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議会報告

第4回定例会 総括質問(答弁含み23分) 中道浪子
1、改定介護保険制度の問題点と改善策について (1)新総合事業」(2)介護認定(3)特別養護老人ホーム(4)介護保険料 2、低料金で利用できるデマンド交通の早期運行【2014/12/9】

1、最初は、改定介護保険制度の問題点と改善策について伺います。
安倍自民党・公明党政権は、先の通常国会で「医療・介護総合法」の可決を強行し、公的介護・医療保障を土台から掘り崩す大改悪を進めようとしています。以下4点にわたり質問します。

(1)まず、「新総合事業」移行の延期についてです。
「医療・介護総合法」は、要支援者の訪問介護・通所介護を保険給付から外し、市町村事業に移して、「新しい介護予防・日常生活支援総合事業」略して「新総合事業」に改編します。
この事業は、既存の介護事業所が提供する現行の「専門的サービス」と、専門職以外の労働者や有償・無償ボランティア、研修受講者でシルバー人材センターの活用も可能とする「多様なサービス」に分け、「専門サービス」は、現在保険給付を受けている人への経過措置≠ノとどめ、新規利用者は「多様なサービス」に移すことによって、安上がりのサービスにするのが厚労省の方針です。
すでに、モデルとなった介護現場や自治体から「要支援者の状態悪化を招くだけ」と批判が起きており、結局、重度化による介護給付費の膨張をもたらすだけと指摘されています。
合わせて政府は、015年度からこの「新総合事業」の導入が困難な市町村は条例で最大2年間、実施を遅らせても可能としていますので、本市は、この事業の導入を最大限遅らせて、現行と同様に介護サービスが利用できるように体制の強化・充実で事業の改善を図るべきです。(この部分の質問は、前の質問者と重なり、「検討して適切な時期を見て移行していく」と部長から答弁があったので省略)。
本市としては、こんなひどい制度の改悪は撤回するよう国に意見を上げるべきだと思いますので見解をお聞かせください。

●本市では、今年3月現在、介護保険の要支援1・2で介護サービスを利用している人が約3400人おります。要支援1・2の認定を受けていてもサービスを利用してない方は1,600人程おり、次の予備軍とも言える認定者がおります。現行の要支援者が引き続き現行水準のサービスを継続し、新たに要支援を受けた方についても、安心して必要なサービスがこれまで同様利用できるような体制を整えるべきであると申し上げておきます。

(2)次は、介護認定についてです。
現行制度では、高齢者から市町村などに介護の必要性があった場合、まず、要介護認定を行うというのが通常の手続きとなっていますが、新制度ではそれが大きく変わり、窓口の判断で、要介護認定の省略が可能となると言われています。
厚労省の「ガイドライン案」は、窓口の担当者が要支援相当≠ニ判断した人の内、要介護認定を受けさせるのは、訪問看護や福祉用具貸与など保険給付に残ったサービスの対象者に限定し、「新総合事業」に移る訪問・通所系サービスの対象者は、要介護認定を省略する方向を明記しています。
要介護認定を省略された人は,「非該当」と同じ扱いになることから、新制度での要介護認定の省略は、水際作戦の拡大につながるのではないかと危惧せざるを得ません。「新総合事業」がスタートしても、要介護認定を受けるのは被保険者の権利であり、自治体が妨害することは法令違反です。また、行政が利用者に圧力をかけ、本人の同意も抜きにサービスを打ち切ることも許されないと思いますが、見解をお伺いします。

●結局、新制度での要介護認定の省略や本人の同意を得ずにサービスを打ち切ることは状態悪化を引き起こすことになり、かえって介護給付費を膨張させることになります。このことは、国会での大臣答弁でも認めているように、本人の意思を尊重して、要介護認定を認めるべきです。

(3)次は、特別養護老人ホームについてです。
今回の法改定により、2015年度から、特養老人ホームに入居できるのは原則「要介護3」以上となります。ただし、「要介護1・2」でも認知症や虐待被害、知的・精神障害、在宅生活が困難な状態などの「勘案事項」に該当する場合は、「市町村の適切な関与」のもと、各施設に設置する「入所検討委員会」の決議を経て「特例入所」を認めるというのが厚労省の方針です。
本市では、「特例入所」に対して、各施設とどのようにかかわりを持って推進しようとしているのかお伺いします。
また、特養ホーム待機者が増え続ける大本には、低所得で一人暮らしの高齢者の急増があることは厚労省も認めており、特養ホームの抜本的増設は待ったなしです。 本市では特養ホーム待機者が約1300人。第6期介護事業計画では待機者を大幅に解消できるよう増設計画の検討が期待されますが、第5期事業計画の230床を大幅に上回る増設計画にしなければなりません。当局のお考えをお伺いします。

