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議会報告

2014年第3回定例会本会議 議案反対討論 小林久子議員【2014/9/25】



私は、日本共産党前橋市議団を代表して、今議会に上程された、議案第84号から第89号、第92号、第93号、第94号、以上9件について反対の討論を行います。

最初は議案第84号平成25年度前橋市一般会計決算についてです。

以下12点について反対理由を述べます。

第1は、市長の政治姿勢についてです
 
 市長はこの間安倍政権が進める、TPP、消費税増税、生活保護基準の引き下げ、憲法9条の改定などに対して反対の立場を明らかにせず、国の悪政追随の姿勢は問題です。
アベノミクス政策は景気が良くなるかのように宣伝していますが、大胆な金融緩和による株高と円安で利益を得たのは大企業と富裕層ばかりです。多くの国民は所得が減り続け、景気回復を実感できないでいます。円安による原材料費や燃油、光熱費、小麦などの高騰は中小企業や農漁業に深刻な打撃となり、家計や経営を圧迫しています。さらに、成長戦略と称して解雇自由化やサービス残業合法化など雇用のルールを破壊し、医療介護年金など社会保障の大改悪、消費税増税で国民生活は一層苦境に立たされています。
このように市民の暮らしが大変なときこそ、市長は防波堤となって市民生活を守るべきです。
しかし、市長はかつて雑誌のインタビューに対して無理な差押えはしない。納税相談を積極的に行う旨、答えておりますが、まったく改善されていません。8700件を超える全国トップクラスの差押え件数に見られるように、滞納者を一律悪質と決めつけ問答無用の差押えが行われていることは問題です。      
日本国憲法第25条の健康で文化的な生活を送る権利を有すると明記されている法の精神を尊重すること。地方自治法第1条には住民の福祉の増進を図ることを基本とすると明記されています。この憲法の理念に基づき市民を守る役割をしっかり果たすべきです。

第2は行財政改革についてです。
 
 
 
 2012年度からの行財政改革推進計画では3年間で40人の職員削減を行うとしていますが、2013年の実績は15人の目標に対して34人もの削減となりました。 職員の削減は、市民サービスの低下と職員の過重負担をもたらします。
 一方、市行政は職員全体の25%を非正規の嘱託職員や臨時職員で支えられており、官制ワーキングプアを増やすべきではありません。
 本市は市立図書館本館や子ども図書館のカウンター業務、学校給食、地域包括支援センター水道の施設管理などの民間委託を拡大してきました。今年は市営住宅の管理業務を県住宅供給公社に委託しました。
民間の低賃金を前提として民間委託を進め、経費の削減を図ることは、低賃金を認め、地域経済活性化にも逆行するものです。また、民間のノウハウを活用しサービス向上と経費削減を実現できると導入した指定管理者制度の不安定性が露呈しています。粕川元気ランドや中央児童遊園るなぱぁくなど指定管理者が選定できず急きょ前事業者や前橋振興公社に依頼しました。人件費の削減は、市民サービスの後退につながり、利用者の安心安全が脅かされます。民間委託や指定管理者制度の拡大はやめるべきです。


第3は区画整理事業についてです

 
 
 区画整理事業は毎年60億〜70億円もの事業費を投入していますが昨年度は14地区もの同時施工により、事業が長期化していることは問題です。
区画整理は高齢者や低所得者を含め、地域住民全体を巻き込んで減歩の強制や事業の長期化で、様々な苦難を住民に押し付ける事業であり、決して住民本位のまちづくりの手法とは言えません。景気低迷で、地価が下がり続けており、事業完了後の評価額も高くはならず、時代に合っていないことは明らかです。幹線道路整備を最大の目的とし、多額の税金を投入する区画整理事業は、人口減少、少子高齢化社会を迎える今こそ、新規事業を抑制し、すでに着手している事業も含め抜本的見直しが必要と考えます。



第4は前橋総合運動公園の拡張と公園施設等整備についてです
 
 
 前橋総合運動公園内の老朽化したコミュニティプールやテニスコートなどの大規模改修を先送りし、さらに施設内の用地の有効活用も検討せず、14.6?もの事業拡張計画を強行したことは認められません。
下増田公共用地を、サッカー専用施設として整備し、全国クラスのスポーツ競技大会を誘致する計画です。今後市が独自に新な競技施設を建設することは、建設費や維持管理費が長期間財政を圧迫するだけに冷静な判断が求められます。まず、市民が低料金で気軽にスポーツや健康増進に使える施設を市民のために整備することが大前提とかんがえます。

