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議会報告

第2回定例会・日本共産党市議団提出意見書案(6月5日)【2014/6/5】

「医療・介護総合法案」を撤回し、現行制度の充実を求める意見書(案)  (取り下げ)

日本共産党前橋市議団

 安倍内閣が提出した「医療・介護総合法案」を自民・公明与党は、十分な審議もせず全野党が反対する中、衆議院で可決し参議院に送った。
 この法案は、社会保障制度の一環として、地域における医療及び介護の総合的な確保を推進することを趣旨としているが、その内容は、医療でも介護でも国が手を引く方向が鮮明になっている。
介護分野では、特別養護老人ホームの入所条件を要介護3以上の者に引き上げることや、一定以上の所得者の自己負担割合を2割に引き上げるほか、要支援者に対する訪問介護・通所介護を市町村事業に移行することなどの内容になっている。13自治体が参加した厚生労働省の介護予防モデル事業では、介護度が低く判定され必要な介護サービスが奪われるなど、明らかにサービスの後退が起きている。
厚労省は「生活上の支障を改善し、本人の同意を得てサービスの終結となるので問題ない」と説明しているが、要支援1・2の高齢者の訪問介護や通所介護を国の責任で行う介護保険サービスから外し、自治体がボランティアなどに頼ってそれぞれ行う「事業」に丸投げすることも浮き彫りになっている。
要介護認定で「要支援」と認定された方は、必要な介護サービスを利用することで要介護にならず生活していられるが、要支援者を介護保険から無理やり外せば、かえって介護の重度化が進むことは火を見るより明らかである。
医療分野では、急性期病床の削減、従来医師がやってきた医療行為を看護師にゆだねる制度、外国人医師による診療の緩和など、医療の質の低下が懸念される。   
さらに、地域医療ビジョン策定の際の都道府県の権限・役割の強化が図られ、知事の病床の削減や増床の中止勧告、従わない場合の補助金の不交付などの内容も盛り込まれるなど、医療が給付の側面から抑制される可能性がある。
このように「医療・介護総合法案」は、介護分野では、介護保険の受給権を大本から壊し、国の責任を投げ捨てるものであり、医療においても質の低下と給付の抑制は明らかである。
 よって、国は、医療・介護の後退を招く「医療・介護総合法案」を撤回し、現行制度の充実を図ることを強く求めるものである。
 以上、地方自治法第99条の規定により、意見書を提出する。




集団的自衛権行使を容認する解釈改憲を行わないことを求める意見書(案)
                                                日本共産党前橋市議団

安倍首相は5月15日、「安全保障の法的基盤の再構築に関する懇話会(座長・柳井俊二元駐米大使)が海外での武力行使を認める報告書を提出したことを受け、歴代政権が禁じてきた集団的自衛権行使を認める憲法解釈の変更を検討する考えを表明した。
国会質疑や与党協議の中で大きな焦点になっているのが、自衛隊による米軍などへの輸送、補給、医療といった兵たん活動(後方支援)を「戦闘地域」で行う問題である。
政府は6月3日、海外での武力行使の歯止めとしてきた「非戦闘地域」や「後方支援」という枠組みを廃止し、戦闘地域での後方支援を可能にする新基準を「安全保障法制整備に関する与党協議」でついに提示した。まさに自衛隊の戦地への派兵を公然と行おうとするもので、これを許せば、米国の戦争のため、日本の若者が戦地に送られ血を流す事態も想定されることになる。
政府はこれまで、憲法9条の下で許される自衛隊の武力行使は「日本が外部から武力攻撃を受けた場合における必要最小限の実力の行使」だけであり、それ以外の武力行使は「いわゆる侵略戦争に限らず国際関係において武力を用いることを広く禁じる」としてきた。
安倍首相は集団的自衛権の行使は「必要最小限度」に限定するとしているが、憲法上の歯止めを外せば、時の政権の判断によって海外での武力行使は際限なく拡大できるようになることは明らかである。
そもそも国の最高法規である憲法を時の内閣の解釈で変更することは断じて認められないことであり、立憲主義の否定に他ならない。このことは政府与党内からも疑問や懸念の声が上がり、各種世論調査でも反対が過半数を超えるなど、国民の間からも、不安や批判の声が急速に広がっている。
よって、国においては、海外で戦争できる国へと道を開く、集団的自衛権行使を容認する憲法解釈の見直しは行わないよう強く求めるものである。

以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。





教育委員会制度改革の中止を求める意見書(案)(取り下げ)

