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議会報告

市民経済常任委員会質問「自然エネルギーの推進・観光振興・大雪被災農家への支援」2014年9月19日・長谷川薫議員【2014/9/21】

2014年9月議会・市民経済・決算審査質問(長谷川薫)

1、自然エネルギーの導入促進について

 2012年7月に、固定買い取り制度が発足して2年間経ちました。政府発表でも、メガソーラーなども含め、太陽光発電が現在全国で895万キロワット、原発9基分の発電がおこなわれています。
 また、そのうち個別家庭に設置された太陽光発電は、300万キロワット、ほぼ原発3基分に達したと政府が発表しました。太陽光発電が、日本全体の電力需給に大きく貢献しています。

@政策の在り方と地産地消の観点について 【環境政策課長】

 ●本市においても、今年の2月に「前橋新エネルギー導入アクションプラン」を策定し、原子力発電に依存しない社会をめざし、省エネルギーの推進や代替エネルギーとしての再生可能な自然エネルギーの普及推進がうたわれております。昨年度は個人住宅1261件6483万円の太陽光発電の設置補助が支出されました。今後も、様々な技術開発、実用化を進められる産業で、発電装置の小型化やバッテリーの開発、バイオマス、地熱など、中小業者の高い技術力が生かされる分野でもあり、モノづくりの力も生かされます。
 そこでお聞きしますが、このアクションプランの策定と合わせて、昨年度は新エネルギーの本格導入と新産業創出の立場に立ってどのような努力を尽くされたのか、また本市がイ二シアチブを発揮して、自然エネルギー事業に市民と地元企業が積極的に参加できる地産地消の仕組みをつくるべきと考えますが、この2点についての答弁を求めます。
 
 ●岐阜県湖南町や長野県飯田市は、自然エネルギーの導入促進のために条例を制定しています、岩手県葛巻町、高知県梼原(ゆすはら)町などのように行政と民間の協働を強まり、自然エネルギーによる発電で、町全体の電力自給率が100%を超える自治体も誕生しています。
 本市においても、市内の電力需要量に対して、官民それぞれの自然エネルギーによる発電量がどこまで到達しているかを把握し、今後の導入目標や導入方法の検討をすすめるべきだと思います。そのために、「自然エネルギーの普及の重要性について自由に市民の意見を出し合い、方向性をまとめるワークショップ」や「市民参加の協議組織」などを発足すべきと思いますがいかがか。

 ◎答弁〜メガソーラの普及に向けての、遊休土地の利活用と発電事業者のマッチングは進めてきた。今後、検討したい。

 ●今、県内においても資本力のある事業者がメガソーラーなどの発電事業に積極的に進出していますが、中小零細事業者は有利な事業に参入できない状況が広がっています。
 本市においても、太陽光発電設置を条件に20年間の賃貸契約を結んで大胡小坂子・亀泉町など3か所の市の遊休土地を潟tァームデューに貸し出すとともに、今年度も屋根貸し事業の公募を開始しますが、初期投資できる資金力のある事業者が手を上げることになるのではないでしょうか。これらの市の土地や屋根貸し事業を、単一事業者ではなく、ひろく市民が参加できる共同発電所事業にしたり、市内の建設や電気などの同業組合や公益的な消費生活協同組合などを公募対象にして、売電収益が市内に還流し地域経済振興や中小企業振興にも結び付く地産地消型の事業形態に変えるべきではないでしょうか。いかがでしょうか。

 ◎答弁〜当面、市内事業者に屋根を貸して発電事業を進めてもらいたと考えている。
 
 ○非常用発電機を設置した支所、市民サービスセンター以外の学校等の第2次避難所に、非常時の電源としての太陽光パネルや蓄電装置の設置を進めるべきと考えますが、どのような検討をしておられるのか、見解を。

A市民ファンドによる市民共同発電事業について【環境政策課長】

 共産党市議団は今年の7月に視察してきましたが、滋賀県湖南市(人口5万5千人)では、4基の市民共同発電所を稼働させています。
 福島の原発事故により、原子力に依存しないエネルギー政策が求められているとの認識のもとに、2012年6月に「地域自然エネルギー基本条例」を制定し、太陽光発電などで得たエネルギーを「地域固有の資源」と位置付けて、地域に根ざした主体が、地域の発展に資するように活用すると規定しています。
 2013年2月に総事業費800万円で社会福祉施設の屋根に市民共同発電所を設置、今年は民間企業の屋根に3600万円の同2号を設置し、稼働させています。
  これらの発電所は、社団法人が事業主体となり、事業費は一口10万円で市民と市内事業者が信託会社に出資、信託会社から融資を受けて発電パネルを設置、売電収入から年利率2%で配当し、20年間で元金償還もします。そして、特徴的なのは、この配当も償還金も大型店も含む市内商店だけで消費できる金券・地域商品券で支払う仕組みにしています。
 長野県飯田市でも同じような、市民が共同して設置する太陽光発電所と地域経済の活性化の両方を応援する市民ファンドの制度という先進的な取り組みをしています。

