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議会報告

第4回定例会本会議総括質問(消費税の市公共料金への転嫁中止・全市デマンド交通の社会実験)【長谷川薫市議会議員・12月5日】【2013/12/11】

2013年第4回総括質問(長谷川薫)

1、消費税

 @最初に、消費税の増税に係わる問題について質問します。

 自民党・公明党・民主党の3党合意によって、消費税の大増税と社会保障の全分野での給付抑制と負担増が実施されようとしています。
 国民の収入が減り続けている中で、来年4月から消費税の8%・増税額8兆円の増税を強行し、社会保障の負担増を含めて総額10兆円もの負担を国民に押し付ければ、個人消費がますます冷え込み景気が悪化し、国も地方も税収がさらに落ち込むことは必至であります。1997年に消費税を5%に引き上げた時に経験済みであります。
 わが党は、このような累進課税の原則に逆行する庶民への負担増政策は断じて許せないとの立場から、増税実施の中止を強く政府に求めております。
 本市の財政運営についても、消費税の新たな8%増税によって投資的経費や物件費にかかる消費税の増税分が歳出増となりますが、どの程度と見込んでおられるのか、市財政への影響を含めて、まず最初に答弁を求めます。

 A市長はすでに、この支出増を市の手数料や使用料に転嫁するお考えのようでありますが、来年3月の第1回定例市議会で条例改正を準備されていますが、その改定する公共料金の対象と値上げの総額を年間どの程度と見込んでいるのかお聞かせ下さい。

B消費税増税による歳出増の約3000万円の歳入で確保されようとしていますが、これでは国の庶民増税の国の方針をそのまま市民に転嫁するということになり、まさに国追随そのものであります。
しかし、増税されれば地方消費税交付金の増収が見込めるのではないでしょうか。今年度の地方消費税交付金は約34億円です。8%増税になれば現在の地方消費税1%が1.7%に増額されます。本市に来年交付される地方消費税はどの程度見込まれているのかお聞かせ下さい。

 C約15億円程度の増収となる地方消費税交付金をあてれば、来年度は値上げを回避することができるのではないでしょうか。
また、国は公共料金への8%増税の転嫁を自治体にも求めていますが、そもそも消費税法60条第1項では、自治体の一般会計に係わる歳入の消費税課税は免除しています。つまり、一般会計については歳出にかかる消費税負担と、歳入にかかる消費税分を同額と見て、税務署への課税が免除されております。したがって、消費税を転嫁するかどうかは自治体の裁量で決定できるとも言えると思います。転嫁中止の判断をすべきだと思いますが、いかがでしょうか。

 D今、地方消費税交付金の増額もあり、転嫁するかどうかは自治体の裁量と言う法的根拠も示しましたが、市民の暮らしの実態もよく見極める必要があると思います。
 市内の事業所が、長引く不況の下で大変厳しい経営を強いられています。法人の収支が赤字の場合は、法人市民税は均等割りだけの納税となっています。現在、前橋市で14.7%の法人税割課税がなく資本金額と従業員割で課税する均等割りだけ納めている事業所が、市内の課税対象の約9700の事業所中、6750事業所で、67%に及んでいます。当然、そうした赤字事業所に勤務している社員も、非正規化が進み、賃上げも抑制されています。市民の給与所得は10年間減り続け、平均年間70万円も減収となっていることはご承知のとおりであります
 また、生活保護世帯も今年の4月には2865世帯、2718人で、7年前と比べて4割も増えています。市民の貧困化が進んでおります。
 このように、長引く不況による所得の減少と社会保障の制度改定による負担増で、かつてなく厳しくなっている市民の暮らしの実態を直視すべきです。  
消費税が8%になれば、年収500万円の4人家族では年間16万円もの新たな負担増となります。
 ごく一握りの大企業経営者や大株主は、円安による恩恵を受けて濡れ手で粟の巨額の利益を手に入れていますが、圧倒的多くの庶民は、収入が減っているのに、電気代・ガソリン、食料品などの物価が上がり、アベノミクスで市民の暮らしは逆に苦しくなっています。国民の間の貧富の格差はますます拡大しています。
このような景気や暮らしの実態を考えれば、少なくとも市で決められる公共料金である手数料や利用料への消費税の転嫁は中止して、市民の暮らしに寄り添う姿勢を示すべきではないでしょうか。答弁を求めます。

 E市長の答弁に納得できませんが、地方消費税交付金の増収分の使い方について質問します。国も、社会保障のために使えと自治体に求めております。したがって、建設や土木などのインフラ整備ではなく、30人学級の拡充や高すぎる国保税や介護保険料の引き下げなど、教育・福祉・医療の分野に優先的に充当すべきです。どのような予算編成を考えているのか、見解をお聞かせ下さい。

 F具体的な答弁がありませんが、今年度のように、がん検診の無料化などのように、これまでの施策を超えた新たな市単独の福祉や医療の施策を実施しなければ、地方消費税交付金を、福祉に振り向けたとはいえません。
 16億円余の増収分を新規施策のためにどのように使うのか、すぐに具体化の検討を開始すべきと思いますが、市長の見解をお聞かせ下さい。