第5は市営住宅についてです 
 
 昨年度、県住宅供給公社への管理代行を決めたことは認められません。これに合わせて、市内40か所の市営住宅駐車場の駐車場料金徴収や管理を自治会など管理団体に委託していましたが、これまで通りの委託継続を望む声に答えず管理を縮小しました。
 市営住宅は現在管理戸数が5240戸と県内でも最大です。1960年代からの建設で、老朽化が進んでいますが、修繕予算が大変少ないことは問題です。地元業者の仕事確保にもつながり、入居者の住環境を守るためにも予算の増額を求めます。
また、生活保護世帯などで、身寄りのない人に対しても市営住宅の入居時の保証人を求めたり、退去時の原状回復費用の捻出が困難な人に対して費用を求めていることは問題です。市独自の支給制度を作るなどの改善を行うべきです。

  
第6は収納の問題についてです

 
 昨年、市は本来最後の手段である差押えを乱発し、差し押さえ先にありきで、市民の生活実態を無視し、8747件にも及んだことは断じて認めるわけにはいきません。
 市民の生活や営業が脅かされ、再起や生活再建の機会も奪われてしまいます。
本市は預金債権の差押えを最優先し、差し押さえ件数全体の90%を超えています。この中で、児童手当などの差し押さえ禁止債権であっても預金口座に入ったら差押えるという無法を行っていることが明らかになりました。本来差押えするとき、それが差押え禁止財産であるかどうかを確認するのは収納課の責任であるのに、私の質問に対して市は説明責任は口座の持ち主にある旨の答弁したことは大問題です。


第7は生活保護についてです

 
 本市は、生活保護の申請に来た人に対して、リストラや派遣切りされた稼働年齢の人に対してしばしば、仕事を探しなさいなどと言って窓口で返すなど申請権の侵害を行っていることは問題です。
雇用情勢の悪化や貧困の拡大で、本市では2962世帯3824人が生活保護を受給しています。うち高齢世帯が49% と多く、稼働年齢の人を含むその他世帯が18%と多くなってきています。この間生活保護に対するバッシングが繰り返し行われ、国は生活保護扶助基準の10%引き下げや保護申請の制限を目的とした法改正を強行しました。本市では自立に向けた就労支援が行われていますが、病気で働けない人にも就労を強要したり、生活保護を廃止すると迫るなど人権を侵害することが行われていることは問題であり、直ちに改めるべきです。受給者に対する丁寧な相談支援を行うためにも、ケースワーカーの増員をすべきと考えます。

第8は公共交通についてです 
 
 高齢者をはじめ市民が一日も早くと実現を願っているのに全市デマンド交通の取り組みが遅く、スピード感を持った施策展開になっていないことは問題です。
高齢者を中心とする交通弱者の生活や通院の足を確保するためには、利用料を低廉にして、委託事業者に十分な委託費をはらうことが必要です。現在路線バス運行の委託費は年間3億円余りで、他の公共事業予算と比べても、大変少ない事業予算です。高齢者が地域で元気に過ごせば、医療介護の支出を大きく抑制する効果も期待できます。市民の期待にこたえるためにも思い切った事業予算を確保し、早期の本格運行をめざすべきです。
前橋北口駅立体駐車場整備計画は、市民から設置の強い要望が上がっていないのに、事業用定期借地権契約による公募型事業プロポーザル方式での立体駐車場整備の方針を進めることは問題であり、認めることはできません。

