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議会報告

2014年第1回定例市議会・本会議討論(3月27日・長谷川薫議員)【2014/3/27】

2014年第1回定例市議会・本会議討論【3月27日・日本共産党・長谷川薫】

 私は、日本共産党前橋市議団を代表して、各常任に付託された39議案のうち、15議案に対する反対討論を行います。

最初は、議案第1号「平成26年度前橋市一般会計予算」についてです。

 反対理由の第1は、予算全体が消費税増税を前提としており、スポーツ施設や公民館などの使用料・手数料を一斉に引き上あげ、年間約3千万円の市民負担増を求めているからです。
 市長は、景気回復と好循環が徐々に実現すると楽観視されていますが、賃金は20ヶ月以上連続で減少し、年金も減り続け、中小企業は円安による原材料費の高騰で痛めつけられ、生活必需品の値上げが市民の家計を襲っています。4月からは市県民税の均等割りに東日本大震災に伴う復興特別税が千円加算され、ぐんま緑の県民税が700円賦課されるため、これまでの年間4000円が5700円に増税されます。さらに、各種の支援策は示されましたが、記録的な積雪によって未曾有の被害を受けた多くの農家は、いまだに農業再建の展望が持てない状況が続いております。庶民への増税がひどすぎるという声や景気回復の実感がないなど暮らしの不安の声が相次いでいます。
 予算は政治の顔、政治の鏡です。全国の中核市41市の中でも11市が増税分を転嫁せず、政令市の横浜市も税率アップに伴う光熱費増などのコストを検討した結果、「利用者負担を増やさなくても対応できる」と判断して据え置き、神奈川県内では、33市町村の8割強にあたる27市町村が据え置く決断をしております。
 消費税法第60条第6項の規定では、一般会計で扱う公共料金分は、納税額が発生しないこととなっており、国への納税義務がありません。国の言いなりにならず、住民の福祉と暮らしを守る地方自治体としての役割を発揮すべきです。各施設の維持管理費の消費税増税によるアップ分は予算を増額配分して市が負担し、公共料金への消費税転嫁を撤回すべきです。
 
 第2に、費用対効果を十分検討しないまま、公共事業を継続しようとしていることは問題であります。
 
 前橋総合運動公園の14・6ヘクタールの拡張事業は、前橋市全体のスポーツ施設の整備状況から見ても過大です。近距離にある下増田運動広場や隣接する清掃工場建設予定地を利活用して、拡張計画を大幅に縮小すべきです。同公園内の老朽スポーツ施設のリフレッシュ工事を優先すべきです。また、郊外型の大規模公園の新たな拡張整備事業は見直すべきであり、荻窪公園の整備事業も縮小すべきです。
また、区画整理事業は昨年に続いて施工中の10地区を中心に約67億円を計上しています。新年度も新たな3地区の準備予算が計上されています。しかし、区画整理は、高齢者や低所得者も含めて地域住民全体を巻き込んで、減歩の強制や事業の長期化などでさまざまな苦難を住民に押し付ける事業であり、決して住民本位のまちづくりの手法とはいえません。土地の値段が右肩上がりの時期には保留地を売って事業費の多くをまかなえて有効であった手法も、いまや地価が下がり続けており、事業完了後の評価額も高まらず、時代にあっていないことは明らかです。幹線道路整備を最大の目的とし、多額の税金を投入する区画整理事業は、人口減少、少子高齢化社会を迎える今こそ、新規事業を抑制し、すでに着手している事業も含め抜本的に見直すべきです。
第3に、福祉や教育施策などは、市民の願いに十分答えておらず不十分です。
私たちは、国保会計への9億円の繰り出し、学童保育施設の増設、国基準を超える保育士の配置継続、障害児保育補助事業の増額、5歳児就学前健診モデル事業の拡充、耐震・エコ・子育て住宅改修支援事業予算の増額、防災ラジオの管理運営事業、保育における第2子及び第3子の負担軽減と所得制限の撤廃、さらには、小中学校の特別支援学級への支援員等の配置充実等については評価します。
 しかし、国保については、市としての法定外繰入金をさらに増額して、高すぎる国保税を引き下げるべきです。あと5億円増やせば1世帯1万円の引き下げが可能です。また、介護保険料や利用料の負担軽減のために特別会計への繰り入れを行い、高齢者福祉施策の拡充を図るべきであります。
 
