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議会報告

今議会に上程の議案第議案第95号補正予算案(市長交際費を流用して発行した山本市長の実績報告ともいえるチラシの発行についてです)、及び議案第103(子ども・子育て支援新制度に関する条例制定)特定教育・保育施設、及び特定地域型保育事業の運営に関する基準を定める条例の制定についての2議案に対する反対討論 中道浪子【2014/9/10】

私は、日本共産党前橋市議団を代表して、反対の討論を行います。 

まず、議案第95号についてです。昨日の総括質問で指摘され問題になった、市長交際費を流用して発行した山本市長の実績報告ともいえるチラシの発行についてです。
総務部長が答弁していたように、このチラシには発行もとが、一切明記されていないことを認めていましたが、市長の後援会が作成したチラシのように誤解されるものであったのに一切の反省もなく、問題ないと判断していることは、到底理解できません。
また、チラシは、15,000枚発行し173,330円ですが、印刷製本代として173,330円を今、議会の補正予算案に計上し、充当することは認めるわけにはいきません。
このような、市長の独断で編集し私的に活用するようなチラシの発行は、市民は納得しないでしょう。
前橋市が市政報告として必要があるのなら、広報まえばしと同様の扱いをすれば、よいのではないでしょうか。
問題のある今回のチラシは、市長が自らの負担で支払うべきものであって、公費支出を認めるわけにはいきません。よつて、議案第95号の補正予算案には反対です。

次は、議案第103号についてです。この条例制定は、2012年8月に成立した子ども・子育て関連三法にもとづき、保育、幼稚園、学童保育など、子育て支援にかかわる制度を根幹から転換するもので、来年4月から、子ども・子育て支援新制度(以下新制度)を実施するための条例制定で反対です。

反対の理由の第一は政府は、消費税10%を前提に、来年4月から新制度を本格的に実施するとし、多くの保育関係者の反対や懸念の声をよそに、実施の準備を進めてきました。新制度の実施主体は市町村ですが、新制度を実施するためには、関係条例も急いで整備し、様々な準備手続きを開始しなければなりません。しかし、市町村に準備を急がせる政府自体が、当初示したスケジュールどおりに作業を進めることができていないのが実態で、保育の公定価格は、借り単価、認定する保育時間や開所時間の正式な決定の遅れ、その上、いまだに延長保育の扱いは、未決定など、依然として不透明なことが多く残されていることは問題です。新制度の財源確保などは依然として不透明で問題です。
 しかも、本市では、今議会で議決する条例改正案や条例制定案を8月の子ども子育て会議で委員の皆さんに提起して、検討・協議をすべきだったのに、議案の提起もなく、そのことを質問されたにもかかわらず、後で議案を送りますということになったようで、十分な審議が尽くされたとはいえない状況です。子ども・子育て会議を軽視して、国が示す基準をそのまま議会に提起する条例案となっていることは、重大な問題だと受け止めなければなりません。

第二は市が認可する認定幼保子ども園と特定地域型保育事業については、これまでの保育施設への運営費補助が、基本的になくなることは承認できません。  
これまで市町村の責任で保育事業を実施し、保育料として保育所が預かり市に納入するという仕組みをとってきましたが、新制度では、施設への補助金が利用者への補助金に代わり、施設などを利用した保護者個人に支払われる現金給付の仕組みへ変更します。このような利用者補助金を「給付」といいます。
保護者は、保護者負担分つまり保育料と合わせて施設に利用料を支払うことになっていますが、実際には利用者補助金を施設が保護者に代わって代理受領する複雑な仕組みに変わります。現行制度は、保育所を運営するための経費が委託費として保育所に支払われるため、保育以外に使うことはできません。しかし、新制度の給付は保護者への補助という性格のため、保育所への運営を維持するための費用という性格が弱まり、利用料の一部として施設に渡るため、使い道に制限をかけることが困難になります。保育以外の目的に補助金が流用されると人件費や保育にかかる費用が削られ,保育士・職員の処遇悪化など、保育の質の低下につながる危険性があります。
このように、利用者と保育事業者との直接契約を起点にする現金給付への仕組みに変更するため、市町村は保育の契約に介入することができなくなり、保育事業者への市町村の責任が後退することは問題です。
ただし、児童福祉法第24条1項の削減の復活で、当面の間は、保育所においては市町村の保育実施責任や保育料の徴収に関してこれまでと同様に実施されることになっています。

第三は小規模保育のB型、C型、家庭的保育などは、保育者の保育資格を求めないことなどが国基準に盛り込まれており、その結果、施設型と地域型との保育内容に格差が持ち込まれることになります。また、そのことが、民間企業にとって事業に参入しやすくなり、保育事業を儲けの対象とすることは問題です。そもそも、この新制度の狙いは、大都市における待機児童を解消するための制度改正で、本市のように、保育所などの定員を拡大すれば待機児童が解消されるような状況の都市では、新たに保育士の資格を求めない保育者が保育を事業とする小規模保育事業のB型やC型、及び家庭的保育事業などの実施を条例化する必要はないと思います。全国で子どもの事故や事件が起きているのは保育資格を持たない保育者が保育するような事業所であり認められません。

第四は給食は自園調理が原則ですが、特に、3歳未満の免疫力の弱い乳幼児期の調理を連携施設などからの搬入も認められていることや、調理の場所も「調理室」ではなく「調理設備」とされており、調理員も委託や連携施設などから搬入する場合は必置ではなく、最も安全で安心な自園調理の給食が求められているのに、条例で外部委託搬入を認めるようなことはすべきではありません。
また、認可保育所について、4階以上に保育室を設置する場合に、屋外避難階段の必置規制がなくなり、小規模保育などにも適用され、乳幼児の保育施設として安全や災害時の避難などを考えた場合適切ではありません。原則として保育室は1階に限るとすべきです。

第五は新制度は、介護保険制度をモデルにしており、保護者が利用手続きつまり入所の申請をする際に、保育の必要性・必要量の認定を受ける新たな仕組みが導入されます。保護者が市町村に保育の認定の申請を行うと、市町村が認定し、認定証が交付されます。その後、保護者は、保育所の入所手続き、保育施設や事業の利用の手続きを行うことになります。保育が必要かどうか、受けられる保育時間は何時間かは、保護者の就労状況をもとに認定されます。必要量の認定は現時点では短時間を8時間とし、長時間を11時間と2区分としています。しかし、認定は、保護者の就労状況が基本となるため、これまでよりも保育時間が短くされたり、障害を持つ子どもが認定されないなどの問題が起こる可能性があります。利用時間が区分されると、子どもの登降園時間はばらばらとなり、保育は細切れになり、集団保育が成り立たなくなり、子どもの生活リズムが崩れてしまいます。  
また、施設が受け取る補助額は、保育時間に左右されるため、経営は不安定となり、人件費が削られ、正規職員の数が減らされるなど、保育の質が低下する恐れがあり認めるわけにはいきません。
 
以上で、2議案に対する反対の討論といたします。

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