日本共産党前橋市議団

 安倍政権が進めようとしている教育委員会制度「改革」案は、首長が主宰し、教育委員らも参加する「総合教育会議」を全自治体に設置し、教育政策の大本となる「大綱」を策定する。教育委員長と教育長(事務執行責任者)を統合した新しい「教育長」を設け、首長が任命し、任期は3年とするなどより首長の意向が反映しやすいものとなっている。
 しかし、現行教育委員会制度は戦前の教育が軍国主義教育を強め戦争への道を突き進む原動力になったとの反省に立って創設されたものである。戦後の地方教育行政は学問の自由や教育を受ける権利など基本的人権の保障、地方自治の原則などに則り、国や行政権力から独立し、国民に直接責任を負って行われるものへと変革された。
 いま、安倍政権は、改憲・集団的自衛権行使の容認の動きにみられるように「戦争できる国づくり」「世界で一番企業が活動しやすい国づくり」を進めようとしている。教育をそのための道具にしようとするもので、国のために進んで協力する子どもをつくり、教育を大企業に直接役立つものに変えようとする狙いが込められていることは明らかである。
 今回の教育委員会制度改革の中心である、首長が定める自治体の教育方針の「大綱」は「侵略戦争美化の愛国心教育を推進する」「異常な競争主義教育を推進する」「学校統廃合を進める」などどんな内容でも盛り込むことができるものである。そもそもこの改革は、地方行政、地方教育行政の現場が求めたものではない。
 今、国民と教育現場が求めているのは、子ども、保護者、住民、教職員の声を受け止め、それを教育行政に反映させる機能を果たすような教育委員会制度の民主的改革を図ることである。また、多忙化解消など教育の専門家としての教師の働く環境の整備であり、教育負担の軽減など子どもの貧困の解消であり、そのためにGDP比で先進国最低の教育予算の抜本的な拡充である。
 よって、国においては教育委員会制度改革の中止をするよう強く求めるものである。

以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。
 



最低賃金の改善と中小企業支援策の拡充を求める意見書(案)

日本共産党前橋市議団

いま日本の労働者の3人に1人は非正規雇用で、年収200万円以下のワーキング・プアーである。しかも、平均賃金は2000年に比べて10%も減少している。賃金水準の低下は、個人消費の低迷と生産の縮小を招き、雇用と中小企業の経営を脅かすとともに、結婚ができず子どもを産み育てられない青年を増加させるなど、少子高齢化社会をいっそう深刻化させるなど、社会基盤を揺るがしている。
こうした中、賃金の最低水準を規定する最低賃金が注目されているが、現在の地域別最低賃金は、東京都で869円、群馬県では707円、最も低い地方では664円に過ぎない。フルタイムで働いても税込で年収120万円から160万円であり、これではまともな暮らしは望めない。また、地域間格差も大きく、群馬県と東京都では時間額で162円も格差があるために、青年労働者の県外流出を促している。
2010年には「できる限り早期に全国で最低賃金800円を確保し、景気状況に配慮しつつ、2020年までに全国平均で1000円を目指す」という政労使の「雇用戦略対話合意」が成立している。
いま、他の先進国の多くが、グローバル競争の中にあっても、最低賃金を1000円以上にして、労働者の生活の安定と消費購買力を確保し、中小企業の経営を支え、地域経済を成り立たせている。
今こそ、中小企業の経営支援策を拡充しながら、最低賃金の地域間格差を解消しつつ、大幅に引き上げる必要がある。
よって、国は下記事項について早期に実現するよう強く求めるものである。



1、群馬地方最低賃金を生計費原則にもとづいて大幅に引き上げる。
2、全国一律最低賃金制度を確立し、地域間格差を縮小させる。
3、最低賃金を引き上げるための中小企業負担を軽減する直接支援など、中小企業への支援策を拡充する。
4、中小企業に対する下請代金の一方的引き下げや支払い遅延等をなくすための施策を強化する。

以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。




大雪被害支援策の追加・充実を求める意見書(案)
                      日本共産党前橋市議団 

今年2月の記録的な大雪により全国各地でとりわけ関東甲信地方で農業用パイプハウスなどの農業用施設をはじめ果樹、野菜、畜産などの農畜産物に甚大な被害をもたらした。
 政府はこうした被害農業者再建のための従来を超える支援策を講じ、「経営体育成支援事業」などを活用して再建しているところである。
 前橋市においても4月11日現在、園芸関係1471か所・面積100.43ha、畜産関係538棟・面積15.60haの被害を受け、再建の申請希望農業者は1090軒で被害農家の76%となっている。しかし、農業者の高齢化が深刻な中、再建する意思を持ちながら国の補償費の支払いが開始されていないことや支援事業の対象とならないために、再建をためらう農業者が出ていることは大変憂慮する事態である。
特に、早期再建を目指し被災施設をすでに撤去・再建した農業者に対し、国が認定する撤去・再建支援条件を群馬県解体工事業協会の登録業者及び建設許可業者に限定しているために、自己撤去及び再建扱いとなり多額の負担になる農業者が少なくない。さらに、再建を急ぐ農業者でも専門業者や資材が足りないため再建のめどが立たないなど現場と支援事業との矛盾が起きている。
また、農業用「トンネル」ハウス栽培用の資材が「消耗品」として対象外となっているため、ゴボウ・にらなどの栽培農家では、ポール代だけで多額の負担になるために再建できない農業者もある。さらに、農業用機械などの損害補償を求める声も切実である。

