第3回定例議会総括質問(税収納行政・市立保育所の事業運営)2015年9月8日長谷川薫議員【2015/10/7】2015年第3回定例市議会総括質問(最終)税収納行政について 1、滞納整理の現状について @昨年・平成26年度の市税及び国保税の滞納に対する差し押さえ件数、および合計件数をそれぞれお答えください。 ◆答弁〜市税・8267件、国保税・6074件、差押え件数10768件 A次に昨年度の差押え対象の内訳を不動産・債権・無体財産権・動産の件数と比率をそれぞれお聞かせください。 ◆答弁〜不動産・578件、債権・10138件、無体財産・44件、動産8件 2、行き過ぎた差押えの改善について @答弁いただいたように、平成18年に市税と国保税合わせて年間3510件だった差し押さえ件数は、平成19年に一気に6110件に倍増し、平成25年度には8747件、昨年度は10786件と右肩上がりに増え続けています。 しかも、不動産などより債権の差押えが圧倒的に多く9割を占めています。さらに、債権の差押えは、銀行口座などの預金差押えが中心です。今年度の5月から7月までの3か月間の差押えを見ると、5月が950件、6月が999件、7月が中間集計で607件、合計2556件ですが、そのうち預金口座の差押えが1897件で74%を占めています。 類似する中核市と比較してみると、高崎市では、市税と国保税合わせて昨年度は1939件、人口51万人の宇都宮市も2220件で、いずれも前橋市の5分の1程度です。市税だけを見ても、平成25年の統計で、前橋が6451件に対してして、人口32万人の秋田市がわずか536件、人口45万人の尼崎市も766件にとどめています。前橋市は他の中核市の10倍以上の差押えをしております。 このような中で、市民の生活や営業が脅かされる事態が、しばしば起きています。 たとえば、持病が悪くなり働けず年金だけで暮らしている60代後半の市民は、昨年末に口座に年金が振り込まれた当日に振り込みが年金だけの口座の残額の全てを差押えられ、解除にも応じてもらえなかったために、生活保護を申請し開始決定を受けて、次回年金支給日までの2か月間、生活扶助費で暮らせざるを得ませんでした。 また、滞納税を分納中の一人暮らしの女性が、勤務先から振り込まれた給料をその日のうちに預金口座の残額の全てを差押えられ、解除にも応じてもらえなかったために、生活費もなく家賃も払えなくなり、知人に懇願して借金をせざるを得ませんでした。 以前は、預金口座の差押えであっても、その大部分が給与や年金・児童手当などと分かる場合には、全額差押えをしない配慮が行われていましたが、今は一気に預金残額をゼロにする差押えをしています。このような差押えは直ちに改めるべきと考えますが。答弁を求めます。 A国税徴収法76条1項、77条、同施行令34条に、給料や年金の差押え禁止額が定められています。差押え禁止額は、税金や社会保険料+本人家族の最低生活費相当額として10万円+4万5千円×家族の人数+生活費の加算額です。したがって、単身者の年金や給与を差押えようとする場合は、最低生活を維持する10万円余は差押え禁止財産になります。前橋市は、平成10年2月の最高裁判決の立場に立って差押え禁止債権や給料の差押え禁止額でも、いったん預金口座に振り込まれれば預金債権化し、自由に差押えできるという結論を一人歩きさせています。 しかし、平成25年11月の広島高裁判決では、鳥取県が行った児童手当が振り込まれた口座を直後に狙い撃ちにした差押えに、裁量権の明白な逸脱として、「違法」「返還」「賠償金の支払い」という判決が下されました。県が地方税法や国税徴収法に従っていると弁明しても、明らかに禁止財産を狙い撃ちにした差押えは、民法上の不法行為に当たるとの判決です。 前橋市の差押えの実態は、この判決に照らせば、違法な差押えを日常的にしているのではないでしょうか。見解を。 ●滞納者の預金口座にいろいろなところからお金が振り込まれて、ある程度の預貯金があるのに、納税の意思を示さないという方の生活を脅かさない程度の差押えなら理解できますが、口座にほとんど残額がなく、年金や給与が振り込まれる日を狙って差押えをする。しかも、差押え禁止額を暮らしの実態も無視して差押えれば、生存権を脅かすことは明らかなのではないでしょうか。 滞納者の生活実態の調査と状況確認をしないままの差押えをやめるとともに、預金性のない生活口座となっている滞納者の預金の差押え、さらに禁止額を超えた違法差押えは直ちにやめるべきです。 ●前橋市の滞納整理手法は、他の多くの自治体からは「お手本」や「先進的な税務行政」と見られてはいません。最近は冷ややかに見られています。 先日、前橋市と比べて5分の1程度の差押えしかしていない関西の市の税務職員直接お聞きしましたが、「いまの市民の暮らしの実態を見ると、前橋市のようには差押えはできません。その分、繰り返し文書催告を送付したり、納税相談のための来所要請を粘り強く行い、とくに現年分の滞納が出ないように力を入れています」と話されています。それでも、税収納率は、前橋市と比べてもやや低い程度です。 3、納税相談の充実について @次に納税相談の充実についてです。延滞金が発生していない現年分の滞納に対する差押えも増えています。今年の5月から7月までの、3カ月の預貯金差押えを見ると、延滞金がゼロで本税未納額が100円、500円、1000円、2000円、4000円、5000円などの少額滞納者の差押えも数多くあります。このような少額滞納者こそ、差押えではなく納税相談を粘り強く行い、自主納付を働きかけて、納税啓発すべきではないでしょうか。見解を。 A納税相談では、滞納者の追い詰められた心理状況を理解し、納税相談窓口に来たことを評価し寄り添う相談が必要です。滞納者と良好な信頼関係を作り、なぜ生活に困窮しているかをよく聞いて、解決策を一緒に考えて自主納付に結びつけ、場合によっては、生活保護や生活困窮者の自立支援などにつなぐ相談対応が必要です。様々な事情があって滞納している方々を安易に「悪質滞納」と捉えて、「一括で払え」とか、「1年以内の分納で払え」と求め、「納められなければ差押える」と冷たく繰り返すような「上から目線」の態度で納税折衝にのぞくことは絶対に慎むべきです。 失業や営業不振・病気などで生活が困窮し滞納している市民を、資力がありながら納税意思のない滞納者と同一視せず、丁寧な自主納付を指導するとともに、資力なしと判断できる場合には執行停止などの納税緩和制度で救済すべきです。答弁を。 4、徴税吏員としての市民への接遇態度の改善について 最近は折に触れて、「収納課の職員は恐ろしい」と市民から訴えられます。収納課職員が、万が一、全体として収納率を上げるためには、手間と時間のかかる納税相談よりも、「滞納すれば躊躇なく差押える」という、裁量権を行使した制裁的な徴収の方が効果的だと考えて、滞納者に高圧的な態度をとっていれば大きな問題です。 徴税吏員も市民に奉仕する公務員です。様々な困難があっても、粘り強く滞納者に催告や納税相談による交渉を重ねながら、それでも自主納付に至らなかった場合に、生活困窮に陥らないよう配慮しながら滞納処分を執行するという、滞納整理の基本的な態度を堅持すべきです。徴税職員の市民への態度の在り方について、見解を求めます。 ●まもなく市長選挙です。市長は3年半前の市長選挙マニフェストで、「問答無用な差押えはやめ、滞納者との相談を充実させる」「税金を権力の道具にしません」とまで公約されました。先日のわが党の質問に対して、「十分問答している」旨の答弁をされました。行政の最高責任者として、全く本市の滞納整理の現場を認識していない、無責任発言です。 他自治体の1年分以上の差押えを、前橋市はひと月や二月で行っているような状況下で、市長が答えたような丁寧な問答、納税相談がなされていないことは明らかです。 行政は、住民の納得を基礎に運営されなければなりませんし、憲法や地方自治法の精神を尊重して、住民福祉の向上を旨とすべきです。税金滞納者と言えども、権力を振りかざして、市民の財産を取り上げる収納行政は慎むべきです。納税相談を強めて差押えは最終手段とすべきです。行き過ぎた本試の滞納整理の改善を強く求めておきます。 市立保育所の事業運営について 1、現状の問題点について質問します。 @18か所の市立保育所の建物はすべて耐震化が完了していますが、老朽化による建物劣化が進んでいるため、計画的な補修工事や建て替え計画が必要だと思います。市立保育所の整備計画を具体化すべきです。見解を。 A平成16年から技能労務職の採用が中止されています。現在は、保育所の調理職員や用務技士の任用不足には、退職後3年間の嘱託勤務ができる職員を確保して対応していますが、近い将来、補充できなくなることが予想されています。