 次に生活保護制度です。
 一昨年から生活保護制度や受給者に対するバッシングが繰り返し行われてきました。国が生活扶助基準を10%引き下げ、保護申請権の制限を目的とした、いわゆる「水際作戦」を法に盛り込む制度改悪を強行しました。いま本市では自立支援対策を強化していますが、申請抑制にならないように十分留意すべきです。
 そもそも今日の生活保護受給世帯の増大は、非正規雇用の拡大、低賃金、会社の倒産、ひとり親家庭の生活苦などで、家計を支え切れない生活困窮者の増大によるものです。国に労働法制の規制緩和の中止を求めるなど、格差と貧困を拡大する政策の中止を求めるべきであります。

 次に学校教育です。教育基本法は、戦前の軍国主義教育の反省に立って、誰が首長になっても、教育の独立性を堅持することをうたっています。
 ところが安倍政権は、教育委員長と教育長を一本化して、首長に任免権をもたせ教育の政治支配を強める教育委員会制度改革をねらっています。山本市長も佐藤教育長も国の動向を見守るだけではなく、「時の権力から支配されない前橋市の教育」を守るためにも現行教育委員会制度の堅持を主張すべきです。
また、子どもたちを競争に追い立て、ふるい分けする差別選別教育や教職員を統制する管理教育を改め、すべての子どもたちへのゆきとどいた教育実現に向けて教育予算を大幅に増額すべきです。1年後の小学校5〜6年生の35人学級のわずかな拡充計画ではなく、小学校1〜2年生にとどまっている30人学級制度を、市長の公約どおり一刻も早く全小中学校に拡げるべきです。教員の多忙化を解消し、「いじめ」や「不登校」問題や「発達障害児」など、すべての子どもたちにゆとりを持って向き合える学校づくりのために、臨時的任用介助員や支援員の増員だけではなく、正規教職員を増やして30人学級制度を一刻も早く実現すべきです。
 また、就学援助制度の拡充のために、所得基準を引き上げ、クラブ活動費なども援助対象に加えるべきです。
 
  次に保育です。政府は保育所不足に対し、認可保育所の増設を抑えながら、市町村が保育実施に責任を負わない「認定こども園」に待機児童を誘導したり、多様な保育施設を認め、新たに准保育士資格を創設したり、保育士免許がなくて「保育」できる制度を拡大する方向を打ち出しています。子どもの保育に格差と不平等をもたらすとともに、死亡事故の多いゼロ歳児から2歳児における規制緩和は子どもの命と安全にもかかわる問題であります。新制度で新たに導入される地域型保育の認可基準が低く設定され、安心安全な保育制度が損なわれることがあってはなりません。また、親の就労によって子どもの保育時間を認定する制度の導入は、これまでの保育の質を低下させかねません。これらの問題点の改善策を国に求めるべきです。

 また、民間保育園の保育士さんの給与の引き上げなど待遇改善施策を拡充して、保育の担い手をしっかり確保していくことを強く求めます。
第4に、昨年5月成立したマイナンバー法に基づく事業化には反対です。このマイナンバー法は国と自治体によって、個人のほとんど全ての情報が容易に照合、集積され、プライバシー侵害が常態化する恐れがあります。秘密保護法による国の恣意的な利用の恐れも排除できません。また具体的な費用対効果が示されておらず、5億円以上もの予算を計上する番号制度導入関係の事業費を認めることができません。

