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議会報告

2015年第4回定例会総括質問 小林久子議員(23分)
1、高すぎる国民健康保険税の引き下げと低所得世帯支援策について
【2015/12/7】

1)申請減免の拡充

今年度の国保の所得階層別の割合を見てみますと所得200万円以下の低所得世帯が約8割を占めています。
市のホームページで示すモデル世帯、40代夫婦子ども1人、夫の収入が300万円、所得に換算すると192万円の世帯の国保税は年間340,400円で、なんと所得の17.7%という重い負担です。これらの世帯には払いたくとも払いきれない高い国保税になっています。こうした中、国保税1年以上の滞納世帯は、昨年3月で4441世帯にもおよび、市は6074件も差押えるなど、滞納者の徴収を強化しています。市民の暮らしを守る払える国保税にするための支援が必要です。

?前年度に比べて著しく所得が減少した世帯に対する救済策として申請減免がありますが、風水害、病気、失業、などで対前年度所得の5割減という厳しい基準で、年々売り上げの減少に苦しむ自営業者でもほとんど対象にならず、法定軽減でカバーできない低所得世帯は対象になりません。これでは困窮世帯を救えません。
他都市を見ると、広島県福山市では法定軽減世帯でなおかつ18歳以下の子どもが2人以上いる時は申請減免の対象になります。相模原市では生活困窮は、対前年度所得が3割減、所得200万円以下は2割減を挙げ、生活保護費の130%以下も対象にしています。
本市も対前年度の所得減少を5割減から3割減に拡大するとともに、生保基準の130%以下も減免の対象にした減免規則を新たに作るべきと考えますが、見解を伺います。

●対象が厳しすぎて、風水害、疾病、失業、事業の損失、不作などによる申請をビックアップすると認定は2013年度が24件、2014年度は12件にとどまっています。少なすぎます。

?たとえば病気で長期療養し、医療や介護の支出増に伴う困窮という場合でも、所得減半減が基準で、これに該当しないと国保税が軽減されません。十分な蓄えがあれば耐えしのげるかもしれませんが、貯蓄無しの世帯も3割を超え増え続けています。これでは路頭に迷う市民を救えません。こうしたケースに対応できることが必要です。市長が特別な場合は認めるという市長特任が以前は在りましたが、基準が不明確だとなくしてしまいました。しかし、今の申請減免規則では救えない。市長特任を復活すべきではないか。

●生保護水準をぎりぎりで上回る世帯が国保税を支払うことで、保護基準以下に陥る。こういう境界層からも滞納すれば、容赦なく差し押さえをしている。そもそも国保税は低所得者でも払える程度の額とすべきであり、減免制度を実態に即し拡充すべきです。


(2)18歳未満の子どもの均等割り廃止

?9月議会で、18歳未満の子どもの均等割りについて本市独自の減免は難しい。国の制度改正を期待と答えていますが、子どもの6人に1人が貧困家庭という深刻な事態と、加速する人口減少社会の中で少子化対策や子育て支援策が求められています。
本市では、18歳以下の子どもがいる国保の対象世帯が5564世帯あります。
4年前市長は、子育ての負担を減らします。国保税率などの市民負担を減らしますと公約しました。しかし、これに反し一昨年の国保税を引き上げ1世帯平均22,000円、約11%もの負担を増やしました。先に述べた夫婦子ども1人のモデル世帯は55,500円もの負担増で、3人以上の世帯、子どもの人数が多い世帯ほど税負担が増えるという構造上の問題があります。
本市は子ども医療費無料化を国・県に先駆け実施しました。国は実施に対して ペナルティを課していますが、それでも実施したのです。本気で子育ての負担減らすというなら、国の施策を待つのでなく、18歳未満の子どもの均等割りを廃止する決断をすべきと考えます。答弁を求めます。

?せっかく医療費無料化を中学校まで拡大しているのに、多子世帯の均等割り負担により税負担は高いままでは、子育てするなら前橋市と胸をはることはできません。
本市は就学援助世帯の児童生徒が約2,600人いますが、生保基準の1.1倍以下という低所得世帯です。市教委がしめす就学援助の判断基準となる所得額は夫婦子ども1人世帯は236万円となっています。しかしこの所得では国保税軽減の対象とならないのです。
9月議会でも紹介したとおり、国会でもわが党の小池晃参院議員が多子世帯減免を求めたのに対し、塩崎厚労大臣が「検討してまいりたい」と答弁しています。また、均等割りの独自減免を実施している自治体では、子育て支援、少子化対策として実施している北九州市や、大阪箕面市では、均等割りを1人目は2割減、2人目は5割減、3人目は7割を減額しています。本市も独自に均等割りの減免を実施し、子育て世帯を応援すべきです。答弁を求めます。

●申請減免も拡充せず、均等割りも独自策なしでは、困窮世帯は救われません。
さいたま市は所得130万円預金65万円以下、2人以上は所得200万円以下預金100万円以下は均等割り1割減額しています。ぜひ他都市の施策を検討し取り入れるよう求めておきます。

