度を最後に公社を解散するにあったて、市民の負担をどのように減らそうとされているのかお聞きします。
土地開発公社の今年度末の保有面積は、約22・7fであり、地価下落分を差し引いた時価評価額は約40億円です。
取得価格と支払った利息約5億3千万円と管理費を合計した帳簿価格の総額は約60億円ですから、すでに約20億円の損失を発生させました。
公共用地の先行取得の目的で購入しながら、事業化されないまま結果として大きな市民負担を発生させたことは明らかに失政であります。
解散後は、公社の債務約55億円のうち、8番街区の用地を4億2千万円で市が再取得し、公社の自己資金を2億8千万円金融機関に返済したうえで、第3セク債を約44億円借り入れて金融機関に代位弁済することとなります。今後、第3セク債の元利償還を計画通り行なうためにも、保有地の利活用方針を明確に行ない、売り払い方針をすでに固めているローズタウンや産業振興支援施設用地などについては計画的に売却して、市民の負担をこれ以上増やさないようにするとともに、他の福祉施策に影響が及ばないよう努力を尽くすべきだと思いますが、どのようにお考えかお聞かせ下さい。

●事業化の目途がない土地まで行政財産として買い取れば、結果として引き受けた所管課に不良債権化した土地が移動するだけになりかねません。
たとえば、20年以上前の平成3年に、銀行協会の代替地として公社が13億円で取得した旧協和銀行跡地は、売却等の折衝が進まず、結局平成22年に管財課が9億2千万円で引き取りましたが、今も全く利活用計画の目途もないまま駐車場として賃貸しています。
 当該土地の地価は取得時の1u当たり205万円が16万円まで下落しています。いま管財課が売却しても10億円近くの損売りになってしまいます。
したがって、土地開発公社解散後に引き受ける土地については、利用目的が今後も明確ではない土地については普通財産として早期に売却して、第3セク債や地価の下落による損害額の縮減し、市民負担をこれ以上増やさない努力を尽くすべきです。

●わが党は郊外型の大規模公園整備や新たな公共施設建設については、事業予算はもとよりその後の維持管理経費もかさんでくることから、利用目的の不明確な土地の先行取得を避けるべきと主張してきました。
したがって、公社解散に伴って代物弁済を受けた土地については、特別の体制をとって早期に仕分け作業を行なうべきだと考えています。長年放置されてきたツケを後の世代に引き継ぐべきではありません。指摘しておきます。

A 公共用地の先行取得は、区画整理の減歩率の引き下げや施設建設の補助金獲得の上で必要な場合もありますが、地価が下落している現在は事業計画が具体化しない段階での取得は、逆に総事業費や借金の元利償還金を増額させて、結果として市民負担を重くしかねません。今後、公社解散後の先行取得は一般会計による直接取得のほか、特別会計又は土地開発基金の活用で行なうとのことですが、どのような方針で実施されようとしているか、先行取得の適正化方針をお聞かせ下さい。

●「親方日の丸」という比喩があります。官庁や公営企業は、経営は破綻しても、倒産する心配がないので、厳しさに欠け、経営が安易になりやすいということです。行財政改革というなら民間委託や職員減らしではなく、真っ先に、土地の先行取得の従来の手法を抜本的に見直すべきだと思います。これまでの前工団や土地開発公社の事業を十分検証し総括も行い、公共施設の建設などにあったては、今後よりいっそう厳格に費用対効果を判断して、用地の先行取得を行なうべきであります。強く指摘して質問を終わります。



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