 第5に、市税や国保税など税金滞納者への行き過ぎた滞納整理が改善されていません。今日の雇用や経済情勢の下では、納めたくても生活困窮のために納期までに納められない税滞納者が増えることは避けられません。
本市では、生活保護受給者に滞納している税の自主納付を事実上強制したり、憲法25条が保障する生存権を脅かす差押さえが行われています。市民の命綱であるわずかな年金や生活費だけの預金や給与、自営業者の売掛金を押さえれば、くらしや営業をいっそう困難にしてしまいます。払うに払えない生活実態をどう改善するのか考え支援することこそ行政の責任です。本来は最終手段である差押さえを濫用せず、滞納者のくらしの実態を十分把握し、納税を猶予して分納による自主納付を促すとともに、換価の猶予や滞納処分の執行停止などの納税緩和措置を適切に運用すべきです。

 第6に、まちづくりと産業振興策・中心市街地活性化施策がバラバラで整合性がありません。
中心市街地の活性化に向けての店舗や事務所の開店開業支援策が拡充され予算化されました。しかし、一方では大型商業施設や事務所などを郊外の地域拠点に誘致する都市計画が同時に推進されています。
 人口減少・少子高齢化社会の下では、インフラ整備費用の抑制のためにもコンパクトシティーの発想によるまちづくりが重要と判断し、多くの自治体が都市計画を見直しております。本市においても、従来のように中心市街地と地域拠点を道路と公共交通で結ぶという発想のまちづくりは、抜本的に見直すべきです。 また、中心街の活性化も期待通り進まず、市内全域で買物弱者が急増している中で、すでにオーバーフロアー状態となっている大型店出店を誘導するまちづくりはやめるべきです。
また、富士見町住民を対象に全市デマンド交通の社会実験が開始され、新年度も新たな社会実験が予定されています。タクシーや路線バスや軌道交通などとの共存共栄が事業の前提ではありますが、高齢者を中心とする交通弱者の生活や通院の足を守るためには、利用料を低廉にして、委託事業者に十分な委託費を支払うことが必要です。現在、路線バス運行の委託費は年間約3億円で他の公共事業予算と比較しても大変少ない事業予算であります。高齢者が地域社会で元気に過ごせれば、医療費や介護給付費の支出が抑制される効果も大いに期待できます。全市デマンドバス事業の実現に対する市民の強い期待に答えるためにも思い切った事業予算を計上し、早期実現を図るべきであります。
農業においては、大雪被害農家の再建支援に全力を上げるべきです。国や県の十分な支援策を求めるとともに、市独自の支援策の拡充を求めます。また、予算には、政府が決定した生産調整廃止や米の直接支払い交付金廃止、農地中間管理機構創設による大規模経営への農地集積化などの農政改革方針にそった水田営農事業や家畜飼料清算対策事業が新規施策として計上されています。しかし、国民の主食である米の需給や価格安定に対する国の責任を全面放棄する施策への無批判な追随は本市の農業振興施策には結びつきません。
 本市の農業振興のためにも、一つに、市として、農業に壊滅的打撃を与え、食の安全、医療、雇用などのルールを壊すTPP交渉撤退の意思を明確に国に表明すべきです。二つに、生産費を償う価格保障と所得補償を組み合わせた経営所得安定対策を確立すること、三つに、家族経営、集落営農、大規模経営など多様な担い手の確保に取り組むことです。四つに、工業団地や公園などの公共用地としての安易な転用を推進すべきではありません。
さらに、新年度に策定する産業ビジョンでは、工業団地を造成する企業誘致頼みから脱却し、市内に現にある力を育て、伸ばし、それによって雇用と消費を増やす内発型・循環型の地域産業振興策・雇用対策への転換を強く打ち出すべきです。
第7に、環境・エネルギー施策についてです。
土壌汚染された前工跡地への民間事業者への公募に応募した事業者が不採用になりました。市が土壌浄化を年次計画で具体化して、再公募すべきです。
また、東電福島原発の事故は、原発は過酷事故を起こせば制御できなくなり、人類が原発とは共存できないことを明らかにしました。 市長は、原発の再稼動をめざす政府の方針に追随せず、原発ゼロの政治決断を国に明確に求めるとともに、本市からわずか100キロしか離れていない東電柏崎刈羽原発の再稼働に反対する意思を国や東電にただちに明確に示すべきです。 
また、国の再生可能エネルギー導入予算が貧困な中でも、「エネルギーを100%自給」している自治体は、岩手県葛巻町など全国で50市町村にも達しています。本市においても地産地消の立場に立った市民参加型の太陽光発電などの再生可能エネルギー本格的推進を求めます。
 赤城山麓には豊富な森林資源が残され、家畜排泄物や稲わら、木くずや廃材などを利活用できるバイオマス資源など多くの地域資源があり、エネルギーの自立は本市でも可能です。産業振興、雇用確保、地域活性化のためにもいっそう推進すべきです。そして、自然エネルギーを「地域資源」として位置付ける「エネルギー基本条例」を制定すべきです。
 また、自然エネルギー施設設置の初期投資の一部は市が補助しつつ、地元金融機関と連携して、市民から資金を調達する枠組みを作るなどすれば、資金面でも、より気軽に市民が発電事業に参加しやすくなると同時に、売電利益を直接市民に還元することもできます。

