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議会報告

第4回定例議会本会議議案反対討論(12月9日・長谷川薫議員)【2013/12/11】

2013年第会定例市議会議案反対討論【日本共産党・長谷川薫12月9日】

 私は、日本共産党前橋市議団を代表して今議会に上程された議案第133号・前橋市一般会計補正予算、第139号・前橋市部設置条例について、議案第142号・前橋市工業立地法地域準則条例の改正について、議案第150号・荻窪公園の温水利用健康づくり施設の指定管理者の指定について、ならびに、議案第155号及び第156号・財産の減額貸付についての6件について、反対討論を行ないます。

はじめに、議案133号についてです。

 一般会計補正予算に前橋駅北口のパークアンドライド駐車場の整備基礎調査費として600万円の債務負担行為が設定されていますが、この予算計上に反対であります。

 反対理由は、業者に委託しての調査の必要性や目的が不明確であるからであります。すでに、エキータには民間企業による2時間無料・1日上限600円の本市の北口駐車場より利用料の安い立体駐車場が約330台分整備されておりますし、駅周辺には民間の中小駐車場も数多く設置されています。さらに、平面駐車場で利用しやすいと好評の129台分の市営駐車場が不足している状況はなく、市民の増設要望も聞いておりません。今、前橋駅周辺はエキータの地下フロアーのファームドゥーの撤退などで客離れが起きており、新たなテナントの出店などがない限り、今後とも差し迫った駐車場の不足は考えられません。
 また、前橋駅は市内各地から運行されている路線バスやマイバスなどのターミナル駅でもあり、市営駐車場のさらなる増設は、マイカー利用の促進策となりバス利用者の更なる減少にもつながりかねません。
 また、今議会では、中心街商店街に誘客するためにもケヤキ並木通りに魅力ある商店の出店を誘導すべきと云う議員質問もありましたが、南部拠点地区の大型商業施設の更なる拡張や、けやきウォーク前橋やガーデン前橋のショッピングモール、さらには、新前橋の東芝跡地へのフレッセイの出店などの状況を考えれば、駅周辺に個人事業者が店舗を出店したとしても安定した経営は見込めないことは明らかであります。したがって、補正予算を計上して、市営駐車場の立体化やJR前橋駅の利用者を増やすための基礎調査の緊急性はありません。

 また、少子高齢化に対応する公共交通の充実をめざす調査であれば賛成しますが、説明された今回の調査は目的が全く不明確な上に、コンサルタント業者に委託する調査は必要ありません。白紙撤回して、交通政策課だけではなく、都市計画部や商業観光部、福祉部などとともに前橋市全体のまちづくりの中で、前橋駅周辺の活性化のための施策は何が必要なのか、そのためにどのような調査が必要なのかなどをよく考えるための市職員を中心にした庁内プロジェクトを立ち上げて、検討すべきであります。


次に、議案139号についてです。

 わが党は、今回の部設置条例の改正には反対であります。

 本市の最大の観光資源である赤城山の魅力アップのための施策展開に十分成功していない中で、市内に観光資源が乏しいので、スポーツコミッションを立ち上げて、スポーツ資源の力を地域経済振興や観光振興に最大限活用しようという市長の前向きな思いを理解していないわけではありません。
 しかし、厳しい本市の財政状況や少子高齢化の進展、さらには市民意識の多様化の中で、本市の成長戦略としてスポーツ観光で十分な成果を上げられるとは考えられません。
 たとえ集客力のある各種競技大会を本市に誘致しても、スポーツ選手は宿泊や飲食は行ないますが、多くの場合に観光はせずに帰るのではないでしょうか。またスポーツ観戦者も日帰りが中心で、市内のホテルや旅館への宿泊へのシフトに多くを期待することはできません。元旦の実業団駅伝や赤城ヒルクライム大会においても、選手やスポーツ観戦者が市内を巡り、消費を拡大するような新たな仕組みづくりをしなければ、地域経済振興への波及は期待できないのではないでしょうか。

 今、2020年の東京オリンピックの開催決定によって、首都圏の自治体はいっせいにスポーツ施設整備や交通アクセスの改善に力を入れようとしています。巨大なスポーツ施設と十分な宿泊施設を持ち、Jリーグの本拠地でもある「さいたま市」は、チャンス到来と受け止めて、独自のスポーツのまちづくりをいっそう推進しています。千葉市や横浜市なども同様であります。