 太陽光発電をいっそう増やすために、従来の個人及び法人への設置時の補助制度だけではなく、市民参画による市民ファンドの活用を本市も推進することを検討すべきだと思います。見解を。

 ●マンションなどの賃貸住宅に住んだり、まとまった資金がなくて初期投資ができない方も、年金生活の方も、市民共同型の太陽光発電事業には気軽に参加できる利点があります。今、危険な原発を中止すべきという考えを持たれている市民が大勢おられます。こうした市民が、自然エネルギー事業に容易に参加できます。地域通貨で売電利益を配当すれば、地域経済の活性化にも貢献できます。市がイニシアチブを発揮して、一石二鳥にも三鳥にもなるこの取り組みを是非取り組んでほしいと思います。強く要望いたします。

 ●今、東電は、「前橋の北部地域は、送電線網の許容量が限界で、固定買い取り制度に基づく電力の買い取りができない。新たな送電線を整備するためには、売電収入で償還するので発電事業者などが19億円の設置費用を共同して投資してほしい」などと言っているそうです。
 しかし、実際には、東電は柏崎刈羽原発の電力を首都圏に送る送電線がありながら、原発再稼働に備えて送電容量を確保しているのです。国は再生可能エネルギーの固定価格による買い入れを電力会社に義務づけています。当然、国は電力の買い取りを拒否しないように東電への指導を強めるべきです。また、原発に代わる自然エネルギーの普及に国が責任を持つ立場から、発送電分離をすすめ、とくに送電事業は公的管理を強める体制にするなどの電力供給体制の民主的改革を進めるべきです。
 とくに、新たな送電線網の整備は、国が大幅に財政支援すべきです。自然エネルギーの発電主体に負担を求める態度は本末転倒です。また、電力会社の発電にかかったコストや再生可能エネルギーの買い取り分に、もうけまで上乗せして電気料金を決める「総括原価方式」の見直しも必要です。国や東電にこうした点の要望を上げていただきたいと思います。

 ◎答弁〜市民ファンド形式の市民共同発電は難しい。現在稼働中の大胡の堀越町の市直営発電に続いて、荻窪町最終処分場跡地と粕川の中ノ沢野球場跡地に2か所の直営発電所で約4000万円の売電収益をめざす。それを特別会計に積み立てて、自然エネルギーの普及や省エネ事業などの市民の取り組みを支援し、市民に還元したい。

Bバイオマス発電について【農林課長】 

 ●お隣の新潟県の長岡市は、人口28万人10万世帯の自治体です。昨年7月から、年間410万キロワットの生ごみバイオガス発電を稼働させています。市民が分別して週2回ステーションに出す生ごみを収集し、微生物の働きでメタン発酵させ、発生するガスを発電に利用する施設で、一日65トンの処理量は全国の自治体では最大規模です。
ごみ減量にも最終処分場の延命化にも結び付く、生ごみのバイオガス化発電の取り組みを本市においても進めるべきと思います。本市の考え方お聞きします。【ごみ減量課長】
 PFI事業で、JFEエンジニアリングが中心の(株)長岡バイオキューブが事業を受け、事業契約額は、約47億円。内訳は設計・建設費が19億円で、うち約半分は環境省の交付金。運営・維持管理費として15年間で28億円・年間約1億8000万の契約です。
 事業効果は、@燃やすごみは4割削減 ACO2は年間2000トンの削減 B焼却施設の統廃合と最終処分場の延命などで15年間で約35億円の経費削減 C施設の電気量と隣接するクリーン浄化センターの電気量の半分を賄い、年間4800万円の節約 D炭状態の発酵残渣が使った生ごみ量の3割弱出るものの、セメント会社の燃料として売却し、生ごみは無駄なく有効利用。E処理過程で出る多量の水は、隣接する浄化センターで処理。 F最先端施設として環境教育を実施等が上げられている。市民の生ごみ分別の協力と、民間と行政の連携で、生ごみをエネルギーに変える先進事例です。
 ごみ減量に取り組む前橋市でも、ぜひ取り入れてほしい。見解を。