(3)資格証明書の発行中止    

?国保証の10月の更新では536世帯に資格証を1404世帯に短期証を発行しています。
9月議会で、1年以上滞納している人のうち病気など特別の事情がなく、基準以上の滞納がある場合やむおえず資格証を発行すると答弁しました。
しかし今年4月〜10月までに資格証の645世帯が短期証の発行を申し出ました。医療が必要な人が半年間でこれだけいるということは、1人ひとりの病気の有無をしっかりチェック出来ているのかはなはだ疑問です。一方で病気でも滞納額を払わないと短期証は出してもらえないと思っていたという人もいます。
その人は10万人に2〜3人というまだ難病指定されていない病気であるにも関わらずこの10月資格証を出され医者にいけないと相談に来た人です。まさに人権侵害で、機械的と言わざるをえません。ほかに糖尿病が悪化して足を切断しなければならなくなった人、やっと医者にかることができたが末期がんで1週間後に無くなったなどの悲惨なケースを聞くと、あまりにもむごい制裁と言わざるをえません。
資格者証、短期証の発行はより慎重さが求められますが、悲惨な事例が後を絶たないことは問題です。滞納者1人1人の病状、受診状況や暮らしの実態など現状をしっかり把握すべきと考えますがお答えください。

?資格証明書の発行は受診抑制を引き起こします。
そもそも国保税が払えない人が資格証で受診し窓口で10割の医療費を払えるはずがなく、受診抑制をまねき全国保険医団体連合会の調査では一般の受診者の53分の1という推計値もあります。
滞納者への差しおさえや資格証で医療を受けられなど2重の苦しみを背負わせています。
病気の人には短期保険証で対応していると言いますが、滞納していれば敷居が高くて窓口までいけず、医者に行くのをガマンすることになりかねません。
広島市は2008年に資格証発行をゼロにし、その後も「滞納世帯の暮らしの実態をよく確認して判断する」と極力発行を抑えています。このように、市民の側に立つべきです。悪質滞納者以外は資格者証の発行はただちに止めるべきです。答弁を求めます。

●資格証の発行は滞納対策としても有効性はなく、滞納繰越分の収納率はこの4年間で横ばい状態です。国民皆保険制度の下で、保険証の取り上げはすべきではありません。


(4)国保税の引き下げ 
     
?先ほども例を挙げましたが、国保税の市のモデル世帯40代夫婦子供1人、収入300万円。税額は34万400円にもなります。つまり月収25万円余りですから1期4万2500円の国保税負担は決して軽いものではなく、もちろん軽減はありません。同じ収入で子どもが2人なら国保税は37万2800円にもなります。
低所得世帯に対する5割、2割の軽減の所得基準引き上げを行いましたが、7割軽減の対象になるのは、年収98万円以下、
夫婦子供1人の世帯を例にとりますと、5割軽減は年収184.3万円以下、2割軽減は年収274.3万円以下しか対象になりません。
また、年収166万円の50代1人世帯は軽減の対象にならず、同じ年収166万円の夫婦2人でやっと2割軽減され、それでも税額174900円です。

所得基準を見直しても、生活保護基準、あるいはその境界にある低所得世帯にとっては、税負担はまたまだ重く、払いたくとも払えない高い国保税であると思います。負担の限界を超えていると思いますが、いかがでしょうか。お答えください。

?2013年度保険税を大幅引き上げで、1世帯平均22,000円引き上げました。モデル世帯は55500円もの値上げです。
この負担が重くのしかかっています。平成2014年度の決算では、17億5千万円の基金があるとのことですのでこれを使って、国保税の引き下げを行うべと考えますが。5万2600世帯ですから、基金を使って一世帯3万円の引き下げを決断すべきです。いかがか。

?市長の任期4年間で、国保税の負担は下がるどころか、上がり続け、払いたくとも払えない国保税の負担が市民生活を苦しめ、保険証の取り上げと厳しい取り立て差押えで市民の暮らしを追い詰めています。
しかし質問してきましたが、全く打つ手がありません。市長これで市民の暮らしが守れるとお考えですか。
今後2018年度をめどに国保の都道府県化で納付金の100%完納が義務付けられ、収納率強化と給付費削減が迫られる。市町村への締め付けがさらに強まることが予想されます。
高すぎる国保税を引き下げてほしいという市民の声はますます高まっています。国庫負担の増額を国に求めるなど、国にもしっかりものを言うとともに、あらゆる手立てをつくして市長の決断で国保税の引き下げを行うべきと考えますが、市長の見解を求めます。


●市政運営に当たり、課題は様々ありますが、地方自治体の本来の役割は住民福祉の増進が基本です。市民の暮らしの安心、安全が守られてこそ、市民も市や地域への貢献、ボランティア活動などにも積極的に足を踏み出すことができるのです。
国保税の滞納と収納強化は悪質滞納者が増えたためではなく、税額の高騰と、貧困層・境界層への実効ある救済策が無いという制度の不備で引き起こされたものです。
税を納期内に収めている人との公平性をいうのなら、まず、申請減免の拡充、子育て世帯の多子世帯などの負担軽減、国保税引き下げで払える国保税にしていただきたい。



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