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議会報告

2014年第1回定例会・本会議総括質問 (指定管理者制度の問題点について3月12日・長谷川こ薫議員) 【2014/3/12】

2014年第1回定例会・本会議総括質問メモ(長谷川薫) 24分

指定管理者制度の問題点について質問いたします。

1、中央児童遊園「るなぱあく」の指定管理者であるNPO法人「まやはし」は、料金収入だけではなく、市からの指定管理料を年間2500万円受け取り、安定した管理運営をしてきました。
指定管理者として事業運営を継続する力を十分持ちながら、今年の4月以降の管理に応募しなかったのはどのような理由なのか、当然、当局は把握されていると思いますので、答弁を求めます。

2、市は児童遊園の管理を「まやはし」に丸投げしていたわけではないですね。経営管理状況の報告を提出させて、十分設置者としてチェックされていたのではないでしょうか。応募した1法人が選定できなくなって、急遽、前橋振興公社に1年間だけ管理運営を要請されたのではないでしょうか。
公社は、不足する職員を公社が若干名雇用しただけで、「まやはし」の職員体制はそのまま継続されました。財政も安定し、職員体制も問題がなかった。市民の誰が見てもなぜ応募しない事の方が、不可解に感じるのではないですか。
そこでお聞きしますが、市は、児童遊園の指定管理者の公募に、理事会が手を上げないという結論を出した昨年秋の時点で、なぜ、運営の継続を積極的に働きかけなかったのでしょうか。

3、私も、指定管理者に選定を公平に行なうことは当然だと思います。しかし、少なくともこれまでの5年間、相互の信頼関係に基づいて、問題なく管理運営を続けてきた管理者が応募しないという判断をしたときには、普通は傍観しないのではないでしょうか。NPO法人「まやはし」の定款には、児童遊園等の運営のほかに、まちづくりや市街地活性化を活動や事業に掲げています。市長は中心街の活性化を進めるために民間活力の活用をしばしば重視した発言をされていますが、今後、「まやはし」に市として児童遊園地の受託以上に大きな課題であるまちづくり事業への参画を要請しようと考えているのでしょうか。

4、他の事業展開に向けて活動をひろげると言うのであれば応募しない背景も分かりますが、市は何も把握しようとしていないのは誠に不思議です。
施設の設置者である市と指定管理者は施設の目的に沿った運営を行なうパートナーシップではないでしょうか。
全国では、指定管理者の応募がなくて公的施設を休廃止せざるを得なくなって、市民サービスを後退させるケースが急増しているそうです。今回の事態は、指定管理制度の不安定性を露呈したと言えるのではないでしょうか。
つぎに、ふじみ温泉について質問します。本市と合併前の施設であり、老朽化が進んでいます。今回の大雪で屋根瓦が落下したために露天風呂の利用を中止し、食堂の和室壁面の大型タイルが劣化して剥がれ落ちて飛び散ったために、和室食堂の利用ができなくなっています。ボイラーも温泉の塩分濃度が高いために配管等のさびが急速に進んで、いつ配管が破損して使用不能になってもおかしくない状況です。指定管理者の鞄`次平プロジェクトは、さまざまなイベントを企画し、利用者へのサービスの努力を尽くしていますが、施設全体の老朽化は否めず結果として入館者が増えず、毎年の赤字が累積しています。
同プロジェクトは、来年度末の指定管理期間が満了した後も、ふじみ温泉を継続運営したいと強く希望しています。他の民間日帰り温泉施設との競争にさらされながら、現状でのふじみ温泉の経営努力にも限界があると思います。事業費2億円余の大規模改修工事を、あと1年間の指定管理期間内に実施するとともに、経営赤字を指定管理者のみの責任にせず、利用料収入のうちから一部納入金として年間700万円を市に納入させているが、減額措置で運営支援することが必要なのではないか。見解を。

5、受託後の収入の確保は、ひとえに指定管理者の経営努力に任されてよいのでしょうか。応募時の事業計画書で示した予測が、その後の市民の暮らしの変化や経済状況、さらには周辺地域への類似温泉施設の建設や道路事情の変化などで、計画通りの集客が困難となることはありうるのではないでしょうか。
市としても経営状況をていねいに把握して、適切な経営上の指導助言をすべきです。設置者である市にも不十分な点があったのではないでしょうか。赤字補填と改修工事の時期についても、伝次平プロジェクトと話し合っていただくよう強く求めておきます。
次に、あいのやまの湯について質問します。今年度の公募によって、これまで5年間指定管理者として運営に携わってきた鰹コ和食品が選定から外れて、潟Zントラルスポーツに管理者が変わります。
 これまでの昭和食品は、年間約31万人を越える十分な利用客を確保しながら、収益をより多く確保するために、食堂のイスやテーブルや部屋の間仕切などに古材を使ったり、廊下に多くの有料のイス式のマッサージ機を設置したり、玄関ホールを仕切って接骨院を開設するなど、施設の外観と比べて内部のレイアウトや備品整備などは公的施設としてふさわしい施設運営という点で見ると若干問題があったのではないでしょうか。
 市は新たな指定管理者セントラル・スポーツに対して、利益確保のための収益事業をむやみに拡大するのではなく、健康増進施設としての当初の設置目的にそった運営を仕様書でこれまで以上に求めるべきではないでしょうか。答弁を。