 第8に、平和事業予算24万円はあまりにも少なすぎます。今、安倍政権は、米軍と自衛隊の一体化を推進し、国防軍創設、集団的自衛権行使、憲法改正を狙っています。戦後の平和主義を変質させる動きが目前でおこっている今こそ、市民の安全を守るべき市長は「集団的自衛権の行使は認めない」との自らの意思をはっきり示すべきです。
 また、このような危険な情勢が強まっているだけに、仮称・平和資料館の開設や広島や長崎や沖縄への訪問事業などの平和学習事業などを行い、二度と過ちを繰り返さないためにも戦争を知らない世代に戦争の悲惨さを正しく伝える平和啓発事業を強めるべきです。

 第9に、職員削減を中心目的にした、行財政改革方針・職員定員管理方針に賛成できません。
 市営住宅の管理業務を県住宅供給公社への管理代行は、市民サービスの後退をもたらします。市行政が職員全体の25%を非正規の嘱託職員や臨時職員で支えられています。官製ワーキングプアーを増やすべきではありません。また、民間のノウハウを活用して市民サービスの向上と経費削減を実現できると導入した指定管理者制度も不安定性が露呈しています。中央児童遊園・るなぱあくの指定管理者が選定できずに急遽1年間だけの指定管理を前橋振興公社に依頼しました。指定管理者に応募する事業者は、選定されるために経費削減競争を強めます。結果として人件費の削減が進み、公的施設での市民サービスの質量も低下し、利用者の安全安心が脅かせられます。民間委託や指定管理者制度の拡大はやめるべきです。
また、2月の73センチの記録的な積雪は、市内にも大きな被害をもたらしました。同時に、今回の大雪被害は、本市の防災・危機管理体制の脆弱さを浮き彫りにしました。早期に対策本部を設置した他自治体の対応に謙虚に学ばなければなりません。今回の大雪被害対応の総括を踏まえ、宿直体制の弱体化や職員削減が市の防災力を弱めていることを総括し、職員削減方針は大本から改め、いつ起きるか分からない災害に備えて必要な人員を確保し、本市の災害対応能力を抜本的に引き上げること求めます。

次は、議案第2号「国民健康保険特別会計」についてです。
本市の国民健康保険は5万4千世帯、9万6千人が加入し、市民の医療を受ける権利を保障する「命の支え」でありますが、加入者の多くは非課税所得帯であり、低所得の方が大多数であります。
 新年度の予算案では、高すぎる国保税の引き下げは行われず、最高限度額の引き上げとなっています。国保税滞納世帯が増え毎年約20%の世帯が滞納せざるを得ない市民の厳しい生活実態から見れば、一般会計からの繰り入れを増額して国保税を引下げるべきです。また、本市は滞納世帯に対して、短期保険証を1775世帯、資格証明書1051世帯に発行し、差し押さえも急増しています。制裁措置である正規保険証の取り上げをやめ、国保税の減免制度の拡充や一部負担金減免制度の改善を強く求めます。
 また、国保運営の県単位の広域化が進められています。反対を国や県に表明するとともに、国保財政への国庫支出金の大幅増額を国に求めるべきです。
次に、議案第3号「後期高齢者医療特別会計」についてです。
後期高齢者医療制度は、国民を年齢で区切り、高齢者を別枠の医療保険に強制的に囲い込んで負担増と差別医療を押し付ける悪法です。すみやかに制度を撤廃し、元の老人保健制度に戻すことを強く求めます。

