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議会報告

2015年第4回定例会請願第1号「前橋市の予算によりすべての市立小・中学校での30人学級を求める請願」賛成討論 小林久子議員【2015/12/17】

私は日本共産党前橋市議団を代表して、請願第1号「前橋市の予算によりすべての市立小・中学校での30人学級を求める請願」に対する賛成討論を行います。

最初に本請願の付託を受けた教育福祉常任委員会での各会派の反対理由について問題点を指摘します。

創生前橋は、教員の多忙な現実をあげて、空き時間を増やし子どもと向き合う時間を確保することの大切さを述べましたが、教育現場の構造的な問題があり、これは30人学級だけでは解決できないと述べ、臨時教職員を増やすなどで対応すべきと主張し、請願者の願いに背を向け不採択としました。

全日本教職員組合の調査では、教員の過半数が月の超過勤務時間が80時間以上の過労死ラインにあるとされ、この解決は急務となっています。
30人学級になれば、テストの採点やノートを見る時間も短縮され、1人当たりの子どもにかける時間は確実に増えます。研修や事務量を減らすなど公務の整理をおこない、1人ひとりの子どもにしっかり向き合える環境を作ることで、教員もゆとりを持ち勤務することができるのです。

現在小中学校には、マイタウンティーチャー、特別支援学級介助員、個別支援推進補助員など非正規の教員や支援員が150名を超えて配置され、合わせて約1億6000万円余りを支出していますが、これらの人たちの中には教員免許を持ち、正規教員をめざして、情熱を持ち日々子どもたちと向き合い教育現場で経験を積んだ人たちも多くいます。しかし、低賃金で来年の契約がどうなるか分からない不安な雇用状態に置かれています。
30人学級を実施すれば、このような臨時教員も正規に置き換えることができ、人材を確保する上でも問題はありません。
なお、学校支援員などの果たす役割を否定するものではありませんが、正規教員を増やさず、短時間の補助員などに置き換えることが進められています。打ち合わせ時間がとれず、教師集団としての力を発揮することが難しくなるなどの問題もあり、教員の多忙感も、子どもたちをめぐる様々な課題も解決できるとは思えません。
清新クラブは、子どもたちにゆきとどいた教育を実施する必要性を認めながら、毎年10億円の予算を必要とし、教室確保や備品購入などさらに予算が必要であると財政上の問題を挙げ、また教職員の立場に重点を置いた請願だと述べ、今回は見送るべきとしました。

しかし、独自に取り組んでいる自治体や都道府県の実施状況を見ても一度に実施するのでなく、段階を踏み、各学年ごとに計画的に実施しているなどがほとんどです。

市教委の試算では、小学校の全学年を30人学級にするためには70人の教員を増やして、3億9200万円の予算を増額すれば実施できます。中学校では108人の教員を増やし、6億480万円の予算の増額で実現できることが明らかになりました。
この実施に当たっては、学年ごとに順次進めるなどの方法も検討すべきです。
また、現在採用している非正規教員を正規に置き換えるなどの対応で、現在の予算を振り変えることもでき、試算より少ない予算で実施できるのではないでしょうか。

子どもたちの学校での基礎集団となる学級の中で、友情、信頼、助け合い、思いやり、協力共同などの社会性が育っていく、ここが安心して、楽しく過ごせるところでなくてはなりません。教師がゆとりをもち、子どもたち一人ひとりとしっかり向き合い丁寧な学習指導や、子どもの発言や発表の機会が増え、子どもたちが社会性を身につけ互いに育ち合う集団、これらを子どもたちに保障するためにも、学級規模は少人数であるべきと考えます。

公明党は請願理由を取り上げ、本市は校内暴力は減少しており、子どもたちのストレスの増大は個々の発達特性や家庭環境に要因があり、学校と家庭の連携で解決すべき。また教員の精神疾患による休職者は少なく、先生は生きがいを持ち日々頑張っていると、問題が無いかのように述べています。しかし、請願者は現場の多くの教職員の長時間労働の改善や、子どもにもっとゆとりを持ち向き合いたいという切実な要求を教職員組合の活動を通じて、毎年市教委に交渉していることをご存知でしょうか。もっと広く教育現場の声に耳を傾けるべきであり、認識不足と言わざるをえません。
また、本市が今年実施した小学5.6年の単学級35人学級化を評価しつつも、30人学級で負担は軽減されないと述べています。