 本市のように、スポーツ施設が市内中心部と周辺に散在し、交通アクセスが不便で、スポーツ振興への市民理解の熟度がまだそれほど高くない中での、スポーツと観光産業との協働の取り組みは、大変困難が予想されます。
したがって、観光に係わる行政は、スポーツとの連携を中心とするのではなく、商業観光課がこれまでどおり所管し、農産物の直売や赤城の恵みのいっそうの拡大をになう農政部や今後さらに魅力アップを図らなければならないアーツ前橋などを所管する政策部、スポーツ施設を管理する公園管理事務所などといっそう連携を強めるべきであります。とくに今後の観光振興では、赤城山の自然を大いに生かした、観光資源の発掘と新たな創造が必要です。赤城山を中心とした地域に県やJAとも連携し公的な宿泊施設やレストランなどを整備し、豊かな農業や食を生かした農産物や加工食品を販売し、おいしい食事を提供するなど、市外からの観光客が増える斬新な施策展開を行なうべきです。何よりも安全で新鮮な農畜産物を生かした消費拡大に力を注ぐべきと考えます。水上町のたくみの里の取り組みにも大いに学ぶべきであります。

 また、前橋の戦後復興のシンボルであり戦争遺跡でもある旧麻屋百貨店の取り壊しのような誤りを繰り返さず、古代の古墳群も整備し、臨光閣やレンガ倉などの建造物も含め歴史的な文化遺産をしっかり保存活用すべきであります。美術愛好家のリピーターが増えるよう、アーツ前橋のいっそうの充実策も必要であります。
 スポーツ振興は、従来どおり教育委員会が担い、関係各課と連携し、学校スポーツの振興と競技力の向上、市民や子どもたちの日常的なスポーツ環境の整備と健康増進に結びつく草の根のスポーツ活動の振興、市民体育館の改修、総合運動公園など老朽施設の長寿命化を最大の施策方向とすべきです。

 そして、トップレベルのアスリートのパフォーマンスを直接観戦できる競技大会の誘致については、市民の要望にも十分耳を傾け、県や周辺自治体とも連携し、県有施設なども活用して、市民や市外から訪れるスポーツ観戦者に提供できるように努力することは必要であります。しかし、そのための新たな競技施設の建設整備は、建設費や維持管理費が長期間市財政を圧迫するだけに、拙速に行わず冷静な判断が求められます。

 なお、全国的にはスポーツ・文化に限らず先進的な行政施策を展開して、全国の地方議会議員の行政視察を受け入れて宿泊客を増やしている自治体も広がっています。自然エネルギーの先進的な取り組みをしている葛巻町などです。本市では、たとえば、交通弱者対象の全市フルデマンド方式の交通を実現するなどの取り組みを早期に実現すれば全国のお手本となり、大きな集客効果が生まれるのではないでしょうか。
 
 以上のことから、文化振興・観光振興はこれまでどおり政策部と商業観光部が所管すべきであり、スポーツ行政との組織的な一体化には反対であります。
 
次に、議案第142号についてです。

 条例案では、準工業地域の緑地面積率を現行の20%以上から10%以上へと大幅に緩和するものとなっております。地球温暖化防止という地球的規模の問題に世界中が取り組む中で、県の意向も受けたとはいえ、環境分野での規制を緩和することは、時代の要請に逆行するものであり反対です。

 当局は、この多田山産業団地の緑地面積率等の条例改正で、企業による事業用地の拡大や新たな設備投資など土地の有効活用が図られ、生産効率が高まり、雇用の拡大や、企業立地を促進する条件が広がるなどのメリットを強調しています。

 しかし、工場敷地内における緑地帯は第1に工場内の騒音防止効果、第2に、CO2など温室効果ガスを取り除く効果や炭酸同化作用による大気の清浄化、第3に、火災や爆発などの事故発生時の緩衝地帯の役割、第4に無機質な工業地域における近隣住民へのリラクゼーション効果など、環境保全や防災上の大きな役割を果たしています。
 また日本の環境保全の各種規制は、大気汚染・土壌汚染・水質汚濁といった高度成長期におきた深刻な公害の反省の上にたち、現在の環境基準を作り上げてきました。規制緩和は、この理念は2逆行するものです。
 しかも、この条例の対象となる特定工場は、敷地面積9.000u以上、また建築面積3.000u以上の、一定の規模のある工場、企業が対象であり、企業の社会的責任を果たすことは資金的にも十分可能であると考えます。
 グローバル社会における企業経営は、生産コストを下げるための安い労働力を求めて海外に進出したり、市場を求めて出て行くものであり、工場の緑地面積を減らしたからといって海外進出を抑えられるものではありません。また、工業団地周辺の住民へのアンケート調査も行なわないままの条例改正は問題です。
 県企業局の要請をそのまま受けて、企業の責任を軽減し、環境配慮を欠く規制緩和を行なうのではなく、これまでの基準を維持し、地球に優しい環境を守る立場に立つべきです。平成16年7月29日に環境都市宣言をした本市が、水と緑と詩のまちを標榜しながら、緑地を減らし、環境対策を後退させることを認めることはできません。