【提言】国会での採決が行われようとしている『社会保障制度改革プログラム法案』に盛り込まれた国民への負担増・給付減は少なくとも3兆円を超えるものであることが明らかになりました。前期高齢者の医療費の負担が2割になると4000億円、入院給食の自己負担化で5000億円、一定所得者の介護保険利用料の2割で700億円、物価上昇以下に給付抑制する年金削減で2兆5千億円などです。
 政府は、消費税増税分の8兆円のうち、2兆8千億円を社会保障の充実に回すと述べていますが、国民の負担増給付減はそれを超えた3兆円にも及びます。消費税を増税しても社会保障は充実どころか大改悪であります。その上、公共料金まで冗費税増税分を転嫁し、市独自の福祉充実策も具体化しない市政運営では、市民は納得しません。弱いものいじめの庶民増税路線への追随をやめるようを強く指摘し次の質問に移ります。

2、全市デマンド交通について

@るんるんバスの運行改善を求めた住民運動に答えて、市当局が富士見町のデマンド方式の乗り合いバスの本格運行を開始されたことを、多くの富士見町の住民が歓迎しております。同時に、さらに一歩進めて群馬大学病院や日赤病院など区域外への運行を強く願っております。
また、旧市に暮らす多くの市民も、1日も早く全市デマンド交通の運行実現を願っております。
 ところが、今回、来年3月から富士見町の住民を対象に実施する全市デマンド交通の社会実験の内容を見ると、残念ながら期待はずれという印象を多くの住民がいだいております。社会実験は、タクシー利用者に一回一人当たり500円を助成する制度となっております。
 私ども党市議団は、太田市や長野県安曇野市のデマンドバスを詳しく調査したほか、全国のデマンドバスの運行状況を調査しましたが、今回の市当局が具体化した社会実験は、デマンド交通とはとても分類できない運行方式でタクシー助成制度、だと思います。
 今でも、車の運転ができず、家族や知人の送迎支援も受けられない高齢者は、止むを得ず、通院などで費用のかさむタクシーを利用しております。たとえば日常的にタクシーで日赤病院まで通院している高齢者は、「病院窓口で支払う医療費よりも高い、片道3千円・5千円のタクシー代の経済的負担を軽減して欲しい」、「低料金で安心していつでも利用できる公共交通を実現して欲しい」と要望しておられます。

 今回の社会実験の計画は、こうした切実な高齢者・交通弱者の願いには十分答えていない運行形態だからこそ、「期待はずれ」という感想が多くの方から出されているのです。当局は、単独利用で複数年の相乗りを勧めると思いますが、登録される高齢者は通院目的が多いと思います。そうなると、同じ病院でも受診科も受診時間もまちまちで相乗りは相当困難になるのではないでしょうか。

 私は、やはり、たとえば、均一料金若しくは上限を1,000円程度にしたエリア別の距離別料金制とし、委託する事業者には、住民の利用実績に応じて委託費若しくは助成金を支払う社会実験の方式にすべきだと思います。再検討すべきだと思いますが、いかがでしょうか。

 A 市長は、市長選挙で「2百円で利用できる全市フルデマンド方式の乗り合いバスを運行する」と公約されました。この公約を実行するためには、委託するタクシー事業者に、デマンドバスを運行しても大きな収益減少とならないように、十分委託費を予算化することが必要だと思います。
 現在、本市がバス路線維持事業として代替バスの運行委託および赤字路線の運行補助の予算はわずか年間約3億円です。道路建設や公園整備予算と比較しても多くはない、むしろ少ないのではないでしょうか。
 超高齢化社会の到来を目前にした、交通弱者支援にお金を惜しむべきではありません。タクシー助成制度でお茶を濁すのではなく、福祉施策として、まちづくりの施策として、交通弱者を支援する本格的なドアツードアー方式の低料金のデマンド交通を実現するためには、思い切った予算措置を決断すべきです。バス事業者やタクシー事業者と再度、話し合いの場を作り、市長のイニシアチブを発揮すべきだと思いますが。見解を。

【提言】
交通弱者支援策は、明らかに福祉施策です。一見、お金がかかる事業のように思われますが、高齢者がお金の心配をすることなく病院に通い、買物をできるようにすることは、病気の慢性化や重症化を防ぎ、家に閉じこもることなく社会生活を営めることとなり、医療や介護保険財政の負担の増大を防ぐとともに、生活の不安が少なくなり、その分心の余裕と、健全な消費を拡大し、地域経済を活性化させるなどの大きな波及効果が生まれます。
 誰もが老いても病んでも、安心して暮らせる社会をめざし、社会保障の充実とともに、公共交通のいっそうの利便性の向上と生活支援に結びつくよう、関係事業者と知恵を絞る努力を重ねていただくよう指摘・要望して質問を終わります。

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