●本市では、今年3月現在で特養ホームに入所している方が1,450人。要介護1・2で入所している方が123人です。そもそも入所している123人は、認知症や知的や精神障害、在宅生活が困難だから入所されているのであって、「特例入所」でも、「勘案事項」でもないのです。それをあえて要介護3以上と線を引くのは、待機者の数を減らすためで、そんな制度改悪に従うのではなく、特養ホームへの入所が必要な方には認めるよう体制を整えるべきです。
ところが、肝心の今後の増床数をはっきり答弁されないのは大変残念です。少なくとも今計画の230床を上回る増設計画にすべきです。数合わせでなく大幅に待機者が解消できるようにする必要があることを申し述べておきます。

(4)次は、保険料についてです。
本市の介護保険料は、1人平均月額4825円です。国が示す介護保険料は、2025年には全国平均1人月額8200円にもなるというあまりにも高い見通しを公表したことから、2015年度から低所得者の保険料軽減を行うことを政府自身が決断しています。
本市では、第6期介護保険事業計画は、介護保険料の引き上げは行わず、引き下げる方向で検討すべきだと思いますがいかがでしょうか。

○第6期事業計画では、今以上の保険料の引き上げにならないように、検討すべきです。国保特別会計も保険制度だから加入者の相互で賄うとして、当局は長い間一般会計からの法定外繰り入れは拒否してきました。しかし、今や国保税の引き上げをおさえるために一般会計からの法定外繰り入れは全国でも常識となっています。今後、介護受給者が増えるからと、介護保険料を引き上げていけば、2025年には国が示す月額8200円にもなってしまいます。そうならないためにも、一般会計を繰り入れるよう検討すべきだと思いますので見解を求めます。

●国は、地方自治体に、一般会計からの繰り入れで、介護保険料の引き上げを抑制したり、保険料減免などしないように指導してきましたが、三原則を禁じる法令上の規定はなく、規定がない以上罰則や制裁もありません。それどころか、
●国は、今度の制度改定で介護保険料の引き上げを見込んで、低所得者への負担軽減のために第1段階から第3までの4段階の介護保険料軽減策を実施し、約1300億円を一般会計から繰り入れようとしています。
●北海道の北斗市では、保険料の大幅引き上げを解消するために一般会計を介護特会の基金に繰り入れ、基金を取り崩して軽減策を講じ、鶴居村や中富良野町では、一般会計から繰り入れて保険料を引き下げる工夫などをしています。
本市でも、一般会計からの繰り入れを決断し、今以上、介護保険料を引上げるべきではありません。むしろ引き下げるよう検討すべきことを強調しておきます。

2、次は、低料金で利用できるデマンド交通の早期運行について伺います。
市内全域へのデマンド交通は山本市長の選挙公約で、多くの市民が期待しています。市長は「市内全域で200円相乗りタクシーを運行し、市民の足となります」と市民にアピールしましたが、その運行とは大きくかけ離れたものになっています。「デマンド相乗りタクシー」の社会実験は、一定の改善が行われましたが、今、実施中の総社・元総社・清里地域の社会実験利用者が戸惑うケースもあるとの報告ありました。高齢者は、低額で片道いくらと決めた料金の方が安心して利用できるといいます。高齢者の皆さんに、多いに利用していただくためには、低料金で、定額化のわかりやすい料金に改善すべきだと思いますがいかがでしょうか。

○当局は、タクシー業界の理解を得るためにタクシーの相乗り乗車にされたようですが、利用する高齢者の多くは、買い物やかかりつけの病院への通院のためがほとんどです。今回の社会実験は、旧市内の2か地域ですので、富士見地域より迎車料金が安く抑えられることがはっきりしており、初乗り料金以内の距離で間に合う場合もあるし、初乗り料金を超えたとしてもさほどの距離を乗らずに病院まで行けると思われます。そうだとしたら、平均して、片道500円とか、300円とかの乗車料金を定額化しても問題はないと思いますがいかがでしょうか。

●広瀬山王地域の皆さんは、昨年、暮れには「デマンド交通を早く走らせて」と、住民から集めた署名を市長あてに提出し、今年の8月には住民代表が13名で副市長との懇談を行っています。ぜひ、高齢者の皆さんの要望に沿って、安心して利用できる低料金・定額化で実施し、福祉施策ひいてはまちづくりの観点をもって、取り組まれるよう求めておきます。以上ですべての質問を終わります。


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