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議会報告

第4回定例会 総括質問(23分)中道浪子 1、子どもが大切にされる教育について(1)全小中学校の30人学級実施計画 (2)就学援助制度の拡充 2、行き過ぎた収納行政について(1)差押え禁止財産の徴収問題 (2)換価の猶予の申請【2015/12/9】

1、最初は、子どもが大切にされる教育についてです。

(今日、いじめや体罰・暴力、家庭の経済状況による教育格差の拡大、その異常さが国際機関からも厳しく指摘されています。過度の「競争」や「管理」など、様々な問題に多くの国民が心を痛めており、教育の深刻な行き詰まりの打開が求められています。本市では、平和と民主主義を土台とした憲法と子どもの権利条約に基づいて、全ての子どもの「人格の完成」をめざす教育と1人ひとりが大切にされる教育環境が求められています。)

1)その一つは、全小中学校の30人学級実施計画についてです。

@山本市長は、この4年間「30人学級の全校実施」の公約が守れませんでした。なぜ、公約が守れなかったのでしょうか。実施しようと思えばできたのではないでしょうか。例えば、当選一年目に5・6年生を30人学級にして、2年目に中学2・3年生の40人学級を30人学級に計画的にすれば、実施できたのではないでしょうか。市民にどう説明するのか、公約が守れなかった理由について市長にお伺いします。

●市長公約に多くの市民が大変期待したのに、重大な公約違反です。市民は理解しないでしょう。
Aそれでも市長は市民の要望に押されて、今年度小学5・6年生の単学級のみ、5校の5学級の35人学級を実施して先生方などに喜ばれていることは事実です。しかし、公約とはあまりにもかけ離れたもので、市長が30人学級を積極的に進めなかったのは、国の方向に沿って教育再生会議や愛国心などの方向に気を取られ、子どもが減少することを前提に幼稚園や学校の統廃合を熱心に取り組んできて30人学級の公約を軽く見たのではないかと思わざるを得ません。いったい、いつまでに全小中学校の30人学級を実施するのか実施計画を示すべきではないですか。市長に答弁を求めます。

●太田市が来年度、完全に小学5・6年を市独自の少人数教育「30人程度学級」を実施すると報道がありましたが、先を越された感がありますね。「県都前橋・教育のまち」の看板も値打ちが下がります。
B市内の先生方は、市長公約の30人学級に期待していたのに実施しないので「小中学校の30人学級を求める請願」を提出しました。
今年度5・6年生の5学級だけの35人学級は、5人の教員を増やし、予算は約3,000万円を計上しました。市長、来年度は、具体的に全小学校の30人学級を実施すべきだと思いますがいかがですか。市長選も近いし、学校の耐震化はほとんど終了するのですから、30人学級実施に予算をシフトすべきです。市教委の試算で教員を70人増やして、3億9,200万円を予算化すれば実施できます。簡潔にお答えください。

●子どもの医療費無料化のように前橋がリードして実施すれば、全県に影響を与えて県の実施も希望が見えてきます。子どもが少なくなるから学校統廃合でなく、子どもが少なくなるからこそ空き教室を活用して、30人学級実施の方向を示すべきです。

(2)その二つは、就学援助制度の拡充についてです。

@今、貧困と格差の拡大のもと、給食費さえ払えない家庭が増え、就学援助制度の拡充は一層切実になっています。現在、本市では、生活保護基準額のほぼ1.1倍の所得世帯が対象で、毎年小中学生の2,600人以上が制度を活用しています。  
全国の1,760自治体中、本市のように生活保護基準額に一定の係数をかけて制度の対象基準額を示している自治体が1,130自治体あり、その内、949自治体約84%が1・1倍以上の基準で対象を広げています。1・5倍以上は13自治体もあります。本市でも基準額を1・5倍に引上げて、救済できる家庭を拡げる必要があると思いますがいかがでしょうか。
また、運動部のおそろいのユニホーム購入や練習試合の遠征費が高いために、家計のことを察して自ら部活に入らない・入れない子どもがいることや、生徒会費やPTA会費の集金が遅れがちな家庭もあります。
全国では、子どもが家庭の貧困によってみじめな思いをしないよう、国が進めている中学校のクラブ活動費26,500円、生徒会費上限4,940円、PTA会費上限4,940円の3項目を実施する自治体が増えています。本市でも、ただちに加えるべきだと思いますがそれぞれお答えください。

●そんなことを言っていないで救済家庭を拡げるべきです。クラブ活動費や生徒会費、PTA会費についても成田市や横浜市はすでに3項目全てを実施しており、3項目のいずれかを実施している自治体は400近くに増えています。就学援助制度の扶助費は、現状でも約60〜65%1億3,500万円交付税参入があり、思い切って拡充しても心配ないのです。
A昨年8月に子どもの貧困対策に関する法律が施行され、就学援助の活用・拡充を図ると閣議決定され、国務大臣も就学援助制度は子どもの貧困対策に役立てていきたいと述べています。本市でも一人ひとりの子どもが大切にされる教育を進めるために、特段の検討を進めるべきです。市長は、前橋版総合戦略ビジョンで、子育て支援を将来展望に示そうとしているときです。こんなお粗末な答弁でいいのですか。

