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議会報告

2015年第1回定例会総括質問37分(1、全市デマンド交通の早期運行実施について 2、子どもの貧困の打開について)小林久子議員【2015/3/18】


1、全市デマンド交通の早期運行実施について

(1)最初に交通弱者支援の緊急性について
3年前市長は全市デマンド交通を公約し、市民の間ではいつ実現するのかと大変期待をしておりますが、いまだ実現していません。当初は全市民対象としていたが、社会実験では75歳以上、65歳以上の自分の車を持たない人や、身障者など 移動困難者に対象を絞っています。
本市の高齢者の現状を見ますと、買い物など外出に困難を抱えている方が多くいます。
荒牧町にお住まいの70台の一人暮らしの女性は、ひざが悪く長時間歩けないので、買い物や通院など移動にタクシーを利用するしかありません。宮城地域の女性は日赤で股関節の手術をして片道5000円かけて通院を余儀なくされています。 高齢者が住み続けられる地域形成に公共交通の充実は欠かせません。富士見地域や広瀬山王地域では、全市デマンド交通の早期実現を求め住民の方たちが署名運動や市長への要請を行ってきましたが、一日も早い実施を待ち望んでいます。これに答え、市長は代表質問で本格運行は年明けになると答弁しましたが、遅すぎます。一日も早い本格運行に踏み出すべきです。答弁を求めます。

(2)次に社会実験の結果についてです    

昨年3月4月に行った一回目の富士見地区の社会実験では、相乗り500円助成で、登録者数は591人と対象想定の約2割だったが、利用者54人、運行回数74回、利用延べ人数110人、運行経費57840円と利用は大変少ない結果となりました。しかしアンケートでは利用した人もしなかった人も、今すぐ制度化、将来的も含めて制度化を望む声は非常に高いです。
昨年10月11月に行った元総社、総社、清里地区の社会実験では、相乗り1人500円の支援に加え、単独乗車は一人最大1000円の支援を加え社会実験を行い、登録者数は278人と対象総定数の7%。61日間で利用者数150人、運行回数575回、延べ利用人数は735人、運行経費は443,360円という結果でした。制度化を望む声はやはり多く7割でした。
2回の社会実験では、運行回数は一日平均富士見で1.2回、元総社地区で9.4回で利用は少なすぎます。料金が2通りの助成と複雑になり、富士見地区は乗車距離に対して補助率が低く料金が高いということで敬遠されました。また利用の多くが単独乗車で相乗りは少数でした。このことから高齢者に対してわかりにくいタクシー料金の一部助成というのはあまり受け入れられなかったのではないかと思いますが、この結果をどうとらえていますか。

●上・下川渕地区の社会実験を3月1日〜4月30日まで実施しています。今回はICカードを活用した社会実験を行い、利用の利便性を図るとしていますが、高齢者にとっては、さらに複雑になります。せっかく社会実験を行うのだから、だれもがわかりやすく、低額で使いやすい、そして利用したいというものでなくてはと思います。

(3)次に導入の波及効果について    

 デマンドを利用した人の現状は移動手段として、運転免許がなくバスなどの公共交通やタクシー利用が多く、自転車がついで多い。外出の頻度は週1〜2回が一番多く、外出の目的は通院と買い物が多い。移動困難者と言われる高齢者の利用実態が明らかになっています。
第6期前橋スマイルプラン策定で行った、高齢者の生活実態やニーズ把握調査でもほぼ同じような結果が出ています。一般の高齢者と比べ要介護の人は、外出を控えがちで、買い物やさんぽなどの外出の頻度も制限されています。約7割以上の人が月1回以上通院。今後利用したいサービスとして、通院や買い物など外出支援を23.6%の人が挙げています。
さらに、外出頻度が少ないと生鮮食品などが買えなくなり食品摂取が偏り、高齢者の健康に悪影響を及ぼす可能性があることも指摘されています。
交通弱者の外出を支援することで、高齢者が地域で住み続けることができ、介護医療の負担も抑えることができると考えます。高齢者の実態をしっかり伝え福祉部からも早期実施を求めていくことが必要と思いますが、福祉部長の答弁を求めます。
 