しかし、教育現場では、貧困と格差の広がり、親の労働環境の悪化、発達障害のある子どもの増加、外国からの児童生徒の増加、いじめや暴力、不登校の増加などさまざまな要因で、手厚い対応が必要な子どもが増え、困難な状況が広がっています。
現行の1クラス40人では学級運営が大変なことは、校長、教職員、教育委員会やPTAの関係者などが一致して認めているところです。

2010年に中教審初等中等教育部会も少人数学級の促進を文科省に強く求め、翌2011年3月には、国会において義務教育標準法が全会一致で改正され小学校1年生を35人学級に、附則で小学校2年生以降も順次改訂を検討・実施すると定めたのです。
少人数学級を実施した自治体では、学級規模が小さくなることで、不登校や生活指導の件数が減少し、学習に対する理解や意欲が高まり、先生を増やすことによって、先生が子どもたちと向き合う時間が増えて、学校が落ち着いてきたなど、少人数学級や教職員の定数増が有効であることが報告されています。

心世紀は、適正な教職員の配置が必要としながらも、学級編成基準の問題点を挙げ、教育効果は否定しないが、1クラスの人数がどうあるべきかの議論が不足しているので今回は見送るべきと不採択を主張したことは納得できません。

市民の会は、現場は様々な課題があるとしながら、市独自に進めることは極めて困難、国の制度化を期待したいと不採択としましたが、前橋市の県内トップ水準の財政力をあまりにも過少評価しているのではないでしょうか。

今、国の制度化が遅れているため、すべての都道府県が少人数学級に取り組んでいます。

本市では、群馬県のさくらプランにより、2003年に小学校1年生、2005年に小学校2年生の30人学級が実現し、2009年に小学校3.4年生の35人学級、2011年にわかばプランで中学1年生が35人学級となっています。しかし、それ以降は県の少人数学級の施策が止まっています。

国においても2011年法律を改正し、小学校1年生について31年ぶりに基準を引き下げ35人以下になりました。12年度からは小学校2年生を35人学級する予算が付きましたが、安倍政権になってから、35人学級にすることを止めてしまいました。
それどころか、2015年度予算編成では、財務省の財政制度審議会で小学1年生を40人学級に戻すべき、教員をもっと減らせとの議論が行われ、文科省も圧力に屈し少人数学級の推進の概算要求を見送る異常な事態に陥っています。
さらに財務省は少人数学級に教育効果はないとまで言い、今後9年間で公立小中学校の教職員3万7000人削減を掲げています。

そもそも日本の教育予算はOECD諸国34か国の中で、6年連続最下位であり、教職員配置は、1クラスの児童生徒数を見ると、小学校でOECD諸国平均21,3人に対し日本は27.4人、中学校でOECD平均23,6人に対し、日本は32.5人と、低水準となっています。この状態を改め、子どもを大切にする政治と、そのための教育予算の拡充が今求められています。

このような中で、本市は、今年の4月から独自に小学校5.6年生の単学級5校を35人学級にしました。
請願者は市の努力を認めつつ、子どもや教員の実態を踏まえて、さらに進んで独自に全小中学校の30人学級の早期実現を求めているのです。

この間、全国では、今の子どもの状況を考えたら、国が動き出すのを待ってはいられないと自治体独自の少人数学級が取り組まれています。
太田市は、モデル校で実施し子どもたち、学校関係者から大変好評だったので、来年度、小学校5・6年で30人程度学級を全市に広げるとしています。
広島市では、平成20年〜29年までの期間に小1から中1までを35人学級にする計画で、最終的に全学年で20人程度をめざしています。10年間の人件費・施設整備・備品など合わせて、126億円と試算しています。

自治体として積極的に少人数学級に取り組んでいることは大切です。そして、国や県に対しても少人数学級を決断するよう声を上げていくことが求められています。

国の地方創生方針を受けて本市も、少子化対策、人口減少を食い止めるための施策を展開しようとしていますが、教育こそ未来を見据えた子どもたちへの投資であり、30人学級実現のための財政支出を、惜しむべきではありません。
本市は学校施設の耐震改修工事も一定のめどがついており、今度は少人数学級に予算を回し、計画的、段階的に30人学級実施に踏み切るべきです。前橋の子どもたちのために、予算を思い切って拡充すべきです。

請願者の願いに答え全小中学校での30人学級を一日も早く市独自で実現するよう強く求めて、本請願の賛成討論とします。

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