第9は子育てと教育についてです
 
 
 市長の公約である全小中学校の30人学級については、わが党は早期の実施を求めてきました。教員の多忙化を解消し、いじめや不登校、発達障害児など、すべての子どもたちにゆとりを持って向き合える学校づくりのためには、30人学級の早期実現は緊急の課題であるにも関わらず、取り組みが遅く問題です。
市教委は段階的に実施するとして、2015年度に小学校5.6年の単学級の35人学級化を打ち出しましたが、そのあとの計画も示していません。
 また学校給食費第3子無料化は、小中学校に3人が同時に通学する世帯の第3子対象という条件を前年度からそのまま継続し前進させなかったことは問題です。県内では無料化を実施している南牧村、上野村、神流町に続き、富岡市、安中市などが無料化の計画を進めています。学校給食は子どもの貧困が広がり、食生活の乱れが心配される中で、食事の在り方や食文化を伝える食育として教育の重要な柱の一つで、本市でも全ての子どもを対象に学校給食費の無料化を早期に実施すべきです。
 市立幼稚園の定員割れを理由に大胡幼稚園と大胡東幼稚園の統合を進めようとしていることは認められません。少人数学級や、障害児教育など幼児教育の実践研究の場として、重要な役割を今後も4園で発揮すべきです。4幼稚園保護者から出された、夏季休業中の預かり保育の実施要望に十分応えず、先延ばしする姿勢は問題です。 
 

第10は産業振興についてです
 
 
 昨年3月に制定した公契約条例は 下限報酬が規定されておらず下請け事業者などの賃金保障が明確化されていないことは問題であり、実効性あるものになっていません。
市はこれまで優良農地をつぶし工業団地造成にシフトし企業呼び込み型の産業振興策に固執していることを認めることはできません。市内事業所の9割、従業員の約7 割を占める中小零細企業への支援を軸として域内再投資力をつける産業政策を推進することが必要です。
地域経済の活性化には、企業誘致で、地域が栄えるという考え方を止めて、地元で頑張っている中小企業の力を育て、伸ばし、それによって雇用と消費を増やし、前橋市内で仕事とお金が循環する仕組みを再構築することが必要です。
本市の地域特性や豊かな地域資源を活用して新たな名産品の取り組みや販路拡大など、独自の産業振興策へと転換すべきです。 

第11は環境問題と自然エネルギーの導入についてです

 
 前橋市は中核市として、環境各法令に関する権限が市に委譲されていながら、環境問題を早期に解決する姿勢が大変弱く問題です。
田口町の発がん物質による水道水源の汚染や前工跡地の土壌汚染、群馬化成の悪臭問題など、問題の解決を先送りせず、早期解決に市として全力をつくすべきです。
自然エネルギーの導入に当たっては、地産地消の取り組みが弱く問題です。
市民や地元企業が積極的に参加でき、売電利益が市内に還流し、地域経済振興や中小企業振興にも結びつく地産地消型の事業形態の導入をぜひ検討すべきです。

一般会計の最後は農業問題についてです 

 
 TPP反対を掲げる農協、農業団体、農家の立場に立たず、又、市独自の農業後継者対策が弱いことは問題であり、認めることはできません。
また、2月の大雪では前橋の農業が壊滅的な被害を受けました。
4月16,17日に行った説明会では出席した1079戸の農家が申請の意思を持ちながらこの中で申請したのは534戸、9月で撤去及び再建の補助申請が締め切られましたが市全体で最終的に申請したのは679戸にとどまりました。
 補助申請要件が年間農業出荷額50万円以上もしくは作付面積30アール以上となっていて、条件に合致しない農家の方は営農継続の意思があっても救済されません。市が独自の支援策を講じ農家を救済すべきです。また、国の支援金の支払いは12月になるとのことですが、収入減少で厳しい生活を強いられている農家に対する1日も早い支払を国に求めるべきです。

次は、第85号国民健康保険特別会計決算についてです。

 
 国保財政の基金が枯渇し、赤字を補てんするために一般会計からの繰り入れを2012年度に続き、2013年度は7億1900万円繰り入れましたが、同時に国保税率を11%引き上げ、一世帯平均22000円、計12億円の負担を市民に押し付けたことは認めることはできません。
本市は所得200万円以下の世帯が加入世帯の77%を占める中、国保税1年以上の滞納世帯は加入世帯の1割に及び、差し押さえは4286件(2012)、これは、隣りの栃木県や長野県の県全体の数と本市一市の数がほぼ同じという異常な多さです。申請減免が年度所得の5割減という基準が厳しすぎるために、26件にとどまっていることは問題です。直ちに申請減免基準の緩和をすべきです。
また、昨年度資格者証の発行は1051世帯、短期保険証の発行は1775世帯に及びますが、医療を受けられずいのちを脅かすことになりかねない資格証の発行は止めるべきです。

次は、第86号後期高齢者医療特別会計決算についてです。
 
 
 