(4)低額固定料金の導入
  
?高齢者の経済的な状況を見れば、消費税増税に加え、年金引き下げ、介護・医療の負担は上がり、生活はますます苦しくなるばかりです。先ほど述べた市の生活実態調査でも、経済的に苦しい、やや苦しいが、一般高齢者で、48.9% 要支援・要介護者で、66%にのぼっています。所得の少ない高齢者の足を確保し生活を支える上からも、全市デマンドも距離に関係なく片道300円から500円の低額固定料金で利用できるようにすべきです。高齢者に喜ばれ、安心して乗ることができ、そして、多くの利用が図られることを目標とすべきです。答弁を求めます。

?現在の相乗り1人500円、単独乗車1人1000円の助成では、全市域に拡大したときに、市街地中心部の乗車距離が少ない人は料金もさほど気にしなくて済みますが、遠い周辺部から中心部の病院まで長距離乗車する人は、負担が多くなり不公平感が否めません。
富士見から市内病院へ来るのに片道4000円という方もいます。現在、富士見、大胡、宮城、粕川で運行しているデマンドバスは、停留所方式で、この停留所まで歩いていくのも大変な人もいるのです。こういう人に対し、距離に応じた応能の負担を求めることには納得できません。市の予算を増やし、タクシー事業者への委託費を増額し、利用者負担を抑えるべきです。再度お答えください。
   
マイバスは100円、ふるさとバスやるんるんバスは200円の低額で運行し市民の足として喜ばれています。それなのに全市デマンドは、市民に距離に応じた応分の負担を求めるというのなら、いくら社会実験をしても市民の期待に応えられるものにならないと思います。また市長はLRTなどの新交通を進めようとしていますが、ここにお金をかけるのであれば、まず全市デマンド交通にしっかり予算を付けるべきです。


2、子どもの貧困の打開について 
 
日本の子どもの貧困は、経済協力開発機構(OECD)加盟国中9番目と深刻です。
昨年7月の厚労省の発表では子どもの貧困率は、過去最悪の16.3%となり、さらにひとり親家庭の貧困率は54.6% と約半数を超えています。子どもをかかえたままではなかなか仕事が見つからない、ようやく就職できても不安定で低賃金などで、母子家庭の年収は一般家庭の4割にとどまっています。とても暮らしていけず、将来が見えないなど、悲痛な声が上がっています。 国が進めてきた非正規雇用の拡大や福祉社会保障の切り捨てによって格差と貧困が拡大し、ますます深刻さを増しています。そのしわ寄せが子どもに向かっているのです。
子どもの貧困対策の推進に関する法律が制定されました。教育支援、生活支援、保護者の就労支援、経済支援の4分野で40項目の課題を掲げていまが、児童扶養手当の拡充、給付型奨学金の導入、就学援助の拡充、などは盛り込まれず、貧困率改善の具体的数値目標など示されていないことは問題です。

(1)就学援助の拡充について

?生活保護基準の見直しによる影響について
政府は生活保護基準の引き下げを3年間で行い、総額670億円を削減します。削減額は最大で10%にも達し、この影響として、就学援助や年金や最低賃金、住民税非課税、介護保険料などに影響がでます。新年度の4月にも生保基準の引き下げが行われますが、このことで就学援助から外される世帯が出ることはあってはなりません。平成26年度の所得基準は生活保護の見直し前の所得基準を用いたが、新年度についても引き上げ前の生活保護基準を維持すべきと思いますがいかがでしょうか。

 
?就学援助の所得基準の1.1倍の基準の見直し引き上げ
前橋市の就学援助は平成27年3月現在で2639人で児童生徒の約1割が受けています。しかしこの支援の基準が低すぎます。もっと支援の幅を広げるべきです。就学援助を受けるにあたり、参考所得基準が示されていますが、前橋市は生活保護基準の1.1倍です。高崎市は1.2倍、館林市では、1.3倍を実施しています。所得基準を引き上げるべきです。せめて生活保護基準の1.5倍に引き上げをすべきと思いますがいかがですか。

