トップページへ 前のページへ 目次ページへ
議会報告

子ども子育て支援新制度に基づく前橋市提出条例4議案に対する修正案の提案理由説明
9月10日近藤好枝【2014/9/10】

 私は日本共産党前橋市議団を代表して、今議会に提出された議案第102号前橋市児童福祉施設の設備及び運営に関する基準を定める条例の改正について、議案第104号前橋市幼保連携型認定こども園の学級の編制、職員、設備及び運営に関する基準を定める条例の制定について議案第105号前橋市放課後児童健全育成事業の設備及び運営に関する基準を定める条例の制定について、議案第106号前橋市家庭的保育事業等の設備及び運営に関する基準を定める条例の制定について、以上4議案についての修正案の提案理由説明をいたします。
 本市ではこれまで子ども子育て支援新制度(以下新制度という)の移行にあたっては従来の保育水準を維持していくと表明しています。しかし、今議会に提案された条例は国の準則どおりで、特に小規模保育・家庭的保育・居宅訪問型保育・事業所内保育事業にかかわる条例案は民間営利企業参入による安上がりな保育の提供を拡大しかねない内容になっています。また、保育士配置の基準ではこれまで国基準の上乗せを要綱によって定めていましたが、要綱では議会の議決を経なくとも変更可能であり、条例そのものでしっかりと定めるべき立場から修正を加えました。満3歳以上児についての保育士配置基準については本市の私立保育園でさらに上乗せしている事例も参考に、全国の先進地事例にも学び拡充する立場で提案しています。給食の提供については安上がりな外部委託搬入をせず全施設において安心・安全な自園調理を行うよう修正を加えました。小規模保育事業のB型C型については保育士の配置基準が大幅に下回るのでこれまでの水準を後退させる重大な問題点があり、今までの保育水準を守り子どもの命を守るため全部削除する修正案にしました。本市の保育水準は保護者や保育関係者の長年の努力と本市行政との連携によって保育士の配置基準や障害児加算、私立保育園の施設改修補助など国基準を上回る一定の保育水準を守るための提案をしています。具体的に述べます。

議案第102号は前橋市児童福祉施設の設備及び運営に関する基準を定める条例ですが、子どもの人数に応じた保育士配置基準を定めている条例36条第2項について修正をしました。保育士の配置基準は現在前橋市の要綱で規定している実態に合わせて1歳児は5対1にしました。3歳児は現在16対1ですが国基準でも15対1により保育加算がつくことになりましたので、15対1にしました。さらに、4歳児については20対1、5歳児については25対1と保育士の配置を拡充しました。市内の保育園でもこのような配置で保育している施設もあり、子どもたちの人格の形成を培う上での保育士配置はその根幹をなすものであります。全国でも先進事例として現行でも京都市がこのような保育士配置を行い、条例化し、新制度においても盛り込む予定です。前橋市子ども子育て会議の協議のなかでも、県内では比較的保育士配置の基準を拡充している前橋市が子育てするなら前橋と胸を張ってアピールできる施策にしてほしいとの意見が強く出されていました。

議案104号は前橋市幼保連携型認定こども園の学級の編成、職員、設備及び運営に関する基準を定める条例についてです。新制度の中で中核市に認可権限が与えられます。
修正したのは、第5条職員の数等の3項で、園児の区分と職員数については、議案第102号の保育所の保育士配置数と同じに改めました。
続いて4項では調理員の配置について、調理室で調理することとし、調理業務の外部委託を認めないよう後半部分を削除しました。また、園舎については子どもの安全確保の観点から2階建て以下として、ただし書きしてある3階建て以上の部分を削除しました。

議案第105号は前橋市放課後児童健全育成事業の設備及び運営に関する基準を定める条例の制定についてです。条例化したことについては評価するものです。
 児童の身体的、精神的及び社会的な発達のために必要な水準を確保しなければならないという児童福祉法の位置づけをしっかりと条例化するための修正です。第9条の専用区画の面積については、現行の1・65uは畳1枚分で、今後高学年の児童も含めたすべての学年が対象となることからも一定の広さが求められますので2・0uとしました。次に、学童指導員についてですがここでは放課後児童支援員と表現されています。支援単位はこども40人以下につき支援員2人となっていますが、こども35人以下とし、支援員の人数は3人の支援員として補助員を削除しました。また、開所時間は小学校の事業の休業日に行う開所時間を1日につき8時間を10時間とし、休業日以外の日の開所時間を1日につき3時間を支援員の準備時間も含めて8時間に改めました。開所する日数について公立学童では250日を下回る学童もあるとのことですが、これは土曜日に開設していない学童もあることが理由です。しかし、働く父母の実態から日曜祝日年末年始を除く290日に改めました。開所時間や開所日数の引き上げに伴う支援員の体制、人件費については今後引き上げるべきと考えます。

議案第106号は前橋市家庭的保育事業等の設備及び運営に関する基準を定める条例に制定についてです。
新制度であらたに給付の対象となる事業です。この事業の最大のポイントは保育士や幼稚園教諭などの資格を持たない無資格の保育従事者を20から30時間の研修で認めるものです。多様な事業形態に個人や企業が参入しやすく安上がりな保育が認められることになります。認可保育所の子どもとの格差が生まれ、十分な保育が受けられないと保護者や保育関係者から大きな批判が上がっています。このため、保育従事者はすべて専門的資格のある保育士に修正しました。本市では昨年度も待機児がいないのが現状です。前橋市子ども子育て会議では今後5年間で0歳から2歳児の待機児が見込まれると報告されていますが、私立幼稚園や私立保育園で計画的な増設により、受け入れ態勢を確保すると、各団体から表明されています。待機児に対する保育体制が計画されていれば、新たな施設認可をしなくともよいとされています。したがって、本市での多様な個人及び企業を受け入れなくとも従来の保育所園あるいは幼稚園での体制が整うと考えています。あえて、この条例に盛り込むのであれば、せめて認可保育園と同等の環境基準を設けるべきとの考えから修正いたしました。
@食事の提供の特例についてはすべて削除しました。職員の規定では、調理員をおかなければならない規定だけ残し、ただし書きは削除しました。
A家庭的保育者、小規模保育事業、居宅訪問事業、事業所内保育事業のすべてで保育者は保育士に限定しました。B家庭的保育者が保育することができる乳幼児は3人以下とし常時複数の保育者配置を義務付けました。小規模保育事業、事業所内保育事業の保育士の配置基準は認可保育所と同じ基準にしました。
C小規模保育事業の区分はA型のみとし、B、C型は認可保育園との大きな格差をもたらすことから削除しました。
D小規模保育、事業所内保育の建物は子どもの安全を考えて2階までとしました。
なお、全国では認可保育園ではないベビーホテルなど無認可で個人及び企業の利益を追求してきたところで、3歳未満児を預かり、死亡事故が最も多いことはあきらかです。このような痛ましい事故が本市でも今回の地域型保育事業を認めたことによって起こらない保障はありません。前橋市のすべての子どもたちが安心して安全に保育できる基準をつくり、子どもたちの発達を保障できる環境をつくることが私たちの責務であり、役割はないでしょうか。このことを申し上げて修正案の提案理由といたします。各会派の議員の皆さんにおかれましては是非ご賛同いただきますようよろしくお願いいたします。

ページのトップへ