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議会報告

TPPとコメ減反政策中止について(近藤好枝第4回総括質問12月9日)【2013/12/11】

(1)TPPによる本市農業への影響です
@農業全体への影響
本市の農家数は7652戸のうち、販売農家数は4803戸、65歳以上の農業者人口は全体の64%を占め、高齢化し、農業への支援強化が求められています。
今年、3月にTPP(環太平洋連携協定)に参加した場合の本市の影響について再試算した結果、全国有数の農業生産額387億円(2006年度)から218億円へ56%、麦類13%生乳19%牛肉32%豚肉36%までそれぞれ減少するのです。
さらに、関連産業、地域経済、雇用に大きな影響を及ぼすことは間違いありません。11月9日の前橋農業まつりでJA前橋の大沢組合長は、「農産物の主要5品目も守れなければ、断固反対しTPPから撤退すべき」とあいさつし、本市農業を守る強い決意を示しました。
TPPは本市農業にとって、重大な農業破壊であると考えますが見解をうかがいます。

※本市の農業所得は156万8千円で全国平均の95万円と比べても収入を上げています。農業生産を上げるため一生懸命頑張っているのです。こうした農家に重大な打撃を与えることをしっかり認識すべきです。

A養豚への影響についてです
中心産業である本市の養豚は出荷額90億円、農家戸数84戸であり、震災以降飼料の高騰、価格の低迷などで廃業せざるを得ない農家も少なからず出ています。このような中で、様々な経営努力によって、頑張っているのが現状です。農水省の発表でも1頭当たりのコストは32179円一方収益は30128円で今でも赤字が続いています。豚肉を産地化して市産業の中核としてとんとんのまち、イメージキャラクター「ころとん」を売り出していますが、TPPに参加すれば養豚農家はアメリカなどの国々と太刀打ちできずに激減してしまう可能性があります。養豚は生産農家だけでなく、加工、流通など食品関連産業も幅広いことから雇用に対する影響も大きいと考えます。このままでは、市の中心産業も立ち行かなくなり、とんとんの町づくりもむずかしいと考えますがいかがですか。

※ある養豚農家は「飼料の高騰と価格の低迷で経営を維持するのはたいへん、いつ廃業するか悩んでいる。麦豚を飼育したが飼料のコストがかかって利益が思うように上がらない。TPPになれば廃業するしかない」と言っていました。この声にこたえるべきです。

(2)第2は政府の日本再興戦略に基づく本市農業の見通しについてです
安倍内閣の日本再興戦略は農業・農村の所得倍増計画をめざしています。しかし、これは都道府県ごとの農地中間管理機構の設置、農業委員会の見直し、廃止など限りない農業の規制緩和で、大規模化や企業参入を前提に地域を支える小規模な農家を切り捨てるものではないでしょうか。旧4町村の地域は中山間地が多く、大規模化には限界があり、宮城地区の農家は「小さな集落で住民が協力して、治水や有害鳥獣対に取り組んできた。ここに誰もすまなくなったら、町にまで有害鳥獣が下りてくるようになるだろう」と、里山の環境保全の役割を語っていました。
一方、農業再生の切り札として本市でも第6次産業化や赤城の恵みブランドなど一生懸命努力され、一分野としては大事な施策ですが、全ての農家にあてはまるものではありません。政府の日本再興戦略は農業者の実態、声が反映されていない政策であり、規制緩和などは中止すべきと考えるがいかがか。

※規模拡大で頑張っている農業後継者は「農家は農家、製造業者がしのぎを削っているなか、加工にまで対象を広げても成り立たない。それよりも地域の特性に合った農業を支援してほしい」と言っています。日本の和食がユネスコの無形文化遺産に登録されたと報道され、喜ばしいことです。しかし、和食は日本の大地、地産地消で育まれた、地元の農産物を使ってこそ和食文化です。小規模な農家の生産する多品目の野菜やコメが大事にされてこそ、世界遺産の価値があるのです。

(3)第3はコメ減反政策中止の影響についてです

政府は11月26日、米の生産調整政策(いわゆる減反)を廃止するなど、農業政策の大転換を決定しました。
本市では(2012年度水田耕地面積3810haのうち、)生産調整や農家の高齢化により実際にコメが作られているのは、2,420ha比率では耕作面積の63・5%にとどまっています。
10アール当たり15000円の直接支払交付金は2870戸の農家に約2億6千万円支払われています。この生産調整交付金が来年度から半額になります。農家は「突然の方針転換で納得できない。もうコメは作れない」と言っています。
市内のコメ作りの4割を51戸の集落営農や認定農業者(農業法人)が担っています。宮城地区では「高齢化で耕作できない田んぼに一生懸命コメを作付してきた。うまいコメを作ってきたが、政府がコメの生産に介入しなければ、安定したコメ作りはできない。将来の見通しがたたない」といっていました。
生産調整が廃止されれば、コメの過剰生産で価格が大暴落して、コメ作りを断念する農家が続出するのではないでしょうか。コメ生産は安全な食料の生産・供給を保障するものであり、本市の農業の根幹をなす重大な問題ではないでしょうか。見解を伺います。

(市長にお聞きします)
○飼料米への転作も耕畜との連携や専用施設の仕組みづくりなど課題があります。これならできるという展望もない中、コロコロと政策を変える農政に対する不信と怒りも上がっています。国民の主食である米の需給や価格安定に対する国の責任を将来的には全面放棄するコメの生産調整の廃止はやめるよう政府に明確に求めるべきではありませんか。政府はこうした無謀な農業つぶし政策をやめて、安全安心な食料生産・供給に責任を持ち、コメの所得補償と価格保障を組み合わせた農政に転換すべきと考えるがいかがか。こうした認識に立ち政府に要請すべきではないか。

※食糧主権をしかりと貫くべきです

○ところが市長はわが市議団との懇談の場で、「TPPはむしろ農業より、医療・保険への影響が大きい。農業はTPPを前提に第6次産業を進める。米は9割がダメになるが、川場の「雪ほたか」などのブランド米は残る。養豚も平均的な農家はむずかしいが、麦豚、もち豚などの努力した農家が生き残る」などと前橋の農業に対しての危機感のない認識を示しましたが、この認識は改めるべきではありませんか。
本市の農業は食糧生産とともに、地域経済と集落の維持、環境の維持保全など、多面的な機能を持っている基幹産業であります。この貴重な産業をまもるためにも、農業と地域経済を壊滅的な打撃へと追い込むTPP交渉から撤退を政府に明確に求めるべきではないですか。

※TPPからの撤退を政府にきっぱりと要請し、前橋の農家の声に耳を傾け農業をしっかりと守るべきです。


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