第3回定例会反対討論@マイナンバー制導入にかかわる議案A農地中間管理運営事業にかかわる補正予算(近藤好枝)【2015/9/9】私は日本共産党前橋市議団を代表して議案第103号、第109号、第110号、第111号以上4議案について反対の討論を行います。最初に4件の反対理由に共通するマイナンバー制度に対する問題点を述べます。第1は個人のプライバシーに関する秘密性の高い情報を国民に十分な説明もなく活用し実施させることです。今年10月から住民票を持つ赤ちゃんからお年寄りまでのすべての人に12ケタの個人番号を知らせる「通知カード」が市町村から郵送され、来年1月から国民には税の源泉徴収票や健康保険の被扶養者届などにマイナンバーを記載することが義務付けられました。「通知カード」に記載された番号を紛失したり盗まれたりして、番号が流出して悪用されればプライバシーの侵害やなりすましの被害にあうリスクが高まります。国民は自らの番号を管理するという自己責任が問われます。 内閣府が9月3日に発表した世論調査ではマイナンバー制度を「知っている」が43.5%であるのに対し「内容は知らないが聞いたことがある・知らなかった」を合わせると過半数にものぼることも明らかとなっています。さらに、総務省のサンプル調査によると住民票の住所と異なるところに住んでいるなどにより、通知カードが届かない恐れのある世帯は275万世帯に上ると指摘されています。多数の国民がスタートから排除される制度は問題です。 第2は情報漏えいを防ぐ有効な対策もなく、より深刻なプライバシー侵害や犯罪を招くおそれを増大させる制度です。 国民の大切な年金を管理する日本年金機構がサイバー攻撃を受け、125万件もの個人情報が流出しました。年金情報の大量流出問題の反省のないままの実施に批判が集中しています。今国会では運用前からマイナンバー利用拡大のための法改定案が審議され強行されました。銀行口座・ゆうちょ口座のマイナンバー管理、特定健診結果、予防接種履歴の情報連携、特定優良賃貸住宅入居の手続き及び管理、高校授業料補助など自治体独自制度にマイナンバーを利用する際の他機関との情報提供ができるというもので、個人の情報をどのように活用するのかという情報開示もなく、個人の同意も必要ないまま活用が可能となります。個人の秘密性の高い情報の流出を防ぐ有効な対策をたてず、国会で法案を成立させたことに対しても大きな批判が寄せられています。 アメリカや韓国ではマイナンバー制によって、共通番号と個人情報がセットで大量流出し、プライバシー侵害、犯罪利用、なりすまし被害が横行して社会問題となっています。まさにIT先進国といわれる国の政府機関や大企業でも情報漏えいを防げていません。さらに、共通番号の官民利用の推進は情報を取り扱う人、場所が増え、不正利用や情報漏えいの危険が高まります。 第3は費用対効果も十分検証せずに莫大な血税を投入することになるからです。 マイナンバーのシステム構築費用はほとんど活用されていない住基ネットが約390億円であるのに対し2900億円と7倍に膨れ上がっています。通知カードの費用を含めると3400億円という膨大な費用がかかります。しかし、費用対効果の検証は不透明です。9月には厚労省によるメタボ検診の効果を調べるデータ管理の不備が発覚したばかりです。データーベースでレセプトデータと特定健診データの管理が不備であったため、27億円も投入されているシステムであるにもかかわらずIDが一致せず2割しか検証に使えないことが会計検査院の調査で分かりました。 また、中小企業や事業所にもマイナンバー対応を求めていますが、たとえば従業員100人の企業でマイナンバー対応の初期費用が1000万円、維持経費に毎年400万円と試算されています。事業者に大きな負担を強いるマイナンバー増税になります。まさに、IT企業の巨大市場となっています。 第4は国民一人ひとりの収入と財産を把握し、税・保険料の徴収強化、社会保障の給付削減を最大の目的にしているため、住民票などをコンビニで取得できる程度であり国民にとってメリットはほとんどない制度です。 行政にとっては各自の収入・所得にかかわる情報が単一の番号で結ばれ、そこに預貯金などの情報が加わることで、一人ひとりの所得と資産の実態を把握することが可能になります。マイナンバー制度の導入を主導してきた向井内閣官房審議官は国民の情報を完ぺきに近い形に名寄せすることで税・保険料をもれなく徴収するとともに「社会保障に基準」となる所得把握を厳格化することで、社会保障制度の対象を、行政が「低所得者」「低資産」者と認める一部の人に限定していくことが制度の狙いと語っています。このように国民・市民にとって百害あって一利なしのマイナンバー制度は問題であり延期し撤回すべきです。 したがいまして議案第103号平成27年度前橋市一般会計補正予算はマイナンバー通知カード再交付手数料が含まれているため反対です。 議案第109号前橋市市税条例の改正についてです。これは個人市民税・法人市民税・固定資産税・軽自動車税・特別土地保有税・入湯税・事業所税のそれぞれの税に対しての減免申請書及び申告書に対してマイナンバーを記載することによって、今後の徴収強化と資産調査を連動させて、減免者の資産に係る個人情報を把握するもので反対です。 議案第110号前橋市中小企業者等に係る事業所税の減免に関する条例改正についてです。前橋市が事業所税を独自に減免しているものについてもマイナンバーを記載するもので反対です。 議案第111号前橋市手数料条例の改正についてもマイナンバーの通知カードの再交付に係る手数料の額を定めるもので反対です。 最後に議案103号の補正予算の農地中間管理運営事業として県指定の中間管理機構より委託を受け、農地の貸し手と借り手のマッチング業務を推進する280万円の予算計上に反対です。 都道府県ごとに公的機関として設置したのが農地中間管理機構です。農地を「機構」に預ける農家や地域集落などが「協力金」として補助金を交付して農地を提供させ、大区画化などの整備を行い、公募で大規模経営農家や農業以外の企業に貸し付けるというものです。しかし、2年間借り受け手が見つからなければ農地が所有者に戻され、協力金を返還しなければならないという矛盾に満ちたものです。また、これまでの農地は耕作する農民や地域が管理するという農地法の原則を踏みにじり営利企業にまで農地を提供できるため、農業委員会の役割をも否定するものです。 さらに、今後は「機構」の借り受け貸付実績を明らかにして、実績を上げた都道府県に対して施策面で優遇します。一方で「機構」に提供しているか否かによって遊休農地への課税の強化や軽減化をおこなうものです。本市は中山間地の農業も盛んですが、国が目指す農地の集約には限界があり、遊休農地や耕作放棄地が増える深刻な問題を抱えています。しかし、この制度では遊休農地の課税を強化して「機構」への貸付意欲を高める仕組みであり、農業振興地内の農地を対象に再生できない遊休農地など農地として利用できることが著しく困難で、借り受け希望者が出てくる可能性が低い農地については「機構」は借り受けません。さらに、所有者、境界、相続関係など権利関係が困難なものも借り受けないとしているため、条件不利地域などは除外されます。したがって本市の農業の根本問題は解消されず、農家間の競争と格差を広げ、本市農業の発展を阻害する制度にほかなりませんので反対です。 以上4議案の反対討論といたします。 |