●今ボーダーライン層が、支援を受けられず厳しい生活を強いられています。所得基準を見直し支援を必要とする世帯が就学援助を受けられるように。また各学校に、教師などに周知を徹底し、対象者の受給漏れのないように。
●このままいったら少子化がますます進みます。本市は医療費の中学卒業までの無料化も全県に先駆け実施した経緯があります。それなのに所得基準1.1倍は他都市と比べても低すぎます。全県をけん引すべく引き上げを。

?クラブ活動費、生徒会費、PTA会費を支給項目に加えることについて。
2010年から新たに国はクラブ活動費(29600)、生徒会費(小4570中5450)、PTA会費(小3380中4190)を支給対象にしましたが、本市は未だ対象としていないのは問題です。クラブ活動費は新学習指導要領で部活同も教育活動の一環として位置づけられ、支給品目に加わっています。
母子家庭のAさんは中学生と小学生の子どもと3人暮らしで就学援助を受けています。上の子の中学入学には、制服や体育着、鞄、靴、など揃え7〜8万円もかかり大変でした。さらに子どもが陸上部への入部を希望したが、シューズやユニフォーム、月々の部費や遠征費などがかかると聞き入部を諦めさせるしかありませんでした。親も子もつらい選択だったと思います。経済的負担から子どもの夢を積むことがあってはなりません。川崎市は昨年から、新たにクラブ活動費を28780円支給しています。本市もぜひ支給対象に加えるべきではないか。

●実施している他市の支給事例を見ると3品目を1度にでなく段階的に支給したり、クラブ活動費は運動部と文化部に分けて支給金額を決めて対応している市もあります。実施自治体も増えつつあります。(横浜市、秋田市、成田市、大阪市、高松市、佐渡市、一宮市、福井市、名寄、舞鶴)
 学校教育法第19条で、経済的理由により、就学困難と認められた児童生徒の保護者に対し市町村は必要な援助をするとしている。05年度から就学援助制度の補助金が大幅に削減され、準用保護者は用途を限定しない交付税交付金としたことで自治体間で援助金額や項目が異なり、格差が広がっていることは問題です。国に制度の拡充を求めるとともに、本市独自に所得基準の引き上げやクラブ活動費など3品目を加えるようしっかり検討を。


(2)学校給食費無料化の拡大

?成長期の子供たちの心と体を作る上で基本の食べることが大変な家庭が増えています。孤食、朝ごはんを食べてこない子どもが増えていることも問題になっています。食育を教育の一環として学校でも取り組んでいますが、貧困の拡大で、バランス良い食事をしっかりとることができるのは給食だけという子もいます。こういう中で、給食費を一人年2000円引き上げ6000万円の保護者負担は仕方ないとみるのか、それとも子供に関わるものには、1円たりとも上げないという行政の姿勢を貫くのかが問われます。吉岡町では、若い世代が暮らしやすい街づくりめざし、小中学校の給食費を月400円引き下げる。保護者負担を1000万円減らしました。子育てにかかる負担を減らすと市長は公約しています。値上げの撤回を求めます。答弁を。

●本市の教育費予算全体の160.5億円のわずか0.4%です。食材費は保護者負担と言いますが、食育として教育の大切な柱の一つです。教育に関わるところは安易に親に負担を求めることは問題です。

?本市は3人同時小中学校に通学する世帯の第3子無料化を実施していますが、京都府伊根町は、小中学生全員の給食費と修学旅行にかかる費用、実験機材などとの経費を無料とするとして新年度から所得制限なしで全額負担することに。 栃木県大田原市ではすでに学校給食費の無料化に踏み出し、その後保護者にアンケートを行い、分析し多くの保護者から歓迎されています。
山口県和木町は、戦後すぐから幼小中の給食を無償実施しています。東京江戸川区では、学校給食費の三分の一を補助し、出生率1.26と平均を上回るなど、実施している自治体では子育て支援としての成果が出ています。少子化、過疎化対策、子育て支援策などに有効な施策として学校給食費の無料化が各自治体で取り組まれています。本市も子育て世帯の経済的負担を減らし子育てを応援する前橋にしていくためにも無料化の拡大を図るべき。