 よって、国においては国の食糧生産の基盤を支える根幹としての役割を果たしている農業者の国の支援策を実効あるものにするため、現場の実態に即した制度の柔軟な適用と支援対象の拡大など大雪被害支援策の追加・充実を強く求めるものである。

以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。




東京電力福島第一原子力発電所の廃炉作業を国の責任で進めることを求める意見書(案)

日本共産党前橋市議団

原発4基が一度に炉心溶融事故を起こした東京電力福島第一原子力発電所の廃炉作業が行われているが、毎日400トン以上も大量に発生している高濃度汚染水処理に全力を上げている状況である。
また、建屋内の原子炉に近い配管付近は、被ばくすれば全員が死亡する毎時10シーベルトの放射線が測定されるなど、廃炉作業が大変困難な状況であることが明らかになっている。
いま福島第一原発では、約800社の企業が廃炉および除染作業を請け負い、毎日約3000人の現場労働者が働いている。労働者の被ばく線量は、年間50ミリシーベルト以下、5年間で100ミリシーベルト以下の基準の厳守が求められているが、被ばく線量が正確に管理されていなかったり、下請け労働者に雇用条件に応じた賃金が支払われていないなど、労働者の作業環境の改善や労働災害対策が大変不十分な状況が続いている。
このため、現場で作業している労働者は、被ばくと病気におびえながら廃炉や除染作業に就いていることから、今後半世紀もの長期間続くと予想される廃炉作業に必要な労働者を十分確保できなくなる恐れも出てきている。
さらに、今後、水素爆発した4基の原子炉の炉心下部で溶融している最も危険な核燃料の取り出しは、人が近づくこともできず、世界でも経験をしたことのない高度かつ困難な作業技術が求められ、途方もない時間や経費を要すると見込まれている。
よって、東京電力が行う福島第一原発の原子炉の廃炉と除染作業を、国が十分な責任を持って監理監督して進めるよう、下記の事項を強く求めるものである。

1、高濃度の放射線にさらされ廃炉および除染作業をしている労働者の雇用条件や労働環境を国の責任で監視し、労働者の健康と雇用を守るとともに、必要な現場労働者を確保する。
2、廃炉にかかわる新たな技術・手法を国の責任で開発するとともに、必要な費用も国が負担する。
3、廃炉や除染作業が安全かつ迅速に進行するよう、国の責任で確実に監理・監督し、進行状況の詳細を国民に説明する。

以上、地方自治法第99条の規定により、意見書を提出する。




日本政府に核兵器全面禁止のための決断と行動を求める意見書(案)
                         日本共産党前橋市議団
 

2010年5月の核不拡散条約(NPT)再検討会議は「核兵器のない世界の平和と安全を達成する」ことに合意し、「全ての国家は核兵器のない世界を達成し維持するために必要な枠組みを築く特別な努力をする必要がある」と強調した。次回2015年のNPT再検討会議を前に、今、世界の全ての国の政府と市民社会には、この目標を実現するために協力し、行動することが強く求められている。
 しかし、それから4年になる今も、「核兵器のない世界」を達成する道筋は、なお見えていない。米ロ間の合意を含め、一定数の核兵器が削減されたとはいえ、世界には、なお1万 9,000発の核兵器が貯蔵、配備され、他方では朝鮮半島をめぐる現在の緊張に見られるように、新たな核開発の動きが続いている。意図的であれ偶発的なものであれ核兵器が使われる危険は現実に存在している。
 この状態を打開し核兵器をなくすためには、国際社会が一致して核兵器を全面的に禁止する以外に方法はない。国際司法裁判所も断じたように、核兵器の使用は「国際人道法の原則と規則」に反するものである。世界で唯一の被爆国日本には、核兵器の非人道性を訴え、全面禁止を主張する道義的責任がある。
 今、核兵器を持つわずかな数の国が決断すれば、核兵器禁止条約の交渉を開始できる条件が生まれている。この決断と行動をおくらせることは、第2、第3のヒロシマ、ナガサキにつながりかねない。
 さらに,北朝鮮の核開発をめぐって軍事的緊張が高まっている中で、国際紛争の解決手段としての武力行使と威嚇を憲法で放棄した日本が核兵器全面禁止のために行動することは、朝鮮半島の非核化、日本と東アジアの平和と安全を促進する上でも極めて重要である。
 これらのことから、2015年NPT再検討会議に向かって、核兵器のない世界への行動が直ちに開始されるよう、核軍縮・廃絶と安全保障にかかわる諸機関で、日本政府が核兵器の全面禁止を望む多くの国々と協力し、核兵器全面禁止条約の実現のための行動を提起するよう強く要望する。
 
以上,地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。

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