次に、議案第4号「競輪特別会計予算」についてです。
わが党は、そもそも市財政をギャンブル収入に依存すること自体に反対であります。グリーンドームを改修して、競輪だけではなく市民のために利活用することは同意できますが、そのために小屋原町に民間の場外車券売場の開設を促進したことを認めることはできません。とくに、ガーデン前橋に隣接するみずき野住宅団地の多くの住民が青少年の健全育成に逆行すると反対し署名を市長に提出したにもかかわらず、関係自治会長のみの合意で地元合意は得られたと即断し、民間事業者鰍mFCの経済産業省への開設許可申請を認めたことは、住民の声を無視した強権的な行政市政であり、市政への不信を招いたことは問題であります。
 今後、市としてまもなく車券販売が開始されるサテライト前橋の事業運営が、周辺の生活環境を悪化させたり、ギャンブル依存症による市民の生活破綻などが助長されることのないよう、十分監視すべきです。

次に、議案第6号「介護保険特別会計予算」についてです。
 介護保険料や利用料の市独自の軽減制度の拡充が行われていません。このために、介護認定された高齢者も、必要な介護サービスを抑制して6割程度の利用にとどまっています。老老介護や認認介護という過酷な暮らしを余儀なくされている高齢者世帯も増え続けています。また。特別養護老人ホームの市内の待機者1500人の解消に向けての増設の努力が足りません。このような中で、政府は、第6期介護事業計画が始まる来年の4月から要支援者の訪問・通所介護を保険サービスから切り離し、特別養護老人ホームの入所対象者を原則要介護3以上に限定し、所得が年間280万円を超える人の利用料を2割に引き上げようとしています。多くの高齢者世帯が早期発見、早期対応が後退し、利用抑制による重度化の進行、負担増、給付抑制による生活不安が拡大することを心配されています。実行されるなら、いっそうの介護難民を生み出します。
 介護事業者からも介護職員処遇改善交付金の廃止、通所介護の時間区分や報酬見直しの結果「財政状況が一層厳しくなっている」「生活支援の時間削減でコミュニケーションがとれず利用者の方との信頼関係が悪化した」「低賃金が改善されず退職が増えている」という意見が強く出されています。介護現場では、国が定めた人員配置基準が低いために、過酷な労働となり、加えて低賃金構造のもとで離職者が増えるなど現場の人員不足が進んでいます。
 利用者の重度化が進んでいる今、人員配置基準を実態に合わせて改善するとともに処遇の改善を国に求めるべきです。
 国が責任を持つべき社会保障については、ナショナルミニマムや標準を定めるとともに、自治体が独自に上乗せできる財源保障を求めるべきです。そして 「高齢者の尊厳の保持」、「利用者本位」という介護保険制度の理念に反する制度改悪は中止を強く求めるべきであります。
議案第9号 「用地先行取得事業特別会計予算」、議案10号 「産業立地推進事業特別会計予算」及び議案31号「前橋市企業誘致条例の改正について」です。