(3)ひとり親家庭の支援強化

?昨年9月放送のNHKクローズアップ現代は子どもの貧困をとりあげました。
貧困世帯に食料支援をしているフードバンク山梨が、支援している世帯を対象に行った調査によると、ひとり1日の食費329円という、驚くべき数字がしめされ、ラーメン一杯を親子で分け合って食べる、一日一食しか食べられないなど、食べ盛りなのにおなか一杯食べられないというショッキングな子どもの貧困の実態が浮き彫りになりました。一方全国で年間2000万トンもの大量の食品がごみとして捨てられ品質に問題なくとも廃棄されています。そういう食品をメーカーや小売店から寄附してもらい、生活困窮者や福祉施設など必要としている人にボランティアの人が無償で届けるフードバンクの活動が、各地に広がっています。
本市では市民活動支援センターに244もの市民団体が登録し、幅広い活動を行っています。この中には、子育て、青年、高齢者、障害者などを支援する団体も数多く参加しています。また、同センターでは、市民活動団体への活動拠点の提供をはじめ、市民活動に関する情報発信やセミナー開催、また、ボランティアや市民活動に参加したい人への相談、団体同士の交流の橋渡しなど、市民公益活動をサポートしています。本市でも、こうした市民活動団体のネットワークを生かし、企業などの協力を得ながらフードバンクを立ち上げ、生活困窮者などに支援する体制を作るべきと思いますが、見解を伺います。

●東京関西をはじめ各地のフードバンクの取り組みを視察に行くなど、市民活動団体がここから学ぶための支援をしていただきたいと思います。
 
?生活困窮世帯の学習支援事業

この4月から生活困窮者自立支援事業が実施されますが、これは生活困窮者を対象とした各種の相談支援や住宅確保給付、貧困世帯の子どもたちに対する学習支援などを行うものです。今年度は高校進学を控えた生活保護世帯の中学3年生とその保護者を対象とした、学習支援や進学に関する相談を行ってきました。
貧困により学ぶ機会も閉ざされ、勉強についていけない子たちが学ぶことで変わり、将来の進路や夢について、希望を持ち行動する要になるなど変化が生まれているとお聞きしています。支援個所数を増やし、対象となる児童生徒の支援を拡大していくことが求められると思います。新年度の取り組みについて伺います。

 ●生活困窮者自立支援事業に位置付けられましたので、貧困の連鎖を断ち切るためにもさらに力を入れていただきたい。


?学童保育料の減額

 子ども子育て支援新制度への移行に当たり、放課後児童健全育成事業の設備及び運営に関する基準を本市でも条例化しました。働く親に代わり専任の指導員が放課後の子どもたちの遊びや生活指導を行い、安全な生活の場を提供するものです。
学童保育料は運営主体により異なり、入会金に加え、月8000円〜15000円の保育料やおやつ代などの徴収があります。公設民営の学童クラブは非課税世帯の保育料が無料ですが、民間の学童クラブは、兄弟やひとり親減免がありますが、それぞれのクラブによって金額が異なっています。減免制度を適用しても、それでも保育料の負担は高く、低所得世帯では、経済的負担が大変で預けたくとも預けられない家庭もあります。
新年度から県が、ひとり親家庭の放課後児童クラブ補助の制度を行うようですが、その制度の活用とともに、市民税非課税世帯、就学援助を受けている世帯、ひとり親世帯などに対しての公設民営、民設民営を問わず統一した保育料の減免基準を市が制度化し、補助すべきと考えるが。いかがか。

●条例化し設備や運営面での一定の前進はありますが、学童保育料はそのままでは問題です。ぜひ市として統一した保育料の減免制度の取り組みを。

?ひとり親世帯への保育料第2子無料化について
ひとり親世帯、特に母子家庭の平均収入は一般家庭の約4割という低さです。前橋の保育料は第3子は無料化を実施しています。そして、第2子については保護者負担は4割で6割を公費負担しています。保育料は、所得階層別に定められ、生活保護世帯や、住民税非課税世帯などの減免はありますが、せめて、ひとり親家庭の第2子保育料を無料にし経済的負担をさらに軽減すべきと考えますがいかが。
 

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