 ◎答弁〜生ごみによる発電は、ごみ減量にも最少処分場の延命化にも大いに貢献できる施設と評価している。今後、さらに技術革新が進み、分別しなくても可燃ごみから生ごみを機械選別して発酵ガス化する装置も開発されると考えられるので、六供清掃工場の延命化工事を進めながら、次期清掃工場整備計画の中で前向きに検討をしてゆきたい。

 ●次に、群馬県は畜産バイオマス事業については国から特区に認定され有利な国庫補助を受け易くなっていますが、バイオマス発電事業は今年度から前橋市の富士見地区で実証実験がこれからという段階であまり進んでいません。
 養豚や酪農、肥育牛など畜産業が盛んな本市においては、排出される家畜糞尿も膨大となっています。この調達がたやすく、処理負担の軽減にもなる家畜ふん尿や野菜くずなどをバイオマスのエネルギー源として活用することは、地産地消的な地域循環型システムを構築となり、農業の振興、地域の活性化、新たな産業の育成にも寄与します。群馬県もバイオマス活用推進計画を策定し、本市も調査研究を開始しています。バイオマス発電は多くの可能性を秘めているとおもいます。市の取り組みをお聞きします。

 ◎答弁〜畜産し尿等によるバイオマス発電は悪臭問題などまだ解決すべき問題があり、今年の市内で行われる実験プラントなどの結果を見て、今後、推進策を検討したい。

 ●26年度の固定価格買い取り制度では、畜産糞尿によるメタン発酵ガス発電はプラント建設費が高くつくため、1キロワット当たり40円95銭の高値がついており、バイオマス発電はすでに十分採算の合う事業になっています。農水省の調べによると、今年の6月現在、全国で大小89施設が整備され稼働しています。しかも発酵が終わった牛や豚の糞は、臭気のない良質な肥料に生まれ変わります。
 小規模でも恒常的に安定した出力を発生させるバイオマス発電は、「お天気まかせ」の太陽光や「風まかせ」の風力よりもずっと優良な代替電源です。
 ドイツでは1980年代から本格化しており、発電施設は現在3千カ所以上にのぼり、国の総発電量の7.9%を占めています。大半は、家畜糞尿によるメタン発酵ガス発電で、畜産農家が自前の発酵槽やガスタンクを導入し、トラクターや発電機の燃料にも活用しています。畜産農家を含む周辺100世帯ほどが共同で小規模なメタン発酵ガスプラントを導入するケースも多く、500キロワットほどの発電能力があれば100世帯分の電力を自給自足して、光熱費を大幅に削減しています。
 プラントを小規模化し、村落単位で発電施設を作れば、家畜伝染病が発生しても十分対応できます。畜産が盛んな本市で十分応用できるモデルケースといえるのではないでしょうか。
 長年バイオマス研究に携わってきた佐賀大学農学部教授の林信行氏は「農畜産業振興と循環型社会づくりにバイオマス活用は不可欠です。地産地消の範囲で小規模なバイオマス発電を普及させていくことが重要」と述べています。

 ●石油や液化天然ガスなどのような輸入エネルギーや危険な原発に頼るのではなく、地産地消の安全なエネルギーの開発は重要。地域で生産した安全なエネルギーで生活サイクルを構築してゆけば、農業振興、新産業の育成、雇用の拡大、環境負荷の低減、地球温暖化の防止など多くのメリットが生まれる。ぜひ力を入れてほしい。

2、観光振興について質問

 @最初に持続可能な観光振興の取り組みについてです。【観光課長】 

 前市長時代に前橋市観光基本計画を策定して、3年が経過しました。様々な努力が尽くされていますが、本市への来訪者数の増加など、目に見える観光振興の成果を十分得られていないのが現状ではないでしょうか。最大の観光資源である赤城山も福島原発事故による放射能汚染の影響もあり観光客は低迷しています。昨年度も、赤城山の観光施設の整備や前橋駅の観光案内所や物産館の運営事業、豚肉料理のコンテスト、観光プロモーションなど様々な事業が展開されています。
 このような中、当局は今、世界遺産に登録された富岡製糸場や来年のNHKの大河ドラマ「花燃ゆ」を起爆剤にして、市内の数少ない歴史的な遺産や郷土の詩人・萩原朔太郎などの文化遺産に新たに光を当て掘り起すなど、固有の地域資源を活用しつつ、まちの魅力を作り出そうとしていることは承知しております。
京都・奈良・鎌倉・金沢など歴史的な文化遺産が豊かな観光地と異なり、困難な条件のもとで持続可能な観光振興策としての観光客が足を運ぶ魅力ある街づくりをしなければならないと思いますが、どのような観点で推進されようとしているのか。答弁を求めます。