  議案9号は、土地開発公社解散後に市が公共用地の先行取得をするための特別会計であります。計上された55億円の用地先行取得費は全額市債発行によって歳入を確保しますが、その目的は前橋総合運動公園の東側の拡張用地の一部6,7fの先行取得です。この拡張計画は先に述べた理由から認定できません。
  また、議案第10号は、前工団組合の解散を受けて、資産や負債等を継承するための特別会計であります。多額の投資をして大企業誘致する大型開発が破綻した前工団事業を教訓とすべきです。本会計に計上された産業立地推進費の約3千万円は、五代南部工業団地拡張のための実施設計予算です。上武国道が平成28年に全線開通するとはいえ、誘致した三益半導体の工場建設も凍結されたままの中で、五代工業団地の新たな拡張が適切なのかどうかを十分判断したとはいえません。企業誘致に巨額をつぎ込む従来型の経済政策を、住宅リフォーム補助制度や公契約条例、農林水産業の振興などにより、地域での経済循環を活発にし、雇用を拡大し、本市の経済を自らの持てる力で活性化させていく方向に大きく転換することが求められている中での拙速な拡張事業には賛成できません。

 議案第31号は、誘致企業への用地取得助成金の交付対象土地の拡大です。この条例案は「お金を出して企業に立地してもらう」という発想が根底に流れています。 財団法人日本機械工業連合会が2007年に行った調査では、「企業立地に際しての補助金の大型化が進んでいるが、補助金の大型化が即座に誘致企業の増加に結びつくことはない。企業側は関連産業群の育成、人材育成、インフラ整備など操業後のメリットを詳細に検討した上で立地地域を選定している」という結論を出しています。企業は、立地補助金や税よりも、企業目線での行政サービスを求めています。
まず本市が行なうべきことは、助成金ではなく、戦略的な産業政策をたて、下請け企業の育成などで企業の進出意欲を高めるべきです。そうしてこそ、誘致企業と地元企業との共存共栄が図られ、市内全体の産業振興の土台ができていくのではないでしょうか。
 とくに助成金が、市内の中小企業だけではなく資力を持つ大企業に助成されていることは、問題であります。助成金制度を廃止し、消費税を価格に転嫁できず、営業難に苦しむ中小企業向けの新たな融資制度や、住宅リフォーム助成制度のいっそうの拡充など、地域の仕事おこしの資金などに振り向けるべきです。企業誘致条例は誘致効果が薄く、税のばらまきであるといえるもので、本条例そのものの廃止を求めます。

 第11号議案「水道事業会計予算」および議案第12号「下水道事業会計予算」についてです。

 消費税率の8%への引き上げを前提にした企業会計予算を認めることができません。水道料金の新たな市民負担は1億3600万円、下水道料金は7800万円です。全市民が利用する水道料金に広く負担を押し付けることに市長は心が痛まないのでしょうか。市民の暮らしの実態を直視して、上・下水道料金そのものを約2億円引き下げて、市民負担を回避すべきです。
わが党は、自治体の業務に関わるものや公営企業の事業などについては、消費税の適用除外にすべきことを求めてきました。フランス等では公営企業は除外されていますが、改めて国に求めるべきです。市民のくらしへの影響も配慮せず、消費税を適正に転嫁すべきという、国の強力な指導に追随する姿勢にはとうてい納得できません。
また、水道の浄水施設や水源井戸等の保守管理を民間営利企業に外部委託していることを認めることはできません。水道管理技術を伝承し、安全な水を安定給水するためにも、直営に戻すべきです。

 次に、議案第24号「消費税率の引き上げに伴う関係条例の整備に関する条例について」、議案第34号「道路占用料徴収条例の改正について」、議案第35号「公園条例の改正について」および議案第39号「手数料条例の改正について」です。 
この4議案は、いずれも4月からの消費税増税に伴い、市が徴収する各種使用料、手数料をいっせいに引き上げるものです。すでに述べた理由から賛成できません。

最後に、第36号議案「前橋市立学校の授業料等に関する改正について」です。
  本条例は、高校授業料の無償化制度を見直し、2014年度から所得制限を導入し、授業料の納付を定めるものです。
 OECD(経済協力開発機構)34カ国で公立高校授業料を徴収しているのは3カ国だけであり、教育費無償化は世界の流れです。 授業料有償化は、社会全体で学びを支えるという教育無償化の理念に反するものであり、反対であります。
以上申し上げて15議案にたいする反対討論といたします。

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