2、次は、行き過ぎた税収納行政についてです。

1)差押え禁止財産の徴収問題について伺います。

@本来、年金や生活保護費、児童手当などは、国民年金法や生活保護法、児童手当法で差押え禁止債権とされています。ところが、本市では、年金も児童手当も銀行振り込みのため、承知しながら、銀行口座に入ったものは全て預貯金と決めつけ法を無視した差押えを強行しています。
さらに許しがたいのは、法律で定めている差押え禁止額である最低生活費相当額は、【10万円+45,000円×家族の人数+税・社会保険料+生活費の加算分】と1か月分を定めているのに、銀行口座を全額差押えて残高ゼロ円にしていることです。そのため、「税金を払っている人がいるのに、払わないのは不公平で平等ではない」と錦の御旗をかざして、家賃が払えなくなったり、電気・ガス・水道料金が払えないなど窮迫状態に追い込んでします。このように幾重にも法律を無視した行き過ぎた税・収納行政を改めるべきだと思いますが答弁を求めます。

●先日総務省に行って、本市の行き過ぎた収納行政を改善してほしいと申し入れましたところ、「前橋市のやり方は繰り返し通達も出して県を通して指導している。今度は直接足を運んで指導することも検討したい」と困惑しています。
Aさて、部長は、広島高裁松江支部で2013年11月27日に判決が確定された児童手当裁判の判例を生かさず、1998年今から17年前の2月10日の最高裁判決を未だに踏襲しています。この判決は、差押え禁止債権が銀行口座に振込まれた時に一般預金債権化して、差押えが許されるかどうかを判断したものではないのです。ですから、本市でも児童手当など差押え禁止財産の差押えは止めるべきで、しかも、年金や給料と分かっているのですから最低生活費相当額は絶対差押えしてはならないと判断すべきです。いかがですか。

●2013年の広島高裁判決は、最高裁判決に触れながらも、預金債権の大部分が児童手当の振り込みによって形成されたものであり、しかも、児童手当が振り込まれた直後の時点では、児童手当に相当する金額につき差押え禁止財産の属性を失っていないことを正面から認め、そのうえで、行政庁がそれと認識したうえで差押えた児童手当相当分を、実質的には差押え禁止財産を差押えたと明確に判断し、国家賠償責任・損害賠償責任を課し、これを違法としたのです。
これからは、税の滞納処分については鳥取事件の広島高裁判決に従うべきです。このままでは、前橋市は、市民から裁判に訴えられれば、完全に法律違反と断罪されるでしょう。

B続いて、市長にお伺いします。市長は、先の市長選挙で「市税滞納者に対する問答無用の差押え」はすぐやめること、「差押えを権力の道具に使わない」とはっきり公約しています。選挙直後の日経グローカルの記事では、「年金資産の差押えはやらない。無理に差押えれば生活保護に転落する人が増え、社会不安をあおることになる。納税相談をして、結果として収納率が下がっても、それはかまわない」とはっきり述べています。
しかしこの4年間、改善されるどころか、昨年度の差押え件数を見ても誰もがびっくりする10, 768件。類似都市の高崎市や宇都宮市などとは桁違いで、ますます強権的な税収納行政になっています。
市長は、市民からも全国の自治体からも前橋は行き過ぎた収納をしていると言われているのですから、公約を守れなかったことを反省し、改めて「問答無用の差押えは止める」とはっきり表明すべきですが、

●今年8月、群馬県司法書士会が会長名で「地方税の適切な徴収を求める会長声明」を発表しましたが、これは重大な指摘で、総務省も重く受け止めていました。こんなことを続けていれば、転出者はあっても転入者を多く
望めないのではないでしょうか。

(2)次は、換価の猶予の申請についてです。

@2014年国の税制改正により、従来の「職権型」の換価の猶予制度に加え、「申請型」が併設され、地方税法も同様に2016年4月1日から条例改正が行われます。申請は「納期から6か月以内」の滞納に限り、その際、猶予にかかる金額が100万円以下で猶予期間が3か月以内なら担保は不要とする規定が新たに設けられ、納税者への負担の軽減になり行き過ぎの改善策として是正するものにすべきです。しかし、申請書を記載した上に、収納課から財産目録や担保関係書類など提出を義務付けており、後々の滞納処分情報の提供ともなりうるもので問題です。しかし、やむを得ず添付書類の提出が困難な場合には、国税徴収法や通則法を準用して、従来同様の「担保を徴することができない特別な事情がある場合はこの限りでない」という規定に沿って、財産目録や担保関係書類などの提出は絶対ではないことを充分尊重すべきだと思いますがいかがでしょうか。
また、換価の猶予制度が市民に活用しやすいようにするために、申請書類や添付書類は極力優しく、素人でも記入できるようにするべきだと思いますがいかがでしょうか。

●本市では、職権型の換価の猶予と収納の猶予の件数は、過去においても現状でもゼロ件です。職権での救済の手を差し伸べなかったということのようです。
差押え件数10,768件という異常と言われている行き過ぎた収納行政を改めるべく、換価の猶予などが申請制度になったことを機に、差押えを減らすことや滞納処分を改善するきっかけにすべきで、申請がしやすいように工夫することを求めておきます。

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