●全国には、大分県別府市のすぐ隣の湯布院町、石川県金沢市の直ぐそばの富山県高岡市のように、名の知れた観光都市に客足を奪われていた地方都市が、埋もれていた素晴らしい景観や国宝の寺社仏閣などの地域資源を再発見し活用することで、活性化に成功した事例が少なからず存在しています。それらは、地域の歴史や文化、伝統、景観等をそこに住む住民が、大切に守り、育んできたところが多く、それが、地元住民の地域への愛着や誇りを醸成して、個性溢れる町の魅力形成へとつながっています。そして多くの旅行者が、その魅力に引かれて、その地域を訪れているのです。
 本市においては全国トップクラスの土地区画整理事業によって、残念ながら古い街並みがなくなりました。工業団地や高規格の幹線道路整備によって、美しい田園景観が壊されました。、景観保全や地場産業の保全や育成などの観点が弱く、観光振興については官民ともに十分な取り組みに乏しいまま現在に至っているといえるのではないでしょうか。

 今後、人口減少・高齢化が進展し、本市の財政難もある中で、地域経済を振興し、その活力を取り戻すためには、どうしても定住人口だけでなく旅行者等の交流人口を増加させることが必要です。そして、その決め手となるのが、地域にヒトを引き寄せる魅力の存在、観光の街づくりである。前橋に既にある資源を無理のない範囲で最大限に活用することが必要です。そこで以下の点について、質問する。

◎答弁〜大河ドラマの「花燃ゆ」を活用した観光振興を、今後につなげてゆくかが重要。観光ガイドも育て、観光客を赤城山、バラ園、豚肉料理などの本旨の観光資源に結び付けてゆきたい・

A豊かな農業を生かした観光振興と「グリーン・ツーリズム」【農林課長】 

 昨年度はふれあい体験交流事業に202万円、農産物直売所に640万円の支援事業を行っています。直売所の展開は、新鮮、安全、安心、良質、安価な農畜産物やその加工品を求める消費者のニーズの高まりに答えたものですが、県内外どこに行っても道の駅や直売所があるため、市内の農産物直売所の販売額が共通して低迷しております。
いっそう生産者とも知恵を出し合い、市としての支援策を強める必要があると思います。
 直売所での産直農産物販売と合わせて、新鮮な地元食材をつかったレストランやそば打ち体験、ワインの試飲、各種農産加工品や郷土食づくり体験、さらには農産物の収穫体験や市民農園事業、観光農園、温泉の効用を生かした滞在宿泊、史跡・文化財めぐり、赤城山観光や登山など生産者団体やJAなどを主体に、魅力ある事業の多角化によって、日帰りや宿泊も含め、都市生活者との多面的な交流に依拠したアグリビジネスを追及していかなければ頭打ちとなり、新たな観光客を獲得することもできないのではないでしょうか。
今、消費者や都市生活者が生活面で抱えているニーズは、「新鮮・安全な食べ物だけではなく、肉体的精神的なリフレッシュ、自然の中での憩いや学習、個性的な地域文化や美しい農村環境との出会い」と言われています。このようなニーズに対応する異業種とのマッチングも思い切って検討すべきだと思います。県内でも、みなかみ町の匠の里など全国にも数多くの成功事例があります。見解を。

 ◎赤城山麓は豊かな農業地帯。首都圏の都市住民にその価値を伝えてゆくことは重要。農産物の収穫体験や道の駅での新鮮な農産物の提供もしている。グリーンツーリズムを推進する。

 ●直売所出品農家の所得向上、女性・高齢者の生きがいの創出だけではなく、直売所事業の多角化、総合化に踏み出す新たな支援策を具体化し、交流人口を増や農業や地域活性化と結びつけた観光振興にも貢献する事業に発展させて行くよう求めておきます。