6、委託制度とは異なることから、あいのやまの湯の管理運営については、行政の監視やチェックが十分行き渡っていない面があっつたのではないでしょうか。
設置者である市が、的確に市民ニーズを把握して事業運営を方針を明確にして、その方針を正しく管理者に反映するという本来の市の役割が弱まっているのではないでしょうか。
公の施設で、管理者の利潤や効率最優先の運営が行われれば、住民福祉を増進するという大目的が後景に追いやられるのではないでしょうか。
とくに、あいのやまの湯は、当初は名前の通り、市民の健康増進施設として設置されたはずである。本来なら、単純な温泉娯楽施設ではなく、プールを活用した健康増進や、医師や保健師などの健康チェックや保健指導を行ない、理学療法士や作業療法士を置いてリハビリなどの支援も想定して整備したのではないでしょうか。
 これからのセントラルスポーツとの協定では、施設運営の軌道修正を指定管理者に求めていただくよう求めておきます。
つぎに、粕川元気ランドについて質問します。セントラルスポーツが27年3月まで2年間の管理運営をしていますが、事業計画書でも優先順位をつけて施設の老朽化に対応した一定規模の改修を市に要望しています。ふじみ温泉やあいのやまの湯のように「道の駅」としての新たな施設整備の財政支援が望めません。今後、集客を維持し拡大するためにも、施設の長寿命化のためにも、近い将来、大規模なリフォームも必要となると思いますが、どのように検討しているのでしょうか。見解を。

7、民間の日帰り温泉がデラックスになっていますので、一定期間が経過すればリフォームが欠かせないのではないでしょうか、温泉施設では集客数を減らさず維持するためには大規模なリフォームを行なうことが常識と聞いています。セントラルスポーツの要望を良く聞いていただきたいと思います。
現在、市は、指定管理者による管理運営が適正に行われているかどうかを点検、評価するため、指定管理者に利用者モニタリングや利用実績等を分析、点検をさせ、その点検結果については市へ報告するように求めていいます。市はその点検結果を受けて、業務の実施状況や利用状況のほか、管理の目標に係る達成状況などについて点検し、改善が必要な場合は実地調査を行い、指定管理者に指示をしています。
しかし、あくまでも指定管理者が行なった内部での評価のチェックであり、肝心の利用者である市民の評価や意見は十分反映しにくい状況であります。
そこで中央児童遊園や3温泉施設など共通する公的施設ごとに行政・市民代表・学識経験者・指定管理者が参加する運営協議会を設置したり、施設を利用している市民代表など外部の有識者等による第三者による客観的な評価委員会を設置して、運営状況の評価を行い、改善指導をすることが必要ではないでしょうか。

8、もちろん指定管理者独自の利用者満足度調査も大切ですが、外部からのチェックも重ねておこなう必要があるのではないでしょうか。やはり利用者等へのアンケートを市が独自でとって、市民の満足度を管理者がどこまで追求しているかということも含め、客観的な意見を募る必要があると思います。第3者評価制度もぜひつくるよう求めておきます。
次に、指定管理者制度は民間事業者のノウハウの活用による住民サービス向上と効率的な施設運営を目的に導入されています。しかし公募そのものが運営の効率化を競わせるもので、設置者から管理者には際限なき経費削減に向かわせる力が働きます。
利用料金制の採用により収益部分が事業者の利益となる反面、また限られた指定管理料では健全経営が困難になり、人件費圧縮という形で労働者の処遇の悪化も招きます。賃金低下、労働条件の悪化など官製ワーキングプアを生みだす一因になっています。
指定管理業務に係る従業員の労働条件の確保のため、一般的な労働法令の順守に向けた要請だけではなく、非正規職員の賃金アップや正規職員との均等待遇。さらには 十分な職員体制の確保などを、公募条件に反映すべきでないか。

9、指定管理者制度は、契約期間が満了すれば、その後の運営継続の判断は、受託団体の自由。運営管理を継続したいと応募しても、選定されなければ全く無力です。雇用されていた労働者も、指定管理者が変わるたびに解雇などの雇用問題が発生します。技能や知識の蓄積も行なえず、全く身分も不安定です。
そこで公募による選定替えを行なう場合には、従前の従業員の雇用のうち希望するもの雇用を継続する努力義務を選定条件に明文化すして、実際のはたらき手の雇用の安定や労働条件の確保をはかるべきと考えますが。見解を。

最後に申し述べたいと思います。

●平成22年12月28日付で、総務省が「指定管理者制度の運用について」という通知を出しています。その大臣の通知には、全国の自治体に、
指定管理制度は、単なる価格競争による入札とは異なるものであり、
 「公の施設」の設置目的を効果的に達成するため必要があると認められるときに活用できる制度であると強調し、
従業員の雇用・労働条件への適切な配慮がなされるよう留意することは当然であると強く指摘しています。
●公募の際に本市に提出された多くの事業者からの提案書には、勤務のローテイションは明示されていますが、雇用する労働者の賃金や労働条件は明らかにされていません。
本市の公契約条例もそうした観点から考えると、公契約に従事する労動者の下限報酬額の明記、受託団体が変更となった場合は、新たな受託団体に希望者の雇用継続を要請するなど、制度運用の改善のための条例改正して、指定管理者が運営する施設に従事する従業員の労働条件を改善すべきです。安定運営、専門職育成などの観点からも必要だと思います。
行政が、経費削減にとらわれるばかりに、経済的に苦しむ労働者を生み出すということは、指定管理者制度本来の趣旨に顧みて、本末転倒といわざるを得ません。
市として指定管理者により雇用されている労動者の賃金や労働実態し、その改善のために必要な措置を講ずるよう求めておきます。
このような観点での制度運用の抜本的な見直しを求めて質問を終わります。

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