 75歳以上の高齢者を国保から外し別の医療制度に組み入れ、差別医療を導入していることを認めることはできません。
高齢者の年金受給額が次々と引き下げられる中、保険料は2年ごとに改定され、2014・15年度は被保険者一人当たりの平均月額保険料は4620円にもなります。3年ごとに引き上げられる介護保険料とともに高齢者の生活不安を強めています。制度を廃止して、老人保健制度に戻すべきです。

次は、第87号競輪特別会計決算についてです。

 
 昨年、小屋原町のショッピングモールガーデン前橋に株式会社NFCが競輪の場外車券売場開設を計画し、これをめぐって周辺住民や学校関係者などから子どもたちや住環境などへの影響を心配し開設反対の声が上がりましたが、市はこれを聞かず管理施行者として同意し、今年4月、開設を強行したことは認められません。
事業者から市に繰り入れられるのは車券売上額の2%あまりで、これでは民間事業者の利益確保に貢献するだけです。
長引く不況で公営ギャンブルは売り上げ減少に歯止めがかかりません。日本人のギャンブル依存は男性9.6%と世界の中でも突出して多く、経済的、社会的、精神的な様々な問題が生じているにも関わらず、場外車券場でギャンブルをさらに奨励する市の姿勢は問題であり反対です。

 
次は、第89号介護保険特別会計決算についてです。
 
 
 2012年度の第5期介護保険事業計画では65歳以上の介護保険料が年間11億円、約29.5%も引き上げられました。2013年度は国保税の値上げが続き、介護保険料普通徴収の収納率は77.33%まで低下しています。負担増に高齢者の暮らしは限界です。
 国は来年度から、要支援の人を介護保険から外し地域支援事業に移行するとともに、特養入所対象者を介護度3以上に限定し、利用料1割の原則を廃し一定の所得のある人を対象に2割負担の導入を決めました。ますます介護から締め出される介護難民の増大が懸念されます。
受益者負担を原則とする介護保険制度はすでに制度自体が限界に達しています。市は国に対して25%の国庫負担割合の引き上げを求めるべきです。また、低所得者への保険料、利用料の減免制度を拡充し高齢者や家族が安心して介護を受けられるようにすべきです。
第5期介護保険事業計画は国の在宅重視の計画に追随し、特養ホームの入所待機者は1500人を超えているのに、230床の増床に留まったことは不十分であり問題です。
 保険者の責任において、あらゆる手立てをつくし増設すべきです。

次は、第88号農業集落排水事業、第92号水道事業、第93号下水道事業決算についてです。
 
 
 
 水道事業のもっとも安全性が求められる水道の浄水施設や水源井戸等の保守管理を民間企業に委託継続していることは認めることができません。災害などの緊急時にも対応できる水道管理の技術を職員が伝承し、安全な水を安定供給するためにも直営に戻すべきです。
 また、地下水源比率を高め、涵養し、自己水の確保を行い、県央水からの供給量を減らして経営の安定化を図るべきです。
 今年4月からの消費税率8%への引き上げによる約2億1400万円もの市民負担増予算に続き、来年10%への引き上げが行われれば、さらに市民に負担を強いることになります。上下水道料金の約2億2900万円もの滞納が発生していることを見ても市民の暮らしの厳しさがうかがえます。水道料金や下水道料金に対する消費税相当分を引き下げ市民負担を減らすべきです。

次は、第94号前橋工業団地造成組合決算についてです。
 
 
 
 五代工業団地は広大な売れ残りを長期間抱えてきました。 ローズタウン東地区は今も膨大な土地の売れ残りを抱えています。
事業規模の過大すぎる計画の誤りが、事業継続に当たり多額の組合債を発行し、売れなかったために借金を抱え込むなど、市民負担を生じさせた責任を、執行者としてきちんと総括すべきです。
また、収束時期を遅らせた朝倉工業団地の開発は、オーダーメードと言いながら、実際はこれまでと同じ企業呼び込み型で、事業を継続するために一般会計から43億円もの繰り入れを行い、市民の税金をつぎ込んだことは問題であります。このようなずさんな計画の付けが市民の負担を招いたことをしっかり反省すべきです。こうした総括をしないまま、新たな工業団地の造成を進めることは止めるべきです。

以上申し述べまして9議案についての反対討論といたします。


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