B観光とモノづくりの振興 【観光課長】 

大阪や東京や新潟などでは、地元の中小製造業を観光と結びつけて、修学旅行や観光客誘致に取り組んでいます。
 たとえば、「ものづくりのまち」東大阪市では、ホテルを経営者が、JTBや中小製造業50社とともに設立した一般社団法人・大阪モノづくり観光推進協会が、様々なモノづくり企業の工場やユニークな経営手腕を発揮して成功している中小企業経営者の話を観光資源として捉えて、年間5千人を超える観光客を誘客しています。人工衛星や航空機部品、金型製造の会社、船舶会社、義肢装具製造会社などで、モノづくり体験や工場見学ツアーを実施しています。
都内大田区では、東急多摩川線の下丸子駅・武蔵新田駅周辺をフィールドに、地元の中小業者の協同組合と観光協会と首都大学東京・横浜国立大学・東京大学が企画して、モノづくりのまちの様々な中小工場での加工の様子を見てもらい、体験し工場主と話し、工場が集積するまちの雰囲気を説明ガイドも付けて感じてもらう取り組みが成功しています。
 人口10万人の新潟県三条市も、モノづくりの原点である鍛冶屋の体験ができる三条鍛冶道場には年間8千人余りの観光客が来場しています。燕三条地域には、54の工場が門戸を開いて、全国から年間1万人の観光客が訪れるイベントを行っています。
本市においても、現在実施している昨年度実績、参加者110人、事業費41万円の次世代育成企業体験事業の同様の施策を広げ、食品・工業製品など市内のものづくり工場見学ツアーを観光資源として位置づけ、多くの方を誘客する必要があるのではないでしょうか。
◎答弁〜産業政策課と連携して、前橋のモノづくりの現場を観光資源として大いに活用したい。
 ●自然や歴史的遺産だけではなく、モノづくりに汗をかいている、職人や中小企業の労働者のモノづくりの現場や働く姿は大人も子どもとっても大変魅力的です。熟練した技や労働の様子を観て、見学者が癒されたり、励まされたりすることは、観光の本質だと思います。ぜひ取り組んでいただきたいと思います。

C観光とスポーツの振興 【観光課長】

下増田町の清掃工場の元建設予定地へのサッツカー場整備や総合運動公園の野球場整備などが進んでいます。すでに、スポーツコミッションを立ち上げて、全国規模や関東大会規模のスポーツ大会を誘致して、観光振興にも結び付けようという取り組みが進められています。しかし、スポーツと観光を結びつける施策はなかなか大変ではないでしょうか。
スポーツ選手は宿泊し飲食もし、お土産品の購入はしますが、多くの場合、市内観光まではしないまま、帰るのではないでしょうか。
またスポーツ観戦者も多くが日帰りで、市内のホテルや旅館への宿泊を期待することはできないと思います。元旦の実業団駅伝や赤城ヒルクライム大会においても、行政が主催者や共催事業者と連携し、特別な観光目的のオプションを作らなければ、選手やスポーツ観戦者が赤城山を登山したり、市内を巡り、アーツ前橋や文学館に入り、おいしい豚肉料理を食べ、特産品の買い物をするなどの地域経済振興への波及は期待できないのではないか。どのような取り組みを考えるか。

 ●そして、オリンピックや世界大会などのトップレベルのアスリートのパフォーマンスを直接観戦できる競技大会の誘致については、市民の要望にも十分耳を傾け、県や周辺自治体とも連携し、県有施設なども活用して、スポーツ観戦者に提供できるように努力すべきです。市内にホテルなどの宿泊施設が少ないなかで、大量の観客動員をしても日帰りが主流になり、近隣自治体のホテルへの分散宿泊になるのではないでしょうか。市内観光および経済振興などの経済効果は少ないばかりか、市独自の新たな競技施設の建設整備は、建設費や維持管理費が長期間市財政を圧迫するだけに、冷静な判断が求められると思います。

◎答弁〜スポーツに訪れた選手や感染者を本旨観光の魅力を体現してもらうような連携を主催者と強めたい。

 ●スポーツと観光を結びつけることはなかなか難しいと思います。今後とも創意ある取り組みの工夫をしてほしい。

D特色ある前橋ならではの名産品の開発【農林課長】   

昨年度は、第6次産業の取り組み支援として農産物加工品創出支援事業費として156万円が支出されました。赤城の恵みとして認証している産品は現在42品目。それぞれの生産者や事業主体が、懸命に商品開発に努力していると思います。しかし、頑張っておられますが、残念ながら、前橋ブランドとして全国的な知名度を得ているとは言い難い状況だと思います。
たとえば北海道の「十勝ブランド」といえば、大自然の中で育った安全・安心・おいしいという地域ブランドのイメージが定着し、十勝ワインや十勝チーズなどとして定着している。夕張メロンも、地域のJAが徹底した生産・規格の管理をして、高いブランド価値を維持し、観光にも地域経済の活性化にも大きく貢献している。仙台の笹かまぼこ、牛タン、新潟の笹団子、山梨の勝沼のワイン、山形のサクランボやラ・フランスなども同様です。
前橋でも、このような全国的に消費者から好まれるような地域ブランド商品の開発をめざすべきではないでしょうか。他にはない魅力ある名産品を生み出すためには相当の取り組みが必要になると思います。生産者やJAや県の農業試験場などとも連携し、戦略的な課題として取り組むことが必要だと思いますが、見解を。