3歳以上児の主食は炊飯センターからの外部搬入になりましたが、今後も児童福祉法に基づいて、3未満児及び3歳以上児の給食は栄養士による全市統一献立で施設内調理を維持しなければなりません。近年、朝食の欠食やそしゃく障害、アレルギーなどの食生活の問題が顕著となるなか、一日の活動時間の大半を保育園で過ごす子どもにとって、保育園給食は、乳幼児期の成長・発達と健康の保持増進に大きな役割を担っています。調理技士の確保のために、栄養士採用もしくは技能労務職採用を行うべきと考えますが、見解をお聞かせください。 2、改善充実策について @長引く不況の中、働かなければ生活がなりたたないという状況も生まれており、保育所の役割はますます大きくなっています。また、近年、子育てしながら働き続けたいと願う女性が、多数を占める時代になっています。ところが、市立保育所のうち、4か所以外は入所率がいずれも定員を割っています。民間保育所に比べて入所率が低い原因は、産休明け保育、いわゆるゼロ歳児保育行っていないからではないでしょうか。本市の保育は公立・私立で役割分担がされてきた背景がありますが、全体的に1−2歳児の保育要望が高まっているので、清里・東・総社保育所については、施設を増設し職員体制を強め、3歳未満児保育を開始すべきと思いますが、見解を。 A次に障害児保育についてです。いま、さまざまな障害を持つ子どもが増えているだけに、就学前の的確な支援が求められています。現在約50人の障害児保育が、公立と私立でほぼ25人ずつ担われています。 これまでにも、保健センターの健診やこども発達支援センターなどで、発達に遅れのあるこどもを早期発見し、保育所の障害児保育へとつなげてきましたが、障害児を受け入れるためには、人員体制の改善、施設・設備などの改善が欠かせません。 障害児保育の実践には、保育士の専門性や経験、保育所全体の協力がより深く求められます。民間保育園では、国が定めた保育所運営費の職員の人件費が低く、最低基準並みの保育士配置基準で運営されているため、職員の勤続年数が大変短くなっており、継続した保育の積み上げが、公立と比べて難しいという側面を持っています。また、当然経済的な負担を伴うもので、障害児加算を受けても、採算面の制約が多い民間保育園での対応には、おのずと限界があります。 一方、公立保育所は安定した雇用が保障されるため、保育士の年齢層も幅広く、必要な専門知識や、こどもの発達に合わせた個別対応ができる人材を育成しやすいという利点があります。このように、人的にも施設面でも整っている公立保育所で、障害児保育などの受け入れ態勢を強めながら、現在以上に、積極的に受け入れることが必要ではないでしょうか。見解をお聞かせください。 3、前橋市公立保育所のあり方検討委員会の運営について @まず年度内に結論を検討委員会の最大の目的は何なのか明確にお答えください。 A今年は子ども子育て新制度への移行初年度であり、各民間の保育園やこども園の今年度の運営や収支状況も判明していない段階でもあります。従って、財政上の短期的な「経済効率や効果」を優先させるのではなく、将来の前橋市のまちづくりを展望し、長期的な視野に立って、こどもの権利が最優先される公立保育所の在り方や施策を確立ことが必要だと思います。検討委員会が市立保育所の民営化検討の場にならないようにすべきと思いますが、見解を。 B公立保育所の強みは、第@に公務員としての安定雇用による保育技術の蓄積・承継・向上、第Aに人事異動や保育所間の横の連携による良い意味での保育の質の均一化・平準化(どの公立保育所でも同質の保育が受けられる)、第Bに地域の子育て支援センターの役割・障害児保育・乳児保育・アレルギー対応などの専門性の高い分野のノウハウと実績、第Cに関係機関との連携の取りやすさ等が挙げられます。 このような強みを活かし、私立保育園やこども園に対して、専門性の高い支援を含めた保育技術全般の支援等を行うことで、地域の実情に見合った支援の充実を含め、全市的な保育水準の維持・向上が可能となるのではないかと考えます。 公立保育所には公立のよさが、民間の保育所には民間のよさがありま す。保護者は、それぞれの特色を理解し、納得して子どもを預けています。市民の選択の幅を残すことも、市としての役割ではないでしょうか。 老朽化した公立保育園の建て替え問題、職員の人件費削減など行革方針の推進などを強調し、保育にかける行政の財政負担を減らすための民営化しないよう強く求めて質問を終わります。 |