議案第150号についてです。

あいのやまの湯の指定管理者にセントラルスポーツを指定することには反対であります。

 日本共産党は、そもそも、「公の施設」に指定管理制度を導入することに、基本的に反対です。公共性、継続性、安定性、専門性が損なわれる可能性が高いからです。さらにこの制度は義務ではなく、「できる規定」であることもご承知の通りです。
 政府、総務省をはじめ、市は、同制度について、営利企業の参入を促し,市場競争の原理を働かせることにより、施設の維持管理経費の削減、住民サービスの向上を同時に達成できるとしていますが、ここに大きな問題があります。
 もともと、公の施設は、地方自治法 244 条で地方自治体が設置する施設のうち、「住民の福祉を増進する目的を持って」設置する施設をいい、住民が施設を利用しやすい条件を十分保障しなければなりません。
 そのため、それぞれの施設の目的に応じて、採算がとれない業務であっても、その機能や役割を果たしてきたし、運営についても、「全体の奉仕者」である「公務員」を中心としてサービスが提供されてきました。
 指定管理者制度には、こうした使命をもつ公の施設を、営利を追求する民間企業が担っていくためには、選定を受けるためにコスト削減を追及するために、人件費削減などに直結し、ひいてはサービスの質の低下や、受益者負担の強化につながるなどの問題点があります。
 従って、指定管理者指定議決の際には、公共施設の目的に照らして、十分な専門性を発揮して、安定的、持続的にサービスが提供できる指定管理者かどうかを個別に判断することが必要だと思います。
 今回は、荻窪公園のあいのやまの湯の管理運営を、5年間にわたり代行させるものです。
 本日の総括質問でも取り上げましたが、これまでの8年間にわたって指定管理者であったの昭和食品は、来年3月いっぱいで管理代行が終了するために、従業員の継続雇用については、セントラルスポーツの判断に委ねられます。
 本年3月に制定した公契約条例5条では、指定管理者も事業者の責務として、社会的な責任を自覚し、業務に従事する者の適正な労働条件を整備しなければならないと規定しております。したがって、多くの市民が利用する公的な温泉施設に従事する従業員が、安定した雇用を維持継続できるかどうかの最終責任を市が持てないのは大問題です。
また、私たちは、あいの山の湯を視察しましたが、玄関ホール入り口に接骨院が開院し、みやげ物店が所狭しと陳列され、廊下にはマッサージ機が並び、食堂の間仕切に使用済み材木が使われているなど、公的な施設水準を下回っているのではないかと云う印象を受けました。従業員の来館者への接遇は大変よかった一方で、残念ながら、利益追求のなかで来館者への安全管理面で不安を感じるとともに、適切な関与や監督を市が行なってきたのか、などの不安を払拭することはできませんでした。
 当然ながら民間営利企業を指定した場合には、その業務の多くを他事業者へ再委託することが考えられ、利潤を確保した中での事業運営は清潔で快適な施設整備やサービスや安全面の配慮の低下につながっていくことが起こり得ます。
 当局の説明では、今回指定したセントラルスポーツが応募に際して提出した提案書が、運営経費の縮減などで審査委員会の中で評価が高かったとのことです。はたして、これまで以上の市民サービスが実現できるのか不安を感じます。
 以上のことから、少なくとも指定管理者の選定に当たっては、より慎重を期し、安定性を重視するためにも社会福祉協議会などの公的な外郭団体にとどめると考えており、当局の提案には賛成できません。
 
最後に、第155号および156号についてです。

 わが党は、本市の太陽光発電事業にかかわるファームドゥーへの市有地の減額貸付けについては承認できません。
 
 その理由は、市内の中小家電販売や電気工事の事業組合などへの貸付を優先するなどの手立てを十分講じないまま、より高い貸付料を提示した市外企業を安易に選定し貸し出そうとしている当局の姿勢に賛成できないからであります。10月施行の中小企業振興条例の理念を生かした事業とすべきなのに、環境部と商業観光部が十分連携していないない反映ではないでしょうか。
 もとより、わが党は、政府が『即時原発ゼロ』の決断を行い、原発の40倍以上の潜在的可能性を持つ、太陽光や風力などの安全自然エネルギーへの転換を進め、あわせて新産業の創出と雇用拡大を生み出すべきと主張しております。
 しかし、今、県内においても電力の固定買取制度による売電収入の確保をめざして、大手企業が広い土地面積でのメガソーラーなどの発電事業に、積極的に進出しており、資本力の弱い中小企業や零細事業者は、事業に参入できない状況が広がっています。
 したがって、市民の共通財産である市有地や公的建物の屋根貸しによる20年間もの太陽光発電事業については、もっと地元中小企業振興策として位置づけるべきであります。募集要項をあらためて、できる限り市内の中小電機や設備関係の事業者や協同組合等の育成支援に結びつくような発注・公募を行い、共同受注できるような事業とすべきです。したがって、ファームドゥーへの土地貸しは承認できません。
 
以上、反対理由を申し述べまして6議案についての反対討論と致します。


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