◎答弁〜「赤城の恵み」のブランド認証をさらに販路を拡大して、前橋の名産品として認知してもらいたいと考えている。特定の名産品を作ることは大変難しい。

●地域ブランドの開発は、農業振興と地域産業の活性化や観光振興にも好循環を生み出します。豚肉や多品目の野菜など前橋の農産物を使った観光名産品、特産品を、関係機関が連携し、開発する戦略的な取り組みを強く求めておきます。

●全国に名を馳せるような名産品の開発は、総合的な取り組みと、時間をかけた取り組みが必要だと思いますが、前橋を担う次世代の人のためにも、少なくとも取り組みを開始してほしい。観光の項目の最後に、付け加えますが、全国的には自然エネルギー、防災、農業、観光など先進的な行政施策を展開して、全国の各議会議員の行政視察を受け入れて、宿泊客を増やし消費を拡大している自治体も広がっています。本市においても、例えば交通弱者対象の全市フルデマンド方式の交通を実現するなどの取り組みを実現すれば全国のお手本となり、大きな集客効果が生まれるのではないでしょうか。観光振興の観点からも大事な点であります。

●「開発による呼び込み型の観光振興ではなく、地域の観光資源に光を当てた観光施策を」
観光の広がりは「国民生活のバロメーター」とも言われます。安定した収入や一定の休暇など、生活に余裕が必要だからです。
国の経済政策を内需中心・家計応援に切り替え、働くルールが守られることこそ、観光振興の保障となります。
  同時に、地域では観光資源の発掘と保全とまちづくり、情報化社会のもとでの情報発信などが重要だけに、地域の「やる気」を引き出し応援する対策が必要です。

●前橋市に、さらに今後どの分野でも優れた魅力が備われば、旅行者は必ずやってくる。旅行者に、訪れてみたい、さらにはもう一度行ってみたいと思わせる魅力ある地域づくりこそが、観光振興の要である。 ぜひ、庁内各部課が連携して、市民や事業者が共同して環境施策が発展するように取り組んでほしい。要望する。


3、大雪被災農家への支援策について【農林課長】 


 2月の大雪による施設園芸の被害農家は全体の68%に達しています。見舞金として、被災農家1,536軒に一律5万円、合計7,680万円の見舞金が支給されました。9月9に撤去および再建の補助申請が締め切られましたが、被災農家926戸のうちの半数545戸は書類の不備や申請意思がないために、申請に至りませんでした。
 年間農業出荷額が50万円以上もしくは作付面積30e以上が、補助金申請条件になっています。この条件に合致しない農家の方は、被災後も実際に農業経営の意思があってもこれ以上の救済の手は差し伸べられません。
 私も、富士見地区の兼業農家で、ガラスハウスで通年、花を栽培し、直売所に出荷している農家の方から話を聞きました。昨年も現在も奥さんが病気入院をしていたこともあり、昨年の出荷額が50万円以下になったそうです。大雪で破損したガラスハウスの修理に数十万円かかりながら、補助金申請ができなかったそうです。
 営農継続がありながら、国の補助条件に合わないために救済されない農家も、本市の農業振興に貢献をしている農家であす。状況を十分聞いて一定額の市独自の支援策を講ずるべきだと思います。見解を。

 ◎答弁〜国が引いた線なので、それ以下の小規模な農家は自給的生産者と位置付けられている。市独自の救済策は困難だが、他の農業支援策や公的融資制度で意欲ある農家は支援していきたい。

 ●営農規模にかかわらず、今後も農業の意思がある方なら、すべての被災農家に支援をする。今は生産出荷額は少ないけれども、兼業農家の世帯主が定年退職した後には、高齢化した親の農業を引き継いで、施設農業に本格的に力を入れるという方もおられます。被災農家の暮らしの実態をよく聞いて、市独自の支援をしていただきたいと思います。

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